キャズム

ページ名:キャズム

キャズム (Chasm) は2004年2月25日に発売された坂本龍一のオリジナルアルバム。または同アルバムに収録されている曲。

目次

解説[]

純粋なオリジナルアルバムとしては『スムーチー』以来9年ぶりの作品。坂本が得意とする「クラシカル」な音楽と「エレクトリカル」な音楽の融合を目指したアルバム。2004年3月24日にはアナログ盤が発売されている。また2006年には、このアルバムの楽曲を元にリミックスされたアルバム『ブリコラージュ』がある。

モチーフとしては、反戦への思いが強く現れている。坂本龍一は、地雷除去キャンペーンなどで反戦をすでに表明していたが、自宅のあるニューヨークで9.11アメリカ同時多発テロ事件を間近に経験し、その後に続くイラク戦争にも強い懸念を抱いていた。反戦の理想と現実の狭間に生じる怒り、悲しみ、挫折、不安、そして希望といったものが坂本龍一なりに表現されている。

収録曲[]

日本盤[]

  1. undercooled
    • 作詞:MC Sniper / 作曲:坂本龍一
    詳細はシングル『アンダークールド』を参照。
  2. coro
    • 作曲:坂本龍一
    アニメ映画「アップルシード」で使われた。タイトルはラテン系の言葉で、元はギリシャ語の「合唱」という意味。延々と続くドラムパターンをエフェクター「Kaoss Pad」で編集した1トラックのみという曲。
  3. War & Peace
    • 作詞:アート・リンゼイ / 作詞原案・作曲:坂本龍一
    チェロはJaques Morelenbaum、ギターでLuiz Brasil、パーカッションにMarcelo Costa、Medicineドラムで細野晴臣が参加。ジョビン的なものとミニマル音楽の融合を目指して作成されたループが原型。ラヴェルのボレロのように、曲が進むにつれて楽器が一つずつ増えるのが特徴。歌詞は「イラク戦争」に対する「戦争と平和」に関する内容。声は20人の普通の人を集めて、歌詞を朗読させ、それを坂本が編集した。この曲の日本語版がTBS「筑紫哲也 NEWS23」にて放送されたことがある。
  4. CHASM
    • 作曲:坂本龍一
    アルバムのタイトルナンバーとなった曲で、「ジョビンから得たものを自分の音楽として表す」きっかけとなったもの。坂本が即興で作成した音をミニマルに編集した。
  5. World Citizen - I won't be disappointed / looped pianoヴォーカルはデヴィッド・シルヴィアン、エレクトリックギターにAmadeo Paceが参加。J-WAVE開局15周年テーマ曲でもあるシングル「World Citizen-I won't be disappointed」の原曲。「美しく、静か」な4つのピアノ音をループにしている。2006年、映画「バベル」にて使用された。
  6. only love can conquer hate
    • 作曲:坂本龍一
    2002年4月に作成したアンビエントな曲。水や鳥の音はケニアのトゥルカナ湖で録音したもの。テルミンも使用している。曲のタイトルはマーヴィン・ゲイの「What‘s going on」の中の歌詞の一節である。イラク戦争開始直後に行われた25万人のピースウォークに参加していた一人のプラカードの言葉が印象に残っていたために名付けた。2006年、映画「バベル」にて使用された。
  7. Ngo / bitmix (new balance CM theme song)
    • 作詞・作曲:坂本龍一 / ブラジル系ポルトガル語翻訳:Maucha Adnet
    2003年5月にニューバランスのCF曲として使用されたボサノバヴァージョンとこの曲が同時に作られた。
  8. break with
    • 作曲:坂本龍一
    「Seven Samurai - ending theme」で使われている音とニューヨークのタクシー運転手の声だけが使用されており、エフェクタがほとんど使われていない。曲のタイトルは「訣別する」という意味で、イラク戦争を始めたアメリカとの訣別を意味している。
  9. +pantonal
    • 作曲:坂本龍一
    スケッチ・ショウの「wonderful to me」にインスピレーションを受けてできた曲。当初、ジェームス・ブラウンの「Payback」をカヴァーにすることも考えていたが、結局、タイの僧の声を使用した。曲のタイトルは「汎調性」という意味。
  10. the land song - music for Artelligent City / one winter day mix
    • 作曲:坂本龍一
    六本木ヒルズのテーマソングとして採用された曲より先にできたヴァージョン。篳篥(ひちりき)は本橋文、アコーディオンはギル・ゴールドスタイン(Gil Goldstein)、ホイッスルはカルロス・ヌニェス(Carlos Nunez)が演奏。篳篥や竜笛やアコーディオンが取り入れられた、ボサノヴァのようなさわやかさを持つ明るい曲。
  11. 20 msec.
    • 作曲:坂本龍一
    2003年5月15日にピアノで即興で作成した音を1個ずつ切り離して逆回転にしている。
  12. lamento
    • 作曲:坂本龍一
    タイトルは「嘆き」という意味。
  13. World Citizen / re-cycled
    • 作詞・作曲:デヴィッド・シルヴィアン
    ギターに小山田圭吾が参加。坂本の足音が入っている。
  14. Seven Samurai - ending theme (music for PS2 game "Seven Samurai 20XX")
    • 作曲:坂本龍一
    篳篥に本橋文、尺八に藤原道山、二胡に姜建華(ジャン・ジェン・ホワ)、古筝(こそう)に姜小青(ジャン・シャオチン)、ヴォーカル(モンゴルの長歌)はSharyn Chimedtseyeが参加。2002年8月15日に録音。坂本自身は「10年に1曲」と思うほど気に入っている。サビがYMOの「テクノポリス」と同じであると後日コメントしている。坂本のアルバム『/04』にてピアノと尺八でアレンジされたバージョンがカヴァーされている。

アナログ盤[]

A面[]
  1. undercooled
  2. coro
  3. War & Peace
  4. World Citizen - I won't be disappointed / looped piano
  5. Ngo / bitmix
B面[]
  1. +pantonal
  2. the land song - music for Artelligent City / one winter day mix
  3. 20 msec.
  4. World Citizen / re-cycled
  5. Seven Samurai - ending theme (music for PS2 game "Seven Samurai 20XX")
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