チャージマン研!考察してみた黙示録

ページ名:チャージマン研考察してみた黙示録

先日。いつも通りVODを物色していると、キッズステーション・オンデマンドに何やら奇妙なアニメが存在していることに気付いた。
奇妙とはいえジョジョじゃない。もとよりキッズステーション・オンデマンドには子供向け、いわゆる「世界名作劇場」系のアニメくらいしか収録されていなかったのだが、そんな古き良きセル画アニメの面々に混じって、それは澄ました顔で一覧の最奥に鎮座していた。

それこそがまさに『チャージマン研!』であった。
ニコニコやらYoutubeやらでやけにチャー研チャー研と面白がられている、彼ら曰く「狂気のアニメ」である。私は「よくもこんなキチガイレコードを!」というセリフばかりは知っていたが、なにがチャー研を狂気たらしめているのかは分からず、『まあ、こんなあからさまなキッズ向けアニメで「キチガイ」はねえよなあ』程度の認識であった。

しかしチャー研を狂気たらしめていたのは、そんな一端のセリフなんぞではなかったのだ。
 

まず第一に、

独特な構成

である。

そもそもチャー研は我々が慣れ親しんでいるような30分アニメではなく、10分アニメとして製作されている。
とはいえ、これだけではヤバさがあまり伝わらないかもしれない。我々の知っている現代の10分アニメ(短編アニメ)というのは、大概が小作だからだ。あ~…あんな感じね、まああそこにゃ狂気が潜んでいてもおかしくはないかな…と。

しかし、そうではない。

言いたいのは、構成なのだ。

このアニメは10分アニメ(なんならVODでの尺は6分50秒しかない)だが、ストーリーがびっくりするほど濃密である。4コマギャグのような代物ではない。ビックリするほど「起・承・転・結」がしっかり踏襲されているのだ。
参考までに、この記事を書きながら私が観ていたエピソード、39話「美人ロボットは殺しの使者」を例に挙げよう。

 

  • 起 研の母と妹がお出かけ。主人公の研とバリカン(相棒的なロボット)は留守番を頼まれる。
  • 承 研とバリカンは家で「空手ゴッコ」を始める。一方、母と妹は美容院へ。
  • 転 実は美容院はジュラル星人(悪役)の指揮下にあった。母と妹は睡眠薬で眠らされ、研を倒すための奴隷に改造されそうになる。そんな危機に(とバリカン)が駆けつける。
  • 結 ジュラル星人の改造により、ロボットのようにされかかる二人。だがチャージマンと化した研の活躍によりジュラル星人は倒され、二人も途中で目を覚まし、研の活躍を見届けた。最後は元通りとなった美容院で二人とも無事に散髪してもらい、笑顔でエンド。

以上である。かなり怒涛の展開が繰り広げられているが、これにOP+ED申し訳程度のクレジット集だが)が付き、更に特撮アニメお決まりの変身シーンが入り、きっかり6分50秒に濃縮されているのだ。ハッキリ言って狂気である。

 

そして何より、

メチャクチャな演出

である。

上記で述べたストーリー自体かなり突飛なものであるが、しかしチャー研の狂気たる所以はストーリーではない。そのストーリーを魅せる「演出」なのである。先程の例に加筆すると、

  • 起 研の母と妹は美容院へお出かけ。主人公の研とバリカン(相棒的なロボット)は留守番を頼まれる。
  • 承 研とバリカンは家で「空手ゴッコ」を始める。研がドラゴン、バリカンはタイガーである。無敵たるタイガーを嗤ったことで、研は「タイガーチョップ」を食らわされるその頃、母と妹は車で美容院へ。美容院では女性型ロボットが働いており、二人は椅子へ案内され、サービスのオレンジジュースを勧められる。だが、それには睡眠薬が仕込まれていた。

  • 転 実は美容院はジュラル星人(悪役)の指揮下にあった。指揮下にあるにも関わらずジュラル星人は美容院に火を放つ。ジュラル星人の策略によって眠らされた二人は研を倒すための奴隷に改造されそうになるが、そんな危機に退屈紛れに外へ繰り出していた(とバリカン)が火事を聞きつけて偶然駆けつける。母と妹がジュラル星人に捕まったことを聞いた研は距離と速度的に明らかに間に合わなさそうだがチャージマンと化してテンポアップ!

  • 結 ジュラル星人の手によって、ロボットのような奴隷(原文ママ)されかかる二人。なお、二人は針が目前に迫ったところで目を覚ます。だがチャージマンと化した研の活躍によりジュラル星人は倒され、最後は元通りになった美容院で二人とも無事に散髪してもらい、何故か研とバリカンは窓から二人の様子を覗いているところを美容院の外で女性型ロボットに取り押さえられている。

以上。結構ハチャメチャである。セリフとセリフの奇妙な間と言い微妙なセル画の作画と言い、メチャクチャなのである。「え?どこが?」とイマイチ要領を得ない人は、そもそもの「美人ロボット」の「殺しの使者」たる側面が一ミリたりとも描かれていないことで納得してほしい。(製作者側は美容室の女性型ロボットをジュラル星人側に寝返らせることで整合性を付けたのだろうが、行った悪事と言えば悪役の言いなりになって睡眠薬入りの飲料を提供したくらいで、加害者として描くには従業する美容室が燃やされたりと報われず、被害者として描くにしても懲らしめられることなく平然と直後の美容院に従業しているということで、あまりに不完全燃焼だ。以上のことからハナから「美人ロボット」にフォーカスされていないのは明らかである。)

疲れた。エピソードを挙げればキリがないが、倫理的でなかったり差別的であったりととてもキッズステーション・オンデマンドに入るようなアニメではないのだ。だが、現実問題そこに入ってしまっている。なぜチャー研が?と思うだろうが、これは恐らくチャー研の制作会社「ナック」からアニメ作品の権利を丸ごと買っているからだ。

証拠に同社の制作作品である「まんが水戸黄門」「まんが猿飛佐助」「星の王子さま プチ★プランス」なども一挙に収められている。ハピクラ、お茶犬に並ぶアニメかよホント。テレタビーズのがよっぽど倫理的だろ。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧