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ユリアン・ミンツ Julian Mintz | |
Yulian | |
所属: | 自由惑星同盟 |
性別: | 男性 |
搭乗艦: | ユリシーズ |
声優: | 佐々木望 |
表・話・編・歴 |
ユリアン・ミンツ(ビデオ版:テンプレート:Llang、DVD版:Julian Mintz)は、銀河英雄伝説の登場人物。
ヤン・ウェンリーの被保護者であり、後継者とされている。OVA版(本編110話分)のエンディング・クレジットの背景で流れるアニメーションが4バージョンとも全てユリアンを中心に描かれている。また、作者の田中芳樹が執筆当初は物語前半でヤンを死なせ、後半はユリアンの物語にするつもりだったという趣旨の発言をしていることから、主人公であるヤンやラインハルトに匹敵する重要人物とも言われている。
宇宙暦782年3月25日生まれ。戦争孤児で、「軍人子女福祉戦時特例法(通称:トラバース法)」によりヤンの被保護者となり、後に彼に憧れ軍人への道を歩む。
宇宙暦796年10月にヤンがイゼルローン要塞の指揮官となった際、兵長待遇の軍属として同行し、救国軍事会議によるクーデターで、軍曹待遇、初陣でワルキューレ3機、巡航艦1隻を撃沈し曹長待遇に昇進している。第8次イゼルローン攻防戦の後、風邪を引いて寝込んでいたヤンに正式に軍人になる許可を求め、ヤンは渋々許諾した。
宇宙暦798年、駐在武官(少尉)としてフェザーンに行き、帝国軍の侵攻に遭遇。護衛のマシュンゴと弁務官のヘンスローを伴ってベリョースカ号でフェザーンを脱出。ハイネセンへの帰途、ベリョースカ号を追跡していた帝国軍駆逐艦を乗っ取り、フィッシャーの分艦隊に合流。その功績で中尉に昇進した。
バーラトの和約の後、ベリョースカ号で知り合ったデグスビィ司教の話を確かめる為、親不孝号で地球に向う。潜入中に地球教本部がワーレン艦隊の侵攻を受け、ユリアンはそれに乗じて地球教のデータを入手、オーディンを経て、ヤン一党が身を寄せていたエル・ファシルに向う。
ヤン・ウェンリーが死亡した時は18歳。ヤンの死後、後継者として階級が上の人物は多かったが、その者達の意見により、中尉のまま革命軍司令官となる。革命軍司令官代行という立場での初めての任務は、宇宙暦800年6月6日のヤンの葬儀と死の公表。
宇宙暦801年/新帝国暦3年6月1日、シヴァ星域の会戦で自らブリュンヒルトに突入し、ラインハルトと直談判に臨んだ。これにより、惑星ハイネセンを含むバーラト星系を民主主義による自治区とする条件を勝ち取る。この時点における乗艦はユリシーズ。
物語はここで終わるが、物語最後でハイネセンの将来についてユリアンがビジョンをたてている場面があり、「(今後の方針について)アッテンボロー提督といろいろ話しあって予定をたてなきゃ」と発言している(作者田中芳樹はユリアンについて、物語終了後の人生がある程度定まっている人物との趣旨の発言をしている)。
最終的にはヤンが目指していた歴史研究家の道を歩み、ヤンの生涯に関する執筆を行っている。物語の語り部である「後世の歴史家」の一人にユリアンの名前があり、設定ではヤンの言行・功績・生涯が詳細に語れるのはユリアンの功績という事になっている。
従事するあらゆる分野で才能を表している。学生時代の学力や運動能力はヤンを遥かに凌駕し、イゼルローンに来てからも教官役の者達がその能力を高く評価した。「智略はヤン譲り、空中戦はポプラン譲り、白兵戦はシェーンコップ譲りの腕前を持つ才気あふれる少年」と評され、ヤンのスポークスマンとしての能力も水準以上だったが、ヤンを初め周囲は器用貧乏の見本にならないかと恐れていた。後にヤンは、ユリアンがラインハルトの元に居たら、いずれ元帥にもなれると評している。これはユリアンの才能を高く評価している一方で、それでもラインハルトを上回るものではない、という意味でもあると作中記されている(ただしヤンは、自らをもラインハルトを上回るとは考えていなかったが)。実際、ヤンより遥かに若年でありながら、同じ歳の頃のヤンとは比較にならないほど実績をあげており、将来的にヤンすらしのぐ可能性のある天才的人物とみなした者も多い。
また救国軍事会議によるクーデター終了時の折、最高評議会議長のヨブ・トリューニヒトに将来有望な人間として既に顔と名前を覚えられており、その後の昇進ではトリューニヒトの便宜があったとされ、同盟上層部の一部からはユリアンはトリューニヒト派の人間であると誤って認識されていた(ユリアンはこれらについて強く否定し不快感を示している)。
他方、優れた資質がありながらヤンのために働くことのみを考えヤンを超えようとは考えていなかったことから、ボリス・コーネフに「謀反気がない」と評された。また、ヤンの死後は、ヤンの事跡を継ぐことに集中し「ヤン・ウェンリー語録という聖典を抱えた努力型の布教活動家」という印象を周囲からは抱かれていた。先人たるヤンには永遠に及ばないと考えていたらしく、その思考も「ヤン提督ならどうなさっただろう」と自己に問い掛けるかたちでなされた。「先人に対する嫉妬心がないのは後継者としては得がたい資質だが、進取の気風を忘れて退嬰にすすみかねない」とキャゼルヌに心配されたりもしている。
ただ、物語終盤カリンに「いま、遠慮なしにあんたが決断することこそ、期待に応える唯一の道じゃないかしら」と励まされたことがきっかけになり徐々に自分主体の考えを出すようになる。物語の最後では銀河帝国との和平を自力で実現させ、銀河帝国の政治体制の構想をラインハルトに直接進言するほどになった。
保護者のヤンが極めて家事に疎かったため、引き取られてからヤンがフレデリカと結婚するまでの間は、ユリアンがヤン家の家事一切を担当していた。特に紅茶を入れる腕前は達人級であるが、これは実父のミンツ大尉がヤンを超える紅茶好きであり、淹れ方を仕込まれていた事が理由。
ヤンの死後、18歳でイゼルローン軍の司令官になった時は、多くの者がその年齢と実績不足に危惧を抱いたが、第2次ランテマリオ会戦ではメックリンガー艦隊の回廊通過に許可を与えて政治的センスを示し、翌年の第11次イゼルローン攻防戦では2艦隊を相手に戦術能力を発揮した。
本質的には生真面目であり、学習能力に優れている事から、「秀才・優等生」と見られる事が多い。ヤン艦隊の面々に感化されて毒舌家としての側面も育ったが、ヤンの死以降は生来の気質とされる生真面目さが強く表れ始めた。
敵味方に関係なく優れた人物に対して敬意を払い、敵であるキルヒアイス・ワーレン・ミュラーなどを尊敬していることを示す場面が随所に描かれている。特にミュラーに対しては「銀河帝国に生まれていたら、ミュラーのような軍人になりたいと思ったことだろう」と述べている。
人当たりは良く、フェザーンに向う前の挨拶回りの時にムライから「君には他人を信頼させる何かがある」という評価を得ている。
しかし、尊敬するヤンの事になると感情をむき出しにする事もあり、バグダッシュがヤンに対し戯れに銃口を向けた際に、かなり強い嫌悪と殺意を呈してバグダッシュとヤンを驚かせた。ヤンが暗殺された時に、ヤンを殺した地球教徒を殺してからもマシュンゴに止められるまで殴り続けていた。また、酩酊した兵士にヤンを守りきれずに死なせてしまった責任をなじられた際にはただ苦笑を浮かべるだけだったが、その侮蔑が「暗殺されるなんていう無様な死に方」というかたちでヤンに対して向けられると態度が一転、普段の彼からは想像もつかない程激しい口調で激昂した。
実の父親は同盟軍の大尉で、当時中佐・統合作戦本部参事官のキャゼルヌの部下だった事がある(原作、OVA版では明確にされていなかったが、道原かつみの漫画版で明確に描かれている)。その時少佐だったヤンと出会っているが知己までは得ていない。(外伝『螺旋迷宮(スパイラル・ラビリンス)』)後に宇宙艦隊勤務になるがユリアンが8歳の時戦死している。その後2年は父方の祖母と二人で暮らしていたが、ミンツ家は自由惑星同盟建国者アーレ・ハイネセンの「長征一万光年(ロンゲスト・マーチ)」に参加した名家で、ユリアンの実母は帝国から亡命した平民の子孫であった事から祖母からは「息子を奪った女」と嫌われていた。また、ユリアンも孫とは認識さえされておらず「息子を奪った女の息子」と蔑まれおり、母と一緒の写真は焼き捨てられ父と一緒の写真は何処かに隠されてしまったため、両親を偲びたくても幼い頃の写真は1枚も無い。血の繋がった祖母でなければ、その死に際しては見向きもしなかっただろうとのことである。この祖母が死亡した後2年は福祉施設で暮らしており、12歳の時キャゼルヌの計らいでヤンの養子になる。本伝はこの2年後からスタートする。OVA版では「元帥」とヤンに命名された大きなネコを1匹飼っているが、小説版ではヤン家にペットはいないという設定になっている。なおこの猫は第2次神々の黄昏作戦の際にシャルロット・フィリス・キャゼルヌに預けられている。
やがてヤンがフレデリカと結婚した為、エル・ファシル革命予備軍以降はこの3人が家族という形態になった。バーミリオン会戦の時、フレデリカに片想いしている事をキャゼルヌに指摘され、否定出来なかったが、本人にその告白はしなかった。
物語終了までは独身だったが、二歳年下のカリン(カーテローゼ・フォン・クロイツェル)及び七歳年下のシャルロット・フィリス・キャゼルヌという2人の結婚相手の候補がいた。ただしシャルロット・フィリスは父親のキャゼルヌが勝手に主張していただけである。物語後半ではカリンとの恋愛描写が随所に見られ、さらに本伝最終章落日編で「(6月1日は)彼らの父親たちが亡くなった日であり、あたらしい個人史のページが開かれた日でもあるのだった」と、ユリアンとカリンがこのときに実質的に結ばれたととれる文言が記述されている。
アニメにおいて声を担当した声優は佐々木望。
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