四方を海に囲まれた西方諸島における中心地であり、オーゼリア統一議会を有する街がナバルフェである。
オーゼリアは元々大陸といってもいい大きな島であったが、長年の浸食で少しずつ低地部分が海に沈み、今の群島の形になった。
この水没は今も僅かずつではあるが続いており、このままでは将来的に完全に水没してしまうのではないかと危惧されている。
現在では水没地域は南海から入植してきたマーフォークの居住区として活用されてはいる。
特にナバルフェ周辺の地域は地形的にも、伝統的に水運が非常に発達しており、浅瀬の多い水没区域では水夫として重宝されている。
また、世界の水運を支えるナバルフェ自慢の武装商船の団員として働く者も多い。
ナバルフェはその穏やかな気候から歴史的に自給できるだけの畜産・農業・漁業は行ってきたが、商業都市として急激に人口が増加したことや、それに伴って耕地が減ってきていることなどから、現在では食料輸入国に転じている。
南海貿易路の西端に位置するこの国は、麦・米・豆と様々な地域から食料を輸入しているため、その食卓は彩り豊かで国際色がある。
そう言ってしまえば聞こえはいいが、伝統的な西方諸島風の料理は食卓から姿を消しつつあり、文化的な浸食が起こっていることもナバルフェの昔からの住人は危惧しているという。
この地では古くから王制を採らず、選挙により大統領を決める政治形態がとられている。
ナバルフェは古くから貿易国であり多民族国家であった。
そのため、伝統的に貴族より商人の方に権力が集まったとされ、資格さえ満たせば血筋や縁故にとらわれず、誰でも議員となり大統領になれる、という政治的な自由さがあった。
近年では親帝国派の大統領が連続して大統領に選出されており、軍事的な協力関係も結ばれている。
海上の国である西方諸島の軍には、他国のような強力な陸軍はない。
代わりに、海軍が非常に強力で、海戦に限れば無敗を誇る。
また、海軍の平時の任務の中には国営貿易船の護衛をすることも含まれており、多くの無謀な海賊たちを海に沈めてきた歴史を持つ。
また、その任務の中には陸上にある海賊の本拠地を攻めるというものもあり、決して陸での戦闘に劣るというわけではないこともまた、歴史が示している。
様々な地域と貿易で繋がるこの地は、技術的な衝突が起こる特異点でもある。
帝国風の魔導機械学と、王国流のそれとが混然となる珍しい地域のひとつで、両者の技術に触れたいと考える魔導学者がこの地に移住してくることも珍しいことではない。
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