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アルカディア号(Arcadia)は、松本零士の漫画・アニメ作品『宇宙海賊キャプテンハーロック』などに登場する架空の宇宙戦艦。また、ハーロックの遠い先祖ファントム・F・ハーロックが操る複葉機及び、その息子であるドイツ空軍ファントム・F・ハーロックII世大尉の乗るメッサーシュミットBf109の名称。本項では、宇宙戦艦について記載。
アルカディア号 (艦首髑髏版 わが青春のアルカディア号) | |
分類 宇宙戦艦 (他名称 海賊戦艦、海賊旗艦、戦闘海賊船) | |
設計者 大山トチロー | |
建造地 惑星ヘビーメルダーの地下ドック (鋭角艦首型、『宇宙海賊キャプテンハーロック』アニメ版) 旧太陽系連邦艦隊司令部地下ドック | |
全長 400m [1] | |
全幅 290m [2] (艦首髑髏版:260m) | |
全高 160m (艦首髑髏版:163m) | |
推進機関 次元振動流体重力エンジン×2 (動力源:エネルギー鉱石グラビューム3006) 粒子エネルギーエンジン×2(艦首髑髏版)[3] | |
武装 主砲3連装パルサーカノン (鋭角艦首型×2 髑髏艦首型×3)
(髑髏艦首型の装備)
| |
乗員人数 正規乗員数:41名 | |
艦長 ハーロック | |
主な搭載機 宇宙戦闘機SW-190 スペースウルフ 空間輸送中型高速母艦 コスモウィング ボレット各種
スペーストレーラー | |
その他 設計者・トチローの心が宿る艦 |
宇宙海賊として恐れられるキャプテン・ハーロックの乗艦。理想郷アルカディアの名を冠しているように、地球を含めあらゆる束縛に反旗を翻し、自由を求めて大宇宙に己の旗を掲げる無法者ハーロックを象徴する艦である。
設計者はハーロックの生涯唯一無二の親友、トチロー。彼の死後は、中枢大コンピューターにその魂を宿している[4]。トチローの記憶と意識を保つ生きている艦で、一種のサイボーグ戦闘艦であるともいえるがこの事実はハーロックと乗員の一人ミーメしか知らない。ハーロック以外に40人の海賊と1羽のトリと1匹の猫が同乗している[5]。
各種ビームおよびミサイル攻撃に耐えうる堅固な重装甲と強力な火力を持ち、強大な大艦隊に単艦で挑んでも引けを取らない戦闘力を持つ。
なお『ニーベルングの指環』第三部「ジークフリート」のなかで、「7号艦まで造るつもり」と少年トチローの決意が語られ、同第一部「ラインの黄金」のなかでは歳を重ねたトチローが、アルカディア号は9号艦まであると明かしている。
全長400mという巨大な宇宙船であり、艦橋部と3連砲塔はヤマトとも共通して第二次世界大戦までの戦艦を意識したデザインだが、艦体各部は古今の兵器や機械類を随所にモチーフとしており、宇宙船ながら大気中を飛行する機会も多いため大きな主翼も備える。取り分け船体後部はあたかも大航海時代の大型帆船のような華美な船尾楼(スターンキャッスル)を有しており、独特の様式美を見せている。近年の作品においてはトチロー自身または「我が友」の指示により随時改造や改良がクルーによって行われており、宇宙中でも常に最高峰の戦闘力・防御力を保持している。
海賊旗を装備しており、『ハーロック』では重力風によってなびくと説明されていたが、『ニーベルングの指環』での3号艦はトチローの弁によれば、真空中でもはためくようにマストに細工を施しているとのこと。
なお、原作漫画中では数話を除いて主に艦尾の船尾楼上の掲揚柱に掲揚されることが多く「大気圏航行の間は…」の漫画中の台詞(原作第6話)のとおり大気圏内のみで掲揚することがほとんどで大気圏内外問わず旗を全く掲げていない事も多い。その場合は掲揚柱の代わりにランタンが同位置に出現する。アニメ『ハーロック』では艦中央にそびえるメインマストと船尾楼上の掲揚柱の2箇所に常に掲げられている。髑髏艦首版では登場するアニメ作品中の物は船尾楼の1旗のみ常時掲げられているが『ニーベルングの指環』にてはほとんどの場面で旗の掲揚はなく2 - 3シーンだけメインマストに高々と掲揚し船尾楼上の掲揚は一切見られず、掲揚柱自体も存在しない。
船体側面にある髑髏の目の部分から艦外に出ることも可能なほか、この髑髏の部分が左右に開くことで宇宙艇の収納も可能にしている(『ハーロック』アニメ版40話)。艦底側にエアロックがあり、着地時の乗員の乗降および、スペースウルフなどの艦載機はここから発進する[6]。
なお、艦首部分については最も大きな異同がある。『ハーロック』では先端が鋭角になったサメの鼻面のような艦首を持つタイプが登場するが、のちに映画版『銀河鉄道999』でマッコウクジラの頭部のような形態に巨大な髑髏の紋章のレリーフを真正面にすえた新たなアルカディア号が登場し、以後の作品ではこちらのデザインが主流となる。『ニーベルングの指環』や『コスモウォーリアー零』など、1990年代以降の作品では以前と設定が変更され、鋭角艦首型は「デスシャドウ号」、「同 2号艦」などと呼ばれている(映画版『999』および『ハーロック』原作に登場したデスシャドウ号は、若き日のトチローがハーロックと共に建造し共に旅したもので、経緯は作品によって異なるものの惑星ヘビーメルダーの砂漠上に艦首を埋没させたまま朽ち果てている)。
対ショックバランサーにより惑星への大気圏突入からそのまま一気に海中への突入という、普通の船であればバラバラになってしまうような荒業を可能としている[7]。TVアニメ『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』では、ワープを使用している。
後年の『ニーベルングの指環』によれば、「宇宙最強の剣」にして同程度の性能を持つのは「宇宙戦艦ヤマト」、同型四号艦「超時空戦艦まほろば」、そして「クイーン・エメラルダス号」しかないという。
ハーロック曰く「戦闘海賊船」というだけあり、さまざまな武装がなされている。
三連装パルサーカノン(次元振動流体砲塔)アルカディア号の主砲。鋭角艦首型は2基、髑髏艦首型は艦底に1基追加で3基となっている。『ハーロック』原作では専らこの武器と衝角を使用しており、スペースバスターなどは使用されていない。『999』エターナル編では名称がショックカノンになっている。速射砲艦橋真下に装備された速射砲スペースバスターは、主に戦闘機の迎撃に使用される。また、「宇宙モリ」ハープーンの発射も可能。これは敵艦内部に打ち込み、冷凍ガスを放出して艦内の乗組員を一時的に凍結させるというものである。これ以外にも艦橋中央部左右に1基ずつ、船体の左右側面に1基ずつでスペースバスターと合せ、計5基の速射砲が配置されている。衝角鋭角艦首型の艦首に内蔵された決戦兵器。戦闘時には下部からせり出して、海賊式体当たり戦法を行うことができる。髑髏艦首型が登場する『SSX』本編や予告パイロットフィルムでも、同様に体当たり戦法を行っているが衝角は使用していない。2003年の『SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCK』では髑髏艦首型も内蔵している。ミサイル発射装置鋭角艦首型では船体の両側面(スペースバスター付近)にミサイル発射装置が配置されている。髑髏艦首型では艦首に装備。左右に発射口が3つあり、使用時にはハッチが発射口内部にスライドする。これらのミサイルは水中でも使用可能(『ハーロック』アニメ版28話、『無限軌道SSX』15話)。移乗白兵戦用アンカーチューブ敵艦内部への突入時に使用。打ち込んだチューブの先端が開閉式になっているため、艦橋にも直接乗り込むことができる。チューブ先端がドリルになっているものもある(『ハーロック』アニメ版23話で使用)。敵艦に乗り込んでの白兵戦は、ハーロック曰く「海賊の伝統」。対空ビーム砲塔艦橋周辺部に張り巡らされている小型砲塔。主に小型飛行物体の迎撃に使われる。『ハーロック』アニメ版17話では、ブレーブス号との戦いにも使用された。艦底部にも対空小型砲塔が多数搭載されている。(『ハーロック』アニメ版39話)対艦爆雷原作版の2巻と、アニメ版初期で使用された宇宙爆雷。敵を引きつけてから後部艦底部より投下する。普通の船では、交代要員などによる二部制で運用され乗組員は交代で休みをとるが、本艦においてはミーメ以外は全員一斉に寝ている。これはコンピューターが自動で航路を判断し、航行できるためである。そのため、40人という少ない人数でも運用が可能となっている。なお、『ハーロック』ではスペースウルフやボレットなどの艦載機で戦いに出る者も多いため、実質的にはさらに少ない人数でも運用可能。緊急の場合、中枢大コンピューターによる無人稼働も可能である[8]。
操舵手は特に決まっていない。場合に応じてヤッタランや台羽正などが舵輪を握っている。『ハーロック』原作では、ハーロック自身は艦長席に腰を下ろして乗組員に指示を出していることがほとんどだが、アニメ版や後述する各アニメ作品では、ハーロック自ら蛇輪を握ることも多い。
また、舵輪は艦橋内に配置されているほか、髑髏艦首型では船尾楼の一番後側にも配置されている。『999』映画1作目や『無限軌道SSX』最終回では、ハーロック自ら甲板に出てこの船尾楼の上に配置されている舵輪を握り、舵取りを行っている。ただし、艦外に出るため爆風に煽られやすくなるなど危険性が増す上に、目の前に戦闘艦橋がそびえる形となるため、視界の確保も十分とは言いがたいものとなっている。なお、艦外へ出て操舵する際の生命維持装置などに関する設定は特にない。
副長ヤッタランはじめ乗組員達は普段は規律も何もない怠惰な生活をしており、『ニーベルングの指環』では食堂が何年も掃除されていないなど、居住スペースの乱雑ぶりが露呈している。しかし、いざ戦闘となると一変して各自の役割を一糸乱れぬ統率でこなしている。これはハーロックの「本船は我々の家でもあり、家の中でまで畏まっていては何もできない。いざという時にやるべき事さえやればそれでいい」という考えによる。
アルカディア号全体のデザイン原案(ラフ)と船尾楼部分の発案は松本零士である[9]。またこの船尾楼部分のみの決定稿デザインも松本だが、全体のデザインの決定稿は松本のデザイン原案(ラフ)とイメージをスタジオぬえに渡し、その後松本と、ぬえがディスカッションして調整し、ぬえ側でまとめて同社宮武一貴が最終デザインを行うという形で完成された。但し主翼を付ける事に関しては原案の時点から宮武の発案である[9]。特に艦尾部分からのデザインは当時の宮武のデザインセンスから来る問題からか「角度によっては悪魔が笑っている顔 に見えてしまう」とも[10]。後にリデザインされた髑髏艦首型は、映画版『999』にハーロックがゲスト登場する企画が持ち上がった際、同号が「(惑星メーテルの)都市を頭で押しつぶしてけちらして行く」というシノプシスがシナリオやコンテ中に盛りこんであったことにより「頭に重量感を持たせて。」[9]という松本の意見と併せ、宮武いわく旧デザインがアニメ『ハーロック』中で「こちらとアニメーターの感性の違いからか、予想通りに描かれたことが少なく、映画版ではよりアニメ向きにとリメイクを敢行」「艦首を巨大に、しゃれたドクロマークを艦首に移して迫力中心にと、随分ゴツく」「これなら星のひとつやふたつは潰せそう」[11]。という理由から鋭角艦首型デザインの時と同じ手順をへて再び宮武によってデザインされ改変された。ただし後に、宮武自身は「デザインとしては最初の鋭角型のほうがまとまりが良かった」とも述べている。
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