この世界においても、労働力として、あるいはその他の用途に用いるために、人を所有する、という概念と権利が存在する。
奴隷として売られるものは、大抵が滅ぼされた国の出自であったり、あるいは帝国からの亡命を試みて失敗した者であったり、あるいは領土紛争において敗北した兵士であったりするが、その出どころの大半は帝国が関係していると言っていい。
実際、世界の奴隷人口の大半は帝国とその国民の所有であるという。
この、他者を所有する権利は他国においても私有財産の保証という形で、一応は保証されている。
実際に、少数ながら他国においても奴隷は存在するし、その労働力によって成り立っている商業は少なからず存在する。
しかし、現実には奴隷という身の上でなくとも、貧困のために人買いに売られる者は奴隷よりも多く存在し、娼館や鉱夫などの過酷な労働環境で借金を返済する、という形で働く者は各国にいる。
特に娼館は人買い、あるいは人さらいとは密な関係を持っていることが多く、定期的に出入りしては各地で買い集めた者を売り歩く者がいる。
これは、自らの意思あるいは保護責任者の意思で売買契約が結ばれる限りにおいて各国の法に照らし合わせても合法の範囲内であり、取り締まることはできない。
しかし、誘拐や略取という形で非合法に集めた人を売る場合は、盗品販売と同様に法で裁くことができる。
王国においても、一昔前まではこうした人買いに紛れた人さらいが横行しており、その取り締まりに大いに手を焼いた過去がある。
現在でも他国では誘拐・人身売買を生業とする犯罪組織はいくつか存在し、それを取り締まり切れないでいる。
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