赤の魔術が物質的に働きかけることを得意とする術であるなら、青の魔術は精神に働きかけ感覚を鋭敏にしたり、魔力の流れに働きかけたりする超感覚的な部分を対象とする術である。
神話の時代に慈雨と知恵の女神ウェルテミスが知恵ある者に与えたとされる魔導術である。
基本とするのは相手のかける魔術に余計な負荷をかけさせたり、魔術そのものを打ち消す・反射させる妨害の術である。
効果は一見地味だが、相手の勝機を逸らしたり、乱したりすることは青の魔術の基本と言える。
「妨害」「反射」「対抗」はどれも相手の術が発動してから使うのが普通なので、青の魔導師は一瞬でも速く詠唱を終えることに血道をあげる者がほとんどである。
また、青の魔術は速度を命としており、自らの反射神経や運動能力を向上させる「瞬速」、相手の体や思考を重くする「加重」などの術で手数を増やすのも青の魔導師にとっては基本戦術であると言っていい。
視覚や聴覚などの感覚に作用するのも、青の魔術の分野である。
「暗視」、「遠視」、「音探」、などの術を使えるものは冒険者では仲間内に一人は必須の術であると言われる。
また、そうした魔術で得た感覚を共有する感覚共有なども青の魔術によるものである。
さらには第六感的な知覚を強化することも可能で、占いや未来予知などもこの術の範疇に入る。
物質的な働きかけとしては、人や物を宙に浮かべたり、弾き飛ばしたりする「浮遊」が挙げられる。
物資運搬の負担を大きく軽減できるため、輜重隊や輸送隊でこの術を使えるものは重宝される。
また、平原のような起伏のない土地で弓兵隊を立体的に配置したり、空中に浮かべた岩塊を落下させる、相手の体勢を崩させるなどの利用法は多い。
さらに、赤の魔術の基本が物の温度を上げることだとすれば青の魔術では物の温度を下げることもできる。
それを利用して霧を発生させる「濃霧」や雨を降らせる「降雨」など、天候に関わる使い方をするのが基本だが、周囲の温度を上げにくくさせることで赤の魔術に対する妨害魔術として扱う者も少なからずいる。
太古の知恵ある竜の操る魔術には、瞬時に水を凍らせるほどの威力を持つ「凍結」や何もないところから氷塊を作り出す「氷晶」などの術もあったとされるが、それらは歴史の中で失われてしまった。
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧