柴又帝釈天

ページ名:柴又帝釈天

テンプレート:日本の寺院柴又帝釈天(しばまたたいしゃくてん)は、東京都葛飾区|テンプレート:JIS2004フォント飾区柴又七丁目にある日蓮宗の寺院の通称である。正式名称は経栄山 題経寺(きょうえいざん だいきょうじ)である。尚、「帝釈天」とは本来の意味では仏教の守護神である天部の一つを指すが、日本においてはこの柴又帝釈天を指す場合も多い。

目次

概要[]

江戸時代初期(17世紀前半)の寛永6年(1629年)に、禅那院日忠および題経院日栄という2名の僧によって開創された日蓮宗寺院である。18世紀末、9世住職の日敬(にっきょう)の頃から当寺の帝釈天が信仰を集めるようになり、「柴又帝釈天」として知られるようになった。帝釈天の縁日は庚申の日とされ、庚申信仰とも関連して多くの参詣人を集めるようになった。

近代以降も夏目漱石の『彼岸過迄』を始め、多くの文芸作品に登場し、東京近郊(当時は東京ではなかった)の名所として扱われた。20世紀後半以降は、人気映画シリーズ『男はつらいよ』の渥美清演じる主人公・車寅次郎(寅さん)ゆかりの寺として知られるようになる。年始や庚申の日(縁日)は非常に賑わい、映画『男はつらいよ』シリーズ制作中は、観光バスの団体客が大勢訪れたこともあるが、同シリーズの終焉に伴い、参拝客、観光客が年々減少している。

「柴又帝釈天」の通称で専ら呼ばれるところから、帝釈天が当寺の本尊と思われがちだが、日蓮宗寺院としての本尊は、帝釈堂の隣の祖師堂に安置する「大曼荼羅」(中央に「南無妙法蓮華経」の題目を大書し、その周囲に諸々の仏、菩薩、天、神などの名を書したもの)である。また、当寺が柴又七福神のうちの毘沙門天にあたることから、「帝釈天=毘沙門天」と解説する資料が散見されるが、帝釈天と毘沙門天はその起源を全く異にする別々の尊格であり、柴又七福神の毘沙門天は、帝釈天の脇に安置される多聞天(別名毘沙門天)を指すと解される。

歴史[]

ファイル:Shibamata Taishakuten 2010 元日.jpg

縁起によれば、題経寺の創建は江戸時代初期の寛永6年(1629年)で、開山は中山法華経寺(千葉県市川市)19世の禅那院日忠とされている。なお、寺の説明によれば、実際に寺を開いたのは日忠の弟子にあたる題経院日栄であるとされる。本堂右手にある釈迦堂(開山堂)に日栄の木像が安置されていることからも、この日栄という僧が実質的な開山であると思われる。

題経寺の中興の祖とされているのが9世住職の亨貞院日敬(こうていいんにっきょう)という僧であり、彼は一時行方不明になっていた「帝釈天の板本尊」を再発見した人物であるとされている。日敬自ら記した縁起によれば、この寺には宗祖日蓮が自ら刻んだという伝承のある帝釈天の板本尊があったが、長年所在不明になっていた。それが、日敬の時代に、本堂の修理を行ったところ、棟木の上から発見されたという。この板本尊は片面に「南無妙法蓮華経」の題目と法華経薬王品の要文、片面には右手に剣を持った帝釈天像を表したもので、これが発見されたのが安永8年(1779年)の庚申の日であったことから、60日に一度の庚申の日が縁日となった。それから4年ほど経った天明3年(1783年)、日敬は自ら板本尊を背負って江戸の町を歩き、天明の大飢饉に苦しむ人々に拝ませたところ、不思議な効験があったため、柴又帝釈天への信仰が広まっていったという。柴又帝釈天が著名になり、門前町が形成されるのもこの時代からと思われる。近隣に数軒ある川魚料理の老舗もおおむねこの頃(18世紀末)の創業を伝えている。

境内[]

京成電鉄柴又駅前から参道が伸びている。参道の両側には名物の草だんごや塩せんべいを売る店、老舗の川魚料理店などが軒を連ねている。参道の突き当たりに二天門が建ち、正面に帝釈堂、右に祖師堂(旧本堂)、その右手前に釈迦堂(開山堂)、本堂裏手に大客殿などが建つ。境内はさほど広くなく、建物は大部分が明治以降の建築である。二天門、帝釈堂などは彩色を施さない素木造のため一見地味に見えるが、細部には精巧な装飾彫刻が施されている。

  • 二天門
明治29年(1896年)の建立。入母屋造瓦葺の楼門(2階建て門)で、屋根には唐破風と千鳥破風を付す。柱上の貫などには浮き彫りの装飾彫刻を施す。初層左右には四天王のうちの増長天および広目天の二天を安置し、門の名はこれに由来する。二天像は平安時代の作とされ、門の建立時に同じ日蓮宗の妙国寺(大阪府堺市)から寄贈されたものである。
  • 帝釈堂
二天門を入った境内正面に位置する。手前の拝殿と奥の内殿から成り、ともに入母屋造瓦葺で、拝殿屋根には唐破風と大ぶりの千鳥破風を付す。内殿は大正4年(1915年)、拝殿は昭和4年(1929年)の完成。内殿には帝釈天の板本尊を安置し、左右に四天王のうちの持国天と多聞天(毘沙門天)を安置する(四天王の残り2体は二天門に安置)。内殿外側には全面に浮き彫りの装飾彫刻が施されている。 ファイル:Shibamatataishakuten Sculpture Gallery.JPG

彫刻ギャラリー

  • 彫刻ギャラリー
帝釈堂内殿の外部は東・北・西の全面が装飾彫刻で覆われており、中でも胴羽目板の法華経説話の浮き彫り10面が著名である。これは法華経に説かれる代表的な説話10話を選び視覚化したもので、大正11年(1922年)から昭和9年(1934年)にかけて、加藤寅之助ら10人の彫刻師が1面ずつ分担制作した。この羽目板の上方には十二支と天人、下方には千羽鶴が表され、高欄(縁)より下の部分には花鳥および亀を浮き彫りで表す。これらの彫刻を保護するため、内殿は建物ごとガラスの壁で覆われ、見学者用の通路を設け、「彫刻ギャラリー」と称して一般公開している(「彫刻ギャラリー」と大客殿、庭園の見学は有料)。
  • 祖師堂(本堂)
帝釈堂の向かって右に建つ。帝釈堂と同様、入母屋造の拝殿と内殿が前後に並んで建つ。こちらが日蓮宗寺院としての本来の本堂であり、本尊は大曼荼羅である。
  • 釈迦堂(開山堂)
江戸時代末期に建立された、寺内最古の建築であり、奈良時代作という釈迦如来立像と、開山日栄、中興の祖日敬の木像を安置する。
  • 大客殿
本堂裏に位置する。昭和4年(1929年)の完成で、入母屋造瓦葺、平屋建の左右に細長い建築である。東京都の選定歴史的建造物になっている。座敷4室を左右1列に配し、これらの手前には庭に面し、ガラス障子を立て込んだ廊下がある。座敷のうちもっとも奥に位置する「頂経の間」の「南天の床柱」は、日本一のものといわれ、直径30センチ、滋賀県の伊吹山にあった樹齢約1,500年の南天の自然木を使用したものである。
  • 邃渓園(すいけいえん)
大客殿前に広がる池泉式庭園で、昭和40年(1965年)、向島の庭師永井楽山の設計による。庭園への立ち入りは禁止されているが、周囲に設けられた屋根付きの廊下から見ることができる。

交通[]

  • 京成金町線柴又駅から徒歩数分 - 正月など多客期は混雑する。
  • 京成バス(小55系統、金町駅〜柴又帝釈天〜新柴又駅〜京成小岩駅入口〜小岩駅)柴又帝釈天バス停下車徒歩数分
  • 北総鉄道北総線新柴又駅から徒歩約15分
  • 矢切の渡し柴又側船着場より徒歩約7分

関連項目[]

テンプレート:Commonscat

  • 男はつらいよ
  • 帝釈天
  • 笠智衆
  • 日本の寺院一覧
  • 日本の音風景100選
  • 千葉テレビ放送
    • 朝まるJUST - 7:15の「JUST Information」前にCMを放送している
    • ハピはぴ・モーニング〜ハピモ〜 - 6:45の「hapi navi」前にCMを放送している

外部リンク[]

  • 柴又帝釈天公式ホームページ


en:Shibamata Taishakutenfa:معبد شیباماتاتایشاکوتنzh:柴又帝釋天



特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

続・男はつらいよ

続・男はつらいよ監督山田洋次脚本山田洋次小林俊一宮崎晃製作斎藤次郎出演者渥美清倍賞千恵子前田吟佐藤オリエ東野英治郎ミヤコ蝶々笠智衆 他音楽山本直純主題歌『男はつらいよ』渥美清編集石井巌配給松竹公開19...

男はつらいよ_葛飾立志篇

『男はつらいよ 葛飾立志篇』(おとこはつらいよ かつしかりっしへん)は、1975年12月27日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの16作目。同時上映は『正義だ!味方だ!全員集合!』。目次1 あ...

男はつらいよ_花も嵐も寅次郎

『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』(おとこはつらいよ はなもあらしもとらじろう)は、1982年12月28日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの30作目。本作で共演した田中裕子と沢田研二は1989...

男はつらいよ_翔んでる寅次郎

男はつらいよ 翔んでる寅次郎監督山田洋次脚本山田洋次朝間義隆製作島津清出演者渥美清桃井かおり布施明倍賞千恵子前田吟下絛正巳笠智衆 他音楽山本直純編集石井巌配給松竹公開1979年8月4日image:テン...

男はつらいよ_純情篇

男はつらいよ 純情篇監督山田洋次脚本山田洋次宮崎晃製作小角恒雄製作総指揮高島幸夫小林俊一出演者渥美清若尾文子音楽山本直純主題歌渥美清編集石井巌製作会社日本の旗松竹配給日本の旗松竹公開日本の旗1971年...

男はつらいよ_私の寅さん

『男はつらいよ 私の寅さん』(おとこはつらいよ わたしのとらさん)は、1973年12月26日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの12作目。同時上映は『大事件だよ全員集合!!』。目次1 あらすじ...

男はつらいよ_知床慕情

『男はつらいよ 知床慕情』(おとこはつらいよ しれとこぼじょう)は、1987年8月15日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの38作目。目次1 概要2 あらすじ3 キャッチコピー4 キャスト5 ...

男はつらいよ_浪花の恋の寅次郎

男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎監督山田洋次脚本山田洋次朝間義隆製作島津清佐生哲雄出演者渥美清松坂慶子倍賞千恵子前田吟吉岡秀隆下條正巳笠智衆 他音楽山本直純編集石井巌配給松竹公開1981年8月8日ima...

男はつらいよ_柴又慕情

『男はつらいよ 柴又慕情』(おとこはつらいよ しばまたぼじょう)は、1972年8月5日に公開された日本映画。マドンナ役に吉永小百合をむかえた男はつらいよシリーズ第9作目。同時上映は『祭りだお化けだ!全...

男はつらいよ_柴又より愛をこめて

『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』(おとこはつらいよ しばまたよりあいをこめて)は、1985年12月28日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの36作目。タイトルは『007 ロシアより愛をこめ...

男はつらいよ_望郷篇

『男はつらいよ 望郷篇』(おとこはつらいよ ぼうきょうへん)は、1970年8月26日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの5作目。当初は本作でシリーズを完結させる予定だったがあまりの人気にシリー...

男はつらいよ_旅と女と寅次郎

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』(おとこはつらいよ たびとおんなととらじろう)は、1983年8月6日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの31作目。目次1 あらすじ2 キャッチコピー3 キャスト...

男はつらいよ_拝啓車寅次郎様

『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』(おとこはつらいよ はいけいくるまとらじろうさま)は、1994年12月23日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの47作目。同時上映は『釣りバカ日誌7』。テンプレ...

男はつらいよ_幸福の青い鳥

『男はつらいよ 幸福の青い鳥』(おとこはつらいよ しあわせのあおいとり)は、1986年12月20日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの37作目。目次1 作品概要2 あらすじ3 キャッチコピー4...

男はつらいよ_寅次郎頑張れ!

『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』(おとこはつらいよ とらじろうがんばれ!)は、1977年12月24日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの20作目。同時上映は郷ひろみ主演の『ワニと鸚鵡とおっとせ...

男はつらいよ_寅次郎紙風船

男はつらいよ 寅次郎紙風船監督山田洋次脚本山田洋次朝間義隆原作山田洋次製作島津清佐生哲雄出演者渥美清音楽山本直純撮影高羽哲夫編集石井巌配給松竹公開1981年12月28日 image:テンプレート:Co...

男はつらいよ_寅次郎純情詩集

『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』(おとこはつらいよ とらじろうじゅんじょうししゅう)は、1976年12月25日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの18作目。同時上映は郷ひろみ主演の『おとうと』...

男はつらいよ_寅次郎紅の花

『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(おとこはつらいよ とらじろうくれないのはな)は、1995年12月23日に公開された日本映画。男はつらいよシリーズの最終作(第48作)。渥美清の遺作になった。テンプレート...