ランタンガラス
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1960年代ごろからバリウムガラスに代わって使用が広まった高屈折率低分散ガラス。
酸化ホウ素—酸化ランタンを基本組成とする。
酸化ホウ素は網目構成酸化物として働き、
酸化ランタンは修飾酸化物として高屈折率低分散化効果を担う。
高屈折率低分散特性を強めるためには酸化ホウ素を減らして酸化ランタンを増やすことが有効だが、
この組成ではホウ素が減り酸化ランタンが増えるほどに失透傾向が強くなり、ついには実用にならなくなる。
そのためさまざまな形で失透を抑制したガラスが開発された
基本的には失透抑制成分を追加しながらランタンを増やす方向で開発が行われた。
失透抑制成分はランタンと同様に高屈折率低分散化作用があるものであれば、高屈折率低分散特性を損なうことなく、失透を抑制しホウ素の割合を減らす(=高屈折率化成分の割合を増やす)ことができさらに優れた高屈折率低分散特性を得ることができる。
酸化トリウムは失透抑制効果があり、高屈折率低分散化効果があるのでこれを利用したトリウムガラス(B-La-Thガラス)が開発された。
酸化ケイ素・酸化アルミニウムや酸化アルカリ金属や酸化アルカリ土類金属1は失透抑制に効果があるが、添加量が増えると屈折率の低下を招くため高屈折率化を阻害する。
酸化カドミウムや酸化亜鉛など12族元素の二価酸化物はあまり屈折率やアッベ数を下げることなく失透を抑制できるが、カドミウムは高価で有害なのであまり使われない。B-Laガラスに酸化亜鉛を加えたB-La-Znガラスは高屈折率低分散領域の低Tgガラスでよく使われる
別の失透抑制剤として酸化タングステン・酸化チタン・酸化ジルコン・酸化タンタル・酸化ニオブなどがあるこれらは高屈折率化効果を持つため屈折率を下げずに酸化ホウ素の割合を減らすことができる。ただしいずれも高分散化効果を持つため、屈折率は高くてもアッベ数が50を超えるような分散の低いガラスは得難い。ショット分類ではLaKではなくLaFやLaSFの領域になる。
酸化チタンはチタンガラスで高分散特性を得るために使われていることからも分かるように、高分散化効果が非常に強く、酸化ランタンで得られた低分散特性を容易に打ち消してしまうためランタン系ガラスに多量に添加されることはほとんどない。
酸化ニオブは酸化チタンほどではないが、大きめの高分散化効果を持つため、これ多量に含む品種は低分散にならずに中程度のアッベ数を持つことになる。
酸化タングステンと酸化チタンは添加量が増えると透過率を悪化させるので敬遠されることもある。
酸化タンタルと酸化ジルコンは失透抑制作用があり、高屈折率が得られ、高分散化作用が小さく、透過率低下の弊害もほとんどないので好んで使用される(B-La-Ta-Zrガラス)。ただしタンタルは」レアメタルの中でもかなり高価な点が問題であり。タンタルの含有量を減らしてコストダウンを目指す方向での研究開発が行われた。
組成
網目構成酸化物:B2O3 酸化ホウ素
修飾酸化物:La2O3 酸化ランタン
B-La-Yガラス
B-La-Thガラス (トリウムガラス)
B-La-Ta-Zrガラス
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