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2015年3月5日登録。当初は「浜川裕平」、現在は「裕P(ゆうぴー)」名義。
はなくそモグモグ…小説に関する詳しい研究・考察記事を書いているブログ。



ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~

全27話→http://ncode.syosetu.com/n2387co/(アーカイブ)
変更前のタイトルは「ユニフォン転生!人を守る剣の物語 ~光の勾玉~」「異世界転生!人を守る剣の物語 ~光の勾玉~」「ゾット帝国騎士団がゆく!人を守る剣の物語 ~受け継がれる想い~」「ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣と受け継がれる思い~」
※オリジナルの章立てはズレがあるようなので、内容に基づき修正して表記します
設定集

+ 主な登場人物-

主な登場人物
アーカイブ

※現時点での登場人物

~異世界アルガスタでの登場人物~

名前:カイト 性別:男 歳:11 一人称:オレ 第一話で登場
恰好:頭の後ろで小さく結え、両耳に羽ピアス。クリスタルのネックレス。
シャツにサスペンダー。両手にパワーグローブ。カーゴパンツにスニーカー。
武器:剣(騎士団からくすねた)オートマチック銃(騎士団からくすねた)
キャラ説明:ネロとミサの幼馴染。
後さき考えずに行動する癖がある。好奇心旺盛で仲間思い。
曲がったことが嫌いで正義感が強い。
「オレは、もっと世界を見たい。そのためにオレは強くなる」

名前:ネロ 性別:男 歳:11 一人称:ボク
恰好:黒いハットを斜めに被り、黒ぶち眼鏡を掛け、左耳にピアス。
服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。
武器:改良した武器
キャラ説明:カイトの幼馴染
クールで冷静沈着。武器を改良するのが趣味。
「カイト。お前は後先考えずに行動するな。いつか大切なモノを失くすぞ」

名前:ミサ 性別:女 歳:11 一人称:あたし
恰好:亜麻色のポニーテールでエメラルドグリーンのベレー帽を斜めに被り、額にゴーグルを装着している。両耳にハートのピアス、首にはハートのネックレス。
服は白のブラウスで胸に小さな紅いリボンが付き、スカイブルーのガーディガン。
コウモリの形をした黒いマントを羽織り、両手に革の黒いグローブを嵌めている。
下はピンクのフレアスカートに太腿丈の黒いスパッツを穿き、膝から下は縞のニーソックス。靴は黒いショートブーツ。
キャラ説明:カイトとネロの幼馴染。
明るく活発で勝気な性格。ゾット帝国総合学校の魔法科で魔法を習い、おばばの元で魔法の修行をしている。ネロにぞっこん。
「カイト、あたしに協力しなさいよ。いいわね? ネロに振り向いて欲しいの」

名前:ディーネ 性別:女 歳:不明 一人称:ワタシ・わらわ
恰好:変身前は白色のドラゴン 変身後は人間の女。
人間の恰好:髪が雪の様に白いミディアムヘアで肩に髪がかかるくらい。
整った目鼻立ちで、瞳は吸い込まれそうなサファイアブルー。
耳に蒼い滴の形をした透明なクリスタルのピアスを付けている。
服は長袖の青コットンのロリータクラシックドレスで黒いショートブーツ。
キャラ説明:ラウル古代遺跡の番人。オーヴの力で封印から目覚めたため記憶が曖昧。カイトをオーヴの主の資格があるかどうか試している。
「お前をオーヴの主と認めたわけじゃない。ワタシはお前を試しているんだ」

名前:ルエラ 性別:女 歳:15 一人称:あたし 第一話で登場
恰好:頭は胸辺りのミディアム金髪で黒いリボンカチューシャ。服は白いブラウスにフレアスカート。脚は黒のハイソックスにスニーカー。
キャラ説明:アルガスタ王女、ルビナ姫の妹。
男勝りで勝気な性格。カイトに助けられた時から、カイトに想いを寄せている。
「カイト! 絶対よ? あたしを守って! じゃないと呪ってやるから!」

~魔王教団~

名前:アスカ 性別:女 歳:17 一人称:ボク 第一話で登場
恰好:頭は灰色のツインテール。左眼に精巧な眼帯をつけている。服は華やかな着物で、マントを羽織り、穴あきグローブを嵌め、手足にカラフルなマニュキュアを縫っている。脚は素足で草履。
武器:オートマチック銃
キャラ説明:魔王教団の一人。相棒ジェイとともに行動している。お洒落に興味があり、銃の攻撃を得意とする。女の子なのにボクっ娘。
「ボクの攻撃からは逃げられないよ? 狙った獲物は狙い撃つ」

名前:ジェイ 性別:オス 歳:不明 一人称:オレ 第一話で登場
恰好:頭にごっつにゴーグルを装着し、腰にホルスターを巻いて、二丁のオートマチック銃を挿している。
武器:オートマチック銃
キャラ説明:アスカの相棒の大鷲。口が達者で、肉ではなく鰯が大好物。肉が嫌い。
「くえっ、くえっ~。もっと話聞きてえか? 鰯二匹よこせ。肉じゃねぇぞ?」

~異世界ユニフォンでの登場人物~

名前:葛城 性別:男 歳:30 一人称:僕 第二話で登場
恰好:頭に白いタオルを巻いて、丸メガネを掛けている。服は藍染の作務衣を着ている。
キャラ説明:未来のアルガスタからユニフォンに移住してきた。刀鍛冶の技術を、ユニフォンに売りにきた。秘密結社の一員でもある。カイトは葛城の先祖。
「カイトくん。僕は未来のアルガスタからユニフォンに移住してきたんだ」

名前:栞 性別:女 歳:10 一人称:栞 第二話で登場
恰好:頭は肩までの黒髪ミディアムヘアで花の簪をつけている。服は和服。
キャラ説明:葛城の娘。口数が少なく、饅頭が好き。カイトがユニフォンに転生してきたことにより、栞の兄と身体が入れ替わったことを栞は嘆いていた。
「兄ちゃん誰? 栞の知ってる兄ちゃんじゃない……」

各キャラクターの服装などが詳しく説明されている。
主人公カイトの髪型「頭の後ろで小さく結え…」というのは以前の作品これが~ユージの歩く道!の主人公前川祐二の設定と恐らく同じ。
禁断の森の奥

+ 禁断の森へ-

禁断の森へ
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 オレは禁断の森の奥、獣道で三匹の狼の様な魔物に追いかけられていた。
オレの鼓動は高鳴り、冷や汗を背中に掻き、息を切らして魔物に振り返る。
魔物は身体中から暗黒のオーラを放ち、紅く鋭い眼光に吸い込まれそうだ。
魔物は荒い息を上げて低く唸り、涎を垂らしながら、鋭い牙を覗かせ吠えて走ってくる。

舗装されてないので足元がかなり悪く、雨が降ったのか大小の水溜りが出来ている。
オレは前を向いてないので、前方不注意で盛大に水溜りを踏んだらしく、派手な水飛沫が飛び散る。
おかげでスニーカーが濡れ、靴下までも濡れて気持ち悪い。スニーカーが泥だらけだ。
おまけに水溜りを踏んだせいで、足を持っていかれ危うくこけそうになる。

その時、真ん中の魔物が急に立ち止り砂煙を上げる。
魔物は顔を真っ直ぐ上げて遠吠えをした。

あいつ何しやがった?
嫌な予感がする。オレの頬に冷や汗が伝い、オレは顔を戻す。
腕を必死に振って走り、小さな水溜りを飛んで避け、大きな水溜りはスニーカーや靴下が濡れるのを構わず走る。
こうなりゃ、汚れる心配をしてる場合じゃねぇ。
カーゴパンツの裾がずぶ濡れだが気にしない。

獣道の脇では、樹の影や枝の上で紅い眼が蛍の光の様に幾つも光が点滅している。
まさか、さっきの遠吠えで仲間を呼んだんじゃないだろうな。
オレの悪い予感が的中するかのように、獣道の脇、樹の影からぞろぞろと狼の様な魔物が出てきた。
枝の上から飛び降りる魔物。
よく見ると数本の樹に、魔物か動物の爪痕があった。
どの魔物も涎を垂らし、オレに鋭い牙を向けて威嚇して吠えている。
腹が空いているのか、苛立ったように足を踏み鳴らし、今にも突進してきそうだ。

嫌な目だぜ、どいつも同じ様な面してやがる。仲間でオレを狩るつもりか?
オレはまだ十一なんだぞ。こんなとこで、魔物の餌になりたくねぇ。
オレは魔物を見回しながら走り、心の中で愚痴を吐く。
こいつら襲ってこないのか?

その時、オレは獣道に転がっていた小石につまずき、片足が派手に上がる。
「どわっ」
オレは間抜けな声を出してしまった。
オレの身体がぬかるんだ地面に倒れそうになる。

その時、オレの左隣を走っていた幼馴染のネロが右手を伸ばしてオレの胸を支えてくれる。
ネロは黒いハットを斜めに被り、整った目鼻立ちで黒縁メガネ。左耳にピアス。
服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。
ネロはモデル並みの美形で女の子は黙っていない。
幼馴染のミサでさえ、ネロを独り占めにしている。
ネロのハットとジャケットは砂埃で汚れ、指輪とブレスレットに小さな泥が付いている。

「わりぃな」
オレは頭の後ろを掻いた。

ネロはオレの胸からそっと手を離し、その場から一歩も動かず魔物を窺い辺りを見回している。
ネロは何やらデジタル腕時計のボタンを弄り、黒縁メガネのレンズに魔物の3D立体映像が表示された。
3D立体映像表示された魔物は回転して、何やら数秒後に黒いシルエットに変わり赤く点滅している。
オレは頭の後ろで手を組んで、ネロの様子を黙って見ていた。

ネロは首を横に振る。
「ダメだ。こいつらの正体がわからない」
ネロはオレに振り向いて簡潔に答えた。

オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかける。

戦おうとするオレにネロは手で制する。
「よせ。下手に動いて奴らを刺激するな。ミサの援護を待とう」
ネロは掌をオレに向けて、オレに警告する。

「わかってる。ミサはホバーボードでのんびり観光してるんじゃねぇのか? ミサを待ってられるかっ」
オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま。
魔物に警戒しながら、魔物を刺激しないように体制を低くし、慎重に動きながら辺りを見回す。

こいつら、オレが小石につまずいた隙にオレたちを囲いやがった。
オレたちを囲んだ魔物は、すぐに襲おうとはせず遠くでオラたちの様子を窺っている。
オレは後退るうちにネロの背中とぶつかり、ネロと背中合わせになる。

オレは深呼吸して落ち着きを取り戻し、姿勢を正してネロに振り向く。
「こいつらなんなんだ? アルガスタに魔物がいるなんて聞いたことねぇぞ」
オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま、ネロに訊く。

ネロは瞼を閉じて、肩を竦めて首を横に振る。
「わからない。もしかしたら、禁断の森に棲んでいる新種の魔物かもしれない」
ネロは黒縁メガネの鼻のフレームを、人差指と中指で挟んで持ち上げた。
ネロは顎に手を当てて腕を組み、魔物を観察して考え込んでいる。
ネロの黒縁メガネのレンズには、魔物の黒いシルエットが回転して赤く点滅している。

その時、ネロの左耳に装着しているインカムに、幼馴染のミサから無線が入る。
「ネロ、どうする? 囲まれちゃったわよ?」
ネロのインカム越しから、ノイズ交じりで幼馴染のミサの暢気な声が聞こえる。

ミサはホバーボードで禁断の森の偵察に行ったままだったが、やっとミサから無線が入る。
オレは額に両手を当てて空を仰ぐ、ミサどこにいるんだよ。
つうか、いままでどこ行ってやがった。オレのことは無視かよ、ミサ。
オレは空を睨んで拳を振り上げる。

腹を空かしているのか、魔物たちがじりじりとオレたちとの距離を縮める。

お待たせしました!新エピソードが始まります!そして、主人公の一人称が変わり、新主人公の誕生です!これから、物語がどう動くのか・・・作者にもわかりません。ちょっぴり物語に厚みが出たかなと。

  • 雨上がりで水溜りができている道に砂埃が立つ、修正ミスで一箇所だけ一人称が「オラ」になっているなど細かい粗も目立つ。
  • 魔物や魔法とともにスニーカーやデジタル腕時計、インカムなどが登場する世界観らしい。
  • ずっと一人称「オレが~」と書かれているが唐突に「その時、オレの左隣を走っていた幼馴染のネロが…」と幼なじみのネロが登場する。
+ 一難去ってまた一難-

一難去ってまた一難
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~前回のあらすじ~

ラウル古代遺跡を確かめるため、禁断の森に足を踏み入れたカイトたち。 
禁断の森の奥で、アルガスタに存在しないはずの魔物に追いかけられる。
カイトがこけそうになった隙に、カイトとネロは魔物たちに囲まれてしまう……

~一難去ってまた一難~

腹を空かしているのか、魔物たちがジリジリとオレたちとの距離を縮める。
魔物は低く唸り、吠えたり、涎を垂らし、歯を噛んで鳴らし、仲間の首に噛みついたりじゃれている。

オレは魔物を睨み据え、斜め掛けの鞘に収めている剣の柄に手をかける。
「こうなりゃ、戦うしかねぇだろ。ネロ、策はあるか?」
オレは背中合わせのままネロに振り向く。

ネロは瞼を閉じて肩を竦め、呆れて首を横に振る。
「この数を相手にするつもりか? 相手にするとキリがない。こいつでまとめて片付ける」
ネロはジャケットのポケットから、銀色の小さな丸い球形を二個取り出した。

「受け取れ」
ネロは後ろに手を回して、銀色の小さな球形をオレに手渡す。

オレは首を傾げ、手を後ろに回してネロから得体の知れない銀色の小さな球形を受け取る。
「なんだよ、これ」
オレは眉根を寄せ訝しげにネロから受け取った銀色の小さな丸い球形を両手の掌で転がす。
オレは銀色の小さな球形が転がる動きを細い目でつまらなそうに追う。

ネロが肘でオレの脇腹を小突かれて、オレはネロに振り向く。
「手前に水溜りがあるだろ? こいつで奴らを感電させる。ある程度倒せるだろ、後のことは考えてない」
ネロは手前の水溜りを睨み据え、左手をジャケットのポケットに突っ込んで銀色の小さな球形を放り投げて遊んでいる。

オレは耳をほじくって鼻で笑い顔を戻す。
ネロの作戦が耳に入ってなかったオレは数秒遅れて、両手の掌で銀色の小さな球形を転がす動きが止まった。
今更ながらネロの作戦に驚き、オレは銀色の小さな球形を握り締め、そのまま拳を振り上げた。
「はあ!? こんなもんで何ができるんだよ!?」
周りを見渡せば、確かにオレたちの周りに大小の水溜りがある。
こんなもんで、あいつらを感電させられるのかよ。
オレは握り締めた指を広げて、掌に載っている銀色の小さな球形を見つめる。

ネロがオレに振り向く。
「ボクを信じろ。それとも、カイトはボクを信じられないのか?」
ネロが念を込めてオレの脇腹を小突き、ネロはカイトに意思表示する。

「……」
オレは何も言わなかった。
黙って銀色の小さな球体を握り締めて、俯いて瞼を閉じて首を横に振る。

「それにしても、景色がきれぇ~」
その時、ネロのインカムからノイズ交じりで緊張感のないミサの暢気な声が聞こえる。

オレはミサの声を聞いて呆れてため息を零す。
顔を上げて、オレはネロに振り向く。
「そうだな。お前を信じるしかねぇ」

ネロは任せろという感じで頷く。
「奴らが水溜りの上を歩いたら、そいつを投げるんだ、いいな?」
ネロはミサを無視して、黒いハットに手を載せ、銀色の小さな球形を握り締めた。

オレはネロに答える様に脇腹を肘で小突いた。
「ああ。派手にやろうぜ」
オレは奴らが水溜りの上を歩くまで、じっと待った。
オレは緊張で唾を飲み込み、ごくりと喉を鳴らす。何故か喉が渇き、冷や汗が頬を伝う。

オレはネロが気になり、ネロに振り向いた。
ネロは左手をジャケットのポケットに手を突っ込み、右手で銀色の小さな球形を握り締めて手を構えている。
後ろの敵と前の敵を気にしながら、ネロはタイミングを窺っている。
どうやら、ギリギリまで奴らを引き付けるつもりらしい。

「今だ!」
ネロが力強く叫んだ。

緊張でオレの心臓が口から飛び出しそうになる。
「ほらよっ! 大人しくしやがれ!」
オレは水溜りの上を歩く奴らに向かって、銀色の小さな球形を放り投げる。
銀色の小さな球形は放物線を描いて水溜りに落ちた瞬間、強烈な青白い電撃が魔物たちを巻き込んで襲い始める。
あまりの眩い光に、オレは思わず「うっ」と声を漏らす。顔の前で眩い光を手で遮り、片目を瞑る。

「ぐぉぉぉぉん!」
魔物らが水溜りの上で咆哮を上げながら、魔物の身体は黒こげになり黒煙を上げ、絶命したのかばたばたと横に倒れてゆく。
電撃を食らわなかった魔物らは、一瞬何が起こったか理解できず、首を傾げてお互い顔を見合わせる。
数秒が経ち、魔物らは仲間の死体を見つめて悲しい眼をして後退り、ぞろぞろと踵を返して樹の影に消えてゆく。
まだ諦めてないのか、樹の影で魔物の紅い目が光っているのが不気味だった。

オレは脱力感とともにため息を零す。
オレはネロに振り返って、ネロの肩に手を置く。
「なんとかなったな。正直、お前の親父の発明品、馬鹿にしてたぜ」
オレは親指を突き出す。
ネロの親父は、ゾット帝国騎士団の科学者だ。
よく変な物を発明しては、騎士団と親衛隊に役立っている。
自慢げにネロは、オレとミサに親父の発明品を見せびらかす。
秘密基地で親父の発明品を弄っては、武器を改良するのがネロの趣味とかなんとか。
そんなんじゃ、女が呆れるぞ。いつもオレは思う。
お前が親父の発明品を弄る時、ミサがいつもつまらなそうにしているのがわからないのかよ。

ネロが鬱陶しそうにオレの手を払いのける。
「よせよ。お前は何も考えずに突っ走るところがある。無駄な戦いは避けたい」
ネロは瞼を閉じて肩を竦める。

オレは頭の後ろで手を組んだ。
「悪かったな、何も考えてなくて。今回は、お前に助けられたな」
ネロの背中越しに、魔物らが黒こげになっているのを見て、オレは口笛を吹く。

「ねぇ。こんなとこにラウル古代遺跡があるわけ? 見たとこ森が広がってるし、でっかい湖はあるし。何もないじゃない」
ネロのインカムに、ノイズ交じりでミサから無線が入る。

お前は暢気でいいよな、ミサ。オレとネロは散々な目に遭ったってのに。オレは愚痴を零す。
オレは空を仰いで額に両手をくっつけ、お気楽なミサを探す。
オレはミサを探すのを諦めて頭の後ろで手を組み、樹の影に消えてゆく魔物らを見送る。
「あいつらも諦めてくれたし、さっさとこんなとこ離れようぜ」
オレは肩を竦めて歩く。

ネロの横を通り過ぎようとした時、ネロは手でオレを制す。
「待て、奴らの様子が変だ。油断するな、カイト」
ネロは何匹か残った魔物を見回した後、自分が倒した魔物の前にいる、生き残った魔物たちを睨み据える。

「今度はなんだよ」
オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけ、残った魔物たちを見回す。
こいつら、何しようってんだ?

オレたちの前から立ち去らずに残った魔物は、なんと黒こげになった魔物の死体を喰い始めた。
魔物は喧嘩しながら、魔物の死体を貪る。生々しい咀嚼音が聞こえる。

信じられない光景を目の当たりにして、オレは思わず後退る。
「!? ど、どうなってんだよ」
オレは手に変な汗を掻いていた。

ネロがオレを制した手をゆっくりと下す。
「さあな。嫌な予感がする」
ネロは緊張した声音で、腰に巻いたホルスターのオートマチック銃の柄に手をかける。
ネロは余った手でジャケットのポケットに手を突っ込んだ。さっきの武器を使うのだろうか。

共食いしている一匹の魔物が貪るのを止めて顔を上げ、低く唸りながらオレたちに吠えて威嚇して見ている。
その魔物は、低く唸りながら足を踏み鳴らし、なんと姿を変え始めた。
その魔物は皮膚が解けてメタリックの骨格が露わになる。足の爪がさらに鋭くなり、背中にキャノン砲が現れた。
それぞれメタリックの骨格姿に変えた魔物の背中に様々な武器が現れる。
ミサイルランチャー、ガトリング砲、ビームキャノン砲。
姿を変えた魔物が勝ち誇った様に口許を綻ばせ、紅い目が鋭く光り、次々に背中に装備した武器を発射したり撃ってくる。

オレの瞳に、奴らの攻撃が迫るのが映る。
くそっ。ミサの奴、何してんだよ。
こんな時に。オレは焦り苛立った。

今回から読者様からの意見により、あらすじを書きました。混乱を避けるために、前のお話の続きから書き始めています。少し読みやすくなったと思います。

  • ネロの持っていた「銀色の小さな球形」で危機を脱する(カイトは斜め掛けの鞘に収めている剣の柄に手をかけて睨みつけるだけで特に役に立たない)。
+ ミサ登場-

ミサ登場
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~前回のあらすじ~

禁断の森の奥でカイトとネロは魔物に囲まれるが、ネロの武器でなんとか魔物を追い払う。
しかし、追い払った魔物は魔物の死体を共食いし、なんと共食いした魔物は姿を変えた。
姿を変えた魔物たちは次々に背中に装備した武器でカイトとネロを撃ち、再びカイトとネロはピンチに陥る。

~ミサ登場~

姿を変えた魔物が勝ち誇った様に口許を綻ばせ、紅い目が鋭く光り、次々に背中に装備した武器を発射したり撃ってくる。

オレの瞳に、奴らの攻撃が迫るのが映る。
くそっ。ミサの奴、何してんだよ。
こんな時に。オレは焦り苛立った。

「ウォーターボール!」
その時、オレたちの頭上でミサの声が降った。

ミサがオレたちの頭上で呪文を詠唱した声が聞こえたかと思ったら、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、ふわりとオレの身体が浮き上がる。
その間に奴らの攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たるが、奴らの攻撃がジャンボシャボン玉に吸収されてゆく。

「ど、どうなってんだ!?」
オレはジャンボシャボン玉の中でバランスを取るのに必死で、ジャンボシャボン玉の中で忙しく回転している。
回転しすぎて気分が悪くなり吐きそうになり、口許を手で押さえる。
逆さま状態で隣のネロを見る。
ネロはジャンボシャボン玉の中でハットを押さえ、胡坐をかいてジャケットのポケットに手を突っ込んでいる。
ネロの奴、平然とバランス取りやがって、優雅に景色を堪能してやがる。
オレは逆さまの状態でネロを睨んで拳を振り上げる。
こうなったら、意地でもバランス取ってやる。

オレはジャンボシャボン玉の中でバランスを取るのに悪戦苦闘し、くるくる回ること数分が経ち、そろそろバテた頃。
オレはコツを掴み、やっとジャンボシャボン玉の中でバランスが取れる様になる。
オレは胡坐をかいて頬杖を突き、勝ち誇った様にネロを睨む。
ネロは相変わらずハットを押さえて胡坐をかき、ジャケットのポケットに手を突っ込み、眼下に広がる景色を堪能している。
無視かよ。オレは俯いてため息を零す。

オレは立ち上がり、退屈しのぎに片足を上げてよろけながらシャボン玉の内側を拳で叩いてみるが、金属の様な硬い音がする。
どうなってんだ。こいつはシールドなのか?
ふと下を見ると。オレの眼下で小さくなった奴らが悔しそうに攻撃を諦めてオレたちを呆然と見上げている。

「ふぅ。なんとかなったか」
オレはネロに背を向けて寝転び、耳を穿りながら眼下に広がる景色を眺めた。

広大な森が広がり、山が連なり、川が流れ、大きな湖、大きな滝、古城、遺跡がちらほら見える。
大自然がオレを呑み込み、オレは息を呑む。これが、世界か。初めて見る。
昔は、この森に人が住んでたかもな。

それにしても。
禁断の森の途中まで馬で来て、すぐ帰るつもりだったんだよな。
馬はミサの魔法でゾット帝国騎士団の馬小屋に返したのはいいけどよ。
まさか、遺跡を調べている時に魔物に襲われるとはな。
オレは思い出して、苦笑いしてため息を零す。

爺ちゃんの冒険書に書いてあった、ラウル古代遺跡。
爺ちゃんの最期の冒険、ラウル古代遺跡を確かめるため、ここまで来た。
オレは今、世界を見ている。爺ちゃんが見てきた世界。
オレは爺ちゃんに貰ったクリスタルの首飾りのクリスタルを握り締める。
このクリスタルは、爺ちゃんがラウル古代遺跡で採取したらしい。
爺ちゃんが死んでから、オレはクリスタルの首飾りを肌身離さなかった。
爺ちゃん。オレはこれから、世界を見ていく。

オレたちを包んだシャボン玉は上昇気流に乗って目がくらむ高さまで上昇した後、風に任せてゆっくりと飛んでゆく。
オレは束の間の旅を楽しむ。
その時、飛行機の様な騒音が近づいてくる。

「なんだ?」
オレは何事かと思い、音のする方に顔を向ける。

騒音とともにごっついホバーボードに乗った、幼馴染のミサがオレとネロの間に割って入る。
オレは寝返りを打って、やっと来たミサを「おせぇんだよ」と呟く。
ミサは亜麻色のポニーテールでエメラルドグリーンのベレー帽を斜めに被り、額にゴーグルを装着している。
両耳にハートのピアス、首にはハートのネックレス。
服は白のブラウスで胸に小さな紅いリボンが付き、スカイブルーのガーディガン。
コウモリの形をした黒いマントを羽織り、両手に革の黒いグローブを嵌めている。
下はピンクのフレアスカートに太腿丈の黒いスパッツを穿き、膝から下は縞のニーソックス。
靴は黒いショートブーツ。

ミサが肩を竦め、瞼を閉じてため息を零す。
「もう見てられないんだから。あたしに感謝しなさいよ? ネロ、あたし大活躍でしょ!?」
ミサは鼻と喉を鳴らしてオレを一瞥した後、胸の前で手を組み上目遣いでネロにラブラブビームを送る。

オレはつまらなそうにネロを見る。
ネロはミサを無視して胡坐をかき、景色を眺めながら腕を組んで顎に手を当てて何やら考え込んでいる。
また始まったよ。ミサの媚が。付き合ってらんね。

「つうか、ミサ。お前、今までどこ行ってたんだよ?」
オレは寝転んだまま、耳を穿りながらミサを睨む。
こいつ、可愛いんだけど、性格が最悪なんだよな。

「どこでもいいでしょ? カイトには関係ないじゃない」
ミサはオレに舌を出して、両手を組んで鼻と喉を鳴らしてそっぽを向いた。

オレは舌打ちした。
「ああ、そうかよ。お前の恋が実るといいな。どっかの誰かさんと」
オレは肩を竦めて、ネロに顎をしゃくる。
オレは「やってらんねぇ」と呟き、ミサに背を向けて寝返る。
景色をぼんやり眺めていると、安心感と疲労で眠気が襲い、オレは欠伸をして目を擦る。

その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのジャンボシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。
オレのジャンボシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。
その後、何故か敵の攻撃が止んだ。
諦めてくれたか?
オレは寝転んだまま、辺りを見回す。

今回、ようやくカイトの幼馴染、ミサの登場です。ミサの恋の行方、どうなることやら。

  • 再びピンチ→幼なじみミサの魔法ウォーターボールによる「ジャンボシャボン玉」で助かる(カイトは文句を言うだけで特に役に立たない)。
+ 絶対絶命-

絶対絶命
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~前回のあらすじ~

カイトとネロは姿を変えた魔物の攻撃を食らう瞬間、幼馴染のミサに魔法で助けられた。
ウォーターボールで束の間の空中散歩を満喫するが、安心はしてられず、再び魔物に襲われてしまう。
そして、魔物の攻撃でカイトのウォーターボールに罅が入る。

~絶体絶命~

その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのジャンボシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。
オレのジャンボシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。
その後、何故か敵の攻撃が止んだ。
諦めてくれたか?
オレは寝転んだまま、辺りを見回す。

くそっ。今度はなんだよ。
敵の攻撃が止んだのを確かめると、オレは眠気が一気に覚め、何事かと思い慌てて飛び起きた。
「おい、ミサ。なんでオレだけ罅が入るんだよ!?」
オレは拳を振り上げ、ミサに食ってかかる。オレの拳が怒りで震えている。
ミサ。オレのだけ手加減したんじゃねぇだろうな。
オレの中で、そんな不安が過る。まさかな。

ミサは胸の前で両手を合わせて、可愛くぺろっと舌を出した。
「ごめんっ。カイトの分だけ、手加減しちゃった。ネロは特別だからね?」
ミサはネロにウィンクして、ネロにラブラブビームを送る。

オレはミサが信じられず、ミサを力強く指さす。
「はあ!? お前なに言ってんだよ!? ネロ、なんとか言ってやれよ!」
オレの指先が得体の知れない恐怖で震えている。手には嫌な汗を掻いている。
オレは救いを求める様にネロを見る。

ネロはミサを無視して、デジタル腕時計を弄りながら、黒縁メガネのレンズでどこからミサイルランチャーが飛んできたか探索モードで必死に探っている。

ここはネロに任せるか。オレはミサに視線を戻す。
オレはミサの苛立ちで両手で頭を掻き上げる。
「おい、ミサ! オレのだけ手加減したのかよ!? お前、それでも幼馴染かよ!?」
オレはまた力強くミサを指さす。やっぱりミサが信じられず指先が震えている。
今度は額に嫌な汗を掻いている。

ミサは肩を竦め不気味に微笑んで、鬱陶しそうに手をひらひらさせる。
「ネロとあたしは大丈夫だから。落ちるのはカイトね。短い間だけど、楽しかったわ」
ミサは瞼を閉じ、涙を指で拭う仕草をして、胸の前で十字を切った。

こいつ、冗談じゃないな。本気だ。
オレはミサに呆れて、がっくりと肩を落とし俯く。
ミサに付き合いきれずに疲れて、そのまま深いため息が零れる。

「何か近づいてくるぞ! 油断するな!」
その時、ネロの怒声が響く。

「!?」
オレは一気に緊張して、驚いて顔を上げる。
オレは素早くネロを見ると、ネロの黒縁メガネのレンズに表示された3D立体地図が赤く点滅している。
敵か。どこだ?
オレは辺りを見回す。さっき攻撃してきた奴か?

その時、けたましく鳴きながら、オレたちの向こうと反対側から飛んできた二羽の大鷲。
大鷲はメタリックの骨格に眼が紅く、両翼の先端が太い筒状になっており、長い尻尾が生えている。
二羽の大鷲は回転しながらオレたちに近づき、それぞれ口を開けるとガトリングガンがあり、二羽の大鷲は口を開けたままガトリングガンを撃ってくる。

オレのジャンボシャボン玉の罅がみるみる大きくなる。
くそっ。諦めたんじゃなかったのかよ。

何でオレだけなんだ。
オレは両手で頭を掻きながらミサとカイトを見る。
ネロを見るが、ネロのシャボン玉は攻撃を吸収して大丈夫みたいだ。
ミサはミサで、青白い障壁に包まれている。

ミサ、オレのだけ本当に手加減したのか?
オレは首を横に振る。そんなわけねぇ。
オレは両手の拳を握り締める。
「おい、なんとかしろよ!」
オレはミサとネロに訴える様に、シャボン玉の見えない壁を拳で叩く。
拳を額にくっつける。

オレは歯を食いしばって一羽の大鷲を睨む。
大鷲は勝ち誇ったように、両翼を真っ直ぐ前に突き出し、両翼の先端の筒からミサイルが発射された。

ミサイルの飛来音が風を切る。
オレは飛んでくるミサイルを見て舌打ちした。
今度はミサイルかよ。余計なことしやがって。
オレはシャボン玉の見えない壁を拳で激しく叩く。
くそっ。どうなってやがる。ここの魔物どもは。
ミサがシールドの手加減をしたとは思えねぇ。
じゃ何でなんだよ。
オレは諦めて両膝をシャボン玉の見えない床に突き、絶望に駆られ俯く。

「不味いぞ。ミサ、カイトをなんとかしろ!」
ネロの怒声が波の様に揺らいで聞こえる。

大鷲のミサイル攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たり、攻撃音が遠くに聞こえる。
なんとかならねぇのかよ。くそっ。
オレは両手の掌を床に突き、拳を握り締めて見えない床を叩く。
その間にも、オレのジャンボシャボン玉の罅割れが大きくなる。
オレの鼓動が高まり、緊張で息が荒くなる。
瞼を閉じた。落ち着け。とにかく、考えるんだ。どうにかしないと。
その時、オレのジャンボシャボン玉は攻撃に耐えきれず、ついにガラスが割れた様に砕け散る。

オレの身体は吸い込まれるように宙に投げ出された。
「うわぁぁぁぁぁ!」
オレの身体が逆さまにみるみる急降下していく。
顔を上げると、ネロとミサが小さくなる。

オレは手を伸ばして掌を広げる。
「ミサ、ネロ……」
オレは小さく呟いた。
ついにミサとネロが点になり、見えなくなった。
オレの身体が急降下してゆく、地上に向けて。
今度ばかりはダメかもな。オレは瞼を閉じる。

そろそろ、新主人公に馴染んでくれたでしょうか?これからも、カイトくんの活躍と成長を温かく見守っていただければと思います。

+ カイトとミサ-

カイトとミサ
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☆前回のあらすじ☆

カイトたちがウォーターボールで空中散歩中に、突然襲ってきた大鷲の様な二羽の魔物。
魔物の攻撃で、カイトのウォーターボールに罅が入る。
魔物の攻撃に耐えられなくなったカイトのウォーターボールは砕け、カイトは宙に投げ出される。

☆カイトとミサ☆

オレは手を伸ばして掌を広げる。
「ミサ、ネロ……」
オレは小さく呟いた。
ついにミサとネロが点になり、見えなくなった。
オレの身体が急降下してゆく、地上に向けて。
今度ばかりはダメかもな。
オレは涙が滲んでゆっくりと瞼を閉じる。

「こらぁぁぁぁぁ! カイトぉぉぉぉぉ! なに諦めてんのよっ! あたしがカイトを助けるんだから! 幼馴染を見捨てたりしないわよ! 今行くから待ってなさいっ!」
ミサの怒声が天から聞こえる。

変だな。これは夢か?
いや、オレはまだ死んでない。
気のせいじゃない。ミサの声が聞こえる。
オレはゆっくりと瞼を開ける。

オレの視界に、ミサがホバーボードの後ろの二本マフラーから激しく火を噴きながら、ホバーボードのエンジン全開でオレを追いかける姿が映る。
ミサの姿を見て、オレは鼻を鳴らし喉の奥で笑う。ミサに見捨てられたかと思ったぜ。
ネロとはぐれちまったな。あいつならなんとかするだろ。

その時、ミサの背後からけたましく鳴きながら一羽の大鷲の魔物が急降下してくる。
またあいつかよ。諦めてくれそうにないな。

オレは大鷲の魔物を睨む。
「ミサ! 後ろだ! あいつが追いかけてきてるぞ!」
オレは近づいてくるミサの背後を指さす。

ミサは鬱陶しそうに髪を掻き上げ、背後の魔物を無視してオレの降下スピードに追いつく。
「魔物なんかどうでもいいわ! あんたがなんとかしてよ! あたしはあんたを助けるので手一杯なんだから! カイト、手を伸ばして!」
ミサがオレに手を伸ばして掌を広げる 
ミサの亜麻色の前髪とポニーテールが風で靡いている。

オレもミサに手を伸ばしながら、腰のホルスターに挿したオートマチック銃の柄に手をかける。
オレは舌打ちした。やっぱ、オレがなんとかしないとな。
大鷲の魔物はミサの背後で羽ばたきながら、長い尻尾の鋭い先端をミサの背中に向ける。
こいつ、あの尻尾でミサを刺そうってか。させるかよ。
オレはミサに手を伸ばしつつ、腰のホルスターに挿したオートマック銃を抜く。
片目を瞑って大鷲の魔物に狙いを定め、オートマチック銃の引き金を引いて二三発撃つ。
三発目に撃った銃弾が大鷲の魔物の腹に命中し、銀色の粘着物が大鷲の魔物の腹にくっついた。
同時に大鷲の魔物の身体を青白い電気が包み込み、大鷲の魔物が麻痺して苦しそうに鳴きながら逆さまに降下してゆく。
オレは青白い電気を包み込みながら降下してゆく大鷲の魔物を見下ろして口笛を吹いた。

オレはオートマチック銃を握った手で、額の汗を手の甲で拭う。
「ふぅ。なんとかなったな。それにしても、この銃、なんなんだ?」
オレはまじまじとオートマチック銃を見つめる。
帝国騎士団からくすねた銃だが、騎士団はこんなもん使っているのか。
物騒な世の中になったもんだ。

その時、もう一羽の大鷲の魔物がお腹を向けて急降下して来た。
そして、青白い電気を包み込みながら降下していた大鷲の魔物と接触して空中爆発が起きる。

その衝撃波がオレとミサを襲う。
あとちょっとでオレはミサの手を掴むところだったが、爆風でオレは回転しながら吹っ飛んだ。
「うわっ」
熱気と破片が飛んできて、オレは顔の前を手で遮る。
凶器と化した破片が頬や腕、脇腹や太ももを掠めて皮膚が切れて怪我する。
オレは痛くて、「っつ」と思わず顔をしかめて声を漏らす。

「ああもう! あとちょっとだったのに! 世話が焼ける男ね! こうなったら、魔法しかないわね! ウォーターボール!」
ミサの苛立ちの声が降り、ミサは呪文を詠唱した。

ミサが呪文を詠唱すると、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、オレの身体がジャンボシャボン玉の中で浮き上がる。
またこの魔法か、嫌な思い出しかないぜ。オレは顔をしかめ、心で愚痴を零す。
オレはオートマチック銃を腰のホルスターに挿した。

オレは胡坐をかいて、太ももに掌を突く。
「また手抜きじゃねぇだろうな!」
ミサを睨んで拳を振り上げる。

ミサが鬱陶しそうに髪を掻き上げ、ホバーボードを飛ばしてオレのジャンボシャボン玉に近づいてくる。
「即席のウォーターボールよ。文句言わないでよ! あたしの魔力、そんなにないんだから!」
ミサがジャンボシャボン玉の中に手を突っ込んで、オレに手を伸ばす。
「いつまで持つかわからないわよ? また落っこちたい?」と、ミサは顔をしかめて冷たく言い放つ。
自分の手を早く掴めと言わんばかりに、シャボン玉の中に突っ込んだ手の指をひらひらと動かす。

魔法が使えないオレはミサの態度に苛立ち、頭の後ろで手を組む。
「おせぇんだよ。待たせやがって」
オレは舌打ちしてから、一安心してため息を零し、仕方なく嫌々ミサに手を伸ばす。
オレがミサの手を掴んだ瞬間、ジャンボシャボン玉が勢いよく弾けた。

ミサはオレの手を掴んだままため息を零す。
「やっと掴んだわよ。邪魔が入ったけど、まあいいわ……」
やれやれという感じで、ミサは瞼を閉じで肩を竦めて首を横に振る。

オレはミサに親指を突き出した。
「オレはミサを信じてたぜ。一時は諦めたけどな」
歯を見せて、オレはミサに笑いかける。

ミサは顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにオレから顔を背けた。
「べ、別にっ。ま、まあ、幼馴染だし? ネロに言われたし? それにしても、危機一髪だったわね」
ミサはオレから顔を背けたまま、額の汗を手の甲で拭う。

ミサの汗の粒が風に飛ばされて、オレの頬に張り付く。
「オレを殺す気かよ。ったく」
オレは眉根を寄せてミサを睨み、俯いてため息を零す。
雲を抜け、雲の間から足元に広がる景色に息を呑んだ。
ネロの奴、今頃なにしてんだか。

「ねぇ、ネロのこと考えてるの? ネロのことなら心配ないわよ? 後で合流しようって言ってたし。それに、ネロのハイテク装備もあることだし。なにも心配することないわよ」
ミサはオレが考えていることを、さらりと口にした。

やっぱ、ミサはオレの幼馴染だな。オレはミサの顔を見て微笑む。
「そうか、ならいいんだ。ミサを巻き込んで悪かったな。お前、ネロと一緒に王都ガランに行くつもりだったんだろ?」
オレはミサのことはお見通しという感じで、ミサに歯を見せて笑った。

ミサは皮肉たっぷり込めて瞼を閉じて舌を出す。
「そうよ。あんたを放って、王都ガランでネロとデートしようと思ってたのに。デート当日になって、あんたが待ち合わせ場所に来て、禁断の森に行こうとか言い出すし。ほんと信じれない。せっかくお洒落してきたのに。おかげでデートが台無しよ。まさかネロがあたしとのデートをあんたに言ったとはねぇ、迂闊だったわ」
ミサはネロが信じられないという様に、また瞼を閉じて首を横に振る。

オレはミサの顔を見て、生唾を飲み込み喉を鳴らす。
ミサにネロのこと言うべきか、オレは迷った。
「ミサ。ネロはお前のこと……」
言いかけて、オレは言葉を呑んだ。
ネロは、お前のこと幼馴染だと思ってる。
オレは拳を握り締め、俯いて瞼を閉じて首を横に振る。

ミサはデートのこと根に持っているのか、ミサの盛大なため息が聞こえる。
「ネロがどうかした? なによ、気になるじゃない」
ミサの興味津々な声が降ってくる。

オレは俯いたまま、ゆっくりと瞼を開ける。
「なんでもねぇよ」
オレは小さく呟き、握り拳に力を入れて拳が震えた。
そのまま、ミサと顔を合わせるのが嫌でオレは俯いたまま。

急にミサが洟をすすって泣いた。
「少しはあたしの恋に協力してくれてもいいじゃない。カイトのバカッ……」
ミサが小声でぼそりと呟く。
オレは聞こえないふりをした。
その後、気まずい空気が流れ、オレとミサは黙ったままだった。

その時、ミサのホバーボードのマフラーから空気が抜けた様な嫌な音を立てた。

「!? な、なんだ!?」
オレは驚いて顔を上げる。

ホバーボードのファンの回転が弱くなる音が聞こえる。
「ね、燃料が切れかかってる!? こんな時に!?」
ミサがホバーボードの上でバランスを崩すと同時に、ミサは背中のマントを開き滑空する。
ミサの足からホバーボードが離れ、オレは咄嗟に片方の手でホバーボードを掴む。

ホバーボードの重さにオレは顔をしかめる。
「今度は燃料が足りねぇのか。災難続きだな。にしても、このホバーボード重いぞ」
オレはホバーボードを憎たらしく見つめる。機械の塊が生意気だな。
このホバーボード、何かの役に立つかも知れないからな。

ミサは両手でしっかりとオレの手を掴んでいる。
マントを広げたミサは風に任せて、オレたちはゆっくりと優雅に飛んでゆく。

ミサがため息を零すのが聞こえ、オレはミサを見上げた。
お前、ため息が多いな。そんなにネロとデートが出来なかったことが悔しいのかよ。
なんかミサに悪いことしたな。今度、ミサの恋に協力してやるか。

ミサは風で髪をなびかせて、眼下に広がる景色にうっとりして堪能していた。
「あーあ。思った以上に景色が綺麗で、この子の燃料食っちゃったなぁ。反省……ごめんね、ネロ」
ミサはがっくりと肩を落とし、意気消沈して俯く。

おいおい。お前、ホバーボードの名前がネロとか病んでるな。聞いてて寒気がする。
オレはホバーボードでミサを殴ってやろうかと思ったがやめた。
「お前が寄り道してるせいで、オレとネロは大変だったんだからな。ちったぁ反省しやがれ」
ホバーボードを掴むオレの手が怒りと重さで震えている。

その時、急にミサの息が荒くなる。
「はぁ、はぁ……」
みるみるミサの顔色が悪くなり、ミサの額に汗が滲む。

嫌な予感がして、オレの鼓動が高まる。
「お、おい。ミサ、どうしたんだよ?」
オレはミサが心配で、ミサの顔を覗き込む。
ミサの額は玉のように汗を掻いている。
オレを掴むミサの両手が震えている。

ミサはオレの顔を見て微笑んだ。
「ごめん、カイト。あたし、魔力を消費しちゃったみたい……後は、お願い、ね……」
ミサは気絶して身体から力が抜け、ミサが落ちてゆく。
ミサはオレを掴んだまま落下する。

オレはミサの体重に引っ張られる。
「ぐっ」
オレはミサの手をしっかりと片手で掴む。
ホバーボードを掴んでいる手を、ホバーボードを持ち上げて脇に挟み、ミサの手を両手で掴む。

「ミサっ!?」
オレは歯を食いしばって力を入れた。
ぜってぇ離さねぇ。無理しやがって。
ミサのパワーグローブのおかげで、ミサの体重をそんなに感じない。
風の抵抗を受けながら、大地が近づいてくる。
幸いにも、下に大きな川が流れているのが小さく見える。
うまくいけば助かるかもな。川に落ちたとしても、川の深さがわからねぇ。
川に飛び込んだ衝撃で、怪我どころじゃねぇな。
下手すりゃ溺れて、オレとミサはお陀仏だ。
どうする。考えろ。

今回、カイトとミサの淡いシーンがありました。ミサの恋はどうなるのでしょう。
禁断の森編は、まだまだ続きます。

  • 空中落下→ミサがホバーボード追いかけてきてジャンボシャボン玉で助けてもらう。
  • 帝国騎士団から盗んだオートマチック銃で魔物を倒す。 「それにしても、この銃、なんなんだ?」
  • ミサは王都ガランでネロとデートするつもりだったが、カイトが2人を禁断の森に連れてきたことが判明。
+ 川に流されて-

川に流されて
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☆前回のあらすじ☆

ホバーボードの燃料切れでミサはバランスを崩し、ミサは咄嗟に背中のマントを広げ、なんとか難を逃れる。
しかし、ミサは魔力を消費してしまい、今度はミサが魔力の消費による疲労で気を失う。

☆川に流されて☆

「ミサっ!?」
オレは歯を食いしばって力を入れた。
ぜってぇ離さねぇ。無理しやがって。
ミサのパワーグローブのおかげで、ミサの体重をそんなに感じない。
風の抵抗を受けながら、大地が近づいてくる。
幸いにも、下に大きな川が流れているのが小さく見える。
うまくいけば助かるかもな。川に落ちたとしても、川の深さがわからねぇ。
川に飛び込んだ衝撃で、怪我どころじゃねぇな。
下手すりゃ溺れて、オレとミサはお陀仏だ。
どうする。考えろ。

オレは瞼を閉じて首を横に振る。
やっぱ、頼みはこいつだな。
オレは脇に挟んだホバーボードに目を落とし、ミサを掴む手に力を入れる。
ウォーターボールの魔力がまだ効いているのか、オレの身体は浮いていた。
ミサのパワーグローブから、ミサの魔力が伝わってくるのかもな。
もしかして、オレがミサの魔力を吸い取ってるのか?
オレは瞼を閉じて首を横に振った。めんどくせぇ。
くそっ。オレはホバーボードの重さに耐えられず、顔をしかめ、脇と手と額にも嫌な汗を掻いている。
そろそろ限界かもな。ミサも重くなってきやがった。
ミサを掴む手が震え始め、脇を動かした隙に脇からホバーボードがするりと滑り落ちた。

重力の勢いで、風を切り裂きながら落ちてゆくホバーボード。
「くそっ!」
回転しながら落ちてゆくホバーボードに、オレはミサの手から片手を離して、ホバーボードに手を伸ばす。
オレは悔しくて歯を食いしばる。ミサ、すまねぇ。お前のホバーボードを手放しちまった。
オレはやるせなくなり、ホバーボードに伸ばし手を垂れて俯く。
諦めるのか? そんな簡単に。ミサの大事なホバーボードなのに。
ミサが好きなネロって名前のホバーボードだろ? ミサのお気に入りなんだろ?
垂れた手を握り締め。瞼を閉じて首を横に振る。いや、まだ終わってねぇ。
ホバーボードに燃料が少し残ってるはずだ。その可能性に賭ける。
どうにかして遠隔操作すれば、ホバーボードを動かせるかもしれねぇ。
小さくなってゆくホバーボードに、オレは手を伸ばす。頼む、動いてくれ。
その間にも眼下に大きな川が近づいてくる。川の流れる轟音が聞こえる。
ぐずぐずしてられねぇ。このポンコツが! さっさと動きやがれ!
今にも川に落ちそうなホバーボードを、オレは黙って睨み据える。

その時、オレの首飾りのクリスタルが眩く青白い光を放つ。
オレは思わず青白い光が眩しくて、顔の前を手で遮る。何が起こった?
眼下のホバーボードが川の水面に近づいた瞬間、ホバーボードが川の水面に浮く。
轟音とともに凄まじい水飛沫がホバーボードの周りに飛び散る。
主の声に応えるようにクリスタルが青白い光を放ちながら、オレとミサの身体がゆっくりとホバーボードに吸い寄せられてゆく。
オレはミサを抱きかかえながら、青白く光るクリスタルを掌に載せて、クリスタルをまじまじと見た。なんだ? 助かったのか?
そして、オレがミサをホバーボードの上に乗せようと思った直前。
急にミサのパワーグローブから火花が散って、ミサの身体が鉛りの様に重くなり、オレはミサを手放してしまう。

ミサが川に落ちて水飛沫がオレの頬に張り付く。
オレは川に流されまいと、慌ててホバーボードの上に両腕を載せてホバーボードにしがみつく。
「ミサッ!?」
オレの下半身がずぶ濡れになり、流されまいと足に力を入れる。
空中爆発で飛んで来た破片で太腿を切った傷口が沁みて、オレは顔をしかめる。
痛みを我慢して、オレは水面上に浮いたホバーボードからミサに手を伸ばす。
くそっ。動け、このポンコツが!
オレは吐き捨てるように、ホバーボードの上を拳で思いっきり叩いた。 
次の瞬間、ホバーボードは空気が抜けた様な間抜けな音を出し、ホバーボードが川に落ちて派手に水飛沫を上げた。

ホバーボードが川に落ちた瞬間、オレは川の水を飲んだ。
空中爆発で飛んで来た破片で切った腕や頬の傷口が沁みて、オレはまた顔をしかめる。
手当しないとな。そんな思いを裏切るように、オレはホバーボードにしがみついたまま流されてゆく。
ホバーボードを板代わりに、オレはホバーボードにしがみつきながら飲んだ水を吐いて咳き込む。
前髪を掻き上げてミサを見ると、川の流れが早く、ミサがどんどん流されてゆく。

うつ伏せに浮いて流されるミサ。
このままじゃ、ミサが溺れ死ぬ。なんとかして助けねぇと。
オレはホバーボードの上で、川の水の冷たさに震えていた。
不味いな、体温が奪われてる。
オレがホバーボードから離れたら、オレまで溺れてしまう。

オレはミサから目を離さない。
ミサの数メートル先に、大きな尖がった岩が川から突き出している。
待てよ。ミサがあの岩に引っかかってくれれば、なんとかなりそうだ。
オレは震える手で川の水を手で必死に漕ぎながら、ミサの後ろに位置を調整する。
やがて、ミサは大きな岩に引っかかり、ミサの身体はうつ伏せのまま浮いている。

少ししてオレはミサに追いついた。
岩の周りは幸いにも浅瀬せで、川の流れも遅く、オレの腰くらいまで水の高さがある。
「ミサ、しっかりしろ!」
オレはミサを支えて肩に担ぎ、川底に足を取られよろけながら、オレはミサをホバーボードの上に載せる。
ミサの生死が気になって、オレは横になったミサの胸に耳を当てる。
鼓動どころか何の音も聞こえない。聞こえるのは自分の鼓動と川の流れる音だけ。

オレはミサの胸から耳を離し、もう一度ミサの胸に耳を当てる。
やっぱり、何も聞こえない。オレはミサの胸から耳を離し、絶望に駆られ俯く。
「おい、ミサ。嘘だろ……」
オレは顔を上げて、ミサの身体を必死に両手で揺らす。
ミサは人形の様にぐったりして横になったまま動かない。
ホバーボードからミサの腕が垂れて、ミサの手が川の水に落ちている。

涙が滲んで、オレは手の甲で涙を拭う。
「くそっ! なんでこんなことになっちまったんだよ!」
オレはやるせなくなり俯く、ミサの足元のホバーボード上を拳で思いっきり叩く。
ミサを死なせねぇ。オレは諦めない。
そうだ。人工呼吸だ。総合学校の授業で習ったな。
オレは顔を上げ、うろ覚えでミサの身体を仰向けにし、ミサの唇に自分の唇を重ねようとする。
ミサの白い顔を見て、オレは顔が火照る。なんでオレがミサとキスしなきゃならねぇんだ。
オレはミサの紫色の唇を見て躊躇い、生唾を飲み込み喉を鳴らす。
オレは瞼を閉じて首を横に振る。ミサ、目が覚めたらオレをぶん殴ってくれ。
オレは意を決し、瞼を閉じたまま、ミサとキスして人工呼吸する。
三秒くらいミサと濃厚なキスして、オレは恥ずかしくなり慌ててミサの唇から自分の唇を離して咳き込む。
これでいいのか? オレは口許を手の甲で拭う。次は心臓マッサージだな。
オレはミサを心臓マッサージしようとするが、ホバーボードが不安定で揺れる。
ミサを心臓マッサージしようとすると、今度はホバーボードが沈んでうまくいかない
ここじゃダメだ。早く陸に上がらないと。なんとかならねぇのか。
オレはミサから顔を上げて、川岸を睨む。

なんとなく、オレはミサの濡れた服に目がいってしまう。
ミサのフレアスカートから覗く生足を見て、オレは思わず生唾を飲み込み喉を鳴らす。
興奮して鼻血が出そうになり、慌てて鼻を押さえてミサから視線を逸らし、気まずくなって人差指で頬を掻く。
人差指で頬を掻きながら、横目で瞬きして、視線を戻しつつミサを見てしまう。
その時、ミサの腰のホルスターに銀色のリボルバー型フックショットが挿してあるのが目に止まった。
銃口の下に掌サイズの球形があり、球形の中にワイヤーが収まっている。
引き金を引くと、三角に尖ったワイヤーの先端が銃口から飛び出す仕組みだ。
フックショットか。こいつで川岸に生えてる樹に刺せば、なんとかなりそうだな。
オレは閃いたとばかりに、掌の上で拳を叩いた。

オレはミサの変なところに目がいかないように瞼を閉じ、瞼を開けないように瞼に力を入れ、ミサの身体を手探りで触ってゆく。
その時、なにか柔らかい物に触れて、オレは思わず瞼を開けた。
なんだ? そう思いながら、オレの左手がミサの胸を掴んでいた。

や、やべ。ミサの胸を掴んじまった。しかも小さい。
「ひっ」
オレは情けない悲鳴を上げて、ミサの胸から慌てて手を離す。
ばっちいとばかりに、オレは左手首を必死に振っている。
左手首を押さえて変に唸った。

よ、よし、気を取り直していくぞ。オレは胸を撫で下ろして深呼吸する。
今度は顔を片手で覆い、指の間から片目を開け、ミサの腰のホルスターに挿しているリボルバー型フックショットに手を伸ばす。
ミサが起きやしないかと変に気になりながらも、オレはなんとかリボルバー型フックショットを抜き取った。
調子に乗ったオレはリボルバー型フックショットの引き金に人差指を通してリボルバー型フックショットを回し、鼻頭を人差指で得意げに擦る。
なにやってんだろ、オレは。こうしている間にも、ミサがあぶねぇってのに。
急に虚しくなってどっと疲れが出て、オレはがっくりと肩を落とす。
オレは顔を上げて額を手の甲で拭い、深く息を吐いて落ち着かせた。こりゃ寿命が縮んだな。
何故か嫌な汗を掻いているような気がしたが、川の水と変な汗が混じっているのかわからなかった。
オレは腰に手を当てて、銀色のフックショットをまじまじと見つめた。
頼むぜ。オレは片目を瞑り、銀色のフックショットを片手で構え、川岸に生えている樹の太い幹に狙いを定める。
引き金を引くと、勢いよく銃口からワイヤーが飛び出し、狙い通り樹の太い幹に刺さった。
ワイヤーを思いっきり引っ張ってみる。大丈夫そうだ。一発でうまく幹に刺さってくれた。
オレはミサの脇腹に腕を通して、ホバーボードを掴む。
幹を睨んで、またフックショットの引き金を引き、ワイヤーをゆっくりと巻き取ってゆく。
ゆっくりとワイヤーが銃身に巻き取られてゆく中、川の流れが早くなり、オレは川に流されてゆく。
ワイヤーが伸びきってぎりぎりと嫌な音がする。不味いぞ、上手くワイヤーが刺さってなかったのか?
その時、ワイヤーは川の流れに耐えられなくなり、呆気なくワイヤーの先端が幹から抜ける。

引っ張られるようにオレは川に流される。
「うわっ!」
オレの叫びも虚しく、オレは川の流れに身を任せるしかなかった。
くそっ。フックショットはダメだったか。オレは引き金を引いて、ワイヤーを巻き取る。
ぜってぇ、お前を助けるからな。オレはミサに振り向いて、ミサの脇腹を通してホバーボードを掴む手に力を入れる。

今回、カイトとミサの危ないシーン?があります。そして、不思議な力が発動しました。今後、この不思議な力を活かしたいと思います。

  • クリスタルの不思議な力でホバーボードが浮いて落下から助かる。
  • 心肺停止したミサに人工呼吸→心臓マッサージをするため陸を目指す→ミサに欲情
+ 白色のドラゴン-

白色のドラゴン
有志による復刻

 その時、ワイヤーは川の流れに耐えられなくなり、呆気なくワイヤーの先端が幹から抜ける。

引っ張られるようにオレは川に流される。
「うわあああああ!」
叫んで口を開けた時に川の水を飲んでしまい、オレは盛大に咳き込む。
オレの叫びも虚しく、オレは川の流れに身を任せるしかなかった。
くそっ。フックショットはダメだったか。オレは引き金を引いて、ワイヤーを巻き取る。
ぜってえ、お前を助けるからな。
オレはミサに振り向いて、ミサの脇腹を通してホバーボードを掴む手に力を入れる。

オレは川の流れに揺られて酔って吐きそうになる。
川の水がつめてえ。傷が沁みやがる。
今日は災難だぜ。まさか、この先は滝じゃねえだろうな。
オレは嫌な予感がして、川の先を見つめる。
川の先は深い森が広がっている。

その時、両川岸にさっきの狼の様な魔物がオレを追いかけてくる。魔物は二匹。
メタリックの骨格の身体で眼が紅く、背中に装備した大きなマシンガン。
もう一匹の背中には大きなキャノン砲を装備している。
オレの傍でマシンガンの弾丸が川に落ち、すぐ傍でキャノン砲が川に落ちて爆発で川に穴が開く。
くそっ。諦めの悪い奴らだ。
オレは息を吸って、ミサを押さえたまま川に潜って顔を隠す。
水中でマシンガンの弾丸がオレの頬を掠めたのか、類に痛みが走りオレは顔をしかめる。
川の流れが速くて息が続かず、オレは川から顔を出して大きく口を開ける。
キャノン砲がホバーボードのすぐ上を掠める。
ホバーボードにマシンガンの弾丸が命中したのか火花が散っている。

気のせいか少しずつ川の流れが早くなっている。
オレの流される速さに追いつけなくなった魔物は諦めて立ち止って首を振っているのが見えた。
魔物は踵を返して、樹の影に消える魔物の後ろ姿が小さくなる。
どんどん川に流され、川が曲がったりで気分が優れなくなる。やっぱり、滝があるのか?
オレは吐きそうになり、口許を手で押さえる。
オレの嫌な予感が当たり、辺りに轟音が響く。目の前に大きな滝が口を開けて迫っていた。
おいおい、あんな滝に落ちたら、今度こそ助からないぞ。
成す術もなく、オレとミサは滝に吸い込まれて滝に落ちた。

宙に放り投げ出されたオレは逆さまになってミサに手を伸ばす。
「ミサあああああ!」
くそっ! ミサが死んじまう。どうにかなんねえのかよ! オレは悔しくて歯を食いしばる。
そうだ。さっきみたいに助けてくれよ! オレは小さくなってゆくミサに手を伸ばしたまま、胸のクリスタルを握り締める。
オレは、ミサを助けたいんだ! なんとかしやがれ!

その時、胸のクリスタルが眩く青白く光る。オレは青白い光が眩しくて、顔の前を手で遮る。
顔の前を手で遮る指の間からホバーボードが縦になってマフラーから火を噴き、真っ直ぐにミサ の元に飛んでゆくのが見える。さっきの魔物の攻撃でホバーボードが損傷して火花を散らしながら。
ミサに追いついたホバーボードはミサの身体の下に潜り込み、ホバーボードの上にミサの身体がうつ伏せに乗っかり、ゆっくりとホバーボードは下がってゆく。
オレはミサに親指を突き出す。頼むぜ、ネロ。 ミサを守ってくれ。
なんとかなるだろ。オレは安心してため息を零し、水飛沫を手で遮りながら辺りを見回す。
どっかにフックショットを引っかけられれば助かるかもしれねえ。
オレはフックショットを握り締める。
滝の裏の岩壁にフックショットを引っかけるのもいいが、滝の流れが早い。
他にフックショットを引っかけられるような岩や木がない。
やっぱ、近くに引っかけられるようなもんはねえか。そんな甘くねえよな。
オレは瞼を閉じて首を横に振る。
オレは緊張で生唾を飲み込んで喉を鳴らし、滝の端の突き出た岩壁に向かってフックショットを構えて、フックショットの引き金を引く。
ワイヤー足りるか? けっこう岩壁まで距離あるな。オレは額に手を当てて、岩壁までの距離を確かめる。
銃口から勢いよくワイヤーが飛び出し、岩壁に突き刺さったフックショットにオレは引っ張られる。
「岩壁に叩きつけられる! そこまで考えてなかったあああああ!」
オレは舌打ちして、フックショットを両手で構えて引き金を引く。
岩壁に突き刺さったワイヤーが抜けてワイヤーが巻き取られ、オレの身体が逆さまに滝壺に吸い寄せられてゆく。
オレは大きく息を吸って吐いた。
最後にこいつを頼ることになりそうだ。不思議と死ぬ気がしねえ。
「なんとかしやがれ! ただの飾りじゃねえだろうが!」
オレは瞼を閉じ、胸のクリスタルを片手で握り締めた。

その時、滝の向こうから大きな翼が羽ばたく音が聞こえる。
なんだ? オレは思わず験を開けて、音の方を見た。
クリスタルの青白い光がオレを包み込む。
オレの視界に白色の大きなドラゴンが羽ばたきながら、口から炎を吐き、物凄い速さでオレに近づいてくるのが映る。
白色ドラゴンの瞳は吸いこまれそうな透き通る 大きなサファイアブルーだった。まるで大きなサファイアブルーの宝石の様な瞳だ。
白色のドラゴンが火を噴いた熱気がオレを襲い 、オレは顔の前を手で遮る。
物凄い熱気でむわっとする。冷たかったオレの身体が温められる。
な、なんだよ、あいつ。魔物か? オレを捕まえる気なのか? それとも腹が減ってオレを食う気か?

「ワハハハハッ! 感じる、感じるぞ! 久しいオーヴの力だ! ワタシは長い眠りから覚めたぞ!」
人語を操るよく通る声が近づいてきたと思ったら、白色ドラゴンがオレを一瞥して、白色ドラゴンの大きな影がオレの下を通り過ぎる。
次の瞬間、ばさっと翼を広げるような大きな音がして、オレの背中がごつごつと硬い物に触れた
見上げると、白色の大きなドラゴンが仰向けになって両手でオレを抱いていた。
白色ドラゴンの指の鋭い爪が視界に入り、オレはぞくりと寒気がしてぷるっと震える。

「うわっ! お、下ろせ! 魔物が!」
オレは白色ドラゴンの腕の中で手足をバタバタさせて暴れた。
まだクリスタルが青白く輝いているので、オレはクリスタルをそっと握り締めた。
不思議と安心して落ち着き、大丈夫だと教えてくれている様な気がした。

白色のドラゴンが身体をよじって、呆れたように大きな首を横に振る。
「やれやれ。無暗にオーヴを使い過ぎだ、マスターよ。お前は疲労の限界がきているはずだ、少し
眠るがいい」
気持ち良さそうに両翼を羽ばたかせて、大きな滝から離れ、白色ドラゴンは川沿いをゆっくりと 飛んでゆく。

その時、オレの眼下に川岸に寄せられてうつ伏せに倒れているミサが目に入る。
ミサの傍にはホバーボードが裏返って火花が散っている。
川岸の樹の影から現れた一人の黒装束が肩に掛けたマシンガンを構えてミサにゆっくりと近づいてゆく。

オレの鼓動が高まり、急な眠気から一気に覚める。
「お、おい! 下ろしてくれ! ミサを助けないと!」
オレは白色のドラゴンの硬い皮膚を肘で小突いた。
肘が痺れてびりびりして、オレは痛みで肘を押さえて呻いた。

「倒れているあの子かい? ちょっと様子を見ようじゃないか」
白色のドラゴンがミサの上空を旋回し始めた。

黒装束の男がミサを肩に担ぎ、ホバーボードを脇に挟んで、黒装束は旋回している白色のドラゴンを仰ぐ。 黒装束は顔が黒いフードで覆われ、口許も黒い布で覆っているため、性別がわからず、表情も見えない。
やがて黒装束はミサを肩に担ぎ直して歩き出し 、奥の樹の影に消えた。

白色のドラゴンが旋回をやめて羽ばたき、森の奥を見つめている。
「ふむ。近くに野営地があるみたいだね、テントが幾つか張ってある。そこの連中みたいだ、あの子を攫った奴は。どうするんだい?」
白色のドラゴンが欠伸をして火を噴いた後、オレに訊いてきた。

オレは白色のドラゴンの視線を眼で追った。
白色のドラゴンの視線の先に野営地があり、テントが幾つか張ってあった。
野営地から白煙が昇って、風に乗っていい匂いがオレの鼻腔をくすぐる。
匂いに反応するように、オレの腹の虫が鳴った
そういえば、腹が減ったな。ミサが持ってきた菓子、全部食ったしな。
ミサの奴、本当はネロとのデートで食うつもりだったんだろうけど。
オレはお腹を擦るが、腹の虫は食いものをよこせと鳴き続ける。
オレは額に手を当てて、よく野営地を見ようとする。
あいつら、ラウル古代遺跡を調査しにきた探検隊か?
それにしても、こんなところに開けた場所があるなんて。
そうだ。あいつらに訊いてみよう、ラウル古代遺跡のこと。何か知ってるはずだ。
その前に、オレはミサを助ける。

オレは野営地を睨み据え、拳を握り締めた。
「ミサを助けに行く! 野営地に行ってくれ!」
オレは白色のドラゴンの腕の中でじたばたと暴れた。

白色のドラゴンはオレを摘まんで、顔の前までオレを持ってくる。
「ワタシは反対だね。マスターの疲労が酷い。今野営地に行ったって死ぬだけさ。ワタシとお前で攻めるつもりかい? 冗談じゃないよ。敵の数が多い。よく考えな」
白色ドラゴンは眉根を寄せて口を結び、白色ドラゴンの鼻息がオレに飛んでくる。

白色ドラゴンの声が子守唄の様に、波の様に揺らいで聞こえる。
な、なんだ。急に眠気が襲ってきやがった。
「ミサがミサを助けなくちゃ....」
オレは目がうとうとして船を漕ぎ始める。

白色ドラゴンは馬鹿にするように鼻で笑う。
「オーヴを使ったにしちゃ、よく身体が持ったほうだ。大したもんだよ」

オレはそこで気絶した。
目の前が真っ暗になる。

  • 「オレは、ミサを助けたいんだ! なんとかしやがれ!」→クリスタルの力でホバーボードが飛んでいってミサを助ける。
  • 『なんとかしやがれ! ただの飾りじゃねぇだろうが!』→クリスタルの力で白色のドラゴンが現れて落下から助かる。
  • クリスタルが「オーヴ」という物だと判明(球体を現す語"orb"を想定しているとしたらオーヴと書くのは誤り)。
  • 黒装束の男が野営地にミサを担いで運んでいくのを眺める→疲労で気を失う
+ オーヴの主-

オーヴの主
有志による復刻

☆前回のあらすじ☆

カイトは滝に落ちるが、謎の白色ドラゴンに助けられ命拾いする。
白色ドラゴンが川沿いを飛んでいると、カイトは川岸で倒れているミサを発見。
様子見で旋回している最中、ミサは謎の黒装束に攫われ、黒装束は樹の影に消えた。
カイトはミサを助けようとするが、オーヴの疲労により気絶してしまう。

☆オーヴの力☆

白色ドラゴンは馬鹿にするように鼻と喉を鳴らして笑う。
「オーヴを使ったにしちゃ、よく身体が持ったほうだ。大したもんだよ」

オレはそこで気絶した。
目の前が真っ暗になる。

突然、オレの頭に映像が流れる。
どこか大きなテントの中で、頑丈な檻の中に閉じ込められているのか画面が左右に揺れる。
テントの入り口からちらっと外が見えて、黒装束がライフルを肩に担いで通り過ぎる。

『ねぇ、ネロ。カイトが助けに来てくれるよね?』

ミ、ミサか? なにやってんだよ?
これはミサが見ている映像か? わけわかんねぇ。
なんでオレが夢見ているんだよ。

映像がネロに固定される。
ネロは檻を背に片足の膝を曲げて檻に凭れて座り込み、片足の膝を曲げた膝の上に腕を載せている。
ネロは黒縁メガネの奥で遠くを見つめている。
やがて黒縁メガネをゆっくり外して、ジャケットの内ポケットから取り出した布でメガネのレンズを拭いている。

ネロはジャケットの内ポケットに布を突っ込み、黒縁メガネを片手で掛ける。
『ボクとしたことが油断した。ミサの魔法が消えて、敵の野営地に落ちるとは。カイト、お前が頼りだ』
ネロは顔を上げて後ろ頭を檻に凭れ、物思いに耽って何故か鼻で笑った。
映像は雑音とともにそこで途切れた。

どれくらい時間が経っただろう。
ふとオレの鼻腔をいい匂いがくすぐる。
なんだ? いい匂いがする。オレは匂いを嗅ぐ。
匂いに釣られて、オレは瞼をゆっくりと開ける。
オレの視界に女の顔が揺らいで映る。
辺りを見回すと森の開けた場所だった。
視界が揺らいで気持ち悪い。
オレは女に視線を戻す。
女は髪が雪の様に白いミディアムヘアで肩に髪がかかるくらい。
整った目鼻立ちで、瞳は吸い込まれそうなサファイアブルー。
耳に蒼い滴の形をした透明なクリスタルのピアスを付けて、風でピアスが小さく揺れている。
服は長袖の青コットンのロリータクラシックドレスで黒いショートブーツを履いている。

女の髪が風で優しく靡く。
女はオレの顔を不思議そうに覗き込み、両手を腰に当てて不気味に歯を見せて笑った。

「うわっ!」
オレは驚いて慌てて上半身を起こす。葉っぱデザインの薄い毛布がオレの上半身からずり落ちる。
どうやら、オレは大きな切り株の上で寝ていたらしい。木の香りがする。振り向くと木の枕がある。
なんだ、この枕。不思議に思い木の枕を人差指で触ってみると、意外にふわふわで柔らかい。
人差指を離すと風船の様にゆっくりと膨らんで面白い。

その時、頭痛がしてオレは顔をしかめて額を手で押さえる。
「うっ」
気分が悪くて吐きそうだ。
頭痛を訴えるようにオレは女を見上げて睨み据える。

女は腕の前で両手を組み、勝ち誇ったように仁王立ちして喉の奥で笑っている。
「オーヴに選ばれし者にしては、まだまだ力の使い方がなっておらんの。お前はあれから二時間も気を失っておったんじゃ。無理もないわい」
女はやれやれと肩を竦める。

オレ額を手で押さえて顔をしかめながら女を睨み据える。
「あんた誰だよ?」
オレは頭痛で額に変な汗が滲む。

女は馬鹿にしたように胸の前で両手を組んだまま、鼻と喉を鳴らして笑う。
「お前を助けたじゃろ? 忘れたか? フフフフッ」
女は不気味に喉の奥で笑う。

オレは頭痛の痛みを紛らわすために額を掌で叩く。
「……白いドラゴンか? お前、人間に姿を変えたのか? 冗談だろ」
頭痛が治まり、オレは切り株の上に胡坐をかいて、太ももの上に肘を突いて頬杖を突き鼻で笑う。
額を掌で叩きながら。

女は両手を腰に当てて得意げに頷く。
「そうじゃ。それより、切り株ベッドの寝心地はどうじゃ? 木の枕も最高じゃろ?」
女は頭の後ろで手を組んで、木の枕に顎をしゃくる。

オレは腕が痒くなり、腕をぽりぽりと掻く。
ふと腕の掠り傷が治っていることに気付き、腕の掠り傷があったところをまじまじと見つめる。
傷が嘘の様にまるでない。
「あれ、傷が治ってる。どうなってんだ?」
首を傾げて毛布を捲ると、太ももの掠り傷も治っている。
唸りながらシャツを捲って脇腹を見ると、脇腹の傷も治っている。
これも、こいつの力なのか? オレは胸のクリスタルを掌に乗せて、そのままクリスタルを握り締める。

女が俯いて顎に手を当てて顎を擦っている。
「あの子たちのことじゃが……野営地で頑丈な檻に監禁されておる。警備も厳しい。迂闊には手を出せん」
気まずそうに女はオレから顔を背け、オレに横目で瞬きしながら人差指で頬を掻いている。

ま、まさか、ミサとネロのことか? さっき夢で見た。
「な、なんだって!? どういうことだよ!?」
あんたは何もしないで戻って来たのかよ。
こうしている間にもミサとネロはなぁ!
オレは怒りが込み上げ、拳を握り締める。
拳で切り株ベッドを叩き、オレは歯を食いしばって女を睨み据える。

女は頭の後ろで手を組み、木のテーブルの上に乗っている土鍋に顎をしゃくる。
「それより、腹が減っておるじゃろ? キノコカレー食うか? 美味いぞ?」
女は鼻歌を歌いながらオレの傍までやってきて、オレに微笑んで手を差し伸べる。

オレは女の手を払いのけて女の襟首を掴み、女に顔を近づけて女を睨み据える。
「なんでミサとネロを助けなかった!? お前なら助けられただろ!? ミサとネロはな、オレの大事な幼馴染なんだよ!」
その時、オレのお腹の虫が盛大に鳴り、オレは参ったとばかりに腹を手で押さえる。

女も負けじと胸の前で両手を組んでオレを睨み据え、馬鹿にしたように鼻と喉を鳴らして笑う。
「助けてやったのに、その態度はなかろう? それとも、あのままお前は滝に落ちていたらどうなっていた? 言っておくが、わらわはお前をオーヴの主に認めたわけではない。わらわは、お前がオーヴの持ち主に相応しいか試しておるんじゃ。わかるか? そのオーブは使い方を間違えれば世界が滅ぶ品じゃ」
女は挑発するように腕を組んだまま胸のクリスタルを指さす。

オレは乱暴に女の襟首を掴んだ手を離して、女から顔を背けて舌打ちする。
「腹が減った。キノコカレー食わせろ、美味いんだろ? 聞きたいことが山ほどあるんだ。食ったら聞かせてもらうぞ」
オレは切り株ベッドから立ち上がると、両手をポケットに突っこんで大股で木のテーブルに向かう。

女はオレの背後で嬉しそうに咳払いをする。
「わかればよろしい。答えられる範囲で答えようぞ。ではでは、キノコカレー召し上がるとよい」
女は小走りでオレを追い越し、木のテーブルに置いてある土鍋の蓋を両手で取り、蓋を引っくり返して木のテーブルの上に置く。
土鍋の蓋が暑かったのか、「あちぃ!」と叫んで、手首を押さえて掌に息を何度も吹き、手首を振ったり手を必死に冷ましている。
土鍋の傍には木のコップと魔法瓶が置いてる。
土鍋のキノコカレーから湯気が盛大に上がって、美味しそうなキノコカレーの匂いが漂う。
オレは片手の掌を木のテーブルに突いて、キノコカレーの匂いを嗅ぐ。

「おっ、美味そうじゃん」
オレは股を広げて木の丸椅子にどかっと座る。
キノコカレーを見て生唾を飲み込んで喉を鳴らし、口許に垂れた涎を手で拭う。
キノコカレーはジャガイモ、ニンジン、タマネギ、一口サイズの肉? たぶん、これがキノコなんだろ。
さらに挽肉、ナス、トウモロコシ、ルーの上にちょこんと四角いバターが添えられている。
食欲をそそる野菜たっぷりのカレーだ。
「いただきます!」と、オレは手を合わせて、スプーン置きに置かれた木のスプーンを左手で握る。
まずは気になった一口サイズのキノコを木のスプーンに乗せて食べてみる。
キノコは肉厚で弾力があり、少し甘味がある不思議な味だった。肉の食感に似ている。

オレはキノコを飲み込んだ後、あまりの美味さに呻った。
「このキノコうめぇ!」
オレは木のスプーンを忙しなく動かして、キノコカレーを口に運ぶ。
勢いよくキノコカレーを食ったため、ルーを飲み込んだ後に喉を詰まらせ咽る。

女がオレの背中を優しく擦る。
「なんじゃ。もっとゆっくり食べんか。ほれ、これを飲め」
女が魔法瓶を取って木のコップにオレンジ色の液体を注いで、オレにオレンジ色の液体が注がれた木のコップを差し出す。

オレは思わず木のコップの中身を見る。
オレンジ色の液体で、明らかに水じゃなかった。
訝しげに首を傾げるも、オレは眉根を寄せて匂いを嗅いでオレンジ色の液体を恐る恐る口に運ぶ。
喉を鳴らして一口飲む。ん? オレは首を傾げる。
あまりにも冷たくて美味くて、ごくごくと喉を鳴らして飲み干す。

オレは木のコップを勢いよく置く。
「ぷは~! なんだこれ、美味いじゃねぇか! ジュースか?」
オレは口許を手で拭いながら顔を上げて、隣で腰に手を当てて立つ女に訊く。

女が勝ち誇ったように、オレの肩に手を載せる。
「リップルの実の果汁ジュースじゃ。フルーティで甘味と少し酸味があって美味いじゃろ?」
女がポケットからなにやら取り出し、掌に乗った小さなみずみずしい桃色の実を自慢げにオレに見せる。
「これがリップルの実じゃ」と言って、小さな桃色の実をオレに突きつける。

オレは女の掌から乱暴に桃色の実を取って、茎を摘まんでまじまじと見つめる。
「こんなに小さいのか!? リップルの実ってのは」
オレはリップルの実を見ながら感心して頷き、顎に手を当てて擦りながら「なるほど」と呻る。

オレは横目で女を見る。
女は瞼を閉じて人差指を突き出し、人差指を小さく左右に振っている。
「この森は食材が豊富じゃからの。リップルの実は高い樹に実のるんじゃ。栄養もあるから、森の動物たちの好物になっておる」
瞼を開けて、両手を腰に当ててオレに歯を見せて笑う。

オレはリップルの実を木のテーブルの上にそっと置いた。
「なるほどな。それより、お前誰なんだよ? すげぇ今更だけど」
オレは片手で肩を竦めて頬杖を突き、隣の女を見上げながらキノコカレーを口に運ぶ。 
咽ないようにゆっくり噛む。
喉が渇いて魔法瓶を取り、木のコップにリップルジュースを注ぎ、ごくごくとリップルジュース飲む。

女はオレを見下ろして胸を張り、片手を腰に当てて拳で胸を叩く。
「わらわはラウル古代遺跡の番人ディーネじゃ。魔力でドラゴンと人の姿に変えることができる。そのオーヴはかつてラウル帝国の古代王が身に着けていた物じゃ。わらわは古代王に仕えておった。この森は遥か昔、ラウル帝国じゃったんじゃ。今となっては呪いですっかり深い森になってしもうたのう」

オレはキノコカレーを食べる手を休めて、木のテーブルに両肘を突いて胸のクリスタルを掌に乗せた。
「ふーん。古代王のオーヴにラウル帝国、おまけに呪いねぇ。なんでオレがオーブの持ち主になったんだよ? こいつは爺ちゃんがラウル古代遺跡で採取したんだぞ」
オレは掌のクリスタルを指さして、ディーネを横目に瞬きする。

ディーネは眉根を寄せて、訝しげに首を傾げて胸の前で腕を組んで唸っている。
「オーヴはラウル古代遺跡の最深部の台座に嵌めてあったはずじゃが……お前の爺さんが持ち去ったのかの。どうも、わらわは長い眠りから覚めたばかりで記憶が曖昧じゃ……それに、なんでわらわは封印されてたんじゃろ? ああもう、訳がわからんわい!」
ディーネはぽかぽかと両手で頭を叩いて、頭を両手でくしゃくしゃとかきむしっている。

もしかして、爺ちゃんは悪い奴らに脅されて、ラウル古代遺跡の最深部からオーブを持ち去ったのか?
なんのために? わからない。ってことは、爺ちゃんはオーブを悪い連中から隠した?
オレは瞼を閉じて首を横に振る。結局、爺ちゃんはオレに何も言わずに逝ってしまった。
オレにどうしろってんだよ。オレは掌のクリスタルを握り締めた。

その時、頭上で卵が割れる様な嫌な音がした。
オレは思わず顔を上げると、気付かなかったが青白いドームの障壁にひび割れが生じている。
結界が張ってあったのか? なんのために? もしかして、オレたちを襲った魔物から守るためか?
どすんと重い地響きが響き、魔法瓶とコップと土鍋が踊った。遠くでキャノン砲を撃つ音が聞こえる。
青白いドームの障壁のひび割れが大きくなってゆく。結界が壊れるのも時間の問題だな。
のんびり飯食ってる場合じゃねぇ。
といいつつも、オレはキノコカレーを食いつつ、リップルジュースを飲みながら、のんびりと結界を見上げる。

今回はのほほんとしてます。

料理を考えたり、ジュースを考えたりで大変でした。

  • ミサとネロが野営地で檻にとらわれている映像を夢で見る。
  • ディーネ(白色ドラゴンの人間形態)登場、寝ている間にキノコカレーやリップルジュースを用意してくれる。
+ 魔物の正体-

魔物の正体
有志による復刻

☆前回のあらすじ☆ ナレーション:カイト

オレが気を失って目が覚めたら、見知らぬ女が目の前にいた。
女はディーネって名前で、ラウル古代遺跡の番人らしい。本当かよ? 
因みにドラゴンと人間に化けれる。オレを助けたのはドラゴンの姿ってわけだ。
っと、話を戻して。禁断の森はかつてラウル帝国だったみたいだ。
何かの呪いで禁断の森は深い森になっちまったらしい。嘘くせぇけど。
ディーネによれば、オレが爺ちゃんから貰ったクリスタルは実はオーヴだった。
オーヴはラウル帝国の王が身に着けていたみたいだ。こんなもんにそんな力があるとは思えねぇけど。
長い眠りから覚めたディーネは記憶が曖昧で、オレはディーネのお手製料理をご馳走になった。
どうせ魔法で料理したんだろうけど。まあ、キノコカレーとリップルジュースが美味かったけどよ。
オレがキノコカレーを食っている時に、ディーネの結界に罅が入りやがった。

☆魔物の正体☆

その時、オレの頭上で卵が割れる様な嫌な音がした。
オレは思わず顔を上げると、スプーンが止まり、噛むのも止める。
気付かなかったが青白いドームの障壁にひび割れが生じている。
結界が張ってあったのか? なんのために? もしかして、オレたちを襲った魔物から守るためか?
どすんと重い地響きが腹に響き、魔法瓶とコップと土鍋が踊った。遠くでキャノン砲を撃つ音が聞こえる。
青白いドームの障壁のひび割れが大きくなってゆく。結界が壊れるのも時間の問題だな。
のんびり飯食ってる場合じゃねぇ。
といいつつも、オレはキノコカレーを食いつつ、リップルジュースを飲みながら、ため息を零してのんびりと結界を見上げる。

オレはキノコカレーを食いながら、ディーネを横目で訝しげに見る。
ディーネは腰に両手を当てて青白いドームを見上げ、瞼を閉じて肩を竦めて首を横に振る。
「やれやれ。ハンターのことを忘れておったわい。ハンターどもがわらわの結界を壊そうとしておる」

その時、遠くで獣の咆哮が聞こえ、凄まじい音波が飛んで来てオレは慌てて両耳を塞ぐ。
オレは訝しげに、横目でディーネを睨み口を歪ませる。

ディーネは腕を組んで片手で肩を竦め、獣の咆哮が聞こえた方に顎でしゃくる。
「なんじゃ? ハンターのことを説明するのか? それとも、状況を説明するのか?」
やれやれという感じでディーネはうなだれ、両手を垂らして横にぶらんぶらんと振って遊んでいる。

オレは地響きや獣の咆哮を無視して、キノコカレーを食い始める。
しばらくして音が止み、オレは顔を上げて首を傾げる。
「さっきの咆哮、オレが遭った魔物よりも図体がでけぇんじゃねぇの? ハンターがなにかしんねぇけど。状況はヤバそうだ」
ディーネが指を弾いて鳴らすと、木のテーブルの上に黒革ベルトに挿した、金と銀のオートマチック銃と肩掛けの鞘に収められた剣が現れた。
オレはキノコカレーを食い終わって、土鍋の中に木のスプーンを放り込む。お腹を擦りながらディーネに振り向く。

ディーネはお手上げという感じで、瞼を閉じて肩を竦めて首を横に振る。
額に手を当ててため息を零す。
「お前もみたじゃろ? 凶暴な魔物を。あれは古代人が造ったラウル帝国を守る魔物じゃ。今となってはプログラムが暴走して姿まで変えて厄介なことになっておる。禁断の森に侵入した者を狩るハンターとなってしまった。あいつら、ちっともわらわを認識せん。困ったことになったわい」
ディーネが忌々しげに音のする方を指さして舌を出し、頭をぽかぽかと両手で叩く。

オレは木のテーブルに頬杖を突いて肩を竦める。
「あいつら共食いしてたぜ? ありゃ意味あんのか?」
腹が満たされたのか急に眠気が襲って、オレは欠伸をして涙目でディーネを横目で見る。

ディーネは顎に人差指を当てて空を仰ぐ。
「うーん。それは、単に腹が空いたからじゃろう。仲間を喰うことであやつら力が増すからのう。味を覚えたんじゃろ」
ディーネは腕を組んで、不思議そうに首を傾げている。

オレは涙を指で拭って腕を組み、顎に手を当てて唸る。
「図体がデカいのが相手となるとヤバいな。ディーネ、結界はどれくらい持つんだ?」
オレは顔を上げて顎から手を離し、ディーネに振り向く。

ディーネは瞼を閉じて肩を竦める。
「さあの。今のところ持っておるが……ただ、あやつら結界を壊せずにお怒りみたいじゃ。うーむ。どうにかして、わらわをあやつらに認識させればいいんじゃがのう……」
ディーネはつまらなそうに後頭部で手を組んで空を仰ぐ。

ディーネをハンターに認識させる? そうすりゃ、追いかけてこないのか?
いや、待てよ。単純にあいつらを味方につければいい。
そうか、その手があったか。どうやってあいつらを味方につけるんだよ?
自分で言っておいてわけわかんねぇ。オレは両手で頭をくしゃくしゃにした。

オレは腕を組んで、顎に手を当てて顎を擦る。
「なあ。どうにかしてハンターを味方にすれば、野営地を奇襲してミサとネロを救えるんじゃないか?」
オレは顔を上げて、自信なさげにディーネに訊く。

ディーネは顔を輝かせて、閃いたとばかりに掌の上に拳で叩く。
「それじゃ! あやつらのプログラムを書き換えて、わらわたちを認識させればいいんじゃ! でかしたぞ!」
ディーネが嬉しそうに顔を綻ばせてオレの元に小走りで寄り、オレの頭を両手でくしゃくしゃにして頬擦りする。

オレは鬱陶しそうにディーネの手を払いのける。
ディーネはオレから離れて木のテーブルに掌を突いて、勝ち誇ったように喉の奥で笑ってオレを見下ろす。

オレは木のテーブルに頬杖を突いて、片手で肩を竦めた。
「なんだよ? 頭がおかしくなったのか?」
興味なさそうにオレは横目でディーネを睨み口を歪ませる。

ディーネは掌を木のテーブルに突いたまま、顔を綻ばせて指を弾いて鳴らす。
すると、土鍋と魔法瓶と木のコップが消えて代わりに黒革ベルトに挿した金と銀のオートマチック銃と、斜め掛けの鞘に収められた剣が現れる。
片手を腰に当てて、オレに親指を突き出して歯を見せて笑う。
「ハンターと戦うのにやわな銃は命取りじゃからな。銃はわらわからのプレゼントじゃ。それにしても、今の時代の剣は随分な業物じゃのう。感心じゃわい」
ディーネは両手を腰に当てて木のテーブルに置かれた鞘を見て頷き、後頭部で手を組んで呻る。

オレは木のテーブルに両手の掌を突いて椅子から勢いよく立ち上がった。
「なんだよ、これ!? ハンターを味方につけるのに戦えってか!? 冗談じゃねぇぞ!」
オレは金と銀のオートマチック銃を指さして、両手の拳を木のテーブルに叩く。

ディーネはオレの肩に手を置く。 
「じゃ、どうするんじゃ? お前はこのまま逃げるのか? 何もせずにミサとネロを見捨てる気か?」
ディーネの冷たい声がオレの胸に突き刺さる。

オレの眼が動揺でさざ波の様に揺れる。やがて俯いて拳を握り締める。 
「オレは……ミサとネロを見捨てる気なんかねぇ。ただビビッてただけだ。いつもミサとネロがいたからな。ディーネ、手を貸せ。あいつらにたっぷり仕返しするぞ。もしあいつらを味方につけたら、オレをオーヴの主と認めろよ?」
オレは顔を上げて斜め掛けの鞘をゆっくりと肩に斜め掛けする。
肩を動かして、ゆっくりと鞘から剣を抜き、刀身に映るオレをまじまじと見つめる。
意を決して剣を鞘に収め、金と銀の銃を見てオレは腕を組んで首を傾げる。
剣は騎士団からくすねた剣みたいだけど、銃は騎士団からくすねた銃じゃないな。
それに、オレはミサのフックショット川に落としたか? 
オレは腕を組んだまま、瞼を閉じて首を横に振る。まあいいか。

ディーネの咳払いが聞こえる。
「やる気になったみたいじゃのう。よかろう、あやつらを味方につけることができたら、お前をオーヴの主と認めよう」
オレはディーネに振り向くと、ディーネは顔を綻ばせて「うんうん」と頷いていた。

オレは舌打ちして、ディーネを無視して黒革ベルトを腰に巻く。
「オレをオーヴの主と認めたわけじゃないのに、なんで武器なんかくれるんだよ。ったく、わけわかんねぇ」
さすがに剣と銃を身に着けると、ずしりと重い。
オレはベルトに挿した金のオートマチック銃を抜いて、片目を瞑って片手でオートマチック銃を樹に構える。
金のオートマチック銃をベルトに挿して、今度は銀のオートマチック銃を抜いみる。
銀の銃はフックショットだった。形がミサのフックショットに似ているが、こっちの方が高性能そうだ。
オレは肩を回して、屈伸したり、腕を伸ばしたり体操した。

ディーネは腕を組んで、訝しげな目つきで体操するオレを見下ろす。
「どうやってハンターども味方につけるんじゃ? まさか考えてないとか言うんじゃないじゃろな?」
ディーネはオレの傍に寄ってきてふふんと喉で笑い、腰を回すオレの脇腹を肘で小突く。

オレはディーネを無視して、鞘から剣を抜いて素振りする。
「それができたら苦労してねぇよ。って、ディーネちけぇよ! そんなに斬られてぇか!」
オレは何故か顔が火照り、鼓動が高まり、ディーネを近づけさせまいと剣を振り回す。
こいつ、よく見りゃ可愛いじゃねぇか。
オレは気まずそうに頬を人差指で掻いて、剣先をしっかりとディーネに向ける。

その時、地響きが腹に響いて、オレの身体が跳ねる。
オレは驚いて手から剣が滑り落ちて、剣が地面に落ちる。
オレが屈んで地面に落ちた剣を拾おうとした時、体当たりするような轟音と衝撃波がオレを襲う。

オレは青白いドームの障壁を見上げて、剣を拾い上げて鞘に収める。
「そろそろ向こうも本気みたいだぜ? 仲間でも呼んできたんじゃねぇの? ディーネ、さっさとドラゴンに変身しろよ」
オレは腕を組み、ディーネを睨んで鼻と喉を鳴らして笑った。

ディーネは腕を組んでそっぽを向き、鼻と喉を鳴らして笑う。
「わかっとるわい。せいぜい、振り落されんように気を付けることじゃ」
ディーネはびしっとオレに指さすと、片方の指を弾いて鳴らす。
すると、ディーネの身体がぼんっと音を鳴らして白い煙に包まれる。
オレは煙臭くて咳き込み、煙に目を凝らす。
数秒後に風が舞い、白い煙の中から両翼を広げて二本足で立った白色のドラゴンが現れた。

☆続く☆ 

おまけ:魔物の正体終了後の雑談コーナー ゲスト:カイト

作者:今回はカイトくんにあらすじのナレーションをお願いしました。
カイト:新エピソードも十話が近いことだし、作者が何か新しいことをしたいとかで、オレにオファーしてきやがった。
作者:もちろんギャラは払いますよ。カイトくん、ギャラはなにに使うんですか?
カイト:そうだな。いくらか親にあげて、あとは好きなものを買いたいな。
作者:おお、親孝行ですね! 因みに何買うんですか?
カイト:そうだな、PS4の本体とか?
作者:世界設定は異世界のアルガスタだ!そんなもん売ってねぇよ!(突っ込みの平手チョップ)
カイト:つうわけで、次回も読んでくれよな!
作者:えっと……というわけで、本番終了後の雑談コーナーでした! 次回もお楽しみに!

今回は読者さんに楽しんでもらうために、あらすじのナレーションとおまけを書いてみました。

  • 魔物に対する呼称「ハンター」登場、バイオハザードシリーズの影響だと思われる。
  • ハンターを味方につけてミサとネロを救出することを決意。
  • 金と銀のオートマチック銃を貰う。
+ ディーネとカイト-

ディーネとカイト
有志による復刻

☆前回のあらすじ☆ ナレーション:カイト

ディーネから魔物の正体を聞かされた。奴らは古代人が創り出した魔物らしい。
めんどくせぇことにプログラムが暴走して、奴らは姿を変えやがる。ディーネさえも認識しないときたもんだ。
オレは奴らを味方につけて野営地を奇襲してミサとネロを助ける案をディーネに出した。
ディーネは賛成したが、どうやって奴らを味方につけるかが問題だった。
ディーネから新しい銃を貰い、オレは先が思いやられる。そんな時、ディーネの結界に罅が入った。

☆ディーネとカイト☆

ディーネは腕を組んでそっぽを向き、鼻と喉を鳴らして笑う。
「わかっとるわい。せいぜい振り落とされんように気を付けることじゃ」
ディーネはびしっとオレを指さすと、不敵に笑って片方の指を弾いて鳴らす。
すると、ディーネの身体がぼんっと音を鳴らして白い煙に包まれる。
オレは煙臭くて咳き込み、煙を手で払いながら煙に目を凝らす。
数秒後に一陣の風が舞い、白い煙の中から両翼を広げて雄叫びを上げ、二本足で立った白色のドラゴンが現れた。
ディーネは炎を吐いて火の粉が舞い、両手を地面にどすんと突いた。
間抜けなことに火の粉がディーネの翼に降って、ディーネの翼に火が点く。
ディーネは翼に点いた火を消そうと必死に翼を羽ばたかせたり、翼に振り向いて鼻息を吹いたりして暴れている。

オレはそんなディーネを見て、腰に手を当てて額に手を当て、瞼を閉じてやれやれと首を横に振る。
「なにやってんだよ。無暗に炎吐くからだろ。火事になるだろが」
オレは瞼を閉じたまま肩を竦めてため息を零す。

ディーネが暴れる度に地響きと、翼を動かす度に悪戯に風が舞う。
「ちょっとドジッタだけだろ!」
ディーネが地面を左に右に転がりながら、やたら暴れながらの怒声が聞こえる。
ディーネがオレの傍で立ち止り、オレは何かと思いディーネを見上げる。
ディーネは不敵に笑い、腹いせに荒い鼻息を吐くとオレは吹っ飛んだ。
オレは顔の前で両腕をクロスさせる。
「なにするんだよ! お前、ドラゴンになると態度がでけぇんだよ!」
オレは吹っ飛びながら腕を下げて叫び、ディーネに拳を振り上げる。

オレは尻を盛大に地面に打ち付け砂埃が舞う。
尻を擦りながら、ディーネを指さす。尻に小石が食い込んで痛い。
「ディーネ! 覚えてろよ! こいつで仕返ししてやるからな!」
オレは胸のオーヴを握り締め、片方の手でオーヴを指さした。
ディーネは二本足で立って腕を組み、鋭い牙を覗かせて不敵に笑いオレを見下ろしている。
「オーヴの力もロクに使いこなせないひよっこがかい? 笑わせるんじゃないよ。……ここにいると危険だ。さっさと逃げるよ」
ディーネはオレを皮肉った後に、何かを感じ取ったのか急に空を仰ぎ、瞼を閉じて肩を竦めて首を横に振る。
両手を地面に静かに突いて、首を左右に振りながら四本足でオレに近づく。
オレは胡坐をかいて不思議に思って腕を組んで首を傾げる。
ディーネはオレの傍まで来ると背中に乗れと言わんばかりに、ディーネは両翼を羽ばたかせて顎をしゃくる。

オレは立ち上がってズボンの汚れを両手で払う。
オレが顔を上げるとディーネは不敵に笑い、またディーネは鼻息でオレを吹き飛ばす。
今度は樹の幹にオレの背中が激突する。背中が軋んだ。
樹の幹からずり落ちて、地面に尻を強く打ち付ける。
オレは尻が痛くて尻を擦りながらディーネを指さす。指さす手に力を入れて、手が震える。
あいつ、オレに恨みでもあるのかよ。
オレをオーヴの主と認めたわけじゃないから苛立ってるのか?
「てめぇ! 絶対わざとだろ! オレを引っかけやがったな!」
尻を擦りながら顔を上げると、切り株ベットや木の枕、木のテーブルが消えていた
魔道具ってやつか。いいよな、魔法が使える奴は。

オレがディーネに顔を戻すと、ディーネは瞼を閉じて二本足で立ち上がり肩を竦める。
「引っかけたつもりはないんだけどねぇ。ただ、お前をオーヴの主と認めたくないだけさ。状況は不味くなってるのは確かだよ」
ディーネは地面の匂いを鼻で嗅いだり、しきりに頭を上げて左右に首を振る。

オレは尻を擦りながら、怒りでディーネに拳を振り上げる。
「おい、ディーネ! 少しくらい休憩させろ! さっき食ったばっかだぞ!? 戻しちまうだろ!」
オレは舌打ちして、おもむろに立ち上がりズボンの汚れを両手で払い落とす。
急な運動でげっぷが出そうになり、オレは慌てて口許を押さえてお腹を優しく擦る。

その時、甲高い鳥の様な泣き声が聞こえてオレは空を仰ぐ。
「なんでこんな目に遭わないといけないのよぉぉぉぉぉ! マジ最悪なんだけどぉぉぉぉぉ!」
小さい竜の背中に乗った少女の叫び声がオレの頭上を通り過ぎる。
少女は黒いローブを着てフードを被っていた。

「なんだ?」
オレは不思議に思って顔を上げたまま額に手を当て、少女の声がした方に目を凝らす。
二匹のメタリックの翼竜が甲高く鳴きながら、紅い眼を鋭く光らせて少女の後を追っている。
ハンターが背中に装備したマシンガンやレーザーキャノンを少女に撃ちながら。
少女はハンターに振り向き、少女の掌から炎の玉が放たれ、少女は魔法攻撃でハンターに抵抗している。
オレはハンターが飛び去った方を仰ぎ、舌打ちしてディーネの元に駆け寄る。
「なにしてんだ! 彼女を追いかけるぞ! どうにかしてハンターを味方につけるしかねぇだろ」
ディーネが二本足で立って、瞼を閉じて肩を竦めて首を横に振りながらオレに近づく。
「そりゃ頼もしいね。どうやってハンターを味方につけるか知らないけど、楽しみにしてるよ。まったく、いつから禁断の森は観光スポットになっちまったんだい?」
ディーネは少女が飛んで行った方の空を心配そうに仰ぐ。

その時、地響きとともに向こうから咆哮が聞こえた。
メタリックの大型恐竜型のハンターが大きな口を開け、口の中の砲口が伸びてキャノン砲が放たれる。
背中に装備された二台の大きなガトリング砲の銃身が勢いよく回転しながら撃たれる。
地面にキャノン砲が当たり、地面に大きな穴が開き、地面が大きく揺れる。
地面にガトリングの弾が当たる度に土埃が舞い、小石が飛んでくる。
大型恐竜型のハンターの後から、メタリックの小型の獣型ハンターが一斉に背中の武器を撃ってオレたちに襲い掛かって来た。
オレは顔の前を手で遮りながら呆然と立ち尽くし、大型恐竜型のハンターを見上げ、その図体のデカさに息を呑む。

☆続く☆ ディーネとカイト終了後の雑談コーナー ゲスト:ミサ・ネロ・カイト

ミサ:最近、あたしの出番ないんですけど! 可愛さアピールできないじゃない!
ネロ:ミサ落ち着け。ボクらの出番が少ないのは仕方がないだろ。
ミサ:そ、そうね。あたしったら、取り乱しちゃった。それに、ネロと一緒にいるし。フフフフフッ。
カイト:お前、変だぞ。ネロとデートできなかったからって、まだ根に持ってるのか?
ミサ:べ、別にそういうわけじゃないわよ。あたし、顔がニヤケてた?
ネロ・カイト:……
ネロ:ミサ、前から言おうと思ってた。ミサのことが好きだ。
ミサ:えっ? ええーっ!? ほ、ほんとに!?
ネロ:ああ。幼馴染として。
カイト:やっぱり……
作者:…… ☆END☆

ちょっと更新が開きましたが、お待たせしました。いや~、ほんとに毎日暑いですね~。みなさん、夏バテに気を付けてくださいね。水分と塩分補給をこまめに。

  • 黒いローブを着てフードを被った少女(ルエラ姫)登場。
+ 大型肉食恐竜型ハンター-

大型肉食恐竜型ハンター
有志による復刻

☆前回のあらすじ☆ ナレーション:カイト

ディーネの結界に罅が入り、ディーネの悪ふざけでオレとディーネは揉める。
あいつはドラゴンになると態度がデカくなるから嫌いだ。まあ、人間の姿をしたディーネも嫌いだけどな。
そんな時だ。小さな竜に乗った少女がメタリックの翼竜に追いかけられていた。
また面倒な事になってきたぜ。つうか、マジで禁断の森は観光スポットになったんじゃねぇか?
お次はでけぇハンターが襲ってきやがって、オレはハンターに人気らしい。

☆大型ハンター☆
その時、地響きとともに向こうから咆哮が聞こえた。
メタリックの大型肉食恐竜型ハンターが紅い眼を鋭く光らせ、突進しながら大きく尻尾を振り、大きな口を開ける。
口の中の砲口が伸びてキャノン砲が衝撃波とともに放たれる。
大型肉食恐竜型ハンターの背中に装備された二台の大きなガトリング砲の銃身が勢いよく回転しながら火を噴き撃ってくる。
地面にキャノン砲が当たり、地面に大きな穴が開き、地面が大きく揺れる。
地面にガトリングの弾が当たる度に土埃が舞い、小石が凶器と化し飛んでくる。
大型肉食恐竜型ハンターの後から、メタリックの小型獣型ハンターの群れが一斉に背中の武器を撃ち、オレたちに襲い掛かる。
オレは顔の前を手で遮りながら呆然と立ち尽くし、大型肉食恐竜型のハンターを見上げ、その図体のデカさに息を呑む。

向こうも本気みたいだな。古代人はとんでもねぇもん創ってくれたもんだぜ。
こんなもんが外に出たら大変なことになるぞ。なんとしてでも、こいつらを止めねぇと。

大型肉食恐竜型ハンターは、小型獣型ハンターに振り向いて大きく口を開けて吠える。
まるで獲物の邪魔するなと言われているようで、攻撃を止めて戸惑う小型獣型ハンター。
小型獣型ハンターは大型肉食恐竜型のハンターに牙を向けて威嚇したり、吠えて威嚇している。
大型肉食恐竜型ハンターはぶるぶると頭を振って小型獣型ハンターを片足で踏み潰す。
大型肉食恐竜型ハンターに踏み潰された小型獣型ハンターは頭を上げて吠え、頭が地面に突く。
小型獣型ハンターの紅い眼が点滅して消え、小型獣型ハンターからばちばちと火花が散っている。
大型肉食恐竜型ハンターがオレに襲い掛かろうとしている小型獣型ハンターを銜えて放り投げ、口の中の砲口が伸びてキャノン砲で小型獣型ハンターを撃つ。
小型獣型ハンターが空中で身体を起こすのも虚しく空中爆発する。
大型肉食恐竜型ハンターは尻尾で小型獣型ハンターを薙ぎ払い、口の中の砲口からキャノン砲で小型獣型ハンターを撃っている。
小型獣型ハンターが大型肉食恐竜型ハンターと戦っている。 

オレはこの隙にディーネの元に駆け寄った。
「おいディーネ! なんとかしろ!」
オレは大型肉食恐竜型ハンターに振り向く。
ディーネの結界を壊すのに手こずって仲間割れか? おめでたいな。

その時、ディーネが素早く飛んでオレの背後に飛び降りて砂埃が舞う。
オレは立ち止って振り返りディーネを見上げ、砂埃が眼に入らないように顔の前を手で遮る。
「なにしてんだい! ワタシの尻尾に掴まりな!」
ディーネがオレに振り向いて怒鳴る。
オレは我に返って頷き、振り返って目の前にあるディーネの尻尾の先端に生えている棘に滑り込んですがる。

小型獣型ハンターがオレたちに気付き、背中に装備した武器で襲い掛かってくる。
大型肉食恐竜型ハンターはオレたちに見向きもせずに、小型獣型ハンターと戦っている。
ディーネの皮膚は頑丈で攻撃を通さず、ディーネの硬い皮膚に攻撃が当たる度に小さく火花が散る程度だった。
ディーネは吠えて小型獣型ハンターを片足で蹴ったり踏み潰したり、尻尾で薙ぎ払ったり。

ディーネの尻尾が刃の様に風を切る。
「うわぁぁぁぁぁ!」
オレは振り落されないようにディーネの尻尾に掴まるのがやっとだった。

ディーネは大きく息を吸いながらお腹を叩き、大きな口を開けて最大火力の白い炎を吐いた。
広範囲にディーネの吐いた白い炎が広がる。
ディーネが吐いた炎の熱気が飛んで来て、オレは顔の前を手で遮る。
次々と小型獣型ハンターがディーネの炎でどろどろに溶けてゆき、地面に鉄の泥と化す。
その時、ディーネの炎の中から一匹の小型獣型ハンターが飛んで来てオレに襲い掛かる。
小型獣型ハンターが背中に装備したレーザーキャノンを撃ってくるが、ディーネが素早く尻尾を振ってくれて避けれた。
オレは舌打ちして、腰のホルスターから金のオートマチック銃を抜いて小型獣型ハンターを撃つ。
二三発で小型獣型ハンターは爆発した。爆発の熱気が飛んで来て、オレは顔の前を手で遮る。

オレはディーネの尻尾の棘に掴まりながら口笛を吹いて拳を突き上げる。
「いいぞ! ディーネ!」
オレは金のオートマチック銃の銃口に感謝の気持ちを込めてキスした。ありがとな。
その時、大型肉食恐竜型ハンターがディーネに振り向いて吠える。
大型肉食恐竜型ハンターが大きな口を開けて、口の中の砲口からキャノン砲を撃ってくる。
ディーネは素早く羽ばたき、大型肉食恐竜型ハンターの背中に乗っかる。
ディーネは大型肉食恐竜型ハンターの背中に装備されたガトリングガンの銃身を噛み砕く。
大型肉食恐竜型ハンターは吠えて、暴れてディーネを振り落とす。ディーネは素早く起き上がる。

大型肉食恐竜型ハンターとディーネが睨み合い、お互いに攻撃のチャンスを窺っている。
大型肉食恐竜型ハンターが吠えて頭からディーネに突っ込み、ディーネに体当たりを食らわす。
ディーネと大型肉食恐竜型ハンターが取っ組む。
一瞬のディーネの隙を見て大型肉食恐竜型ハンターは尻尾でディーネを薙ぎ払う。
ディーネは吠えながら吹っ飛び、オレは手の汗でディーネの尻尾の棘を掴んでいた手を放してしまい、背中を地面に打ち付ける。
地面に背中を打ち付けた衝撃と、ちょうど金のオートマチック銃を握っていた手首に小石が当たり食い込む。

オレは手首が痛くて顔をしかめ、金のオートマチック銃を手放してしまう。
「くそっ」
顔をしかめて上半身を起こすと、目の前に大型肉食恐竜型ハンターの紅く鋭い眼が光る。
鋭い牙を覗かせて低く唸り、鼻の穴から鼻息が飛び、オレを嗅いでいる。
オレは大型肉食恐竜型ハンターから顔を背け、じっとして瞼を閉じてそっと瞼を開ける。
大型肉食恐竜型ハンターの紅く鋭い眼から赤いレーザーが放たれ、機械的な音を鳴らしオレをスキャンしている。
大型肉食恐竜型ハンターの強い鼻息で、金のオートマチック銃が向こうに飛ぶ。
オレは歯を食いしばって顔の前を手で赤いレーザーを遮る。
動悸が高まる。様子を見ながら肘を地面に突いて尻と足を少しずつ動かし、オレは金のオートマチック銃に手を伸ばす。
あと少しで金のオートマチック銃に手が届かず、オレは動悸が乱れ息を何度も吐きながら、肘を地面に突いて尻と足を動かす。

オレはやっと金のオートマチック銃を掴み、肘を地面に突いて肩を竦め、鼻と喉を鳴らして笑う。
「なんだよ? 散々オレを追っておいて、今更餌の確認か?」
オレは金のオートマチック銃を握り締めている手を上げる。
手と額に冷や汗を掻いている。
片目を瞑り、大型肉食恐竜型ハンターの紅く鋭い眼に狙いを定めて撃つ。
大型肉食恐竜型ハンターの紅く鋭い眼に銃弾が命中し小さく爆発した。
大型肉食恐竜型ハンターが身体を起こし頭を上げて苦しそうに咆哮を上げ、尻尾を激しく振って暴れ回る。
オレは慌てて立ち上がり、大型肉食恐竜型ハンターの腹の下を通る。
大型肉食恐竜型ハンターを見上げ、腰のホスルターに金のオートマチック銃を挿す。
必死に両手を振って樹の影に向かって全力で走る。
前の鉄の泥を避けようと思ったが、鉄の泥が他の鉄の泥に吸い寄せられるように次々に集まってゆく。
オレは首を傾げ、大型肉食恐竜型ハンターに振り向く。
顔を戻すと、鉄の泥の上を飛ぶ、一匹の小型獣型ハンター。
オレは素早く斜め掛けの鞘から剣を抜き、剣を横に構える。
小型獣型ハンターに押し倒され、オレの背中が地面に打ち付けられる。
小型獣型ハンターの背後で、集まった鉄の泥が鉄の塊となり、鉄の塊が盛り上がって徐々に何か形造ってゆく。
その異様な光景にオレは思わず顔をしかめる。
視線を戻すと、小型獣型ハンターの鋭い牙がオレの顔の前まで何度も噛みつこうと近づいてくる。
小型獣型ハンターの涎がオレの頬にべっとりと張り付き、嫌な感じがした。
剣を横に構えるオレの両手が震え始め、今にも小型獣型ハンターがオレの顔を喰おうとしていた。

その時、オレの横から飛んで来た炎の玉が小型獣型ハンターに直撃する。
小型獣型ハンターは炎の玉に押されて吹き飛び、咆哮を上げて横に倒れる。
鉄の塊が横に倒れた小型獣型ハンターまで伸び、鉄の塊が口を開けて小型獣型ハンターを飲み込む。
身動きが取れず、必死に首を振る小型獣型ハンター。
オレは上半身を起こしたまま鞘に剣を収め、呆然とその様子を眺めていた。

オレの横からディーネが羽ばたきながら、悠々とオレに近づいてくる。
「奴ら一つに固まって大型肉食恐竜型ハンターに変身するつもりだ。面倒な事になる前にここから逃げるよ!」
ディーネがしっかりと両手でオレを掴んで一気に上昇する。

オレは胆を冷やして、額の汗を手の甲で拭い息を吐く。
「おせぇんだよ、ったく。とりあえず、危機は免れたな……それにしても、お前がくれた銃とんでもねぇな」
オレはディーネの掌を肘で小突き、金のオートマチック銃を挿しているベルトを軽く叩く。
眼下に鉄の塊が大型肉食恐竜型ハンターの形を成してゆく。
頭と尻尾を激しく振りながら吠え、樹に身体をぶつけて暴れている大型肉食恐竜型ハンター。
オレは身を乗り出し、奴らを見下ろして口笛を吹く。

ディーネがオレに振り向く。
「あの子を追いかけるんだろ? 言われなくてもわかってるよ。しっかり掴まりな!」
ディーネがため息を零して首を横に振り、一気に加速する。

オレは胡坐をかいて後頭部で手を組んだ。
その時、オレの背後で翼竜の甲高い泣き声が聞こえた。
身を乗り出して振り向くと、三匹のメタリックの翼竜型ハンターが甲高く鳴きながら羽ばたいてオレたちを追いかけてくる。
三匹の翼竜型ハンターが甲高く鳴いて背中に装備した武器を撃つ。

☆続く☆ 大型ハンター終了後の雑談 ゲスト:カイト・ディーネ(人間)

ディーネ:ジャジャーン。見ろ、禁断の森で見つけたでっかい卵じゃ。
カイト:……なんかヤバい気しかしねぇんだけど。その卵って、恐竜の卵じゃないか?
ディーネ:そんなわけなかろう。この卵はハンターの卵じゃ。
カイト:ちょっと待てよ。ハンターって卵産むのか?
ディーネ:そうじゃ。ほれ、卵食うてみ。美味いぞ。
カイト:……しょうがねぇな。ディーネを信じて食うか。
ディーネ:どうじゃ? ハンターの卵、美味いじゃろ?
カイト:……これって、卵チョコじゃねぇか。それにしても、ディーネってスイーツまで作れるのか。
ディーネ:むふふふ。引っかかったな。じゃが、禁断の森でハンターの卵を見かけたのは本当じゃぞ。
カイト:それって…… ☆END☆

今日、ジュラシックワールドを観てきたので、おまけはジュラシックワールドを観て思いつきました。

  • 「大型肉食恐竜型ハンターは、小型獣型ハンターに振り向いて~」と〇〇型ハンター連呼、ハンターの造形は映画ジュラシックワールドの影響だと思われる。
+ 翼竜型ハンターの追手-

翼竜型ハンターの追手
有志による復刻

☆前回のあらすじ☆ ナレーション:カイト

大型ハンターがディーネの結界を壊し、小型ハンターを引き連れてオレたちを襲って来やがった。
大型ハンターはディーネと戦い、何故か大型ハンターはオレをスキャンした。
オレは大型ハンターの隙を見て、大型ハンターの眼を撃つ。何でオレをスキャンしたんだ?
大型ハンターの眼は潰れ、大型ハンターは暴れ回った。こうなったら手がつけられねぇ。
その隙にディーネはオレを拾って上空に逃げた。と思ったら追手だもんな。嫌になるぜ。

☆翼竜型ハンターの追手☆

オレはディーネの手の中で胡坐をかいて、ディーネの指に凭れて後頭部で手を組む。
その時、オレの背後で翼竜の甲高い泣き声が聞こえた。
ディーネの指の間から身を乗り出して後ろを振り向くと、三匹のメタリック翼竜型ハンターが甲高く鳴きながら羽ばたいてオレたちを追いかけてくる。
三匹の翼竜型ハンターが甲高く鳴いて滑空しながら背中に装備した武器を撃つ。

銃弾が飛んで来てオレはディーネの手の中で屈み込み、ディーネの指に凭れて頭を両腕に埋める。
顔を上げてディーネの指の間から後ろを振り向くと、翼竜型ハンターが口を開けて飛んでくるのが見える。
オレは顔を戻してディーネに怒鳴り、ディーネの指を拳で叩く。
「ディーネ! 先にこいつらをなんとかするぞ!」
オレは舌打ちして斜め掛けの鞘に手をかけ、腰のホルスターに挿した金のオートマチック銃に手をかける。

ディーネが滑空しながらオレに振り向く。
「なんとかするだって? ワタシはどうすればいいんだい?」
ディーネの視線が翼竜型ハンターに移る。
オレは陽光が眩しくて顔の前を手で遮る。
「そんなのわかるわけねぇだろ! とりあえず、ハンターの攻撃を避けてくれ!」
オレは後ろを振り向いて、ディーネの指の間から翼竜型ハンターを見る。

ディーネが顔を戻してスピードを上げる。
「振り落とされるんじゃないよ! しっかり掴まりな!」
ディーネは左に右に飛びながら翼を羽ばたかせ滑空する。
ディーネが上昇する時、ディーネの右翼にプラズマ弾が命中し、ディーネは痛そうに鳴いて逆さまに下降する。
ディーネの両手が開いてオレはディーネの手から滑べり落ちる。オレはディーネに手を伸ばす。

「うわっ!」
一陣の風が吹いてオレは回転しながら後ろに飛ばされる。
「ディーネ! しっかりしろ!」
オレは両手足を動かして、なんとかディーネに近づこうとする。
苦しそうに顔をしかめ落ちてゆくディーネに手を伸ばす。
一匹の翼竜型ハンターが甲高く鳴いて滑空し、口を開けてディーネに近づく。
くそっ。オレは慌てて腰のホルスターに挿した金のオートマチック銃を抜こうと手をかける。

その時、オレの背後から一匹の翼竜型ハンターが大きな口を開けてオレに迫って来る。
オレは舌打ちして身体を捩って仰向けになる。
顔を上げて腰のホルスターから金のオートマチック銃を抜き、翼竜型ハンターの口に銃口を向けて両手で構える。
「お行儀悪いぜ?」
オレは捨て台詞を吐いて、金のオートマチック銃を撃つ。
銃弾が翼竜型ハンターが開けた口の奥に紅く輝いていた小さな宝石の様な物に当たる。
その瞬間、翼竜型ハンターが空中爆発してオレは爆風で吹っ飛ぶ。
熱気や破片が飛んで来て、オレは顔の前で腕をクロスさせる。
飛んで来た破片がオレの腕や足を掠め、オレは顔をしかめる。
っちっくしょう。なんだったんだ? あの赤いの。あれがハンターの弱点なのか?
クロスさせた腕の間から落ちてゆくディーネを見る。
ディーネの落下スピードが速くて、翼竜型ハンターが追い付けないでいる。

大きな影がオレの顔を暗雲の様に覆い、顔を見上げると、翼竜型ハンターのお腹が頭上に見えた。
このままじゃ、お陀仏だからな。それだけは御免だ。
オレは素早く腰のホルスターに金のオートマチック銃を挿して、銀のフックショットを抜く。
片目を瞑って、翼竜型ハンターのお腹に狙いを定めて銀のフックショットを撃つ。
勢いよくワイヤーが飛び出し、翼竜型ハンターお腹にワイヤーの先端が突き刺さる。
次の瞬間、オレは翼竜型ハンターに引っ張られ、銀のフックショットのグリップとワイヤーを握り締める。
「うわぁぁぁぁぁ!」
頬を強い風が撫で、オレの前髪が風で靡いている。絶対変な顔してる。
オレは必死に銀のフックショットのグリップとワイヤーを握り締め、ディーネを見やる。鼻水が頬に張り付いた。
ディーネはなんとか態勢を持ち直して炎を吐きながら翼竜型ハンターと戦っていた。
心配させやがって。銀のフックショットの引き金を引いても、何故かワイヤーが巻き取られない。
オレはワイヤーを引っ張ってみる。壊れてんのか?
オレは翼竜型ハンターを仰ぐ。ワイヤーを手繰り寄せて上がれってか。オレは変な顔をして首を横に振る。
ったく。この歳で貴重な体験するとはな。高所恐怖症じゃなくてよかったぜ。
オレは翼竜型ハンターを仰ぎながら、ワイヤーを手繰り寄せてワイヤーを上がってゆく。

その時、背後から翼竜型ハンターの甲高い鳴き声が近づいてきて、翼竜型ハンターの刃の様な鋭い口ばしがオレに迫る。
もう一匹お出ましかよ。オレはワイヤーにしがみつく。
「おいおい、マジかよっ!」
オレは思わず瞼を閉じる。片目を開けると、悔しそうに翼竜型ハンターが後方で口を開けて甲高く鳴いていた。
「ざまぁみやがれってんだ!」
オレは叫んで拳を突き上げ、口笛を吹いた。振り落とされそうになり、慌ててワイヤーを掴む。
オレは舌打ちしてワイヤーに掴まりながら左に右に揺られながら、腰のホルスターから金のオートマチック銃を抜いて、翼竜型ハンターに向けて引き金を引くが銃弾が放たれない。
今度は弾切れかよ。やれやれだぜ。オレはワイヤーにしがみついたままため息を零す。
ホルスターに金のオートマチック銃を挿そうと思ったら、ワイヤーに銃弾が当たってワイヤーが嫌な音を立てて切れる。
おいおい、頼むから切れるなよ? オレは祈るような気持ちで少し切れたワイヤーを見つめる。
オレの気持ちも虚しく、ワイヤーはオレの体重に耐えられずに切れた。
左手に金のオートマチック銃を持ち、右手に銀のフックショットのワイヤーを握ったままオレは落ちる。
下を振り向くと大きな口を開けて翼竜型ハンターが両翼を広げ迫って来た。

頼むから、こいつに食われるのは勘弁だからな。オレは顔を戻して瞼を閉じ、顔の前を手で遮る。
その時、何かが回転する様な金属音がしてオレは思わず瞼を開ける。
紅く光る回転した刃が翼竜型ハンターの身体を貫き、真っ二つになった翼竜型ハンターの残骸が火花を散らし落ちてゆく。
オレに向かって甲高く鳴いて口を開けて滑空するもう一匹の翼竜型ハンター。
腹にはワイヤーが突き刺さったままで、ワイヤーが風に揺られ垂れ下がっている。

紅く光る回転した刃が翼竜型ハンターの首を切り落とす。首なしの翼竜型ハンターの残骸が火花を散らし落ちてゆく。
二匹の翼竜型ハンターの残骸が落ちてゆく。
紅く光る回転した刃を眼で追うと、爆発して小さなミサイルになり、落ちてゆく二匹の翼竜型ハンターに飛んでゆく。
ミサイルの雨が落ちてゆく二匹の翼竜型ハンターに突き刺さり、やがて空中爆発して凄まじい衝撃波が起こる。
ディーネを見上げると、首を振りながら翼竜型ハンターの首に噛みつき、翼竜型ハンターの首を引きちぎって放り投げた。
その時、オレの背中にごつごつとした硬い物が当たり、後頭部を思いっきりぶつける。

後頭部を擦り、オレは金のオートマチック銃と銀のフックショットをホルスターに挿し、片手でごつごつした黒い岩のような肌を触る。
「石頭で良かったぜ。なんだこれ?」
ごつごつとした黒い岩のような肌が右に傾き、オレは慌てて振り落されないようにごつごつした肌に掴まる。
黒い翼、黒い尻尾、黒い首と頭。オレは黒色ドラゴンの背中に乗っていた。

黒色ドラゴンがディーネの傍に寄り、翼を羽ばたかせてディーネと並んで飛び、ディーネに振り向く。
「お姉さま! 助太刀に来ましたわ! ハンターに手こずってるようですわね。この子は助けましたわよ」
黒色ドラゴンはオレに顎でしゃくる。

ディーネが嬉しそうにお腹を両手で叩き炎を吐く。
「フィーネじゃないか! 久しいね。ようやくお目覚めかい? 記憶が曖昧だが、妹は忘れてなかったみたいだ。……おっと、話をしている場合じゃなさそうだね。奴らのお出ましだ」
ディーネがフィーネに振り向くが、何かに勘付き後ろを振り向く。
オレはディーネの視線を追い、額に手を当てて目を凝らした。
背後から、三匹のメタリック翼竜型ハンターが飛んでくるのが見えた。

フィーネも後ろを振り向いて、顔をディーネに戻して肩を竦める。
「お姉さま、どうしますの?」
ため息を零して、フィーネは翼竜型ハンターに振り向く。

こいつらが姉妹だって? 似てないだろ。
オレはフィーネのごつごつした肌に掴まりながら首を傾げ、否定するように首を横に振った。

ディーネは身体を起こし、両翼を大きく広げて羽ばたかせ滞空する。胸を張って拳で胸を叩く。
「ここはワタシに任せな。フィーネ、あの子を追うんだ。匂いでわかるだろ?」
ディーネは顎をしゃくり、尻尾を垂らして腕を組んで不敵に笑う。

フィーネも滞空して瞼を閉じて何かの匂いを嗅ぐ。
「ええ。確かに、人間の女の子がハンターに追われているみたいですわね。状況は悪そうですわ」
フィーネは真っ直ぐ首を伸ばし、空の向こうを見ている。

ディーネは瞼を閉じて肩を竦めて首を横に振る。
「ハンターもしつこいね。ちょいと炎で追い払ってくるかね。フィーネ、その子を守ってやりなっ」
ディーネはオレに顎でしゃくるとハンターに振り返り一気に加速して、翼竜型ハンターの元に飛んでいった。

オレはディーネとフィーネの姉妹のやり取りを黙って瞬きしながら見ていた。
翼竜型ハンターの元に飛んで行ったディーネの背中を心配そうにオレは見送る。
「なんかしんねぇけど助かったぜ。ディーネ大丈夫なんだろうな?」
オレはディーネに振り向いたまま、額に手を当ててディーネに目を凝らす。

フィーネが急に身体を起こしたので、オレは滑り落ちそうになり慌ててごつごつした黒い岩の様な肌に掴まる。
「ええ。お姉さまなら、なんの心配もいりませんわ。さっ、あたくしたちは彼女を追いかけますわよ!」
フィーネは一気に加速した。

ったく、姉妹揃ってオレの扱い乱暴だな。
オレはごつごつした黒い岩の様な肌に掴まりながらそう思った。

☆続く☆ 追手終了後のおまけ ゲスト:フィーネ

作者:さっそく新キャラのフィーネさんをお呼びしています。フィーネさん、どうぞ。(スタジオ内拍手)
フィーネ(人間):よろしくお願いしますわ。そうそう。あたくし、お姉さまと同じで人間の姿になれますの。
作者:ドラゴンだとスタジオに入れませんからね。わざわざありがとうございます。(机に手を突いて頭を下げる)
フィーネ:お気になさらずに。それより、あたくし新キャラなのにゲストで来てよかったのかしら?
作者:僕に言われても・・・番組ディレクターが決めたことですので・・・なんとも言えません。
フィーネ:そうですわよね。ところで、この差し入れのケーキ食べていいのかしら?
作者:ええ、どうぞ。スタッフが近所のスイーツ屋さんで買ってきたんですよ。
フィーネ:それじゃ、頂こうかしら。(紅茶を飲みながら、スイーツをお上品に食べている。しかも全部)
作者:……フィーネさんって甘党なんですね。全部食べちゃうとは、参ったなぁ。(僕も食べたかったのに)
フィーネ:では、あたくしはこれで失礼しますわ。モデルの仕事がありますので。(勝手に帰っちゃった)
作者……今回のおまけって、何だったんだろ……しかも、フィーネさんってモデルのお仕事されてるとは意外だ。美人だもんな。
☆END☆

今回のおまけは、さっそく新キャラを出してみました。

  • フィーネ(黒色ドラゴン)が登場して助かる。
+ 古代王ウィリアム-

古代王ウィリアム
有志による復刻

☆前回のあらすじ☆ ナレーション:カイト

オレとディーネは翼竜型ハンターに追いかけられていた少女を追う。
でもよ、グッドタイミングで翼竜型ハンターの追手が来やがった。どうなってやがる。
ディーネに貰った武器でなんとか翼竜型ハンターを倒すが、また一匹翼竜型ハンターがオレたちを襲う。
これじゃキリがねぇ。オレとディーネは翼竜型ハンターと戦う。
オレが翼竜型ハンターに襲われそうになった時、ディーネの妹、フィーネが助けてくれた。
ディーネは追って来た翼竜型ハンターに立ち向かい、オレとフィーネは少女を追う。

☆古代王ウィリアム☆

オレはディーネとフィーネの姉妹のやり取りを黙って瞬きしながら見ていた。
翼竜型ハンターの元に飛んで行ったディーネの背中を心配そうにオレは見送る。
「なんかしんねぇけど助かったぜ。ディーネ大丈夫なんだろうな?」
オレはディーネに振り向いたまま、額に手を当ててディーネの背中に目を凝らす。

フィーネが急に身体を起こしたので、オレは滑り落ちそうになり慌ててごつごつした黒い岩の様な肌に掴まる。
「ええ。お姉さまならなんの心配もいりませんわ。さっ、あたくしたちは彼女を追いかけますわよ!」
フィーネは鼻を鳴らして翼を羽ばたかせて一気に加速した。
ったく、姉妹揃ってオレの扱い乱暴だな。
オレはごつごつした黒い岩の様な肌に掴まりながら姿勢を低くしてため息を零す。

風が頬を撫でて心地良く、空気も美味しい。自然っていいな。
つうか、あの女誰なんだ? 竜具の装備からして高貴な人間に見えたが。
こんなところまで何しに来たんだよ。まあ、オレにも言えるか。
ごつごつした黒い岩の様な肌に顎を当てて、鼻を鳴らして笑う。
ラウル古代遺跡か。爺ちゃんの冒険書を何度も読んだ。
爺ちゃんが逝ってから、爺ちゃんの書斎部屋で冒険書を見つけたんだったな。懐かしいな。
オレは冒険書を読んで世界を見て見たいと思った。
ラウル古代遺跡には何があるんだ? オレは確かめたい。爺ちゃんが最期の冒険で見たものを。
オレは拳を握り締める。ネロ、ミサ、待ってろよ。絶対助けるからな。
オレはごつごつした黒い岩の様な肌に掴まりながら、向こうに目を凝らし生唾を飲み込み喉を鳴らした。
「なあ、フィーネ。ずっと気になってたんだけどよ、ここに来る途中で古代遺跡を見かけたんだ。あれはなんていう遺跡なんだ? ラウル古代遺跡と関係あるのか?」 
オレはやるせなくなり、黒い岩の様な肌に顎を当てて瞼を閉じてため息を零す。

フィーネがオレに振り向き、瞼を閉じて首を横に振り、肩を竦めてため息を零す。
「勘違いなさっているようですわね。禁断の森にはあちこちに古代遺跡がありますの。それらは全てラウル古代遺跡で中で繋がっていますの。あたくしはラウル古代遺跡の番人、ブラックドラゴンですわよ? あたくしの役目はラウル古代遺跡を守ることですわ。といっても、古代人が創った魔物が暴走しておかしくなってますけど……」
フィーネが人差指で頬を掻いて前を向き、上品に両手で口許を押さえてくしゃみをした。

オレは顔を上げ、胸のオーヴに目を落としてオーヴを握り締める。
「そうだったのか。爺ちゃんはラウル古代遺跡の最深部で、このオーヴを採取したんだよな? オレが見たラウル古代遺跡は中が荒れてた」
少し謎が解けたな。まさか、オレが見た遺跡がラウル古代遺跡だったとはな。
ラウル古代遺跡に壁画が描かれてた。ネロが解読しようとしてたけど。オレには解らなかった。
それにしても、なんでオーヴに不思議な力があるんだろ。
爺ちゃんは、オーブの力を研究しようとしてたのか?

フィーネが前を向いたまま肩を竦めた。
「あなたのお爺さんの探検隊がラウル古代遺跡を荒らしたのかもしれませんわね。ラウル古代遺跡には壁や床に鉱石が埋め込まれてますもの。言っておきますけど、そのオーヴはオーヴの原石ですわよ? 大変希少価値のある物ですの。それで一生遊んで暮らせる価値がありますもの。オーヴの中に凄まじいエネルギーが凝縮されてますわ。あたくしとお姉さまは何者かに石化されていたんですけど、あなたのオーヴと共鳴して石化が解けましたの」
フィーネが額を手で押さえて首を横に振る。

オレは黒い岩のような肌に顎を当てて物思いに耽った。
オーヴの原石を狙っていた連中がいてもおかしくないな。
オーヴの力を悪用しようとしている連中が。
やっぱり、爺ちゃんは誰かに脅されてラウル古代遺跡に来たのかもしれない。
爺ちゃんはラウル古代遺跡の最深部で連中の隙を見てオーヴの原石を採取して、連中からオーヴを守ったのかもな。
そして、爺ちゃんは最期まで隠してきたオーヴをオレに託した。爺ちゃんはオレを信じて。
待てよ。野営地でキャンプ張ってる連中は禁断の森に何しに来たんだ?
ラウル古代遺跡は考えにくいよな。もう鉱石もオーヴも無いはずだ。

オレは顔を上げて額に手を当てて向こうに目を凝らす。
「なあ、フィーネ。野営地でキャンプ張ってる連中は何しに禁断の森に来たんだ?」
オレは嫌な予感がして、生唾を飲み込み喉を鳴らした。
拳を握り締めて、オーブを握り締める。

フィーネはオレに振り向き、首を傾げ肩を竦める。
「あたくしにはわかりませんわ。ただ、あたくしが目覚めた時から邪悪な気を感じますの。……まさか、彼らの目的は神の塔を地上に出現させる気じゃ……」
フィーネが何故か滞空して翼を羽ばたかせ、両手で身体を擦って身震いした。

オレはフィーネに振り落とされそうになる。
「おいおいなんだよ、神の塔って? 神の塔にとんでもねぇものでもあるのか?」
オレは黒い岩の様な肌に必死に掴まりながら歯を食いしばる。
指に力を入れて手が震える。下を見ると、広大な森が広がっていた。

フィーネは首を横に振って「失礼しましたわ」と言って翼を羽ばたかせて滑空する。
「塔の頂上の祭壇に古代王が封印されてますの。闇に染まった古代王のウィリアム、妻のアリーシャが呪いと引き換えにウィリアムを封印しましたの。ウィリアムの邪悪な穢れがラウル帝国を広大な森に変え、ウィリアムの怨念がラウル帝国の動物をあのような魔物に変異を遂げたのです……」
フィーネは哀愁に浸り、涙を手で拭って洟をすすり首を横に振る。

オレはウィリアムが許せず拳を握り締める。
「ってことは、野営地で仕切ってるボスが神の塔を出現させ、古代王の復活を目論んでるってことか。尚更放っておけねぇな。フィーネ、とりあえずハンターに追われてるあの子を助けるぞ」
オレは空の向こうを睨む。
そうか。古代王はアルガスタを支配するつもりだったのか。
古代王が復活したら、アルガスタが闇に染まっちまう。
そうなれば、アルガスタ中の動物達がハンターみたいに古代王の穢れで魔物になっちまう。
オレは瞼を閉じて首を横に振る。
オレの親父はアルガスタ騎士団隊長だからな。早く親父に知らせないと。

フィーネは胸を拳で叩いて、オレに振り向いた。
「任せてくださいな。あなたはオーヴに選ばれし者。なんとしてでも、古代王の復活を止めてくださいまし。頼みましたわよ!」
フィーネはウィンクして顔を輝かせて顔を戻し、翼を羽ばたかせて一気に加速する。

オレは黒い岩の様な肌に掴まる手に力を入れる。やるしかねぇだろ。
なんでこんなことになっちまったんだろうな。オレは後ろを振り向く。 
運命ってやつか? 上等だぜ。オレは鼻と喉を鳴らして笑う。
オレは黒い岩の様な肌に掴まりながら腰のホスルターに挿した金のオートマチック銃を抜いて金のオートマチック銃を歯で噛み、弾倉を抜こうと金のオートマチック銃を指で弄るが弾倉が取れない。オレは金のオートマチック銃を裏返したりグリップを見るが、弾倉が挿せないようになっている。オレは首を傾げて金のオートマチック銃を腰のホルスターに挿した。
この銃、どうなってんだ? 弾切れなのにどうやって戦えってんだよ。
ディーネはとんでもねぇポンコツをくれたもんだぜ。
戦いに備えようと思ったのによ。何が起こるかわからねぇ。
オレは舌打ちする。まあいいか。なんとかなるだろ。

オレは態勢を低くして、拳を握り締めて空の向こうに目を凝らす。
目の前に翼竜型ハンターの群れに追われている小さな竜に乗った少女の背中が見えた。
竜は立派な竜具を装備しており、少女は黒いフードを被って黒いローブを着て、右手に魔法杖を持っている。魔法杖には王都ガランの王家の紋章が刻まれていた。

オレは少女の背中を見て首を傾げる。
あいつ、王族なのか?
フード被ってて男か女かもわからねぇ。
顔みりゃ誰かわかるかもしれねぇのに。
王都ガランにはよく遊びに行くからな。
王族が禁断の森に何しに来たんだよ?
お前も古代王の復活を目論んでいるのか?
オレは性別不詳の背中を睨む。

☆続く☆ 古代王ウィリアム終了後のおまけ ゲスト:カイト・ジン

ジン:それじゃ、今回もゲストを紹介したいと思います。
カイト:おいおい、お前誰だよ? お前は向こうのスタジオだろ? スタジオ間違えてるぞ。
ジン:(部屋とスタッフを見回し、原稿を確認)ぼ、僕としたことが、スタジオを間違えるなんて・・・
カイト:お前は主人公違うだろが。ルビナ姫といちゃついてりゃいいんだよ。ったく。
ジン:な、何を言ってるんだ! 君はよく恥ずかしいこと言えるな!?
カイト:見たところ、オレの方が年下みたいだな。本当はルビナ姫が好きなんだろ? それとも麻里亜か?
ジン:ど、どっちだっていいだろ!? 君には関係ないことじゃないか!
カイト:顔が真っ赤だぞ。お前とは一度話してみたかったんだよな。
ジン:君が誰か知らないけど、僕は君と仕事するなんて御免だね!
カイト:オレだって御免だよ。お前の物語の方が読者多いんだぞ。ったく。
ジン:なんだよ? 嫉妬か?
カイト:急に態度がデカくなったじゃないか。喧嘩売ってるのか?
ジン:そっちこそ。お望みなら売った喧嘩買ってやろうじゃないか。
ミサ・ルビナ姫:(いきなりスタジオに入ってきて、二人の間に割って入る)
カイト・ジン(驚いて声も出ない)
ミサ・ルビナ姫:(二人ともカイトとジンのお腹を思いっきり殴る)
カイト・ジン(二人ともお腹を押さえてダウン)
ミサ・ルビナ姫:(手を取り合ってガッツポーズ)
作者:なんだこれ・・・ ☆END☆

今回のおまけはカオスになってます。

  • オーヴはカイトの祖父が遺跡の最深部で採取した希少価値の高いものだと判明。
  • フィーネ「あなたのお爺さんの探検隊がラウル古代遺跡を荒らしたのかもしれませんわね」→カイト「やっぱり、爺ちゃんは誰かに脅されてラウル古代遺跡に来たのかもしれない」と都合よく解釈
  • 「野営地でキャンプ張ってる連中」の目的を「野営地で仕切ってるボスが神の塔を出現させ、古代王の復活を目論んでるってことか」と勝手に断定、カイトがオーヴに選ばれし者としてそれを阻止することに。
  • 「オレは少女の背中を見て首を傾げる」→「フード被ってて男か女かもわからねぇ」
+ ルエラ姫との出会い-

ルエラ姫との出会い
有志による復刻

☆前回のあらすじ☆ ナレーション:カイト

翼竜型ハンターに追われた少女を追う途中で、フィーネから色々話を聞かされた。頭が混乱しそうだぜ。
禁断の森がこうなっちまったのも、古代王ウィリアムの呪いらしい。
どうやら、フィーネの話しじゃ野営地でキャップ張ってる連中の目的は神の塔を出現させることらしい。
おいおい、神の塔ってどこにあるんだ? フィーネに訊こうと思ったが、オレはやめておいた。
そのうち、神の塔が現れて、嫌でもオレは神の塔に行くんだろうな。めんどくせぇぜ。

☆ルエラ姫との出会い☆

オレはフィーネの背中で態勢を低くし、拳を握り締めて額に手を当て、空の向こうに目を凝らす。
目の前に翼竜型ハンターの群れに追われている小さな竜に乗った少女の背中が見えた。
竜は立派な竜具を装備しており、少女は黒いフードを被って黒いローブを着て、右手に魔法杖を持っている。魔法杖に嵌められたブルーの宝玉には王都ガランの王家の紋章が刻まれていた。

オレは少女の背中を見て首を傾げる。
あいつ、王族なのか?
フード被ってて男か女かもわからねぇ。
顔みりゃ誰かわかるかもしれねぇのに。
王都ガランにはよく遊びに行くからな。
王族が禁断の森に何しに来たんだよ?
お前も古代王の復活を目論んでいるのか?
オレは性別不詳の背中を睨む。風で前髪が靡く。

数匹の翼竜型ハンターがオレたちに気付いて振り向き、一斉に甲高く鳴く。
数匹の翼竜型ハンターがオレたちに振り返り、口を開けて背中の武器を撃って襲ってくる。

フィーネがオレに振り向いて、翼竜型ハンターに顎をしゃくる。
「少し揺れますわよ? 熱いので火傷しないようにしてくださいまし」
オレは「お、おい、待てよ!」と慌ててフィーネの頭に手を伸ばして叫ぶ。
フィーネは滞空してバリアーを張ってギリギリまで翼竜型ハンターを引きつけ、大きく息を吸いながら顔を上げ、お腹を両手で叩いて激しく黒い炎を吐く。
熱気が雨風の様に飛んでくる。
「うわっ」 
熱風で吹っ飛ばされ、オレは片手でフィーネの尻尾の棘を掴む。
オレは顔の前を手で遮りながら体勢を低くし、フィーネの黒い岩肌の背中を上がる。
灰と化した翼竜型ハンター。灰が宙に舞い、風で灰が運ばれてゆく。
風に運ばれた灰がオレの鼻腔をくすぐり、オレはくしゃみをする。
オレは苦笑いして鼻を人差指で擦る。誰だよ、オレの噂してるのは。
オレはフィーネが吐く黒い炎を見て、「やるじゃん、フィーネの奴」と何度も頷いて感嘆する。
フィーネの炎よりすげぇじゃねぇか。ひょっとして、フィーネの方が実力は上なのか?
フィーネは黒い炎を吐きながら、黒いフードを被って黒いローブを着た奴の傍まで寄って横に並んだ。

オレは黒いフードを被って黒いローブを着た奴に振り向く。
「おい、大丈夫か!? 助けに来たぞ!」
奴は黒いフードを被り、顔が見えない。
一匹の翼竜型ハンターが襲ってきたので、オレは舌打ちして腰のホルスターから金のオートマチック銃を抜く。
オレは金のオートマチック銃のグリップを見る。
弾切れは御免だからな。生唾を飲み込み喉を鳴らした。
歯を食いしばり、片手で構えて一匹の翼竜型ハンターを撃つ。
翼竜型ハンターは青白い電気で痺れ、甲高く鳴いて暴れながら落ちてゆく。
オレはフィーネの背中から身を乗り出して、翼竜型ハンターが青白い電気で痺れながら落ちるのを見つめる。
どうなってんだ? 威力がバラバラだな。爆発したり、痺れたり。
もう一度、金のオートマチック銃のグリップを見つめる。
自動装填なのか? とんでもねぇ銃だな。
翼竜型ハンターの攻撃がオレの頭上を掠め、オレは咄嗟に体勢を低くした。
オレは翼竜型ハンターと戦いながら、黒いフードを被り黒いローブを着た奴に振り向く。
こいつ、オレを無視かよ。オレは苦笑いする。

翼竜型ハンターが口を開けて少女を襲おうとするが、翼竜型ハンターの鋭い口ばしが何か硬い物に当たった様な音がして、迂闊に少女に近づけない。翼竜型ハンターの攻撃も、少女が乗っている竜の周りで吸収されてゆく。
オレは翼竜型ハンターを攻撃する手を休め、不思議に思い首を傾げる。結界でも張ってるのか?

奴はオレの視線に気付いたのか黒いフードを取り、頭を振って髪を掻き上げてオレに振り向く。
奴は金髪ミディアムヘアで瞳がブルーの少女だった。歳はオレと同じくらい。
少女は口をへの字に曲げて、不機嫌な顔をしている。
少女は魔法杖をオレに突きつけ、瞼を閉じて舌を出す。
「なによ! ナイト気取り!? あんたが誰か知らないけど、助けなんかいらないわよ! ああもう! こいつらなんなの!? 倒してもキリがないじゃない!」
少女は魔法杖を抱えて両足をばたばたさせ、頭を振りながら両手で頭を掻きむしる。

オレは翼竜型ハンターの攻撃を避けるのも忘れて呆気に取られ、言葉も出ない。
こ、こいつ、女だったのか。男かと思ってた。
オレは眉根を寄せて首を傾げる。この女、王都のルエラ姫じゃねぇか。
確か、こいつの姉貴が行方不明で王都で騒いでたな。
その時、ルエラ姫が右手に持っていた魔法杖を天に突き上げ、ルエラ姫は天を仰ぐ。
「シルバーレイン!」
ルエラ姫が呪文を詠唱すると急に辺りの雲が曇り、雷が轟いて突然剣の雨が降り始める。

「なんだ?」
オレは間抜けな声を出して空を仰ぎ、慌てて額の前を手で遮る。
ルエラ姫の無茶ぶりに苛立ち、拳を振り上げる。
「オレたちは味方だぞ! 巻き込むんじゃねぇ!」
フィーネは強力な青白い障壁の結界を張り、首を横に振る。
「やれやれですわね。この数相手にしてたら、さすがに持ちませんわ」
フィーネは左に右に剣の雨を避けながらルエラ姫の周りを旋回する。
フィーネの結界に刺さった剣は砕け散ってゆく。
剣の雨が突き刺さった翼竜型ハンターは甲高く鳴きながら火花を散らして落ちてゆく。
オレは魔法で戦っているルエラ姫を見下ろしながらフィーネに訊く。
「フィーネ。戦えそうか?」
オレは黒い岩肌に掴まりながら、襲ってくる翼竜型ハンターを片手で撃つ。
「しばらく休ませてくださいまし。あの子、ほんと往生際の悪い子ですわね」 
フィーネは滞空してルエラ姫を見下ろし、肩を竦めて瞼を閉じて首を横に振る。

その時、ルエラ姫の魔法攻撃が飛んで来て、フィーネは素早く火の球を避ける。
オレの背後でルエラ姫の魔法攻撃が当たったのか、翼竜型ハンターが甲高く鳴くのが聞こえた。
オレは背後を振り向く。翼竜型ハンターが火花を散らして落ちてゆく。
オレは顔を戻して苦笑いしてため息を零し、拳を振り上げてルエラ姫に指を差す。
「馬鹿野郎! 当たったらどうするんだよ!」
火の粉が飛んで来て、オレの上着に火が点き、オレは慌てて金のオートマチック銃で上着を叩いて火を消す。
ルエラ姫はオレを見上げ、お腹を抱えて笑った後、瞼を閉じて舌を出す。
オレは眉間に皺を寄せ、拳を振り上げる。あの女、覚えてろよ。

ルエラ姫はオレを指さして、魔法杖を脇に挟んで髪を掻き上げた。
「あんたの助けなんかいらないからね! 行くよ、ネロ!」
ルエラ姫は片手で竜の背中を叩く。
竜は「クエックエッ~」と鳴いて飛び去った。

オレは呆然と小さくなるルエラ姫の背中を見送る。
おいおい、あの女も竜にネロって名前付けてるのか。
あいつ、ミサと似てるな。性格といい。

フィーネが翼竜型ハンターの攻撃を避けながら、オレに振り向く。
「どうするんですの?」
オレは拳を握り締める。
「追うに決まってるだろ」
オレはルエラ姫が消えた方を睨む。
フィーネは頷いて「了解ですわ」と言って、小さな竜を追う。ため息を零すのが聞こえた。
オレは後ろを振り向くと剣の雨が突き刺さった翼竜型ハンターが甲高く鳴きながら落ちてゆく。
フィーネから身を乗り出して、翼竜型ハンターを見送る。
眼下に広大な湖が広がっていた。陽光でキラキラと水面が輝いている。
顔を上げて、襲ってくる翼竜型ハンターを撃つ。
フィーネがスピードを上げて滑空する。

数匹の翼竜型ハンターに追われているルエラ姫に追いつく。
オレは金のオートマチック銃を腰のホルスターに挿す。
その時、一匹の翼竜型ハンターが撃ったプラズマ弾が、ルエラ姫が乗っている小さな竜の左翼に当たる。
小さな竜が顔を上げて鳴き、逆さに落ちてゆく。

☆続く☆ ルエラ姫との出会い終了後のおまけ ゲスト:カイト・ルエラ姫

ルエラ姫:で? 早くあたしを紹介しなさいよ。
カイト:(ジンといい、こいつも新キャラのくせにやりにくいぜ)
ルエラ姫:早くしてくれない? あたし、忙しいんだけど?
カイト:わりぃわりぃ。それじゃ、今回のゲストを紹介するぜ。ルエラ様だ!
ルエラ姫:ちょっと待ってよ。あんたに様呼ばわりされたくないんだけど?
カイト:(うわ、なんだよ、この威圧感は。お前は大物女優気取りかよ)
ルエラ姫:あたし、この後、買い物したいんだけど?
カイト:な、なに買うんだよ? つか、一人で買い物か?
ルエラ姫:そうよ、いつも一人で買い物よ。たまにお姉ちゃんとお買い物するけど。男はどいつも信用できないし。みんな、あたしが王女だってことをいいことに、あれ買えだのこれ買えだの。ほんと嫌になるわよ。みんな、あたしを金づるだと思ってるのが気に食わないわね。
カイト:・・・じゃ、オレたちと遊ばないか?
ルエラ姫:へっ? どいうこと?
カイト:オレの幼馴染、ミサ・ネロとオレで遊ぼうぜ。どうだ?
ルエラ姫:ミサって、女の子?
カイト:ミサは女だな。ミサ、紹介してやろうか?
ルエラ姫:・・・あたし、どうしたらいいのかわからない。
ミサ:じゃ、じゃーん。ミサ、久しぶりに登場!
カイト:(うわー。めちゃくちゃ滑ってるぞ)
ルエラ姫:あ、あなたがミサ?
ミサ:まあ、そうなるかな。(あたし、めっちゃ滑ってるんですけど・・・恥ずかしくなってきた)
ジン:じゃ、じゃーん。呼ばれて登場!
カイト・ルエラ姫・ミサ:いや、呼んでないから。
作者:カオスだ・・・ ☆END☆

お待たせしました。今回は前に書いていた原稿に少し展開を練りました。新キャラルエラ姫の登場で、カイトとミサとルエラ姫の三角関係とか書きたいですね。切実に。

  • そもそも「小さい竜の背中に乗った少女の叫び声が…」と初登場していたルエラ姫について→「こ、こいつ、女だったのか。男かと思ってた」

オレはフィーネが吐く黒い炎を見て、「やるじゃん、フィーネの奴」と何度も頷いて感嘆する。
フィーネの炎よりすげぇじゃねぇか。ひょっとして、フィーネの方が実力は上なのか?

異世界アルガスタ~異世界ユニフォンへ
一人称が「オラ」の通称オラカイトが主人公。ひとつ前の話からだいぶストーリーが飛んでいるが、後々ここまで話を繋げる予定だったらしい[※1]。

+ 第一話:攫われた王女ルエラ姫-

第一話:攫われた王女ルエラ姫
有志による復刻

真夜中。
ルエラ姫の寝室のバルコニーで、オラとルエラ姫は手を繋いで満月を見上げていた。

隣のルエラ姫は、黒いリボンカチューシャをつけ、胸までの金髪ストレートヘアで、寝間着姿のサンダルだった。
ルエラ姫が髪を掻き上げる。

オラはルエラ姫のボディガードなので、アルガスタ親衛隊の軍服を着ている。
帽子を被り、マントを羽織り、防弾チョッキを着て、革手袋を嵌め、革靴を履いているので、さすがに窮屈だ。未だに軍服は着慣れない。
ルエラ姫のボディガードは特別な任務なので、王家の紋章が記された腕章をつけている。
肩掛けの鞘と、腰にホルスターを巻いて、オートマチック銃で武装している。
射撃訓練は耳障りなだけで得意じゃない。剣じゃったら得意じゃがの。

オラは帽子を被り直して、左腕を手摺りに置く。
ルエラ姫は手摺に右手で頬杖を突いている。

ルエラ姫のシャンプーのいい匂いが鼻腔をくすぐる。
オラはルエラ姫のシャンプーのいい匂いを嗅いでは、うっとりする。
オラはアルガスタ親衛隊の隊長、ジン公認のルエラ姫のボディガードじゃ。
ルエラ姫のボディガードになったきっかけは、お忍びで城下町に遊びに来ていたルエラ姫を盗賊から守ったことだった。
まあ、幸い盗賊に盗られた物がお金や宝石で良かったわい。
親衛隊の隊長ジンに、オラの剣の腕を認められ、オラはそのままルエラのボディガードになった。
ルエラとは歳が近く、兵士たちにはルエラの女の子らしからぬ荒っぽさに参っていたらしい。
兵士は愛想のいい人や、不愛想な奴、陰口を叩く奴もおる。
オラは陰口が叩かれようがなんだろうが、そんなのは気にせん。
おかげで毎月高い給金を貰い、オラの家庭はすっかり潤っている。
家では、オラが大将じゃ。まあ、オラの給金はがっぽり持っていかれるがの。
父ちゃんがアルガスタ親衛隊で、オラは父ちゃんに剣の稽古を習ってたのもあるじゃろ。
それに、父ちゃんはジンと仲が良かったのもある。

オラはルエラ姫から手を離す。

「ルエラ姫、今日は綺麗なお月さまじゃのう。昨日は、お月さまが雲で隠れとったわい。今日は満月じゃ。狼男が襲ってくるかもしれんで」
オラは頭の後ろで手を組んで、満月を見上げて感嘆した。
満月から眠気が発せられ、オラは欠伸が出る。

しっかし、なんじゃ。
こげに武装せんでもいいじゃろうに。
動きにくくてしょうがないわい。
それにじゃ。アルガスタは平和なんじゃぞ?
今日は百年に一度の紅月じゃと、ルエラ姫が言っておったの。
そげに警戒する必要もないじゃろ。どうせ何も起こらんわい。
訓練する意味なんてあるんかいな。

ルエラ姫が手摺に背もたれ、不機嫌そうにオラを睨み据えていた。
ルエラ姫の眉の端がぴくぴくと動いている。

「カイト、なんで手を離したのよ? あたしと手を繋ぐのがそんなに嫌なわけ?」
ルエラ姫が頬を膨らませて拳を振り上げて、牙を生やしオラに食ってかかる。

オラは面倒そうにため息を零して、肩を竦めた。

「オラはルエラのボディガードじゃけえの。恋人でもあるまいし、手繋ぐなんて気色悪いわい」
オレは鬱陶しそうに手をひらひらさせて、ルエラ姫に舌を出した。

「はあ!? じゃ、なんで手を繋いでたのよ!?」
ルエラ姫は苛立って、腰に手を当ててオラの肩を人差指で小突いた。

「仕事じゃろが。お前のボディガードじゃけんのう。給金が高くてええわい」
オラは勝ち誇ったように、腕を組んで嫌味な顔をルエラ姫に向けた。
ルエラ姫に歯を見せて笑う。

「せっかく、ロマンチックなムードだったのに。カイトのせいで雰囲気ぶち壊しよ! せっかくカイトに告白しようと思ったのに。なによっ」
ルエラ姫は頬を膨らませ、頬を紅く染めて、腕を組んでそっぽを向いた。

「大丈夫じゃ。オラが、ルエラ姫を守るけえ。安心せえ。剣の腕は、隊長のお墨付きじゃけえ」
オラはルエラ姫の肩に手を置いて微笑んだ。

「カ、カイト……うん、ありがと。あたし、初めてカイトに会った時から、ずっとカイトのことが好きだった。だから、あたしのボディガード解雇しようと思ったけど、今ので撤回するっ。ありがたく思いなさいよ?」
ルエラ姫が恥ずかしそうに俯いて、オラに想いを告げた。
ルエラ姫が自分の肩に置かれたオラの手の甲に、自分の手を重ねる。

オラはルエラ姫の告白が可笑しくて笑った。

「なんじゃ。お前もオラのことが好きじゃったんか? じゃったら、オラもお前が好きじゃ」
片方の手で、ルエラ姫の背中を思いっきり叩いた。

ルエラ姫はオラの手を振り払い、オラから離れた。

「ちょっと、ついでみたいに言わないでよ! 王女のあたしに告白させるなんて、恥ずかしくないわけ?」
ルエラ姫は顔を真っ赤にして拳を振り上げ、腰に片手を当てる。
振り上げた拳が震え、眉の端がぴくぴくと動いている。

「なに言うとんじゃ、自分が言うからじゃろう。せっかく、オラが言おうと思ったのにのう」
オラは残念そうに肩を竦め、頭の後ろで手を組み、満月を見上げる。

ルエラ姫は否定するように、額に手を当てて首を横に振る。
「嘘よ、絶対嘘。ああ、もう! あたしの告白を返せー! カイトのばかやろー!」
悲鳴を上げて頭を掻きむしり、想いが爆発して中段蹴りが飛び出した。

オラの脇腹にルエラ姫の中段蹴りが思いっきり入る。

「うっ」
オラは痛みで思わず声が漏れて後退る。
怒りが込み上げ、拳を振り上げる。

「や、やりおったな。オラの天生牙てんせいがで、ルエラ姫の髪を切ってやろうか? ちょうどええわい、ルエラ姫の髪を天生牙で切りたかったんじゃ」
オラは肩掛けの鞘から天生牙を抜くと、天生牙を振り回した。

天生牙は、ルエラ姫のボディガードになった時に、ルエラ姫から祝いで貰った剣じゃ。
オラはお返しに、ルエラ姫の誕生日プレゼントに、ルエラ姫に黒いリボンカチューシャをあげた。

「ちょっと! 危ないじゃない! 天生牙、なおしなさいよ!」
「なにいうとんじゃ! そっちが仕掛けたんじゃろが!」
バルコニーを回るように、オラとルエラ姫は追いかけっこをした。
オラは、天生牙を振らないように気を付けながら。

その時、バルコニーの手摺に一羽の大鷲が舞い降りてきた。
大鷲は、バルコニーの手摺にとまった。

オラとルエラ姫は、顔を見合わせた。
食い入るようにバルコニーの手摺にとまった大鷲を見る。

大鷲のおでこにはごっついゴーグルが装着してあり、大鷲の腰にホルスターが巻かれ、二丁のオートマチック銃が挿してある。

「くえっ、くえっ~」
大鷲は大きな翼を広げた。
大鷲の大きな羽が、バルコニーに落ちる。

「なんだよなんだよ。ぶちゅっとキスしろよ。なんなら、押し倒してもいいんだぜ? くえっ、くえっ~」
手摺にとまった大鷲は急に人語を喋り出した。
可笑しいという様にオラとルエラ姫を指さして、お腹を抱えて笑っている。

オラは天生牙の刃先を、人語を喋る大鷲に向ける。

「お前、何もんじゃ?」
オラはルエラ姫と手を繋いで、大鷲を睨み据える。

ルエラ姫は、さっとオラの背中に隠れた。
ルエラ姫はオラの肩に両手を置く。

「おっと、オレはお前と戦うつもりはねぇ。刀をなおしな。姫様に用がある。つっても、相棒のアスカが姫様に用があるんだけどよ」
人語を喋る大鷲は、腕を組んだ。
大鷲は、オラとルエラ姫を交互に見る。

「ねぇ、カイト。喋る鷲って見たことある?」
ルエラ姫がオラの腕から身を乗り出し、人語を喋る大鷲を興味津々に見ている。
ルエラ姫は眼をぱちくりさせている。

「あるわけないじゃろ。こいつ、どこから来たんじゃ?」
オラは天生牙を鞘に納め、肩を竦めて顎に手を添え、まじまじと大鷲を見る。

「くえっ~、くえっ。おっと、お喋りはここまでよ。あんまり喋るとアスカに怒られちまう。まだ喋って欲しいって? じゃ、食いものよこせ。鰯いわし二匹だ。ってのは冗談でい。あばよっ! せいぜい、姫様を守りな! くえっ、くえっ~」
人語を喋る大鷲はまくしたてると、バルコニーの手摺から飛び立った。
大鷲の大きな羽がバルコニーに舞い落ちる。

オラとルエラ姫は、喋る大鷲を黙ったまま見送る。
オラとルエラ姫は、大鷲が飛び去った空を見上げていた。
ルエラ姫がため息を零して、オラの肩に顎を載せる。

「なんだったのよ。あの鷲。あいつのせいで興ざめよ。せっかくいい雰囲気だったのに。あ~あ、キスでもすればよかったなぁ」
ルエラ姫がオラから離れて肩を落とし、ぶつぶつ文句を言いながら、バルコニーの手摺に両手で頬杖を突く。
ルエラ姫はつまらなそうに、両手で頬杖を突いたまま満月を見上げている。

オラは、ルエラ姫がキスしようとしていたことに驚き、一瞬動きが止まる。

「まあまあ、ルエラ。って、キスしようとしてたんか!? ほんまか!? それは、その、心の準備がいるけえ。なんじゃ、その……」
オラは照れたように頭の後ろを掻いて咳払いし、恥ずかしそうにルエラ姫をちらちらと見た。

ルエラ姫は手摺に両手で頬杖を突いたまま、満月を見上げてため息を零した。

「なに本気になってるのよ。冗談に決まってるでしょ! バッカみたい」
ルエラ姫が不貞腐れて頬を膨らませ、オラに振り向き唸りながらオラを睨み据える。
ルエラ姫は顔を赤らめ、オラに舌を出して顔を戻した。

オラは怒りが込み上げ、拳を振り上げた。
オラの振り上げた拳が震えている。

「なんじゃと! キスくらいええじゃろが。今度は怪我ではすまんで?」
オラは天生牙を鞘から抜いて、八相の構えをして、ルエラ姫に不敵に笑った。

「なによっ!」
ルエラ姫がオラに振り返って、牙をむき出す。
オラに掴みかかろうとしたとき。

ルエラ姫の寝室の扉が静かにノックされた。

「ルエラ姫、入っていいかな?」

扉越しに響く、よく通る低い男の声だった。

ルエラ姫がオラに襲い掛かるポーズのまま立ち止った。

「ほら見なさい。見張りの兵士に注意されちゃったじゃない」
両手を腰に当てて、思わず小声になる。
オラの責任だと言わんばかりに、ルエラ姫は目を細めてオラを睨み据える。

「すまんすまん。はしゃぎすぎたわい。オラが出るけえ」
オラは片手で頭の後ろに手を当てて、手をひらひらさせて舌を出した。
オラは天生牙を鞘に納めると、ルエラ姫の寝室の扉に向かった。

「行かないで、カイト。今日は百年に一度の紅月よ? 今日は朝からなんか胸騒ぎがして変なのよ……」
ルエラ姫の心配そうな声が降って来て、ルエラがオラの軍服の裾を掴んだ。

オラはルエラ姫に振り向いて、白い歯を見せてルエラに笑った。
ルエラ姫はオラを見つめ、ルエラの眼がさざ波の様に揺れている。
ルエラ姫は両手でオラの裾を掴んだ。
オラはルエラ姫の手首を掴んで、ルエラ姫を抱き寄せた。
ルエラ姫の頭を優しく撫でる。

「心配しすぎじゃろ。ルエラ姫は、オラが守るけえ。行ってくるで」
オラはルエラ姫の額にキスをして、ルエラ姫の身体からそっと離れた。
オラはルエラ姫に背中を向けて、手を上げて振った。

「絶対よ? 何があっても、あたしを守って……カイトは、あたしのボディガードなんだから……」

オラの背中越しに、ルエラ姫の悲しい声が突き刺さる。
また、ルエラ姫の寝室の扉がノックがされる。
オラは、ルエラ姫の寝室の扉を静かに開けた。

「こんばんは。ルエラ姫はボクが攫うよ。ボディーガードくん」

少女の凛とした声。
少女は灰色のツインテール、右眼には精巧な眼帯をしている。
眼帯からは紅いレーザーが伸び、眼帯のレンズが伸縮したりして、オラのデータを採っている。
服は華やかな着物を着て、マントを羽織り、手には穴あきグローブを嵌め、両手の爪にはカラフルなマニュキュアが塗ってある。
膝下からすらっと足が伸び、素足で草履を履いている。
両足の爪にも、カラフルなマニキュアが塗ってある。

オラのお腹に、オートマチック銃の銃口が向けられ、少女は不敵に笑った。
引き金が引かれ、銃口から火を噴き、薬莢やっきょうが床に落ちる。
そして、少女はオラに銃を撃った。

「ぐっ」
オラは銃弾の衝撃波でオラの身体はくの字に曲がり、ルエラ姫のベッドまで吹っ飛んで仰向けに倒れる。

オラの身体に青白い電気が走り回り、青白い電気が痛そうな音を立てている。
オラの身体は痺れて動かない、オラの軍服のお腹に血が滲んでいる。
オラはお腹を手で押さえ、なんとか止血した。

防弾チョッキ、弾が貫通しおった。
あの銃、特殊な銃じゃわい。

少女がルエラ姫の寝室に足を踏み入れるのが見える。
少女は真っ直ぐルエラ姫に向かって歩く。
少女がオラに不敵に笑って、オラの横を通り過ぎる。

「お邪魔するよ。キミは痺れてしばらく動けないよ、ボディーガードくん。さあ、ルエラ姫。ボクと来てもらおう。抵抗するなら、話は変わってくる。どうする?」
少女の冷たい声が聞こえる。

オラは痺れる身体をやっと動かしてうつ伏せになり、少しずつ匍匐ほふく前進しながらルエラ姫を見る。

ルエラ姫は見知らぬ人間を見て、バルコニーで尻餅を突いて後退りしている。
ルエラ姫の右足のサンダルが脱げているのが見える。

「嫌、嫌よ。こ、来ないで。あ、あなた誰よ? 見張りの兵士はどうしたの? 何が起きてるの……」
ルエラ姫は、恐怖で声が震えている。首を横に振るばかり。

「くえっ、くえっ~」
さっきの人語を喋る大鷹が、開け放たれたルエラ姫の寝室の扉から侵入してきたらしく、人語を喋る大鷲はルエラ姫のベッドの手摺りにとまった。

「くえっ、くえっ~。事情も知らないで、攫われるのも面白くねぇよな! 姫様は、民衆の前で晒し首にされるのさ。その血は、魔王復活に捧げるってなもんよ。今宵、アルガスタの王族は攫われ、一週間後にアルガスタの王族は民衆の前で晒し首だ。傑作だね、こりゃ。アスカ、さっさと仕事を終わらせようぜ。オレは鰯が食いてぇんだ」
人語を喋る大鷹が大きな翼を広げて、翼を折りたたんだ。
人語を喋る大鷲がオラとルエラ姫を交互に見て、お腹を抱えて笑った。

「そうだね、ジェイ。今宵は、魔王復活の第一段階だ。魔物たちも紅月で不死身になる。余興を楽しませてもらうよ」
少女が言い終わった後、少女は掌を広げた。
少女の掌の上に載った小さな銀色の球。
少女は掌を翻し、小さな銀色の球を床に落とした。
床に落ちた銀色の球は閃光の後、煙が噴出された。

け、煙玉か。
オラは咳き込んだ。
オラは煙の中で、怒鳴っているルエラ姫に手を伸ばす。

「放せっ! 魔王の生贄なんてごめんよ! カイトー! 絶対助けに来て! じゃないと、呪ってやるからねっ!」
煙が充満する中。
アスカがルエラ姫を肩に担いでオラの横を通り過ぎる影が見えた。

オラは悔しくて、床を何度も叩いた。
、なにやっとんじゃ、オラは。
このままだと、ルエラ姫は魔王の生贄になる。それでええんか?
百年前に討伐隊によって封印された魔王。アルガスタで有名な話じゃ。

天生牙、オラに力を貸してくれ。ルエラを守りたいんじゃ。
オラは歯を食いしばって、天生牙を握り締め、天生牙を引き寄せる。
オラの涙が、天生牙の刀身に沁みる。
涙が一粒、天生牙の刀身に沁み。
二粒、三粒、四粒、五粒と、天生牙の刀身に涙が沁みる。

その時、オラの涙に反応したのか、天生牙が眩く青白く煌めく。
天生牙?
オラは天生牙を見つめた。オラに応えてくれたんか?
それを合図にオラの身体を青白い光が包み込み、オラの身体が軽くなった。
さすがにお腹の傷は治らんか。動くにはこれで充分じゃ。
オラは天生牙を床に突き刺し、お腹を押さえて立ち上がった。

オラはよろめきながら、ルエラ姫の寝室の扉を出た。
床にオラの血が滴る。
ルエラ姫の寝室を出た傍の壁に凭れ、左右を見る。
ルエラ姫の姿が見当たらない。
どこじゃ、ルエラ姫。今、行くで。

その時、廊下の柱時計が午前0時を知らせる鐘が鳴る。
窓ガラス越しに月を見上げる。
さっきまで青白かった月がみるみる紅く染まっていく。

「これが……ルエラ姫が言っておった、百年に一度の紅月か。二人で見たかったのう。それにしても、不気味な月じゃわい」
オラは窓ガラス越しに、紅月を見上げて鼻で笑う。

その時、廊下の紅い絨毯の上に黒い魔法陣が現れ、魔法陣が紅く光る。
魔法陣の中から、低級魔物が現れた。次々と魔法陣が現れる。
野犬の様な魔物、烏の様な魔物、猿の様な魔物、鬼の様な魔物、大鎌を持った死神のような魔物。
どの魔物も眼が紅く光り、獣は涎を垂らし低く唸り、武器を振り回している。

こいつら、オラの血に寄ってきたんか?
王族を攫う仕事をサボって、そげにオラと遊びたいんか?
オラは天生牙を床に突き刺し、おもむろに立ち上がった。

「オラの最期の仕事じゃ。ルエラ姫、すまん。そっちに行けそうにないわい。思った以上に傷が深いで。じゃけえ、お前ら、行くでぇ!」
オラは天生牙を握り締め、お腹からの出血に構わず、魔物に向かって駆け出した。

天生牙一振りで、魔物の身体が一つの光の玉となって弾け飛んだ。
これが、天生牙の本当の力なんか?
天生牙の刀身が青白く光っている。
魔物を倒す度に、傷が癒えるような気がする。

オラは次々に魔法陣から現れる低級魔物を斬り倒しながら、廊下を駆けた。
お腹の傷を押さえながら。意識が遠のいて倒れながらも。

その時、窓ガラスから、火矢が窓ガラスを突き破り、火矢が壁に突き刺さる。
魔王軍の奴ら、城を燃やす気か。

オラは煙臭い廊下を口許を手で覆いながら進み、階段をよろけながら下りる。
階段の踊り場で、階段を上がってくるジンと出くわした。

ジンがオラの肩に手を置いた。

「カイト、まだいたのか。ここは危険だ。早く脱出するんだ。わたしは他に生存者がいないか、見回ってくる」
ジンは上を見上げて、オラに注意を促す。

ん?
なんでシンがルエラ姫を担いどるんじゃ?

「おい、ジン。なんでルエラ姫を肩に担いどるんじゃ?」
オラはジンの肩に担がれたルエラ姫を見て、オラは首を傾げた。

「廊下でルエラ姫が倒れてたんだ。他の兵士にルエラ姫を預けようにも、他の兵士が見当たらなくてな。恐らく魔物にやられたんだろ」
ジンはルエラ姫を担ぎなおす。

なんか変じゃのう。オラはまた首を傾げる。
ルエラ姫は、あの女に攫われたはず。
大事な生贄を、廊下に置き去りにするもんなんじゃろか?
いや、それはないじゃろ。

それに、こいつから殺気を感じるで。
こいつ、オラの知っとるジンじゃない。
誰かがジンに化けとるな。オラを油断させるために。

「カイト、こいつは偽物のジンよ!」
ルエラ姫の大声が聞こえる。
ルエラ姫が目を覚ましたのか、じたばたしている。

ジンは何故かため息を零した。

「ボディーガードくんの知っている人間に化けても、殺気までは消せなかったか。ボクにしては上出来の変化だ」
ジンは頷いてから、アスカに姿を変える。
アスカの変身の様は、まるでカメレオンが姿を変える様だった。

アスカの殺気が一気に解放された。
オラはアスカの殺気で動けず、オラの眼はさざ波の様に揺らいでいる。
オラの手から天生牙が滑り落ちた。
階段の踊り場に落ちた天生牙が軽い音を立てる。

アスカが顎に手を当てて、まじまじと床に落ちた天生牙を見つめる。

「天生牙か。面白いものを見せてもらったよ、ボディガードくん。余興はここまでにしよう。キミはここで死んでもらうよ」
アスカは床に落ちた天生牙を拾うと一振りした。
アスカは不敵に笑い、オラの胸に天生牙を突き刺し、天生牙を引き抜いた。
アスカは天生牙の刀身についた血を眺めて、天生牙を投げ捨てた。

「カイト!? あんた、カイトになにしたのよ! 放しなさいよ!」
ルエラ姫はオラに振り向くが、状況を呑み込めず、必死に抵抗している。

オラはよろめいて、階段の踊り場の壁まで後退る。

「急所外しちゃったか。まあいいや。さて、ルエラ姫には絶望してもらおうかな。ボディーガードくんの最期を見届けなくちゃ」
アスカが閃いたように指を弾いて鳴らし、アスカはホルスターからオートマチック銃を抜いて、オラに不敵に笑った。
アスカはオラに銃口を向け、オートマチック銃は高い機械音を鳴らす。

「チャージショット」
アスカは静かに言うと、躊躇せずオラを撃った。
撃つ瞬間、銃口から火が噴いて、薬莢が床に落ちた。

「ぐっ」
オラは口から血を吐いて、銃弾の衝撃波でくの字に吹っ飛んだ。
さっきの銃弾より強力だった。
銃弾の衝撃波により、階段の踊り場の壁を突き破った。
オラは断崖絶壁に投げ出された。

オラは階段の踊り場に、ぽっかり開いた穴を見る。

アスカはホルスターに銃を収め、ルエラ姫を肩に担ぎなおす。
アスカは踵を返して階段を下りてゆく。
ルエラ姫が階段に吸い込まれてゆく。

「カイトぉぉぉぉぉー! イヤぁぁぁぁぁ!」
ルエラ姫が叫んで、オラに手を伸ばす。

オラは歯を見せて笑い、親指を突き出した。
ルエラ姫の涙が風に運ばれ、オラの頬を優しく撫でる。

「くえっ、くえっ~。奈落の底へ真っ逆さまだな。さぞ、姫様が泣くことだろうよ。こりゃ傑作だぜ! くえっ、くえっ~」
ジェイがオラの傍にやってきて、お腹を抱えて笑っている。
くちばしに天生牙を銜えて。
笑い過ぎて額のゴーグルがズレて、くちばしを開けて天生牙を落とした。

「ほらよ、お前さんの武器だろ。冥土の土産として持っていきな。短い時間、せいぜい楽しめや。くえっつ、くえっ~」
ジェイは高笑いしながら、空高く羽ばたいた。
ジェイの大きな羽が舞い落ちる。

オラは落ちてくる天生牙の刀身を掴んだ。
天生牙の刀身を掴んだので、オラの掌が切れて、血が手首を伝う。
行くで、天生牙。最期までお前と一緒じゃ。

オラは瞼を閉じた。

ルエラ姫、すまん。
最期にお前に会えてよかったわい。
ルエラ姫の言う事を聞けばよかったんじゃ。
なのに、オラは聞く耳を持たんかった。死ぬのが怖い、怖いんじゃ。
オラは涙を流して、お腹の上で天生牙を抱き締めた。
オラの身体が逆さまに、断崖絶壁に沈んでいく。
風がオラの身体を、死への恐怖へと誘いざなうように撫でる。
さよなら、アルガスタ。

もしよろしければ、感想・評価・ブクマ、よろしくお願いします。

Twitter→https://twitter.com/hamakawa20153

  • カイトとルエラ姫のじゃれあいのつもりで書かれた、「刀を振り回して姫を追い回す」という狂気的な場面が登場。

「や、やりおったな。オラの天生牙(てんせいが)で、ルエラ姫の髪を切ってやろうか? ちょうどええわい、ルエラ姫の髪を天生牙で切りたかったんじゃ」

  • 武器の名前は「犬夜叉」からのパクリ。
+ 第二話:栞と葛城とカイト-

第二話:栞と葛城とカイト
有志による復刻

 オラの記憶が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。 
父ちゃんのようなアルガスタ親衛隊を志していたこと。
ルエラ姫との出会い。盗賊との戦い。ジンとの出会い。
射撃訓練は成績が悪かった。ジンとの剣術の稽古。初めてのルエラ姫の護衛任務。
お忍びでルエラ姫と一緒に城下町に出掛けたこと。
ルエラ姫との淡い思い出。

そっと瞼を開ける。
オラは断崖絶壁を急降下しているわけではなかった。
何故か蒼い空を仰向けに急降下していた。
手にはしっかりと天生牙を抱き締めている。
風が冷たくて心地いい。

綿あめの様な雲をすり抜けてゆく。
オラは身体を捻じって、うつ伏せになり両手足を伸ばし空を泳ぐ。

オラは生きてるんか?
自分の身体を見ると、何故か身体が半透明になり始める。
眼下に大地が広がり、見たこともない建物が建っているのが小さく見える。
ここは天国か?

その時、オラの傍らに、箒に跨った女の子が寄って来た。

箒に跨った女の子は、黒いとんがり帽子を被り、帽子の先がくるんと曲がっている。
髪は淡いピンクのストレートヘア。髪の先っちょを紅く染めている。
前髪にハートのヘアピンを留め、左の瞳が澄んだ蒼色で、右の瞳がエメラルドグリーン。
耳にはハートのピアスをつけ、首にはハートのネックレス。
黒いワンピースを着て、胸に小さな紅いリボンをつけ、右手首にブレスレットを嵌めている。
お尻の辺りに大きな紅いリボンが付いて、縞のニーソックスを穿き、黒いリボンパンプス。
箒の先端の小さな穴に、ハートのキーホルダーが付けてあり、背中に小さなくまのぬいぐるみを背負っている。

女の子は微笑んでオラに手を振った。

「あれ? キミもユニフォンに来たの? アリスはアルガスタから転移してきましたぁ。アリスはね、アルガスタに転生した魔王様を探さなきゃならないのです。アリスね、初めてユニフォンに来ちゃった。もともと、アルガスタとユニフォンは一つの世界だったらしいよぉ。せっかく、ユニフォンに来たんだし、ついでに観光しよっと。それじゃ、まったね~」
少女はオラに手を振ると、ウィンクと投げキッスを同時にして、箒で急降下していった。

さっきの女、なんじゃったんじゃ?
ひょっとして、オラにお迎えが来たんか?
オラは首を横に振る。

眼下に大地が迫り、見たこともない建物が大きくなる。

「まずいで! オラはまだ死にたくないんじゃ!」
オラは手足を必死に動かす。
重力に逆らうことはできず、オラの身体は虚しく落ちてゆく。

このままじゃと、地面に激突じゃぞ。
なんとかせえ、オラの天生牙。

オラは祈るように天生牙を天に翳した。
その時、陽光を浴びた天生牙が眩く青白く煌めく。
強烈な青白い光が、オラの身体を包み込む。

眼下に建物が迫る。
瓦屋根に激突しそうになり、オラは思わず顔の前で手を覆い目を瞑った。
もうダメじゃ。

次の瞬間、身体に痛みを感じた。
オラは瞼を開けると、階段を転げ落ちていた。
オラは階段下まで転がり落ち、胡坐をかいて頭の後ろを擦る。

「いててて」
上半身がすぅっとして違和感を感じ、自分の身体を見ると何故か安物の着物を着ていた。
恰好は白いシャツに藍染着物、下は皺だらけの野袴を穿いて素足だった。

オラは腕を組んで考え込み、首を傾げた。
な、なんでオラが着物着てるんじゃ?
アルガスタの軍服を着とったのに。
それに、オラの身体は半透明になってたはずじゃ。
どうなってるんじゃ?
オラは顔を上げて、辺りを見回した。

それにしても、ここはどこじゃ?
天井が高く、階段上の窓からは陽が差し込み、階段上の二階の廊下越しに閉まっている襖が見える。
一階は長い廊下が続き、閉まっている襖が何室かある。壁には虎の墨絵や風景の墨絵が飾ってある。
小鳥の囀りが聞こえ、家の造りは喉かな日本家屋だった。

その時、オラの目の前に半透明の男が現れた。
格好はオラと同じで、オラと顔がそっくりじゃった。
もう一人のオラは、頭の後ろで髪を小さく結えている。
オラは思わず自分ともう一人の自分を見比べて、オラは唸って腕を組んで首を傾げる。

「お前がカイトじゃな?」
もう一人のオラは両手に腰を当てて、オラに訊いた。

オラは、もう一人の自分に向かって黙って頷く。
もう一人のオラは、腕を組んで微笑んだ。

「オラの身体、大事にせえよ。栞を頼むで……」
もう一人のオラは天を仰ぐと、身体が光の玉となって静かに天に昇った。

オラはあんぐりと口を開けて顔を上げ、もう一人の自分を黙って見送っていた。
オラは眼を擦って、もう一人の自分が消えた方を見上げる。眼を細める。
さっきのは、ゆ、幽霊か?
オラはここにおるで?
やっぱ、オラは死んだんか?
オラは、もう一人のオラが消えた方に向かって、瞼を閉じて黙って手を合わせた。
何があったか知らんが成仏せえよ。オラのそっくりさんよ。
オラは腕を組んで首を傾げた。なんじゃったんじゃ?

その時、一階の廊下の奥から小走りに走ってくる可愛らしい音が聞こえた。
やがて、オラの前で小走りの音が止やんで、床が軋む。
廊下の奥から小走りしてきたのは、肩までのミディアムヘアで花の簪かんざしをつけた、和服を着た小さな女の子だった。
小さな女の子は後ろ手に小首を傾げ、不思議そうに眼をぱちくりさせてオラを見下ろしている。

「兄ちゃん、大丈夫?」
小さな女の子が心配そうに、オラに訊いてくる。

「だ、誰じゃ!? お前は!?」
オラは見知らぬ女の子を前にして、思わず後退る。

この子、誰じゃ?
人間みたいじゃが。
何されるかわからんで。
逃げようにも力が入らんわい。

オラの大声に驚いたのか、小さな女の子は眼をぱちくりしている。

そうじゃ、ルエラ姫はどうなったんじゃ。
あの女にルエラ姫は攫われたが、この子なら何か知ってるかもしれん。
もしかしたら、あの女が魔法でオラをアルガスタのどっかに飛ばしたかもしれん。
生きてるちゅうことは、ここはアルガスタのどっかなんじゃろ。
それに、オラの天生牙が見当たらん。どこいったんじゃ?

「おい。お前、ルエラ姫を知らんか!? ルエラ姫は攫われたんじゃ、なんか知らんか!? ここはどこなんじゃ!?」
オラは立ち上がり、小さな女の子身体を揺らす。
小さな女の子を責めるのが馬鹿らしくなり、オラは小さな女の子から手を離してため息を零した。

こんな小さな女の子に責めてどうするんじゃ。
ここがどこか知らんが、とにかく事情を知ってる人を探さんと。

「栞の知らない人。兄ちゃん、誰?」
小さな女の子は、腕を組んで小首を傾げている。

「オラはカイトじゃ。栞、じゃったの。誰か呼んできてくれんか? できれば大人がええんじゃが……」
オラは屈み込んで、小さな女の子の両肩に手を置いて、小さな女の子の顔を覗き込む。

その時、廊下の奥から足音が聞こえた。
足音は栞の後ろで止まった。
オラは思わず栞から顔を上げる。

栞の後ろに立つ男。
頭に白いタオルを巻き、丸メガネを掛け、蒼い作務衣に身を包んだ男が腕を組んで立っていた。

「光秀。さっき大きな音がしたが、また階段から転げ落ちたのか? この寝坊助め」
男はオラを見下ろして、鼻を鳴らして笑っている。 

小さな女の子は踵を返して、男の後ろに隠れるように男の脚にすがりついた。
オラはおもむろに立ち上がって栞を見送った。

「ん? 栞、どした? 光秀が怖いのか?」
男は栞の頭を撫でて、栞の顔を覗き込んでいる。

「栞の知らない人。栞の兄ちゃんじゃない」
栞は首を横に振って、男の脚に顔を埋めた。

男が栞と手を繋いで、顎に手を当てて唸りながら、舐めまわすようにオラを上から下まで見る。

「うーん……確かに、見た感じは光秀じゃないな。顔は似てるけど……あれ? そのブレスレット、ひょっとしてアルガスタの物だろう? ユニフォンじゃ見かけないしな、ブレスレットなんて。……そうか、キミが私の先祖、カイトくんだね? カイトくんのことは、お婆によく聞かされたよ。英雄伝としてね。そうか、この日が来たか。ようこそ、ユニフォンへ。僕は未来のアルガスタからこっち(ユニフォン)に移住してきた、佐藤葛城だ。ああ、アルガスタでの名前はアランだ。アルガスタでは刀鍛冶を営んでいてね、僕の技術をこっちに売りにきたんだ」
男は、オラの左手首に付けている白色のブレスレットに目が止まり、男はオラに訊いた。
その後、男は面白くもなくまくしたてた。

男が信じがたいことを言うので、オラは苛立って眉間に皺を寄せた。
オラは口を尖らせて腕を組み、人差指が上下に動いていた。

「オラの先祖じゃと!? アルガスタの未来人じゃと!? オラが英雄じゃと!? 訳がわからんわい。おい、あんた。誰か知らんが、とにかく説明せい! ここがどこで、オラは誰で、どうしてこうなったんじゃ!? さっきから嘘言いおって、なんなんじゃ!」
オラは葛城の上着の裾を掴み、拳を振り上げた。
オラは頭のモヤモヤを掻き消すように、頭をくしゃくしゃにした。

「まあまあ、落ち着いて。信じられないのもわかるよ。栞も怖がってるし、お茶でも飲みながら話そうじゃないか。あっ、そうそう。家系図を持ってくるよ。それで、カイトくんが僕の先祖だってことが証明されると思うから」
葛城は栞と手を繋いだままオラの肩に手を置いて、葛城はオラに優しく微笑む。

「勝手にせい。あんた、何か知ってそうじゃけえの。訊かせてもらうで」
オラは葛城の腕を振り払い、腕を組み、鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

「ああ。カイトくんが納得するまで、僕は話すよ。さてとっ、客間に案内しよう。美味しい茶菓子でも食べようじゃないか」
葛城は栞の頭を撫でて、栞と手を繋いだまま踵を返し、廊下の奥に向かって歩いてゆく。

栞が後ろを振り向く。オラが気になるんじゃろか?

「なんでこげなことになっとんじゃ」
オラはぶつぶつ文句を言いながら、頭の後ろで手を組んで、葛城の背中を大股で追いかける。

試しにオラの頬を思いっきり摘まんでみる。

「いてっ」
じんと頬が痛んで、頬を摘まんだ手を離した。
オラは両手の掌を広げ、自分の掌を見つめる。

やっぱ、夢じゃないわい。
なんでオラは生きとるんじゃ?
アルガスタはどうなったんじゃ?
ルエラ姫、無事でいてくれよ。
オラは両手を握り締める。
オラは真っ直ぐ前を向いた。

葛城は廊下沿いの襖を開けて、オラを手招きした。
栞は葛城の後ろに隠れて、顔をちょこんと覗かせている。
オラが近づくと、栞は恥ずかしそうに葛城の脚に顔を埋める。

「この部屋で待っててくれるかい? 今、茶と茶菓子を用意してくるから」
葛城はにっこりとオラに笑いかける。

「罠とかじゃないじゃろな?」
オラは鼻を鳴らして、恐る恐る客間に足を踏み入れた。

「はっはっははっ。さては寝ぼけてるね?」
葛城は背中で、オラを馬鹿にした声が聞こえた。

夢ならえんじゃがの。
オラはため息を零した。

客間はこじんまりとした和室で、真ん中に丸テーブルが置かれ、壁際に棚が置いてあった。
壁には花の掛け軸が飾っている。掛け軸の傍に刀架があり、刀架に一本刀が掛けてある。

「栞。兄ちゃんと一緒にいる」

オラが部屋を見回していると、背後で栞の声が聞こえた。
オラは栞に振り向いた。

「そうか。じゃ、二人で仲良くしてるんだぞ? 僕は栞の好きな饅頭を持ってくるからね」
葛城が屈み込んで栞の頭を撫でた。

「うんっ!」
栞は嬉しそうに頷いた。

オラは初めて栞の嬉しそうな顔を見て、思わず栞に振り返った。
この子、口数が少ない子じゃと思ったが、ちゃんと感情表現できるんじゃな。

「カイトくん。妹の栞と仲良くしててくれ。なあに、新しい妹ができたと思えばいいさ。こっちの暮らしも悪くないよ? そうそう、自己紹介が遅れたけど、僕はカイトくんの父親なんだ。まあ、カイトくんは私の先祖だから、ややこしいけど。すぐ慣れるよ。なんなら、父さんって呼んでもいいからねっ」
葛城はちゃっかり皮肉を言いのけて立ち上がり、去り際にウインクして手を振って廊下の奥に消えた。

オラは腕を組んだ。
オラは葛城の先祖じゃろ?
葛城は、オラの父親でもなんでもないじゃろが。
なんじゃい、偉そうに。

栞と眼が合う。
オラは栞と二人きりになった。
栞は黙って、オラを見上げている。

オラは重たい空気に耐えられなくなり、頭の後ろを掻く。

「そ、その、なんじゃ。さっきは怖がらせて、わ、悪かったの。し、栞」
オラは栞の痛い視線に負けて、人差指で頬を掻いて、栞から顔を背けた。

栞は急に右手を上げて、オラに強く指を差した。

「栞の知ってる兄ちゃん、カイトが来て死んだ。兄ちゃんを返して」
栞の言葉は強く、栞は今にも泣きそうな眼をして、オラを見上げている。
栞の眼に涙が滲んで、手で涙を拭い、洟をすする。

「!? し、栞……」
オラは思わず、栞に振り向く。
オラの眼は動揺で、さざ波の様に揺らいでいた。

そうか。
オラに似た奴は、栞の兄ちゃんじゃったんか。
どうなったかはわからんが、栞の兄ちゃんとオラの身体が入れ替わり、栞の兄ちゃんが死んだちゅうことか?
オラは俯いて首を横に振る。

妹、か。
オラの妹のシオンは可愛いが、生意気で、オラとロクに口も聞かん年頃の女じゃ。
オラがシオンに近づけば、なにかと暴力を振るう。手に負えん。
それに比べて、栞は口数が少ないが、いい子じゃ。じゃが、オラは栞を悲しませてしまった。
まだ状況はわからんが、栞を悲しませたのは事実じゃ。

オラは栞の兄を亡くした罪悪感が込み上がり、屈み込んで栞に抱き付いた。

「栞、すまん。オラにもわからんのじゃ……許してくれ、栞。オラは、栞の兄ちゃんじゃないんじゃ。オラにも、妹がいるけえ。オラの妹、シオンちゅうんじゃ。シオンは生意気での、オラとロクに口も聞かん仲じゃ。オラが近づけば、シオンはオラに暴力を振るうんじゃ、信じられんじゃろ? オラの妹の話をしても面白くなかったの。栞、すまん……栞の兄ちゃんとオラの身体が入れ替わった時、栞の兄ちゃんに会ったんじゃ。栞の兄ちゃんは言っておった、妹の栞を頼むと。栞の兄ちゃんは……天国に逝ったんじゃ。オラが栞の兄ちゃんを殺したんじゃ。栞、オラを好きなだけ恨んでもええ。栞が望むなら、オラは今すぐ出て行くけえ。二度とこの家には戻ってこんけえ」
オラは栞の背中で馬鹿みたいに嗚咽して、訳がわからずに自分の妹の話をして、栞の頭を一生懸命に撫でる。

「兄ちゃん、苦しい」
栞は声を小さく漏らした。

いつの間にか、オラは栞を抱き締めていたらしい。
オラは思わず、栞から離れる。

「すまん、栞。どこも痛くないか? 気分は悪くないか?」
オラは栞の両肩に手を置いて、栞の顔を覗き込む。

「……栞の兄ちゃん言ってた。兄ちゃんが死んだら、新しい兄ちゃんと仲良くするんだぞって」
栞は俯いて、悲しそうに言葉を紡ぐ。
お腹の上で組んだ指を、寂しそうに絡ませている。

オラは栞を抱き締めた。

「!? し、栞……すまん。オラはうつけ者じゃ。こんな兄ちゃんでええんか? 栞が怒った時は殴ってもええけえ」
オラは栞の背中で泣いていた。いつまでも。

「うん……栞、新しい兄ちゃんと仲良くする。でも……」
栞の元気がない声が聞こえる。

「栞? どうしたんじゃ?」
オラは栞から離れて、俯いた栞の顔を覗き込んだ。

「お腹空いた」
栞が俯いたまま、お腹の虫が鳴った。

それに答えるように、オラのお腹の虫も鳴った。

「オラも腹が減ったわい。茶菓子はまだなんか? 栞、待ってられんわい。台所に行ってつまみ食いでもするか?」
オラは栞の頭を撫でると、立ち上がって栞と手を繋いだ。

「うんっ」
栞は顔を上げて、眼を輝かせている。

オラと栞は手を繋いで廊下に出たところで、廊下の奥からお盆を持った葛城が現れた。

「随分、仲が良さそうじゃないか。栞は少し、新しいお兄ちゃんに打ち解けたかな? それとも。待ちきれなくて、つまみ食いでもするつもりだったかな?」
葛城は笑いながら、客間に入って行った。

オラと栞は顔を見合わせた。
葛城の奴、わかったような口を言いおって。

「葛城、はようせえ。待ちくたびれたわい。オラと栞はの、腹が減ったんじゃ。のう栞」
オラと栞は踵を返して、オラと栞は小走りに客間に入った。

オラは丸テーブルの前に胡坐をかいた。
栞はオラの隣に、ちょこんと正座した。

「今、用意するから。もう少し待っててね、おじいちゃんと栞」
葛城は茶菓子が盛られた小皿をオラと栞の前に置いて、お盆から湯呑を取り出し、オラと栞の前に湯呑を置く。
葛城はお盆から急須を持って、オラと栞の湯呑に茶を注いでいく。

「葛城。誰がおじいちゃんじゃ! オラは葛城の先祖とは認めんけえの! のう栞」
オラは隣に座った栞の頭にぽんと手を置いて、栞の顔を覗き込む。

葛城は急須をオラと栞の間の丸テーブルに置いて、オラの向かいに胡坐をかいて腕を組んだ。
葛城は丸テーブルの上に巻物を置いた。
栞は手を合わせて、お行儀よく饅頭をほうばる。

「これが、我が家の家系図だよ。ちゃんとカイトくんと僕の名前が載ってる。じっくり見るといいよ」
葛城はテーブルの上に巻物を置くと腕を組んで、ニコニコ笑っている。

オラは鼻を鳴らして巻物をひったくり、丸テーブルの上に巻物を広げて顎に手を当てて唸った。
オラは茶菓子が盛られた小皿に手を伸ばして、三色団子をほうばる。
栞も饅頭をほうばりながら、興味津々に巻物を覗き込んでいる。

「さて。何から話そうか……うーん。僕が思うに、カイトくんに何らかの力が働いて、ユニフォンに来たんだと思う……カイトくんがユニフォンに転生した紅月の日、魔王教団はアルガスタの王族を攫い、その一週間後に民衆の前で晒し首にした。王族の血は魔王復活に捧げられたけど、どうやら魔王復活の血が足りなかったんだ。つまり、逃げ延びた王族がいるってことになるんだ。それは、こっち(ユニフォン)に来たかもしれないし、アルガスタで生き延びているかもしれない。こっちに逃げ延びた王族なら情報が入っているよ。僕は、こう見えて王族を守る秘密結社の一員でもあるからね。あっ、王族の情報はね、遊郭十六夜で仕入れてるんだ。十六夜を拠点にしている隠密集の梓ちゃんは優秀だよ。神楽さんなんか魔法が使えるんだよ? すごいだろ? って、僕の話聞いてる?」

そうか。
オラは天生牙の力で、ユニフォンに来たんじゃ。
天生牙が消えたのも納得がいくで。
ルエラ姫に貰った天生牙じゃったのにのう。

オラは茶を啜りながら、黙って頷いて手をひらひらさせ、葛城の話を聞いているアピールをした。

「なんじゃ。オラは、ユニフォンちゅう世界に来たちゅうことか。じゃったら、ルビナ姫は生きているかもしれんちゅうことじゃな? さすが、アルガスタの未来人じゃ、歴史に詳しいのう。葛城、王族を守る秘密結社なんじゃろ? なんかないんか? 王族を見つける道具とかあるじゃろ? 十六夜に行けば、何かわかるかもしれんの」
オラは巻物から顔を上げずに家系図を指でなぞり、自分の名前と葛城の名前を見つけて、巻物を丸テーブルの上に放り投げた。
オラは畳の上で大の字になり、頭の後ろで腕を組んで天井を見上げた。

「ちょ、ちょっと。家系図、大事な物なんだからっ。王族を見つける道具? あることはあるけど、僕には使えないんだ。歴史が変わりつつあって、時空も歪みつつある。だから、秘密結社としての僕の力が弱まってるのかもしれない。カイトくんなら使えるかも。あっ、そうそう。僕の家には立派な道場があるんだよ。お爺さんの代で道場は潰れちゃったけど。こっちは住みやすくていいよ? もう長いこと、こっちで暮らしてるよ。けっこう多いよ、未来のアルガスタからこっちに越してきた人」
葛城は腕を組んで、まくしたてた。

「な、なんじゃと!? 王族を見つける道具、あるならはよう出さんか! どこでアルガスタの歴史が変わったんじゃ!? 未来のアルガスタは平和なんじゃろな!? 魔王はどうなったんじゃ!?」
オラは起き上がって丸テーブルを叩いて、身を乗り出した。
起き上がる勢いで膝を丸テーブルにぶつけて、膝がじんと痛んだ。

隣の栞が驚いて、眼をぱちくりさせている。
栞の饅頭を食べる手が止まっている。

「お、落ち着いて。未来のアルガスタは平和だよ。少なくとも、歴史が変わらない限りね……百年前の紅月、魔王は討伐隊によって処刑されるはずだったんだ。だけど、討伐隊の中に裏切者がいたんだよ。そいつが魔王を手引きして、魔王をアルガスタの地下深くに封印した。噂じゃこっちに魔王が転生して、影で暗躍しているみたいだね。魔王次第で、歴史が変わるといっても過言じゃない。つまり、僕たちの存在が消える可能性だってある。恐らく、魔王の目的はこっちの世界で紅月を作ること。そして、紅月の力でアルガスタへのゲートを完成させ、アルガスタとユニフォンを一つの世界にして、世界を支配すること。僕がこっちに来る前に、お婆のお告げがあった。選ばれし者がアルガスタから転生してくる時、運命は廻り始めると。それが、カイトくんだよ。お婆は最後のお告げをして亡くなった。百年に一度の紅月、その度に魔族と戦争が起きる。これを百年戦争と呼んでいるんだ。古い歴史だと、悪しき者が呪いで神と死神に転生させ、アルガスタを支配していた時代もあるんだ。うちの蔵に、神の魂を封じた勾玉があるよ。どうやら、その悪しき者が紅月を造ったっていう噂もあるけど、僕にはわからない。なにせ、古い歴史でね」
葛城はまくしたてると、お手上げだという感じで頭の後ろを掻いた。

「そんなことはどうでもええんじゃ。葛城、はようルエラ姫を見つける道具を出さんか! そげにいっぺんに言われてもわかるわけないじゃろうが。オラが葛城の先祖ちゅうのは、よおわかったで。今は、それだけわかれば充分じゃ」

オラは丸テーブルで打った膝を両手で擦りながら、葛城に怒鳴った。

「はいはい。こっちに逃げ延びた王族は、魔王も狙ってるからね。今は、王族の問題解決が先だよね。長話ばっかでごめんごめん」
葛城は頭の後ろを掻いて、懐からメガネケースを取り出し、黒ぶちメガネのフレームを広げて、黒ぶちメガネを丸テーブルの上に置いた。

「なんじゃ? ただのメガネにしか見えんで?」
オラは黒ぶちメガネをひったくって、黒ぶちメガネをまじまじと見る。

栞は身を乗り出して、興味津々に黒ぶちメガネを覗き込む。
黒ぶちメガネのレンズに、饅頭を手に持った栞が映り込む。

葛城は勝ち誇ったように腕を組み鼻で笑った。

「ただのメガネじゃないよ? そのメガネを掛ければ、王族がこっちに来る前の姿が見えるんだ。つまり、アルガスタでの姿が見えるってこと。もちろん、アルガスタからこっに来た他の人も、アルガスタでの姿が見える。秘密結社で作られた特殊なメガネなんだけど、僕が掛けても普通のメガネなんだよね……カイト君。試しに掛けてみてよ、僕のアルガスタでの姿が見えるはずだから。ダメなら、他に方法を考えよう」
葛城は人差指を小さく振って、面白そうに自分を指さした。

オラは葛城を一瞥して、葛城に騙された気がしてため息を零した。

「一回だけじゃぞ?」
オラは文句を言いつつ、黒ぶちメガネを掛けてみた。
そして、改めて葛城を見る。

葛城は、作務衣を着ているのは同じだったが、頭がプラチナのドレッドヘアだった。

「か、葛城。お前、なんじゃその頭は!?」
オラは思わず声を上げて、葛城の頭を指を差した。
栞はオラの隣で小首を傾げている。

これが、このメガネの力なんか?
オラはメガネを外して葛城を見る。葛城は、ちょっと頑固などこにでもいる刀鍛冶職人じゃのう。
また黒ぶちメガネを掛け直し、葛城を改めて見る。頭が変な刀鍛冶職人にしか見えんで。
オラは拳を振り上げて、ガッツポーズをした。
これで、ルビナ姫を探せるで。ルビナ姫がこっちに来てることを祈るしかないがの。

栞は、ガッツポーズをするオラを不思議そうに見て小首を傾げ、饅頭をほうばった。
葛城は恥ずかしそうに、頭の後ろを掻いた。

「ええっと……アルガスタでは、若者の間でドレッドヘアが流行ってたんだ。こっちじゃドレッドヘアは目立つから、黒髪にしたんだよね。どうやら、カイトくんはそのメガネ使えそうだね。これで、こっちに逃げ延びた王族探しはなんとかなりそうだね。実は、梓ちゃんも王族探しはお手上げみたいでね。王族の情報を集めるのがやっとだったんだよね。梓ちゃん、メガネ使えないし。神楽さんの魔法の力を借りてなんとかなってたけど。でも、悪いことにこの町に千春と二コルがやって来てる。千春と二コルの目的は、特別な生贄を探してるみたいだ。詳しいことは僕にはわからないけど、こっちに逃げ延びた王族が狙われる可能性がある。充分気を付けてね。それと、この町の上空には瘴気が覆ってる。まだ瘴気は弱いけど、身体が弱い人は体調を崩しやすい。この町の医者は大忙しで、手に負えないみたいだよ。なんとかしないとねぇ。どうやら、瘴気の原因は千春と二コルみたいだけど」
葛城は腕を組んで、表情を曇らせてまくしたてた。
葛城は考え込むように唸り、その後黙り込んだ。

オラは丸テーブルを叩いて立ち上がった。
待っとれよ、ルビナ姫。オラは拳を振り上げる。

「こうしちゃおれんで。オラ、ルビナ姫を探してくるけえ。葛城、このメガネ借りるで」
オラは、腕を組んで考え込んでいる葛城に言うと、廊下を駆けた。

葛城の声がしたが、オラは立ち止らなかった。

  • 城壁を突き破り断崖絶壁へ落下→気づくと別の和風ファンタジーの世界に
  • 「なんとかせえ、オラの天生牙」→落下死から助かる(光秀の体に乗り移る?)
  • 佐藤葛城(かつき)というキャラクターが登場、葛城蓮(淫夢)からの着想ではという意見も。
  • 三色団子、饅頭を食べる。

↑ここまでがカイト編で、以下は転生モノに変更する前に書かれた「光秀」が主人公のストーリー。タイトル変遷は「オラの恋に青春してます!」→「オラの仲間と町に未来を!」→「光秀の、人を生かす剣の物語 ~光の欠片~」→「光秀の、人を生かす剣の物語 ~光の勾玉~」。(※単なる没原稿ではなく、のちのち修正して禁断の森編から繋がる一つのストーリーにする構想だった可能性が高い。)


ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~(外伝)

容量が大きすぎるので分割→小説家になろう(カイト編外伝)


ゾット帝国親衛隊ジンがゆく!~苦悩の剣の運命と真実の扉~

容量が大きすぎるので分割→小説家になろう(ジン編)


ゾッ帝考察

考察ブログ(はなくそモグモグ)の記事
【純文学】■■■さんの脳内辞書を考察。【順文学】
順文学頻出表現ランキング
順文学頻出表現ランキング;続き
スレ民による考察(一部)
出典元:【ときめき】*****_game第263回オフ会0人【メモリアルやわ】

842 名無しさん sage 2015/11/19(木) 12:30:21 aOyb2jMc0
今分かってるゾッ帝のパクリってテイルズとるろ剣とジュラシックワールドくらい?

846 名無しさん sage 2015/11/19(木) 12:35:15 RKnCihv20
>>842
マッドマックスとダークナイトも

850 名無しさん sage 2015/11/19(木) 12:37:07 Sb7kO94o0
テイルズS,R,A(シナリオ、キャラクター全般)
犬夜叉(武器)
泉南レオン(キャラクター、装備)
るろうに剣心(シナリオ、キャラクター全般)
ムジュラの仮面(キャラクター)
ジュラシックワールド(一部シナリオ)

取り敢えず目に付いたのはこんな感じ
知識がある人間が見たら即座にわかるレベルのパクリが随所に盛り込まれてる

出典元:【勃起したら】*****_game第346会オフ会0人【剥げるんかな?】

394 名もなきゾット帝国民 2016/04/22(金) 11:58:26 ID:******
ゾッ帝長くて読みたくないから自然言語処理の技術を使って何が書いてあるか分析した。
助詞とかを消した自立語の延べ語数が82199語で異なり語数(語彙数)は6187語だった。
計量言語学の資料を見てみてもこれだけの延べ語数でこの語彙数は結構少ないと思う。

https://gist.github.com/anonymous/3cc41eddc0b789fd4098ec4c86897981
LDAというトピックモデルを求めるアルゴリズムにかけた結果。簡単に言うと文中の単語を話題(トピック)ごとに振り分けるアルゴリズムで、トピックごとに出現率が高い順に単語が並んでる。
最初に言ったとおりゾッ帝は読んでないので解釈できる人の意見が聞きたい。

435 名もなきゾット帝国民 2016/04/22(金) 14:28:42 ID:******
>>394
身体語の頻出、人物名・地名の頻出
動詞のバリエーションの少なさ、漢語の少なさ、ファンタジーにもかかわらず新概念の設定(造語)の少なさ

異なるトピックで基礎的な語彙が被るのはわかるんだけど、それにしても身体語が多すぎる。実際読めばわかるが、身体表現によって逆説的に人物の内面を描写するのでなく、その行為に意味のない置き字的なものが多く不愉快。あとは「掻く」が多くて、その行為への作者の執着を感じさせる。
あとはカイト以外の登場人物は1トピックごとの使い捨てで、これは俺が読んだ時に同じことを感じて不憫になった。遊んでポイ…か…

632 名もなきゾット帝国民 2016/04/22(金) 23:05:03 ID:******
>>435
トピックの解釈 アジャース! アジャース!
■■■の行動全般に言えることとして想像力がないと思うんで、ファンタジー設定の用語が少ないことや(人の気持ちが想像できないゆえに)人物の内面が描写できないこともこれに由来してるんじゃないかなと思う。
掻くが3トピックにわたって出現してるのは、■■■がいろいろな場面でこの表現を使ってるということで、やっぱり相当なこだわりを感じさせる。

ちなみにあのデータだけで■■■がボキャ貧だと決定づけるのはかわいそうだと思ったんで小説家になろうの人気作のデータも取っただで。

対象は書籍化・アニメ化もされた『Re:ゼロから始める異世界生活』で、これは延べ語数が1392755語で異なり語数が26861語。この1392755語から、ゾッ帝と同じ長さの82199語をランダムサンプリングしたときの異なり語数が10255語。
つまり、書籍化されるレベルの人がゾッ帝と同じ長さの文章を書いたら■■■のおよそ1.66倍の語彙が出現するってことになる。

↑のゾッ帝トピックモデル
出典元:https://gist.github.com/anonymous/3cc41eddc0b789fd4098ec4c86897981

topic 0:亜 麻里 僕 する いる 様 ジョー 大男 音 顔 れる ジン バン たち 瞼 声 手 なる 聞こえる 室 監禁 ワタ シ その 機械 隊員 車 ん 肩 ない 喉 両手 拳 何 時 隊長 女 背中 壁 鳴らす 笑う まま 中 上げる 男 首 よう 振る 振り向く ドア
topic 1:する いる わたし の ん こと れる 菊 ある 勘兵衛 父 お前 この 力 さん そう 屋敷 人 私 ため ない 魔王 父上 なる 何 それ 人間 紅 よう てる 見る 月 殺す せる ここ くる しれる 姿 者 研究 武器 前 アルガスタ わかる 言う 剣 ジード 国 地下 いい
topic 2:いる 黒い する 着る 髪 男 白い 紅い 様 被る 眼 ある 右 嵌める 左 小さな 中 履く 耳 名前 バイク 少女 魔法 掛ける 魔物 黒 一 恰好 巻く 瞳 歳 鋭い 時 長い 性別 女 下 付ける 一人称 ライダー 生える スーツ ブーツ くる キャラ 小太り 台 武器 レオン ぬいぐるみ
topic 3:オラ する 栞 ちゃん 茜 いる ん 梓 女 そう 手 頭 顔 なる てる 見る 少女 二 この 神楽 光秀 宗次郎 振る の 肩 よう せる まま コル 腕 れる 千春 竹刀 声 組む 饅頭 掻く 置く 目 立ち上がる おる くる 後ろ 両手 兄ちゃん 首 笑う 上げる 言う 鼻
topic 4:わたし する いる 銃 刀 父上 菊 二 オートマチック 手 男 銀 鞘 床 杖 見る の 抜く ホルスター 腰 リボルバー 握る なる よう 向ける 竹刀 血 握り締める 斎藤 そう 銃口 コル 父 傷 押さえる 剣 ある 身体 震える 木刀 落ちる 撃つ 肩 柄 下げる 銃弾 この 睨む れる 腕
topic 5:オレ する ディーネ ハンター 型 翼 竜 いる フィーネ 顔 れる の 手 背中 古代 大型 首 なる ドラゴン ん くる オーヴ 口 恐竜 飛ぶ 獣 木 その 金 振る ラウル 小型 肉食 そう 遺跡 森 振り向く 大きな せる 前 白色 たち 匹 撃つ てる 目 当てる よう 鳴らす 上げる
topic 6:する いる オラ わたし よう 音 身体 時 二 その 声 なる れる 聞こえる 前 手 廊下 床 ガラス くる 銀 煙 壁 ある 見る 人 魔物 光 階段 中 倒れる 風 落ちる 一 そう 上 上げる ゆく 様 見える 立てる 火花 破片 の られる 青白い 目 散る 思わず 背後
topic 7:オラ ん する 姫 ルエラ カイト ジン てる いる 天生 梓 牙 アルガスタ なん の こと そう れる くい お前 ~ 笑う いい なる 僕 くん 一 来る くる どう 作者 ユニ フォン 葛城 なに 腕 ない 様 それ あらす まあ 前回 女 ルビナ 大鷲 アスカ さん 知る 組む あたし
topic 8:姫 ルビナ する わたし 僕 手 いる 顔 運転 席 てる ルエラ 見る の なる そう ん ある 私 ジョー ジン 涙 首 振り向く 両手 肩 隊員 窓 横 頬 腕 慌てる 拭う ベッド 上げる 置く 目 モニター こと 振る 掻く 叩く 額 人差指 胸 当てる 突く 傍 これ 写真
topic 9:オレ ミサ する ネロ 手 なる いる の ホバーボード 魔物 川 れる ん 瞼 カイト ワイヤー そう お前 てる 拳 顔 閉じる 玉 ショット 見る ゆく フック 時 シャボン 水 身体 嫌 まま 額 様 掴む られる 汗 くる その 気 ジャンボ 銀色 肩 横 攻撃 掌 喉 くれる 掻く
2, 3 は人物の描写、4 は戦闘シーンにそれぞれ見える。
考察ブログでも言及されていたけどオートマチックの出現頻度の高さがすごい。


活動報告

http://mypage.syosetu.com/mypageblog/list/userid/577768/ (アーカイブ)(最新10件のみ)

+ -

2015年から本格的に執筆~やっと投稿です!


2015年 03月05日 (木) 21:28


はじめまして。浜川裕平です。
タイトル通りの、活動報告なのですが……


2015年から、本格的に執筆してきた物語が、ようやく投稿できました!
なるべく、毎日執筆してますので。どうか、更新は気長に待っててください!


お時間がある時に、読んでくださいね~。
それでは、よろしくお願いします!


オラの恋に青春してます!最新話投稿しました!


2015年 03月07日 (土) 16:33


どうも。浜川裕平です。


更新したら、活動報告も更新しなくちゃ!と思いながら、書いてます(笑)
この活動報告から、僕の物語に辿り着いた方へ。ゆっくりしていってください。


一応、毎日執筆してま~す!
しかし、ネタ切れが、なによりも怖い……


よし、執筆せねばっ。
では、またお会いしましょう~。
って、書くことがないという(笑)


あっ、そういえば。
今、歯の治療中です(笑)


本当は電撃文庫に応募しようと執筆してたのですが……
応募規定枚数をオーバーしたので、小説家になろうに登録させていただきました。


あ~あ。
パンチ買った意味ないという(笑)


ではでは。
またお会いしましょう~!


オラの仲間と町に未来を! 百年前のエピソード。最新話更新しました!


2015年 03月08日 (日) 17:12


どうも。浜川裕平です。
はじめましての方は、はじめまして。
いつも、読んでくださっている方、ありがとうございます。


今回、最新話を更新するにあたり、小説のタイトルを変更させていただきました。
なんか違うなっと思ったので、このようなタイトルに変更させていただきました。


タイトル変更後は、しっくりきてます(笑)
タイトルを変えると、雰囲気が変わりますね。
改めて、タイトルの大事さを知りました!


というわけで、また執筆に励みます!
ではでは。


「オラの仲間と町に未来を!」更新しました!


2015年 03月10日 (火) 16:27


どうも。浜川裕平です。


今回は戦闘シーンということで、時間を掛けさせていただきました!
自分では、納得のいく表現ができたと思います(笑)


さて。
今度、なろうの生放送があるので、キーワードに「生放送朗読OK」のキーワードを入れてみました(笑)


もともと、この作品は電撃に応募するつもりで書いていたので。
まあ、応募枚数がオーバーしたので、小説家になろうで連載始めました(笑)
これからは、どんどん露出して、挑戦していこうかなと思ってます!


更新の前に、大事なお知らせ……


2015年 03月11日 (水) 17:49


どうも。浜川裕平です。
いつもお世話になっております。


次話を執筆中なのですが。
ふと、勘兵衛のエピソードを書きたくなってきました(笑)


作者が思うこと。
勘兵衛が、どうやって悪になったのか?
全ての始まりを書くべきではないか?
勘兵衛が悪になる前の、人間的な勘兵衛も書きたくなってきました(笑)
作者自身も、そんな勘兵衛に興味があります(笑)


というわけで……
しばらく本編の更新はお休みして、勘兵衛のエピソードを書こうと思います。
気まぐれな作者ですいません(汗)


更新の形としては、本編の前に、勘兵衛のエピソードを投稿すると思います。
時系列が、ごちゃごちゃにならないように(笑)


そういうわけで、よろしくお願いします!


勘兵衛のエピソードについて


2015年 03月17日 (火) 15:35


どうも。浜川裕平です。


ただいま、勘兵衛さんのエピソードを執筆中です。
執筆具合は、順調なのか?(笑)


なるべく早めに更新できるように頑張ります!
もうちょっと待っててね!


「わたしとオレの修羅への道」投稿しました!


2015年 03月17日 (火) 22:05


新エピソード始まりまーす!
更新、長らくお待たせしましたー!


勘兵衛さん。じゃなくて、信二さん。
信二さんを主人公にしてみたかったのと、作者自身、信二さんが悪になる前の人間的な信二さんと、どうやって、信二さんが悪になったのか?


これが、ものすごく興味があったので、今回このエピソードを書きました!
さてさて、これからどうなるやら(汗)


ほとんど、後書きと同じ内容ですが!


「信二と仁の修羅への道」更新しました!


2015年 03月19日 (木) 14:45


どうも。浜川裕平です。


いつもお世話になっております。
お待たせしました。第二話、更新しました!


なるべく、二日~三日くらいのペースで更新していきたいと思ってます。
ネタ切れが怖いですが(汗)


今回の後書きから、登場人物を登場させてみたり?
と、いろいろやっていこうと思ってます。


この活動報告から、自分を知った方。
お時間があるときに、ゆっくりと読んでくださると嬉しいです。
それでは。


信二と仁の修羅への道 更新しました!


2015年 03月21日 (土) 17:00


どうも。浜川裕平です。
第三話、更新しました!


Twitterのアカウント登録してみました(笑)
更新状況とか呟いていこうと思います。


そろそろ、光秀のエピソード更新するかもです(笑)
ではでは~。


オラの仲間と町に未来を! 更新しました!


2015年 03月22日 (日) 16:25


どうも。浜川裕平です。


久しぶりに更新しました(笑)
こんな感じで、交互に更新していくかもです(汗)


こっちを調整したり、あっちを調整したり。
自分が創造する世界なので、気ままにやっていこうと思います(笑)


「信二と仁の修羅への道」更新しました!


2015年 03月23日 (月) 21:49


どうも。浜川裕平です。
お待たせしました!最新話更新です!


今回は、けっこうあれやこれやと試行錯誤して、このような形となりました(笑)
本当は、最初の設定では、お菊は死亡キャラでした(汗)
でも、お菊はこれから、信二さんと恋愛して欲しいですね(笑)


前まで、あとがきに裏話とか書いてたんでけど。
今回から、更新する時の活動報告に書いていきます(笑)


さてさて。
光秀のお話も書かないとですね(笑)


ではでは。


「オラの仲間と町に未来を!」更新しました!


2015年 03月26日 (木) 15:12


どうも。浜川裕平です。
お待たせしました!最新話更新です!最新話じゃないけど…


今回のお話は、佐藤道場のお話の続きが書きたくて、執筆しました(笑)
お菊や麻里亜が登場します。お菊の恋の悩みとかも。
なかなか、ほのぼのシーンが書けたかなと思い、満足しております。


もう一話分書きたくなったので、もう少しお付き合いください(笑)
そして、信二さんのエピソードも書き終わったので、チェックが終わり次第、投稿しますね!


ではでは。


「信二と仁の修羅への道」更新しました!


2015年 03月26日 (木) 20:45


どうも。浜川裕平です。
今日は、二回目の更新です(笑)


信二さんのエピソード、更新しました!
これからは、交互に書いていこうかな(笑)


さてさて。
今回は、信二さんのお父さんが登場します。
結構、信二さんのお父さんの設定を悩みました。
真面目なお父さんで書くか、それとも、弾けた感じのお父さんを書くか(汗)
悩んだ挙句、ちょっと不気味なお父さんを書いてみました(汗)


個人的には、なかなかいい感じのお父さんに仕上がったと思います。
さて、信二さんは、お父さんと決着をつけなければなりませんね……


というわけで、次のお話もお楽しみに!
ではでは。


&bold(){「信二と仁の修羅への道」更新しました!
2015年 03月29日 (日) 20:40


どうも。浜川裕平です。
お待たせしました~。最新話の更新です!


今回は、展開に悩みながらも、このような展開になりました(笑)
新しい武器を手に入れたり、手紙を読んだり……
自分的には、納得いく仕上がりになったかな?


というわけで。
次回は、いよいよ父上との決着!
さてさて、またバトルシーンとは(汗)


「オラの仲間と町に未来を!」更新しました!


2015年 03月29日 (日) 22:31


どうも。浜川裕平です。
こちらも、最新話更新です!


今回は、ついに茜ちゃんが想いを光秀に打ち明けます!
いや~、恋はいいものだ!青春だ!恋愛要素大事!


そして、茜ちゃんと剣の稽古もあったり(笑)
ちょっぴり、光秀が成長します。
最後に急展開だったり(汗)


前に考えたキャラを書けて良かったぁ。
いい感じに登場させることができた(笑)


とまあ、次話は、またバトル?
バトル描写は難しい(汗)


ではでは。


更新のお知らせ


2015年 04月01日 (水) 20:18


どうも。浜川裕平です。


更新についてですが。
只今、過去のエピソードを構想中でございます(汗)
なんか、書きたくなっちゃって(笑)


なので、またまた最新話更新は先になるかもです(汗)
本当に申し訳ないです。


余談ですが、タイトル変更しました!
これで、ちょっとインパクトがある、タイトルになったかな(笑)
それと、ライト文芸賞に応募したのですが、締め切りまでに文字数足りるかな?


「仁の、人を殺す剣の物語 ~闇の欠片~」更新しました!


2015年 04月03日 (金) 16:32


どうも。浜川裕平です。


お待たせしました!信二さんの過去のエピソード更新です!
信二さんの大学生時代を書きたくなりまして(汗)


寄り道ばっかですいません(汗)


信二さんの大学生時代のエピソード。
あと一話か二話になりそうです(汗)


お菊さんとの出会いも書きたかったので(汗)
出会いは大切!ということで(笑)


光秀とのエピソードと合わせて、楽しんでもらえたらなと思います。
だいぶ、最初のプロットから、ストーリーが変わってますが(笑)


ではでは。


「光秀の、人を生かす剣の物語 ~光の欠片~」更新しました!


2015年 04月08日 (水) 12:42


どうも。浜川裕平です。


ここのところ、更新はTwitterでしたが……
たまには、こちらにも顔を出してみます(笑)


さてさて。
光秀のエピソード、ようやく更新となりました。
今回は、結構展開に悩みました(汗)


ライト文芸に応募しているので、なるべくハイペースにしたいところです。
間に合わなければ、次があるので、まあ焦らずに。
自分は2~3日をめどに、更新したいですね。時間を掛けたいです。


とまあ、こんな感じで。
もともと、次のなろうコンに応募するつもりで、なろうに登録したので。
なろうコンには応募しようと思ってます。


このペースでいけば、4月の末日まで10万文字いきますかね?
ちょっと微妙ですね(笑)まあ、マイペースに頑張ります!


ではでは。


「異世界転生!苦悩の剣の物語 ~闇の勾玉~」更新しました!


2015年 05月12日 (火) 13:29


こんにちは。浜川裕平です。
めちゃめちゃ久しぶりに、活動報告書いてみます(汗)
ここのところ、Twitterのほうで宣伝活動をしておりました。


今回は、闇の勾玉、第二話更新ということで。
実は最近になって、急遽ストーリーを変更しました。
というのは、なろうのランキングを覗くと、異世界ものや転生もの人気だったりするので。
じゃ、ストーリー変更するかってなりました(汗)
個人的には、異世界ものと転生ものにしたことで、より面白さが増したと思います。


まあ、ストーリーを繋げたり、新ストーリーを考えるのは楽しいですが。
これから、ぼちぼちやっていこうと思います。


もちろん、10万文字目指して、コンテストに応募したいと思います。


&bold(){新規読者さん大歓迎!
2015年 08月20日 (木) 15:57


こんにちは。
初めましての方は初めまして。
今年から本格的になろうで執筆活動している裕Pです。
久しぶりの更新ですね。約三カ月ぶりの更新となりました。


近況報告としては、来月にアルファポリスで開催されるファンタジー小説賞にエントリーします。結果はどうなるかわかりませんが・・・
何事も挑戦です。
もっと沢山の方の目に触れてもらいたいので、今回エントリーを決めました。
その代わり、第三回OVLWEB小説賞は諦めます。
今年もなろうコン開催すると思うので、エントリーしようかなと思ってます。


といううわけで、まだまだ拙い文章ですが、マイペースにやっていこうと思います。
裕Pでした。


小説家になろうwikiより

「小説家になろうwiki」に■■■本人が書いた記事の抜粋
オラの仲間と町に未来を!(※カイト編の旧タイトル)

  • あらすじ
    佐藤道場の師範代の息子、光秀。光秀の剣の腕は、からっきしだった。
    そんな光秀は、父の教えである、人を生かす剣の意味を探していた。
    一方、政府の転覆を目論む、一条仁。仁の真の目的は、国盗りだった。
    仁の剣は、人を殺す剣。新時代のために、国で暗躍する仁。
    光秀の人を生かす剣と、仁の人を殺す剣が交わる物語。
  • 主な登場人物
    光秀・栞・宗次郎・茜・神楽・梓・八重(現時点)
  • この作品のここがオススメ!
    明治という時代の中で、魅力的な登場人物たち。光秀の成長。そして、茜ちゃんとの恋。もちろん、バトル要素もあります(笑)これから、魅力的な作品に仕上げていこうと思います。
    信二と仁の修羅への道(※ジン編の旧タイトル)
  • あらすじ
    影の組織によって、父を死なせてしまい、その責任を感じた息子の信二。
    父の形見の刀を手に、憲兵団に入隊し、新時代を築くことを決意する。
    しかし、信二は護衛任務中に命を落としてしまう……
    信二は、あの世を彷徨う中で、死神と契約を交わすことに。
    死神から、新しい身体と新しい名を授かり、次第に、力に酔いしれてゆく。
  • 主な登場人物
    信二・お菊・麻里亜・銀二(現時点)
  • この作品のここがオススメ!
    この作品は、オラの仲間と町に光を! にリンクしてます(笑)もともと、オラの仲間と町に光を! を執筆していたのですが、敵が主人公の物語を執筆したくなりまして……敵さんが、どうやって敵になったのか? 人間的な敵を書きたくなりまして(汗)とまあ、魅力的な作品に仕上げていこうと思います(笑)
    ※なろうwikiには「裕P」「ゾット帝国親衛隊ジンがゆく!~苦悩の剣の運命と真実の扉~」のページも存在するが、どちらも■■■が作成・編集したものではない。

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