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  • 三間飛車対右四間飛車

 今回は初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩△6二銀▲7八飛△6四歩▲4八玉△6三銀▲3八玉△4二玉▲6八銀△5四銀▲5八金左△6二飛▲2八玉△3二玉▲3八銀と続く、三間飛車に対して右四間飛車に構えた形を指定局面とした。

 三間飛車はここ最近で見直しが進んでいる戦型だ。かつては穴熊に対する手立てが少なく採用する棋士もあまりいなかったが、トマホークや藤井システム調の作戦が開発されたことによってプロ間での採用率も年々増えている。

 こうした流行に拍車をかけているのが居飛車の対策の遅れだ。これまでは穴熊に構えていれば三間飛車には苦戦することはない、というのが共通認識であり、研究のウェイトは他の振り飛車対策に移りがちだった。その穴熊が必ずしも勝てる作戦でなくなったからには、急戦策を工夫するのが一つの手だろう。

 とはいえ三間飛車はもともと急戦策に対する強さを売りにする振り飛車だ。従来通りの急戦策では勝率はなかなか上がらない。そこで新たな鉱脈として期待したのが右四間飛車である。三間飛車に対する右四間飛車は昔からある対策ではあるが、最近ではここに流行のelmo囲いを組み合わせる形も試みられている(2019/2/25▲西田拓也―△本田奎)。

 今後さらなる発展が期待される作戦だ。また、従来振り飛車よしとされてきた局面が、実は居飛車よしだった、ということも起こりうるだろう。三間飛車が新たな可能性を見出したのなら、今度は居飛車が可能性を求める番だ。そういった意味で今回はこの局面を指定した。


■▲hhesse―△ntkwmk戦(自戦記:hhesse)

 

  • elmo囲い

 指定局面からの指し手
△4二銀▲6七銀△3一金▲6八飛△7四歩▲5六歩△5一金▲4六歩△8四歩▲1六歩△1四歩▲7七角△9四歩▲3六歩△3七桂▲4七金


(1図)

 △4二銀~3一金は流行のelmo囲い。従来の舟囲いに比べ左金が取られにくいのが特徴だ。先述の▲西田―△本田戦では▲6八飛にかえて▲7五歩と指したが、そこで△6五歩と仕掛けられた。以下▲同歩△同銀▲2二角成△同金▲6六歩△同銀▲同飛と続く。


(参考1図)
 壁金にはなってしまったが、角銀を捌き、飛車を活用しやすい形にしたため後手に不満がない形だ。よって本譜では△6五歩の仕掛けを警戒して飛車を回ることにした。以下、先後ともに陣形を整えながら仕掛けのタイミングをはかっていく。

 

  • 一直線の進行

 1図からの指し手
△6五歩▲同歩△7七角成▲同桂△6五桂▲同桂△7七角▲6九飛△6五飛▲6六歩△8五飛

(2図)
 金が左辺から離れたタイミングで△6五歩と仕掛ける。飛車が8筋にいるならこの歩は取らないほうがいいが、6筋にいるので取らざるを得ない。
 角交換からはほぼ脱線しようのない進行。お互いがほぼ同意しながらこの局面を選んだからには、これ以降の研究を行っているかどうかにかかっている局面だ。

  • 一見そっぽの角

 2図からの指し手
▲9六角△9五角成▲8五角△同歩▲7一飛△4四歩▲3七桂△4三銀▲9一飛成


(3図)

 予想では▲8八角成だったが、△9五角成となられて少々困った。一見敵陣から離れてしまったため働きが弱くなったように見えるが、実はこの馬が遠く△5一金にヒモを付けている。

 elmo囲いの急所はこの金だ。金銀の連結が良いため好形には見えるが、例えば飛車が二段目にいたとき、この金を狙われると対応を迫られる。よってこの角成は合理的な手だ。

 △4四歩は▲9一飛成に大して△4五歩を用意した手。これに対して桂を跳ねたのは良い活用に思えたのだが、一方で守りが薄くなってしまうためリスクを伴う一手だ。構わずに▲9一角成△4五歩▲5五歩△同銀▲4五歩△4六歩▲4八金と進めてよかったようにも思う。

 

  • 玉頭戦

 3図からの指し手
△4五歩▲同歩△4六歩▲4八金△3五歩▲4四香△同銀▲同歩△3六歩▲4三銀


(4図)

 △4六歩に対しては△5七金と寄るべきだった。振り飛車を指すうえでは△3六桂の筋を常に警戒しなければならない。この後も振り飛車を普段指さないことが祟った手が続く。

 飛車と角を交換し、その上馬を9五に引き上げているからには、玉頭を攻めていくのが当然の大局観だ。しかしながらそういった展開になればelmo囲いの長所は削がれるため、先手としても望むところ。

 

  • 振り飛車の感覚

 4図からの指し手
△同銀▲同歩成△同玉▲5五桂△3二玉▲2五桂△3七銀▲同銀△同歩成▲同金△4五桂


(5図)

 銀交換の後▲5五桂と王手龍のラインを消して一安心。しかしながら△3二玉と逃げられてからの寄せのビジョンを描くのに苦労した。
▲8二竜と一度王手するのが正着。△6二歩では▲7一龍なので他の合い駒を4二に打つ必要があるが、それならば攻め駒が少なくなるため先手玉がだいぶ安全になる。

 本譜は▲2五桂と活用する順を目指した。しかしやはりこれもリスクのある手。この桂が3七に残り続けていれば防波堤になるため、先手玉に対する寄せは遅くなる。歩で狙われている桂を跳ねて相手玉に迫る、という手は通常ならいい手になりやすいのだが、この場合は違った。おそらくこうした手は振り飛車党なら指さないだろう。

 

  • 自玉の危険を見誤る

 5図からの指し手
▲3四歩△3七桂成▲同玉△3五香▲4六歩△2八角▲3五玉△2四銀▲4四玉△5四金まで84手で後手の勝ち


(6図)

 ▲3四歩が大悪手。▲3三歩では△2二玉と逃げられて自信がない、と見た末の手だったが、それ以上に先手玉がすでに危険だった。▲3八金なら後手の攻めを余せるはずだった。
 △3五香を見て詰み筋に入ってしまった、と錯覚してしまった。△2六玉ならまだギリギリ逃げられる局面だ。しかし安全だと思い込んでいたところに突如危機がやってきたため、落ち着いて逃げ筋を見極めることができなかった。一方の玉だけを見ずに両方の玉を見比べながら指し手を決めるという課題が残った一局だ。

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