今川泰宏

テンプレート:独自研究今川 泰宏（いまがわ やすひろ、1961年7月24日 - ）は、放送作家、監督。大阪府出身。

主にアニメ作品分野で活躍。過度の仰々しさを逆手に取ったダイナミックな表現が多く、一部のファンに大変評価が高い。

熱烈な『スタートレック』ファン（トレッキー）としても有名であり、『新スタートレック』に出た脇役のアレンビー少尉を気に入った為に、彼女の名前を登場キャラクターに付けたこともある。

来歴[]

明星学園高等学校卒業後、アニメーターを志す。タツノコプロ系の新人アニメーター養成機関、タツノコアニメ研究所で2年間の研修を受けたものの、アニメーターの適性が無いと自ら判断し、演出家への転身を志望。これは、隣に座っていた飯田史雄の絵を見たためだという。基本的にアニメの演出と監督が本業である今川だが、ごくまれに作画でクレジットされる事があるのは、この研修の経験があるからである。そして偶然出会ったアニメ演出家笹川ひろしに直訴して、笹川ひろし事務所へ参加。その直後、笹川が演出を務めた手塚治虫の24時間テレビのスペシャルアニメ『ブレーメン4 地獄の中の天使たち』（1981年）の演出補佐としてデビュー。同年『ヤットデタマン』にも演出として参加する[1]。

今川が頭角を現したのは『聖戦士ダンバイン』（1983年）。劇中後半の37話「ハイパー・ジェリル」で、主人公達の搭乗する巨大ロボットが、パイロットのエネルギーが暴走した事が原因で更に巨大化するハイパー化現象という演出が登場して話題となったが、この表現の発想をしたのは、その回の絵コンテと演出を担当した今川だと言われている。

以後、日本サンライズの富野由悠季監督作品『重戦機エルガイム』『機動戦士Ζガンダム』の両ロボットアニメで絵コンテと演出を継続するが、『機動戦士Ζガンダム』の途中で降板して、スタジオディーンが実制作を行っていたシンエイ動画の藤子不二雄アニメ『プロゴルファー猿』に参加。理由は、これまでメカもの一辺倒だったため、幅を広げたいということだった。1985年から1987年に渡って絵コンテと演出を担当し、ダイナミックな演出が『聖戦士ダンバイン』以来の注目を浴びた[2]。

『プロゴルファー猿』終了後はサンライズに戻り、1987年に料理対決アニメ『ミスター味っ子』の監督に抜擢。これが監督デビューとなる。試食した審査員があまりの美味さに巨大化したり変身したり、或いは目から光線を放ったりと豪放で奇天烈な表現を繰り広げ、アニメファンの間で熱狂的な支持を受けた。一般人気も高く、当初半年の放送予定が延長を重ねて[3]、2年間の長期シリーズとなった。業界関係者からも評価され、第6回日本アニメ大賞アトム賞を受賞している。

1994年、ガンダムシリーズとしては初めて宇宙世紀以外の時代を舞台にした作品『機動武闘伝Gガンダム』の総監督を務める。本作は既存の「ガンダム」のイメージを根底から覆すような設定と表現が多々あり、当初は従来のガンダムファンなどから反発を受けた（ただし、これは前番組の『機動戦士Vガンダム』のおもちゃが営業不振による路線変換[4]、それまでテレビシリーズのガンダム作品の監督を務めていた富野由悠季から「ガンダムをやるならプロレスをやるように」と言われたことが理由にもなっている）が、これまで同様、派手で仰々しい演出が評価され人気作となった[5]。

また、横山光輝のSF作品のアニメ化を手掛け、『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』（1992年～1998年）、『鉄人28号』（2004年）を制作。この2本も従来の自分の持ち味を全面に押し出し、インパクト十分な表現とマニアックなこだわりに満ちた独特の味わいを持つ作品に仕上げた。ちなみに今川は横山光輝のファンであり、それぞれの作品で原作をリスペクトした要素を組み込んでいるところも多く見受けられる。

1998年には『真（チェンジ!!）ゲッターロボ 世界最後の日』の監督を務めると一時的に告知されたが、実際の本編での記載はない。だがファンの間では「あんなことが出来るのは今川しかいない」と言われているほどの演出と設定が構築されており、実際タイトルや作風から一話～三話までは、今川色が垣間見える部分が多々ある（四話以降から、明らかに作品の雰囲気がガラリと変わっていることも理由の一つにある）。クレジットされなかった理由について、一般的には「予算を使いすぎて監督を降板させられた」という噂が出回っているが、本作品に今川が本当にタッチしたのかは、2007年現在のところ不明のままである（にもかかわらず、ツタヤ等のレンタル店や量販店では、検索用データに今川の名がトップに表記されている例が多数ある）。

『鉄人28号』の企画段階の際、キングレコードの大月俊倫プロデューサーから言い渡された予算では、自身が理想とするロボットアニメで必要なカット数（本人曰く4000程度であるという）を使いながら、26話分も制作できないということで監督を降りようと考えたこともあると、とある講演会で話したともされている。結局、オファー通り監督となった今川は、生前の横山に「本来の原作通りの鉄人（鉄人が溶鉱炉に溶かされてしまう結末）をやらせてほしい」といった主旨の話を出して、結果それを実現させた。

この2004年の『鉄人28号』以降、脚本としてよくパルムスタジオ製作のアニメーションに携わっている。これ以降、今川は監督として腕を振るうより脚本家として活躍する機会が圧倒的に増えた。特に『蒼天の拳』においては、今までの脚本からは想像もつかないギャグ要素（これは原作からあるものだが）が組み込まれ、その作劇の幅広さを見せた。また、それらの作品では、監督でないのにもかかわらず今川がよく起用する声優がキャスティングされているのも特徴である。

2007年には鉄人28号の劇場版『鉄人28号 白昼の残月』の監督を務めた。本作品は今川が初めて手がける映画作品である。プロデューサー曰く「（今川にとって）初めての映画作品とあって、相当張り切っている」と語っていた。ただし、『機動戦士Ζガンダム』の劇場版において、オリジナルシーンの演出として今川がクレジットされており、劇場デビューはある意味こちらともいえなくはない。

作風・傾向[]

ファンからは「燃えるアニメを作らせれば天下一品」と評され、特に熱い漢たちの描き方には定評がある。ロボットアニメにおいても、その大胆かつケレン味溢れる戦闘シーンは好評を得ている。これは、キャラクターの設定においても、今川の奇抜で珍妙なアイディアが、漢たちをさらに魅力的なものに仕上げているからとも言える。中でも『素晴らしきヒィッツカラルド』などの誕生秘話は有名である。

”科学者の父親が作り出した忌むべき兵器、その罪を背負わされて追い詰められる若者”というモチーフを幾度も繰り返している。

一方で制作費を使いすぎたことによって監督を降板させられたという噂もある。良くも悪くもその派手で豪快な演出のためにかける費用は、馬鹿にならないようである。

また、今川が原作を下地に置かず構成した独自の脚本においては、キャラクターの台詞において、「そう!」と後文を強調する文句が多用されることが特徴。「たしかに～ですが」「まさか」「そんな」など、もったいぶった台詞が多いのも特徴である。

トレッキーでもあるため、『スタートレック』の吹き替え声優を多く起用することがある。

人柄[]

今川作品に出演した声優の大半は、前述の通りその後も今川関連作品に出演することが多いこともファンの間では有名。特に秋元羊介においては、今川が彼の声帯模写をレパートリーの一つとして習得しているほどである。『Gガンダム』の主人公ドモン・カッシュのキャラクターソングにおいて、ドモンと東方不敗の掛け合いパートがあるが、その際に流れる東方不敗の声は今川であり、初めて聞く人間に秋元本人の声と思わせる程に再現している。

その他にも、麦人が自身のサイトの日記で、「今川氏とはよく飲みに行く」と語っていることからも、プライベートでも非常に親しくなるようだ。

大阪出身のため、標準語よりも関西弁を好むらしい。

また、その発想力の奇抜さは非凡であり、『ジャイアントロボ』においてはありとあらゆる個性的な特殊能力を創造した。

作品[]

• ブレーメン4 地獄の中の天使たち（1981年）：演出補佐
• タイムボカンシリーズ ヤットデタマン（1981年）：演出 ※第43話、第47話のみ。水瓶わたると共同演出
• ときめきトゥナイト（1982年）：絵コンテ
• 太陽の牙ダグラム（1982年）：ストーリーボード
• 聖戦士ダンバイン（1983年）：演出・ストーリーボード
• 重戦機エルガイム（1984年）：演出・ストーリーボード
• 機動戦士Ζガンダム（1985年）：演出・ストーリーボード・オープニング絵コンテ
• プロゴルファー猿（1985年から1987年）：絵コンテ・演出
• ミスター味っ子（1987年から1989年）：監督
• 機動武闘伝Gガンダム (1994年)：総監督
• ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日（1992年から1998年）：総監督・脚本
• ハーメルンのバイオリン弾き（1996年）：シリーズ構成・脚本
• 剣風伝奇ベルセルク（1997年）：シリーズコンセプトアドバイザー
• HARELUYA II BØY（1997年）：シリーズ構成・脚本
• 聖少女艦隊バージンフリート（1998年）：原作・構成・シナリオ
• 真（チェンジ!!）ゲッターロボ 世界最後の日（1998年）：監督？（最初期の告知に名前が出ていただけであり、実際に完成した本編への記載はない）
• Petshop of Horrors（1999年）：シリーズ構成・脚本
• 七人のナナ（2002年）：原作・シリーズ構成・監督
• 守護妖精ミシェル（2003年）：脚本
• 鉄人28号（第4作）（2004年）：監督・シリーズ構成・脚本
• 蒼天の拳（2006年）：シリーズ構成・脚本
• バーテンダー（2006年）：シリーズ構成・脚本
• 鉄人28号 白昼の残月（2007年）：監督・脚本・絵コンテ
• 破天荒遊戯（2008年）：シリーズ構成・脚本

今川作品における常連キャスト[]

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脚注・出典[]

1. ↑ 笹川ひろし『ぶたもおだてりゃ木にのぼる 私のマンガ道とアニメ道』ワニブックス、2000年、p256-p263
2. ↑ 「まるで「エルガイム」!?今川演出ですっかりメカものにしちゃった「プロゴルファー猿」!!」『アニメージュ』1985年12月号、徳間書店、p64
3. ↑ 『月刊ニュータイプ』1989年10月号、角川書店。今川コラムより。
4. ↑ 岡田斗司夫、山本弘『空前絶後のオタク座談会3 メバエ』音楽専科社、2002年、p237。スポンサーのバンダイ川口克己の発言による
5. ↑ はーらん・えりすん「機動武闘伝Gガンダム」『SFアニメが面白い』EYECOM Files編、アスキー、1997年。和智正喜「機動武闘伝Gガンダム」『不滅のスーパーロボット大全』二見書房、1998年、p229-p230など。

参考資料[]

• 「まるで「エルガイム」!?今川演出ですっかりメカものにしちゃった「プロゴルファー猿」!!」『アニメージュ』1985年12月号、徳間書店、p64
• 笹川ひろし『ぶたもおだてりゃ木にのぼる 私のマンガ道とアニメ道』ワニブックス、2000年、p256-p263

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