さいとう・たかを

ページ名:さいとう・たかを

さいとう・たかを(本名 斎藤 隆夫(さいとう たかお)、男性、1936年11月3日 - 2021年9月24日)は、漫画家。大阪府堺市西区出身。岩手県花巻市在住。妻は同じく漫画家のセツコ・山田。

貸本漫画時代に劇画という分野を確立。大衆向け漫画(アクションをとりいれたものが多い)から子供向け漫画まで幅広く手がける名実ともに劇画界の第一人者。

また、さいとう・プロダクションを設立し、各スタッフの分業体制により作品を制作するという方法を確立した。なお、さいとう・プロの出版部門が分社化したのが、リイド社である。この関係でさいとうの作品は他社の雑誌に連載されているものでもリイド社から単行本化されている(『ゴルゴ13』は小学館『ビッグコミック』連載)。

目次

生い立ちと経歴[]

少年時代[]

1936年(昭和11年)11月3日、東京・浅草に生まれる。のちに大阪府堺市に移り住む。

子供のころから図工(美術)科目を得意とし映画が大好き、またケンカにも強かったという。この状態は中学校でも続く。小学生の頃、子分の子供達と米軍の駐屯地に忍び込み標的の書かれたロール紙を盗み出す(裏面が真っ白で大きな紙なので絵を描きたかった)。しかし、数日のうちにロール紙を盗んだものを探すべくMPがあちこちに訪問。怖くなったたかを少年はロール紙を山に埋めて廃棄してしまう。

堺市立福泉中学校に入学。将来の夢はさし絵画家。俗に言う不良少年でテストの解答用紙が白紙である事は日常茶飯事だったが、担任の先生に名前だけは書けと注意される。白紙で出すのは構わないが、その責任は自身で取らなければいけないと言う教育であり、身に染みたと語る(その先生の名は東郷で後にゴルゴ13の名の一部になる)。中学時代に県の絵画展で金賞を獲得するが、自宅に持ち帰ったところ正業以外の職業を嫌う母親は目の前で竈にくべて絵を焼いてしまう(父親は正業の理髪店を放り出し写真家・画家を目指すが、熱しやすく冷めやすいタイプでそれすらも放り出すほど中途半端だった)。卒業後は理髪店にアルバイトとして勤める。このときから「映画好き」がひどくなり、金があれば映画館へ行っていた。ときには数箇所の映画館をハシゴすることも。

アメリカ製の「10セント・コミックス」の影響により漫画家を志す。手塚治虫や酒井七馬のファンだった。後に理髪店を継がされる。

デビュー・新人時代[]

漫画家を嫌う母親に1年の期限を願い出て、理髪店で働きながら描いた単行本『空気男爵』にてデビュー。本作は1年かけて描いたものの、フキダシが小さいということからまた1年かけて絵を描き直した。

貸本漫画として単行本を多数発表、少年誌などに冒険・アクション漫画やミステリー・怪奇漫画を掲載、『台風五郎』の大ヒットにより注目される。このころにはまだ、タッチに手塚治虫の影響(この頃の漫画は手塚調でないと売れないと知り合いに言われたため、いまの作品からでは考えられないようなキャラクターのディフォルメされたタッチであった)があるが、風景描写やその他「モノ」の描写は写実的である。

余談であるが、さいとうがビッグネームになった後も「母親は漫画家と言う職業を死ぬまで嫌い、病床に置かれた僕の本に一度たりとも触れなかった」と本人が語っている。

「劇画」の誕生[]

1958年(昭和33年)に上京し、仲間と共に国分寺に集まる。翌年、写実的な絵を主体とした「新漫画」を辰巳ヨシヒロの提案により「劇画」と命名(当初さいとうは、紙芝居を画劇と呼ぶ事からこの呼称に否定的であったが、後に認めている)。石川フミヤス(後にさいとう・プロスタッフ)、松本正彦、K・元美津(後にさいとう・プロスタッフ)、桜井昌一、山森ススム、佐藤まさあきらと劇画を制作する漫画家の集まりとして「劇画工房」を結成する。

「劇画工房」の分裂、さいとう・プロダクション設立[]

1960年(昭和35年)、「劇画工房」の分裂を受け、劇画制作、さらに出版までに手を広げた「さいとう・プロダクション」を設立。「さいとう・―」は、はじめて漫画制作に分業体制や脚本部門をおいた所である。スタッフは、1960年代当時の仲間を雇用し続けている。長時間低賃金労働が一般の漫画業界で雇用条件に気を配り、さいとうプロは給与の高さで業界ダントツである。これも無理なく長期連載を請け負って計画的に仕事をこなしている故に可能となっている。設立後は劇画を少年誌に連載するなどの活動をした。

さいとう・プロダクションの活動[]

設立当初は少年誌に漫画を連載していたが、イアン・フレミング原作で話題となっていたアクション映画『007シリーズ』に注目、劇画化した。その作品は「ボーイズライフ」に連載され大好評であった。そのほかにも単発もので中短編様々な種類(横溝正史作品に倣ったミステリー、冒険もの)の作品を発表。

その後、『ビッグコミック』にてアクション漫画を連載(「挑戦野郎」「捜し屋禿鷹登場!!」など)する。その中でも1968年10月より連載開始の「ゴルゴ13」は、一度も休載する事なく連載40年を越え、現在も連載中の長寿漫画で日本の「劇画」の代名詞である。

岩手県への移住[]

現在、妻の出身である岩手県に在住している。なお、ゴルゴ13で、岩手県出身の商社マン(後に商社を辞めて帰郷)をたびたび登場させたり、東條英機が戦犯として逮捕された自分の奪還を企てた者に達観の心境を示す場面など、同県への思いも示されている。

賞歴[]

  • 第21回(昭和50年度)小学館漫画賞受賞(『ゴルゴ13』)
  • 2003年秋に、紫綬褒章を受章。
  • 2005年、第50回(平成16年度)小学館漫画賞審査委員特別賞を受賞(『ゴルゴ13』)。

作品リスト[]

  • 怪盗シュガー
  • 影狩り
  • 空気男爵
  • 『雲盗り暫平』シリーズ
  • ゴルゴ13』シリーズ
  • 『藤枝梅安』シリーズ
  • サイレント・ワールド
  • ベリー・ファーザー
  • 『サバイバル』シリーズ
  • サバイバル Another Story
  • 『007』シリーズ
  • 『台風五郎』
  • 歴史劇画 大宰相』(戸川猪佐武の『小説吉田学校』を漫画化)
  • 『デビルキング』シリーズ
  • 『バロム・1』シリーズ
  • 『ブレイクダウン』シリーズ
  • 漂流
  • 『無用ノ介』シリーズ
  • OPERATIONG.G.
  • 『鬼平犯科帳』シリーズ
  • 太平記 マンガ日本の古典
  • 毒ダネ特派員カスガ(『KASUGA』シリーズ)
  • 『挑戦野郎』シリーズ
  • 『捜し屋禿鷹登場!!』シリーズ
  • 武田信玄
  • 北条時宗

さいとう・プロダクション 現スタッフ[]

  • 石川フミヤス(石川文康)
  • 武本サブロー
  • いとう・たかし
  • 千葉利助
  • 上柚宇大
  • 正村弟
  • 赤司教
  • 杉本洋平

外部リンク[]

  • さいとう・プロダクション
Smallwikipedialogo.pngこのページの内容は、ウィキペディアから取られています。オリジナルの記事は、さいとう・たかをにあります。この記事の著作権者のリストは、ページの履歴を御覧ください。ゴルゴ 13 ウィキと同じく、ウィキペディアのテキストは、GNU Free Documentation Licenseで提供されています。




特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

芹沢家殺人事件

『芹沢家殺人事件』(せりざわけさつじんじけん)は、さいとう・たかをの劇画アクション作品シリーズの第89話。ビッグコミック1975年20号から22号に渡って掲載され、単行本第27巻に収録されている。目次...

ビッグ・セイフ作戦

『ビッグ・セイフ作戦』(びっぐ・せいふさくせん)は、さいとう・たかをの劇画アクション作品シリーズの第1話である。あらすじ[]超A級テロリスト・ゴルゴ13は、MI6から元ナチス親衛隊隊長で贋造紙幣の天才...

ゴルゴ13作品リスト/単行本第5巻

ゴルゴ13作品リスト/単行本第5巻とは、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックスの第5巻で、「帰ってきた標的」ほかを収録したものである。全編にゴルゴの性行為シ...

ゴルゴ13作品リスト/単行本第4巻

ゴルゴ13作品リスト/単行本第4巻とは、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックスの第4巻で、「査察シースルー」ほかを収録したものである。目次1 査察シースルー...

ゴルゴ13作品リスト/単行本第3巻

ゴルゴ13作品リスト/単行本第3巻とは、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックスの第3巻で、「狙撃のGT」ほかを収録したものである。目次1 狙撃のGT2 駅馬...

ゴルゴ13作品リスト/単行本第2巻

ゴルゴ13作品リスト/単行本第2巻とは、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックスの第2巻で、「檻の中の眠り」ほかを収録したものである。この時代のゴルゴは、表情...

ゴルゴ13作品リスト/単行本第1巻

ゴルゴ13作品リスト/単行本第1巻とは、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックスの第1巻で、「ビッグ・セイフ作戦」ほかを収録したものである。目次1 ビッグ・セ...

ゴルゴ13作品リスト/単行本第146巻

『ゴルゴ13作品リスト/単行本第146巻』は、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの漫画『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックスの第146巻で、「いにしえの法に拠りて」ほか2編が収録されている。目...

ゴルゴ13作品リスト/単行本第145巻

ゴルゴ13作品リスト/単行本第145巻とは、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックスの第145巻で、「ヨハネ伝第十一章十節」ほかを収録したものである。テンプレ...

ゴルゴ13作品リスト/単行本第103巻

『ゴルゴ13作品リスト/単行本第103巻』は、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの漫画『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックスの第103巻で、「モスクワの記憶」ほか2編が収録されている。目次1 ...

ゴルゴ13作品リスト

ゴルゴ13作品リスト(ごるごさーてぃーんさくひんりすと)は、リイド社より刊行されているさいとう・たかをの『ゴルゴ13』シリーズ単行本コミックス収録作品の一覧である。目次1 一覧1.1 第1巻 - 第1...

ゴルゴ13_第一章神々の黄昏

『ゴルゴ13 第一章神々の黄昏』は、1988年にビッグ東海より発売されたのファミリーコンピュータ用ソフト概要[]物語はネオナチとの戦いである。水中ステージや、空中ステージがあり、ステージは様々であるが...

ゴルゴ13_(主人公)

ゴルゴ13( - さーてぃーん)は、さいとう・たかを作の劇画『ゴルゴ13』に登場する超A級スナイパーの主人公で架空の人物。以下のサブタイトルの作品が載っている本はゴルゴ13作品リストを参照。目次1 配...

ゴルゴ13

『ゴルゴ13』(ごるごサーティーン)は、さいとう・たかをの劇画作品、及び架空の人物であるその主人公の呼び名。1968年(昭和43年)10月(1969年1月号)から小学館「ビッグコミック」誌で連載が開始...

ガラスのハイウェイ

『ガラスのハイウェイ』はdoaの10thシングル。内容[]「心のリズム飛び散るバタフライ」、「はるかぜ」に続き、ベースの徳永暁人がメインボーカルを務めた作品。テレビ東京系テレビアニメ『ゴルゴ13』のエ...

さいとう・たかを

さいとう・たかを(本名 斎藤 隆夫(さいとう たかお)、男性、1936年11月3日 - 2021年9月24日)は、漫画家。大阪府堺市西区出身。岩手県花巻市在住。妻は同じく漫画家のセツコ・山田。貸本漫画...

60日間の空白への再会

『60日間の空白への再会』(ろくじゅうにちかんのくうはくへのさいかい)は漫画家さいとう・たかをの人気アクション劇画作品『ゴルゴ13』の第99話。あらすじ[]元モータリニア共和国ヌアクショット刑務所警備...

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板 雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウ...