兵器は最強であり続けなければならない──
という常識を覆す、「弱くてもいい戦闘機」について解説します。
なんで弱くてもいいの?
結論から言うと、相手が強くないからです。これから解説する兵器の数々は、テロ組織、ゲリラなどの非正規軍との戦闘を想定して設計されています。正規軍に比べて貧弱な装備しか持たない非正規軍に最新鋭のステルス機なんかを使うとコスト面などから非効率的ですので、こうした「手加減」を行なっています。
弱くてもいい戦闘機・COIN機
厳密にはCOIN機の多くは攻撃機です。COINとは、COunter INsurgency(対暴動)の略で、その名の通り暴動やテロ、ゲリラなどに対しての攻撃に用いられます。
COIN機は練習機や民間機などをベースに設計されることが多く、練習機を転用してCOIN機として運用できるようにしている場合もあります。また、低空で対地攻撃を行うという任務特性上、低速で飛行できるプロペラ機を使用することも多いのが特徴です。
COIN機の運用
前述した通り、対テロなどの非対称戦の地上支援に使用されます。また、練習機から転用された機体の場合は新規パイロットの練習機にも使用されることがあります。
機体価格・ランニングコストが安いことから発展途上国では空軍の「主力」として利用されることがあり、麻薬の密売が横行する国では対麻薬密売用として運用されることもあります。
近年の正規軍(米軍など)ではより安価でパイロットが死傷することのない無人攻撃機(UAV)を非対称戦に運用することが多く、COIN機が先進国の軍で見られることは少なくなるでしょう。
COIN機の例
- EMB-314(A-29) スーパーツカノ
ブラジルのエンブラエル社が開発した練習機EMB-312Hをベースに設計されたCOIN機で、ブラジル、コロンビア、チリなどアフリカ諸国や中東諸国の軍で運用されています。
▲飛行するアフガニスタン空軍のスーパーツカノ
- A-37 ドラゴンフライ
アメリカのセスナ社が開発したT-37ジェット練習機をベースに武装などを追加した機体で、アメリカ空軍をはじめコロンビア、チリ、ペルーなどの各国に導入されました。
▲アメリカ空軍のA-37
ガンシップ
COIN機に近い機種として、輸送機をベースに左舷側に機銃などを設置したガンシップというものがあります。敵陣地上空を旋回し、同じ目標を指向し続けながら攻撃を行うことができます。
- AC-130
アメリカ空軍などが保有する、C-130輸送機をベースに機銃や砲を取り付けてガンシップとした航空機です。制空権を確保し続ける余裕がある米空軍のみで運用されています。
▲AC-130に搭載される機銃・砲
今回は弱くてもいい攻撃機・COIN機とガンシップの解説でした。
執筆:紫の13
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