ゴルゴ13

ページ名:ゴルゴ13

『ゴルゴ13』(ごるごサーティーン)は、さいとう・たかをの劇画作品、及び架空の人物であるその主人公の呼び名。

1968年(昭和43年)10月(1969年1月号)から小学館「ビッグコミック」誌で連載が開始され、2005年現在も連載中である。

  • 第21回(昭和50年度)小学館漫画賞受賞。
  • 第50回(平成16年度)小学館漫画賞審査委員特別賞受賞。


目次

キャラクターとしてのゴルゴ13[]

ゴルゴ13(GOLGO 13)は、職業的・国際的テロリスト。超A級のスナイパーあるいは殺し屋として裏の世界で知られる人物である。

ゴルゴ13というのは通称であり、自らはデューク・東郷と名乗ることが多い。また、頭文字から「G」とも呼ばれる。

出身・経歴・容姿[]

  • 本名や出生、経歴などは一切不明。年齢不詳。身長180cm強、体重80kg前後。無駄のない筋肉質の外見を持つが、全身に無数の傷跡がある。短髪に鋭い目つきが印象的な風貌。血液型はAと推定されている。
  • 日本人、あるいは日系人(中国人、ロシア人、イギリス人あるいはユダヤ人との混血)という説もあるが、容姿などから日系であることは疑いないと考えられている。長年、出生は不明であったが、遺伝子検査により、日本人の血が混じっていることだけは判明した。
  • その素性に迫る、いわゆる「ルーツ編」はシリーズ中でも人気が高い。結局最後の確証は得られない肩透かしで終わるのだが、ゴルゴの正体を知りたいと思いつつ、そのミステリー性を保って欲しいファン心理に応えた形でもあるだろう。ある調査では、「芹沢家殺人事件」における「芹沢五郎説」(狙撃で“肯定否定のどちらでもない、俺は俺”と意思表示)と、「すべて人民のもの」での「グレゴリ・皇士・東郷・ロマノフ説」が、読者の間では支持が高いとのことらしい。原作者がラジオで語ったことによると、日露混血の模様。が、変更の可能性あり。というより、当然ながら、作者はもうルーツものはできないと発言している。
  • 名前の意味は「ゴルゴダの丘でイエス・キリストに荊の冠をかぶせて殺した13番目の男」であると言われている。また、以前収監された刑務所で囚人番号が1214であったことから、囚人たちにそう呼ばれるようになったともされる。

技能[]

  • スナイパーとしての技術は超A級と評価される。いかなる困難な状況の中においても、その技量と緻密な作戦によって不可能といわれる狙撃を成功させる。通常の狙撃以外に空中、水中、宇宙空間など仕事の場所を選ばない。また各種銃火器からバズーカ砲、対戦車ミサイル、果ては吹き矢に和弓などと得物を選ばない。銃やナイフを抜く速さは0.17秒。ただし、最も愛用しているのは突撃銃アーマライトM16A1(後にA2も使用)を狙撃用に改造したものである。銃での最長射撃距離は2キロメートル(今まで行った狙撃の中で最長なのは1500メートル、またレーザー銃では2キロを越えている)である。
  • スナイパーとしての技術以外にも、あらゆる種類の暗殺術・格闘術などの戦闘技術、操縦技能や、薬学(特に火薬・劇薬・毒薬)、医術の知識に長けている。また20数カ国の言語に精通し、さまざまな文化習慣・科学知識にも専門家が舌を巻くほど詳しい。さらに新たな技能が必要になったときには非常に早く習得してしまうなど、学習能力にも長けている。
  • ゴルゴ13の依頼遂行率は99.72624%である。失敗例はたった1回、不発弾を原因とするもののみである。その不発弾を仕込んだ武器屋は、ゴルゴ13によって殺されている。エスパーに殺気を感知されて狙撃に失敗したこともあったが、ゴルゴ自身の修練によってエスパーのテレパシーを克服し、倒した。

依頼・報酬[]

  • その凄腕から、各国の首脳、情報機関など政府機関、企業から個人までと顧客層は非常に幅広い。
  • 依頼に際しては必ず顧客との直接面談を行う。ただしその前に、依頼者はいくつか存在する非常に複雑な方法を使ってゴルゴ13側にコンタクトを取らなければならない。
  • 依頼者が真実を話せば、イデオロギーに関係なく仕事を請け負う。
  • 基本的にボディーガードの依頼は受けない。ただし、「○○の命を狙ってくる敵の抹殺」という風に言い換えることで実質的なボディーガードを引き受けることもある。または特別な事情でまれにボディーガードを引き受けることもある(『蒼狼漂う果て』『モスクワの記憶』)。
  • 報酬は1件当たり数万ドルから数百万ドルまで幅があり、通常は現金払いもしくはスイス銀行への入金という形で支払われる。報酬は必ず前金でなければならず、入金が確認され次第依頼が遂行される。

ルール[]

  • 一度交わした約束は、何が有ろうと必ず守るのがゴルゴ13のルールである。たとえ依頼者が死んだとしてもである。その代わり、依頼者もゴルゴ13との約束事は絶対に守らなければならない。
  • 約束を破ったものは必ず報復を受ける。特に、依頼人が嘘をついたり隠し事をするのを許さない。嘘や隠し事があると思えば依頼を引き受けず、嘘や隠し事が後から発覚した場合には、依頼人を殺害する場合が多い。罠を仕掛ける事や密告・または脅迫などの裏切り行為に対する報復はさらに厳しく徹底的で、見せしめ同然の殺害を行う場合さえある。依頼人に嘘をつく気が無かったとしても、事実でないことを話せば報復される事がある。
  • いかなる理由があろうとも複製品(整形手術などによってできたそっくりの人物)を作ってはならない。
  • どんな理由があろうと一度引き受けた依頼は実行する。ただし所定の方法(賛美歌13番のリクエストをキャンセルするなど)でGにキャンセルの意図を伝えれば中止してもらうことは可能。ただしキャンセルは依頼人に限り有効。(『動作・24分の4』で依頼後に殺害された依頼人の妻が中止するよう求めても一蹴した他、当然だがゴルゴの接近を察知したターゲットが買収を試みて成功した例はない)
  • 依頼は確実に遂行するが、時として、ゴルゴ本人の不利益になると見なされた場合には、依頼の内容を一部変更して遂行する事がある。また、依頼を遂行する必要がないと判断された場合は、依頼はゴルゴ側から中止が通達される。
  • 逆に、かつてゴルゴの危機を救った人物の依頼ならば、無償で行うこともしばしばある(何回まで無償で行ってくれるかはケースによるようである。一度きりの場合もあれば、いつでも呼んでくれとゴルゴ自身から言ってくることすらある。本人の家族に引き継がれる場合もある)。そういった人物に対しては、ゴルゴは特に敬意を払って接している。

習慣・信条[]

スナイパーという職業から、常に死の危険にさらされている。それゆえ、危険を回避するための数々の習慣がある。

  • 背後から狙われる危険を避ける為、背後に立たれる事を極端に嫌う。背後に来た人を反射的に殴ってしまう事もある。この殴ってしまうという習慣が災いしてかえってトラブルに巻き込まれる事もたまにある。
  • 背後に立たれる危険を減らす為、椅子には座らない。第一話ではゴルゴには まだこの習慣がなく、椅子に座っている。その為、依頼人の部下がゴルゴの背後に立った時に反射的に殴ってしまい、トラブルにまきこまれている。椅子に座らないという習慣ができたのはこの事件が原因であるとファンには考えられている。
  • 握手をしない。これは握手をする事で利き手を他人にあずけてしまうことを避けるため。シリーズを通じ、握手をかわした相手はわずかに3人。うち1人はのち彼自身の手で抹殺されている。ちなみに,第50回(平成16年度)小学館漫画賞審査委員特別賞受賞の際,同時に受賞した「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の主人公両津勘吉と握手しているイラストが記念に描かれたが,握手は左手で行われている。
  • ホテルなどに宿泊の場合、必ず逃走用に非常階段に近い場所を選び、時間稼ぎのため最上階に泊まるケースが多い。チェックイン後は必ず室内を不審物がないか調べる。自らが泊まったという痕跡は決して残さない。使いかけの消耗品や依頼遂行中に着用した衣類などはすべて処分する。
  • 個人情報の漏洩を特に嫌う。自己防衛しているシーンが見られる。
  • 依頼の範囲を超えて、他者の主義・信条に与することは一切無い。買収にも絶対に応じない。
  • 仕事の後で依頼人と再び会うのを嫌う。これは仕事の後に口封じとして依頼人に殺されるのを避ける為。但し、ただ会うだけなら制裁されることはなく、別の新たな依頼が発生したなら引き受けてくれる。
  • 依頼人が仕事を依頼する為に何らかの場所へのアクセスを希望した場合、たとえ依頼人がその場所への移動手段を提供したとしても、その方法を使わない。アクセスを希望した場所がたとえ軍事施設であっても、正規の方法で入らず、不正な方法で侵入する。これは何らかの罠が仕掛けられている危険を避ける為である。
  • 依頼でなら、あるいは犯行を目撃されるなどして必要だと感じたら女子供でも躊躇無く殺すが、それ以外の不必要な殺生は行わない。これを「スイッチがON・OFFになる」と喩えた人物も居る。これは人間以外の動物でも変わらない。
  • 公共の場で依頼人とコンタクトする場合、周囲の人に会話をしている事が明らかにならないように、互いに相手の顔を見ずに話をする。例えば美術館では依頼人とともに絵画を見て、決して互いに目を合わせない。
  • 依頼遂行中であるか否かを問わず、常に周囲に細心の注意を払っている。特に脱出経路の確保は慎重かつ大胆である。
  • 莫大な報酬により巨額の財産を手にしているが、それを手放すことには躊躇しないようである。今までの確認できる1回の最高報酬は1億米ドルが最高である。
  • ゴルゴ自身のルーツを探ろうとする者、特に核心に近い情報を手にした者は抹殺し、情報は処分する。一方で、ゴルゴの素性に迫ろうとするものは、多くは彼にとってよからぬ意図を持った相手、たとえばその存在を公にし、彼の活動を阻害しようとするような目的で動いた結果としてゴルゴに始末されているだけで、彼自身はそれほど素性の隠蔽に熱心ではないのではないか、という指摘もある。実際、ゴルゴのルーツをさぐったこと自体を理由に制裁された登場人物は意外に少なく、「日本人・東研作」に登場したジャーナリストのマンディ・ワシントンや、「すべて人民のもの」の保険調査員など、ゴルゴのルーツを熱心にさぐったり、それらしきものに肉薄しながら放置されている人物も多い。

持病[]

  • ギラン・バレー症候群に似た原因不明の持病があり、突然右手がしびれて動かなくなる。原因は精神的なものであるらしい。この持病が起こった際はしばらくの間、依頼を受けず、各地の別荘で治療のための休養をとっている。

ライバル[]

  • スパルタカスゴルゴも一目おいたプロフェッショナル。ゴルゴに一騎打ちを挑み、〝弾丸を使い尽くさせるまでとどめをささせなかった〟人物である。それが娯楽に飽いた富豪たちの仕組んだ茶番であったと知ると、自身の遺産とひきかえにゴルゴに彼らへの復讐を依頼して死んでいった。ゴルゴは彼の依頼を遂行した後、彼にしては珍しいことに哀悼の思いをあらわしていた。
  • 東側のやとったプロ「落日の死影」に登場し、その名は作中では明かされなかったが、依頼主との無線連絡で「AX-3」という暗号名を名乗った。ゴルゴとは別ルートから同じターゲットの排除を依頼され、まったく同じ経路からターゲットに接近、依頼遂行はほぼ同時、むしろ一瞬早かったという凄腕。ゴルゴより口数が多く、自分の依頼主を推定させる発言をもらすなど、プロとして劣る面もあったが、ゴルゴの側でも彼に何かしら観応するものがあったのか、彼にしては珍しい無駄口を利くシーンがある。結果的にゴルゴと一騎打ちすることになったが、銃での勝負は互角、ナイフ術の心得もあるゴルゴに、その差で敗れた。
  • イクシオン盲目のスナイパー。特にゴルゴを苦しめた描写はないが、読者へ与えた印象で、スパルタカスらに並ぶものがある。ゴルゴは彼を倒したあと、相棒でもある盲導犬にも後を追わせてやった。
  • マッジ・ペンローズ「ミステリーの女王」に登場した推理作家。殺人で稼いだ金額ならゴルゴ13にもひけをとらない、という意味の発言などから、モデルは〝史上もっとも人殺しで稼いだ女性〟ことアガサ・クリスティであろうと信じられている。ゴルゴをモデルにした小説を執筆しようとして、米軍を抱き込んだ謀略を策し、結果的にゴルゴに抹殺される。しかし、彼女が完成寸前だった〝小説〟の原稿は、ゴルゴへの依頼経路などを詳述しており、のちのちまでゴルゴに災厄をもたらすことになった。いわゆる「ルーツもの」の一編である「毛沢東の遺言」で、彼女がゴルゴの素性にまで迫っていたととれる描写もある。

その他[]

  • 連載初期には幾度か笑っている姿を見せたことがある。背後を取られるなどの失敗もしていたが、連載が進むに連れ完全な「機械」になってきている。
  • スイス銀行に口座を持っている。口座番号はF5・R6・I5・D1・A3・XY(ごろあわせ。数字だけ抜き書きすると「56513」=「ゴルゴ13」と読め、残りの部分も「FRIDAY」と読める)。
  • ゴルゴへの連絡ルートは複数あることは上記の通りであるが、その中でも特にポピュラーなのは、ゴルゴの旧知でアトランタ・アメリカ連邦刑務所に服役している終身犯マーカス・モンゴメリー氏に手紙を送ることである。彼が手紙を受け取ると、ラジオの宗教番組『夕べの祈り』『宗教の時間』に、『賛美歌13番』がリクエストされる。これが流された後、ニューヨーク・タイムズ紙に『13年式G型トラクター売りたし』という広告と連絡先が掲載されるので、そこに連絡すれば、ゴルゴとのコンタクトを取ることができる。その他も、特定の企業の株価を急騰させたり、逆に依頼者側が秘密の暗号を新聞の広告に掲載する方法、或いはゴルゴ13と知り合いの人物に頼み、間接的に連絡を取る方法などがある。これら連絡方法に介在している人間には、ゴルゴは手厚い報酬を用意しているようであり、敵に狙われて破壊されてしまったコネのあった人物に対し、「死ぬまで給料を支払う(ので、これまでの事は忘れてくれ)」とまで言っている。残念ながら、ゴルゴと依頼人の仲介者になるにはどうすればよいかはまったく不明である。何らかの原因で連絡方法が封鎖される際には、新聞に、閉店のお知らせ、などとして広告が掲載されるようだ。その他、特殊な連絡方法として、ゴルゴが近辺に潜伏している事を条件に、ゴルゴの周辺を各方面から徹底的に嗅ぎ回ることで、ゴルゴ自ら接触してくるという方法がある。これは、ゴルゴの徹底した秘密主義と振りかかる火の粉を払おうとする態度を逆手に取ったものであるが、だからといって制裁されることはない。
  • ゴルゴは、狙撃用としてアーマライトM16銃を選択するというプロらしからぬ選択をとっているが、原作ではその理由はほとんど明かされていない(一説には、敵襲などの不測の事態に備えるためにこれを狙撃用に用いているとのこと)。銃に詳しくなかった作者は、ゴルゴの連載を始めるにあたり、銃に詳しい友人に銃を紹介してくれと頼んだ。ところが、友人は殺し屋漫画とは聞いておらず、狙撃に使うということも知らなかったので、その時人気のあったアーマライトを選び、作者に紹介したのだという。結局、作者は後にM16を採用したことを後悔したといわれ、「M16はどんなに改造しても所詮狙撃向けの銃でない」と作中でネタにしてしまった。
  • ゴルゴは、プロフェッショナルの条件として「10%の才能と20%の努力、30%の臆病さと残り40%は運だ」と語っている。事実、ゴルゴは敵に抵抗できないほど深刻なダメージを何回か負っているが、介抱されるなどして殺されずに済む道を辿っている。
  • ちなみに、愛用している下着はブリーフである。
  • 仕事の前にコール・ガールを呼んだり、女諜報員・知り合った女と一夜を共にすることが多い。美人系が多い。不感症の女でもフィニッシュさせるなど、かなりのテクニックの持ち主。自身はフィニッシュには達しない。過去に一度だけ不覚にも口でいかされている。

モデルとなった人物[]

さいとう・たかを本人は、「自分の理想の男を描いたものであり、俳優の高倉健をモデルにした」と語っている。またデューク・東郷の名は、中学生時代のさいとうに「自分のしたことに責任を持つ」という「社会の約束事」を教えてくれたという恩師の姓にちなむという。

作品としてのゴルゴ13[]

ストーリー[]

基本的には1話完結で、ゴルゴ13の活躍を主軸に、様々な物語が描かれる。(但し、必ずしも雑誌掲載1回分という意味ではなく、1話が2~3回に跨って掲載されることも多いが、それらも単行本上では1つの話となるように再構成されている。)

社会の裏側、あるいは裏と表の境界線上がゴルゴ13の活躍の舞台である。ストーリーのテーマは、脚本家が多数に及ぶこともあって、非常に多岐にわたる。諜報戦に代表される国家間の暗闘、戦争・紛争、ゲリラ活動、テロリズム、麻薬組織など犯罪組織、企業活動、芸術・スポーツなど文化活動、歴史問題・地理問題、最新テクノロジー、ミステリー、自然災害、果ては超常現象など荒唐無稽な事柄までもがその題材となっている。

物語の性質上、ゴルゴ13以外にレギュラーや準レギュラーといったキャラクターは、ヒューム英情報部長や武器職人のデイヴ・マッカートニーのようなごく少数の例外をのぞいて存在しない。しかしそれぞれの物語に登場するゲストキャラクター達もそれぞれに個性的に描かれている。キッシンジャー博士やエドワード・ケネディ米上院議員、モシェ・ダヤン、カダフィ大佐のように、実在の人物も時に登場している。

歴史[]

大人向けの劇画作品を発表する場を求めていたさいとう・たかをは、ビッグコミックの創刊と共に参加。その作品が『ゴルゴ13』であった。

ビッグコミックでの連載開始当初、さいとうは『ゴルゴ13』を10話で終了させる予定であったという。殺し屋を主人公にしても、その殺しの手段を使い切ればネタ切れになってしまうだろうと考えていたらしい。実際に最終話のコマ割りは最後のシーンまで頭の中で出来上がっているという(最終回の原稿を金庫の中にしまってあるという噂もあるが、これは伝説であり、『ゴルゴ学』によれば実際にはまだ執筆はされていないという)。

やがて、上に述べられたような、それまでの漫画・劇画の主人公としてはあまりに異質なキャラクターが登場する物語が評判を呼ぶ。特に「依頼者との約束は必ず守る」という信条と、そのための超一流の技量とを身に備えた男の中の男(として確立していった)ゴルゴ13の人気は高い。世界情勢や時事問題を巧みに取り込むことによって、冷戦終結で彼が活躍の場を失うのではないかといわれた危惧をも乗り越え、同誌上において30年超の間ただの一度も連載を休まないという快挙を成し遂げている。

リイド社より発行の単行本も既に130巻を超え、漫画(劇画)単行本として最多発行巻数を誇っている。また、トリビアの泉内「トリビアの種」コーナーにて実施された全国統計調査によると、「理容店にもっともよく置かれている漫画」第一位である。

1973年には高倉健主演で、1977年には千葉真一主演で映画化された。幾度かアニメ化・ゲーム化もされている。

2005年には「爆笑問題のバク天!」(TBS系)の中で太田光によって4コマ漫画にされている。

他の作品などへの影響[]

ゴルゴ13は狙撃手の代名詞と言っても過言ではない。日本において最も広く知られた漫画(劇画)キャラクターの一人であり、その特徴的な風貌もあって、数多くの漫画の中で彼のパロディキャラが登場している。TIMのゴルゴ松本を例に挙げるまでもなく、お笑い番組でもしばしばパロディ化される。またCMにも多数出演し、ゴルゴの強さの裏には数々な商品が関係していることが明らかになっている。

パロディなどの例[]
  • 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
初期のエピソードにおいて、後流悟十三(ごるごじゅうぞう)なるキャラクターが登場。のちにボルボ西郷なるキャラクターも登場しこちらは準レギュラー化。両名が対決(?)するエピソードまである。また、上の二人に加えて、初期のキャラクターである冬本、星逃田(ほしとうでん)という人物らは、背後に立たれたり、唐突に物音を立てられるとその方向に銃を構え、時には発射してしまうというゴルゴ13に似た癖を持っている。主人公の両津も、「頭の悪いゴルゴ13」と称されたことがある。また、両津がフィギュア王の家を訪ねるエピソードで、フィギュア王はゴルゴ13のエピソードの一つ「ラオスのけし」に登場したバーテンのフィギュアを所有していた。
  • 『ブラック・ジャック』
「デベソの達」という回の中で、「ゴルゴサウルス」という(実在の)恐竜の骨格標本を説明している男性が、ゴルゴ13になっている(1コマのみ登場)。作者の手塚治虫はゴルゴ13の連載を見て、ゴルゴ13批判を行なったといわれており、また『ブラック・ジャック』の主人公のキャラクター設定はゴルゴ13と類似しているため、手塚治虫がゴルゴ13に触発されてブラックジャックを作った可能性も指摘されている。
  • 『パタリロ!』、『エロイカより愛をこめて』
スパイコメディの要素を持つこれらの少女漫画にも、ゴルゴ13そっくりのキャラクターが登場している。『パタリロ!』ではゴルゴのような目つきの猫が登場したことがあり(パタリロに言わせればゴルゴは「金がかかる」から要らないらしい)、『エロイカ』ではずらりと並んだ狙撃手が全員そろってゴルゴ顔、というエピソードが有った。
  • 『マイアミガンズ』
コメディアニメ『マイアミガンズ』ではヒロインを狙う何人もの刺客の中に、ゴルゴそっくりの13人『ゴルゴ13兄弟』なる者が登場した。
  • 『おーい!竜馬』
坂本龍馬の試合(この試合自体は司馬遼太郎の創作と思われるが有名なので坂本龍馬ものにはよくいれられるエピソード)の見学者の中に、裃をつけたゴルゴ13がいる。

よくある誤解[]

  • 『ゴルゴ13』の影響が強すぎるのか、日本では狙撃銃=M16アーマライトという誤解がしばしば見られる。M16はアサルトライフル―突撃銃(更にM16は米軍の制式番号で本来の機種名はAR15)であり、スナイパーライフルとの差異などに関しては小銃を参照のこと。
  • 『ゴルゴ13』には、実際に起こった事件に交えて実在の国名・組織・企業・団体そして個人の名前がしばしば登場するが、物語自体はフィクションである。この作品で世界情勢を覚えることが出来るという話もあるが、架空の事件・名称など脚色が強いので注意する必要がある。

スタッフ[]

さいとう・プロダクション[]

  • 石川フミヤス - 彼のグループがメインで担当。
  • 武本サブロー - 線の細い作画はこちらのグループが担当している。

外部スタッフ[]

  • 夏緑(秋田茜) - 『ゴルゴ13原作大賞』にて入選受賞。受賞作『硝子の要塞』ふくめ19作品の原作および3作品の監修を担当した作家。
  • 船戸与一 - 「外浦五郎」名でゴルゴ13の原作を幾つか手がけている作家。
  • 堀井雄二 - 「本田一景」名義で数話の脚本を担当。

関連書籍[]

  • 「オフィシャル・ブック THEゴルゴ学」ビッグコミック特別編集プロジェクト(著)、小学館 ISBN 4093713510

外部リンク[]

  • さいとう・プロダクション
  • ゴルゴ13インターネットサービス


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