佐藤和俊 著
マイナビ将棋Books
2018/9/14
概要
本書は、佐藤和俊六段によるNHK杯準優勝の原動力となった「後手番三間飛車藤井システム」の解説書です。
序章 三間飛車藤井システムの概要
元祖藤井システムの栄光と苦難の歴史から、コンピュータ将棋の隆盛を迎えた新時代に向けて、本書と三間飛車藤井システムの立ち位置を語ります。
第1章 対穴熊編
藤井システムの狙いである居飛車穴熊対策です。オーソドックスな端攻めや石田流のほか、飛車を回っての雀刺し、対ミレニアムでは持久戦狙いの雁木など、狙い筋をバランスよく取り上げます。
第2章 対急戦編
元祖藤井システムが下火になった急戦への対策です。三間飛車なので棒銀に飛車を振り直す必要がなく、余裕を持って玉を囲ったり、後手番ながら余裕を活かしての反発など、三間飛車の持ち味を発揮します。
第3章 対美濃編
現代の対振り飛車で多く採用される左美濃への対策です。石田流からの反発のほか、左右のバランスをとった右玉風の組み立てや地下鉄飛車の狙いまで、ユニークな狙いが満載です。
第4章 実戦編
佐藤和俊六段による初採用局を含む、各章の解説に繋がる自戦記集です。
読んだきっかけ
私が将棋を一番指していた高校生の頃は藤井システムの全盛期で、振り飛車党の私は、もちろん角道を止めた後すぐ端歩をついてシステムを匂わせていました。
一発勝負の大会ではシステム相手に穴に潜る度胸のある人は少なく、大抵は急戦か、相振り飛車になっていた記憶があります(笑)
この度R1000超えを期に戦法を広げたいと思ったときに、時を超えて蘇ったこの戦法を再び指してみたいと思ったのがきっかけです。
著者について
佐藤和俊六段は振り飛車党。サッカーとピアノが趣味で、普及に熱心な方と聞いたことがあります。
本書の序章によれば、奨励会で苦しんでいた頃に藤井システムが全盛だったとのことですから、なにやら親近感の湧く世代です。
私にとっては、同級生で応援していた片上大輔七段の四段昇段を阻んだ因縁の相手という印象が強く、無事翌期に片上新四段が誕生した後は、あまり佐藤六段の棋風に触れる機会もありませんでした。
これをきっかけに、「将棋連盟Live」での棋譜の追っかけリストに加えようと思います。
本の感想
藤井システム本来の狙いから、雁木、右玉風など、現代風のアレンジを加えたバランスの良さが、なんといっても魅力です。
解説も明快で、難解な戦法ながら、指してみようかという気にさせます。
もっとも将棋倶楽部24で数局採用してみましたが、やはり急戦調の相手が多いですね。本来の狙い筋を鍛えることは難しそうです(笑)
by Salut d’amour
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧