#4 クロの剣
【キャスト】
猫獣人クロ(冒険家)
熊獣人ダン(鍛冶屋)
クロ
「……で、ダンのおっさん、俺の剣、直るのか?」
ダン
「当たり前だ、黙って見てろ、気が散る」
SE:カーン!カーン!鉄を打つ音
クロ
「…………よかった」
(胸を撫で下ろすように)
SE:ジュー(水で冷ます音)
ダン
「……よし」
(仕上がりを見て納得の頷き)
クロ
「直ったのか!?」
ダン
「鍛冶屋が鉄を打てなくなったら、オシマイよ。ほれ、クロ愛用の剣、復活だぞ」
クロ
「これでまた旅に出れるぜ、ダンのおっさん、ありがとよ」
ダン
「また旅に出るのか。お前もそろそろ村で落ち着いたらどうだ?なんか商売始めるなり、できるだろ」
クロ
「それもまぁ……悪くねえけどなぁ……俺は生まれながらの冒険家、旅に出ずにはいられねぇタチでよ」
ダン
「そのたびに、大したことのないその剣術で剣をボロボロにしてたんじゃ、世話ねえな」
クロ
「う、うるせえ!強い奴と戦うのが男のロマンってやつだろうがよ!」
ダン
「剣が泣いてるぜ、おーいおいおい、ってな!」
(馬鹿にするような泣き真似をして)
クロ
「馬鹿にすんなよ!」
ダン
「まあ、打ち直しはいくらでもしてやるが、あんまり無茶に扱うなよ?わりと本気で、剣の悲鳴が聞こえるぜ」
クロ
「ん……わかってるって」
ダン
「そうだ。そろそろ新しい剣に買い替えたらどうだ?」
クロ
「いや、それだけはしない、俺はこいつ一本で死ぬまで戦い抜くって決めてんだ」
ダン
「だったら……なおさら、ちゃんと扱えるようになるんだな」
クロ
「ぐっ……わかったよ」
ダン
「おお、そうだ。ちょうど渡したいものがあったんだ。ほれ、受け取れ新しい旅立ちの餞別(せんべつ)だ」
SE:ガチャリ(重そうなものを受け取る音)
クロ
「な、なんだこれ、重いぞ……」
ダン
「バックルだ、いつも左腕で体を庇う(かばう)クセがあるようだからな、クロの左腕に合わせて作った専用品だ」
クロ
「バックル?……へえ、装着してみると重さが気にならねえな」
ダン
「腕を守る装備だ、剣だけじゃなく守りも覚えろ、生きるためだろ、"冒険家"クロさんよぉ?」
(冒険家を強調して)
クロ
「……ありがとよ、ダンのおっさん、あんたやっぱ一流だぜ」
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