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展開されるフェイズ・キャノン砲塔
フェイズ・キャノンの発射
フェイズ・キャノン(Phase cannon)は通称フェイズ砲と呼ばれる、位相エネルギー兵器の一種であり、フェイズ変調エネルギー兵器とも呼称される。地球連合宇宙艦隊で22世紀に導入された。従来までのプラズマ・キャノンに代わる主力兵器として、後の宇宙艦隊での標準装備となるフェイザーの前身となる兵器でもある。フェイズ・キャノンを最初に導入した宇宙船はエンタープライズ(NX-01)であった。
フェイズ・キャノン砲等の構造図
Reed_Tucker_cannon_assembly.jpgリードとタッカーによって調査されるフェイズ・キャノン・アセンブリ
携帯用の位相エネルギー兵器であるフェイズ銃は既に開発されており、この原理を元に宇宙船に搭載する大型の砲座としてのフェイズ・キャノンが開発された。フェイズ・キャノンの最大出力は500ギガジュールであった。最初に搭載されたNX級の砲塔は格納式となっており、砲塔のエミッター部分が回転し目標に対して射撃するモデルであった。フェイズ銃と同様に、出力の調整が可能となっており、任意の出力でビームを発射できる。(ENT:言葉なき遭遇)
フェイズ・キャノン・アセンブリには、多相のエミッターが備えられており、それぞれの最大出力が80ギガジュールであった。NX級はデッキFにフェイズ・キャノン・アセンブリが配置されており、兵器庫の中のハッチを通してアクセスできた。(ENT:第3の性)
フェイズ・キャノンが最初に実運用として搭載されたのが2151年であり、NX級宇宙船のエンタープライズ(NX-01)がその最初の船であった。当初、円盤部底部の前方側に二基搭載され、もう一基が後方側に搭載されていた。その後2154年までに順次増設された。
Phase_cannon_firing_%28close_up%29-ShockwaveII.jpgフェイズ・キャノンの射撃
フェイズ・キャノンは空間魚雷よりも強力な兵器であり、砲撃戦ではより効果的であった。開発当初はワープ航行中にフェイズ・キャノンを射撃することができなかった。なぜなら、フェイズ・キャノンは粒子を放出させる兵器であるため、その粒子がワープ・フィールドに損傷を与え、ワープ・エンジンの破壊に繋がる恐れがあるためであった。(ENT:追放された者への祈り) その後2152年までにはその問題はマルコム・リード大尉によって解決された。(ENT:暗黒からの衝撃波・後編)
それまでフェイズ・キャノンは手動による管制によって射撃スタンバイされるシステムであったが、後に戦術警報発令時に自動的に射撃準備がなされるように調整された。(ENT:三重星系の誘惑)
高い威力を持つフェイズ・キャノンでも度々敵の艦の防御を破れない場合があった。敵のシールドを破れないケースも度々あった。(ENT:言葉なき遭遇) また、クリンゴン軍のD5級巡洋戦艦の装甲は長時間ビームを照射しないと貫けない程の防御力を有していた。(ENT:反逆の法廷) また、クリンゴンの光子魚雷によって簡単にフェイズ・キャノンを使用不能にさせられたこともある。このため、クリンゴンは宇宙艦隊のフェイズ・キャノンを「威力の低い素粒子砲」と形容する事もあった。(ENT:反逆の法廷)
最初の発射試験
Asteroid_phase_cannon_explosion.jpg最初の発射試験の結果
エンタープライズ(NX-01)は当初、フェイズ・キャノンを三基搭載する様に設計されていたが、2151年に予定を繰り上げ急遽出航したため、木星ステーションでの設置作業が間に合わなかった。しかし、プロトタイプを一基のみエンタープライズに乗せていたため、2151年8月30日にエンタープライズの兵器士官のマルコム・リード大尉と機関主任のチャールズ・タッカー三世中佐は、プロトタイプを元に残り二基を完成させエンタープライズに搭載した。この作業は木星ステーションでも1週間かかる作業を僅か48時間で達成させた偉業であった。
エンタープライズでの最初の射撃試験は9月1日に無人の小惑星上で行われた。地球のマッキンリー山と同じくらいの大きさの山の山頂の先端から数メートルを吹き飛ばす予定であったが、予想外に出力が高く山を完全に消し去り、山のあった場所には巨大なクレーターが残るのみであった。これは当初の予定の10倍の威力であった。しかし、その影響でフェイズ・モジュレーターがオーバーロードを起こし、デッキCとDの間のパワーリレーが吹き飛んでしまった。これは後に謎の異星人による破壊工作が原因だったことが判明している。(ENT:言葉なき遭遇)
翌年の2月にマザール艦のシールドとエンジンを損傷させるために船尾フェイズ・キャノンを使用した。。(ENT:追放された者への祈り)
後年、2153年1月頃、トラヴィス・メイウェザーはの直後の対策会議で弟のポールに、この出来事について詳しく話した。(ENT:兄弟の地平)
その後、スリバンとの戦いで、エンタープライズはデータディスク奪取のため、潜伏中のスリバン遮蔽艦をフェイズ・キャノンで射撃した。この攻撃で同艦の遮蔽を無力化している。(ENT:暗黒からの衝撃波・前編)
エンタープライズはその後、一時的にスリバンに捕獲されるが、自爆に見せかけた芝居によってスリバンの手を逃れて脱出。自爆していないことに感づいたスリバン細胞艦の集団が追跡してきた時、ワープ中に船尾のフェイズ・キャノンで攻撃を加え少なくとも一隻の破壊に成功している。(ENT:暗黒からの衝撃波・後編)
小惑星にフェイズ・キャノンを射撃するエンタープライズ
2152年8月にマルコム・リード大尉はエンタープライズの兵器の効率を上げるために、新しい戦術プロトコルを提案した。尚、この時三重星系からの放射の影響でエンタープライズ内が混乱に陥っており、リードはアーチャー船長の許可を得ないまま独断で新たな戦術プロトコルを実装させた。このプロトコルは船が不足の事態に遭遇したときに自動的に防御プレートと戦術システムをオンラインにするプログラムであった。その後、クルーの大半が混乱しているため満足に船の運航ができない状態に陥っている際にエンタープライズは小惑星との衝突の危機に直面した。しかし、この時リード大尉が実装させた戦術プロトコルが稼動し自動的にフェイズ・キャノンがオンラインとなったため、危機を脱することができた。この時の教訓から、この新しい戦術プロトコルが宇宙艦隊のすべての艦で実装されることとなった。(ENT:三重星系の誘惑)
翌9月には、タッカー中佐を捕らえたレテリアの貨物船を攻撃するのにフェイズ・キャノンが使用された。貨物船の左舷ワープ・ナセルは無力化されたかに見えたが、実はそれは貨物船のパイロットFirek ゴフの作戦で、エンタープライズは自身のワープ・エンジンを無力化されてしまった。(ENT:眠る女の謎)
また、タッカー中佐がヴァルカンとアンドリアの宇宙艦に対し、ウェイターンの軌道に入ろうとすればエンタープライズのフェイズ・キャノンを使用すると警告したこともあった。(ENT:戦場の絆)
のちにエンタープライズが実体を持たない種族の操る宇宙船に遭遇した際は、フェイズ・キャノンがオフラインにされ、拿捕されてしまった。しかしエンタープライズは最終的には脱出することが出来た。(ENT:光の意志)
エンタープライズの出発ベイに保管している時空艦を狙って追ってきたスリバン細胞艦の集団に対しての防衛には、船尾フェイズ・キャノンが使われた。これによって少なくとも一隻が破壊され、残りはソリア宇宙艦によって始末された。(ENT:沈黙の漂流船)
フェイズ・キャノンはデュラス指揮するクリンゴン・バード・オブ・プレイとの戦闘にも使用されたが、ほとんど無力であった。(ENT:反逆の法廷)
2153年3月、ボーグによって乗っ取られた輸送船アークティック・ワンの兵器を無力化するためにフェイズ・キャノンが使用された。そして空間魚雷数発でアークティック・ワンを弱らせ、最後はフェイズ・キャノンの一撃で破壊した。(ENT:覚醒する恐怖)
同3月、フェイズ・キャノンはテラライトの偽装発信器を破壊するのに使用された。発信器はアーチャー大佐を連れ去ったテラライト船のワープ・サインを偽装し、エンタープライズによるテラライト船の発見を妨げていた。(ENT:狙われた首)
フェイズ・キャノンがエンタープライズの武装に欠かせないものであることは、デルフィック領域でのズィンディ超兵器探査ミッションで証明された。
ズィンディ危機の間、フェイズ・キャノンは様々な場面で使用された。シャトルポッド1はフェイズ・キャノンでロックを破壊してデルフィック領域の球体に入った。その後、オサーリア海賊船からズィンディの情報を得るため、エンタープライズは球体をフェイズ・キャノンで射撃して海賊船をおびきよせた。はじめの最小出力での一発は効果がなかったが、次に二門同時に発射すると球体の入口が破壊され、オサーリアの攻撃を誘発出来た。こうしてエンタープライズは海賊船を十分に近づけ、ホシ・サトウ少尉は海賊船のコンピュータから情報をダウンロードすることが出来たのである。(ENT:オサーリア人の襲撃) ズィンディ爬虫類族がスパイのラジーンを回収しに来たときも、エンタープライズは敵艦に対しフェイズ・キャノンを使用した。(ENT:美しき潜入者)
Phase_cannons_on_Enterprise.jpg外壁に発射されるフェイズ・キャノン
数ヶ月後、極性フィールドに入ったエンタープライズは外壁が核粒子に覆われてしまい、出発ベイの扉を開くには積もった粒子を船尾キャノンで吹き飛ばさなければならなかった。こうして発進したシャトルポッドは二機でエンタープライズを引っぱり、極性フィールドから脱出する手助けをした。(ENT:ライサリア砂漠幼虫)
エンタープライズがディジャマットたちに乗っ取られているとき、彼らはトリアノン船の攻撃を鎮めるのにエンタープライズのフェイズ・キャノンを使用した。その後アーチャーは指揮を取り戻し、キャノンを停止させてエンタープライズがもう脅威ではないことを証明した。(ENT:選ばれし領域)
デルフィック領域を進む中でエンタープライズは何度も空間異常に悩まされた。特に2153年の12月にはフェイズ・キャノンを含む全兵器が使えなくなるという事態に陥った。幸運にも、シュランの指揮するアンドリア巡洋戦艦クマリが支援した。シュランに命じられて戦術士官のタラス大尉はリード大尉を手伝い、兵器を復旧させた。タラスのおかげでフェイズ・キャノンは短期間で使用可能になっただけでなく、94%の効率で運用出来た。これはかつてない効率向上であり、それまでリードは93%の効率を超えさせることが出来ないでいた。フェイズ・キャノンは復活した直後にズィンディ爬虫類族の宇宙艦を二隻無力化するのに使われ、これによってクマリがズィンディ超兵器のプロトタイプを奪うことが出来た。(ENT:アンドリア人の協力)
その後もフェイズ・キャノンはズィンディの宇宙艦を無力化するのに使われたが、次はズィンディ霊長類族デグラの艦だった。彼と彼のクルーは捕らえられ、兵器がどこにあるのかの情報を引き出された。(ENT:策略) 翌月にはフェイズ・キャノンでズィンディ昆虫族宇宙艦のエンジンを無力化しようとしたが、効果がなかった。(ENT:トゥポルの反乱)
エンタープライズはアザティ・プライムの近くでズィンディ爬虫類族、昆虫族と戦闘し深刻な被害を被った。その結果フェイズ・キャノンを含む兵器が使用できなくなった。それらを修理したのち、エンタープライズの乗船班がイリリアン船のワープ・コイルを盗む際にフェイズ・キャノンがこの宇宙船に対して使用された。この攻撃の間、トゥポルとリードはキャノンを細いビームに調整してイリリアン船のパワー・ジャンクションを破壊した。(ENT:爬虫類族の攻撃、ENT: 球体創造者) しかしながら、前方のキャノン少なくとも2基については、ズィンディによる攻撃の2日後まで復旧されなかった。(ENT:デグラの決断)
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