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おしい まもる 押井 守 | |
本名 | 押井守 |
---|---|
別名 | 丸輪零 野村和史 名輪丈 小川守弘 岩崎宏 |
生年月日 | 1951年8月8日(71歳) |
出生地 | 日本の旗 日本・東京都大田区 |
民族 | 日本人 |
職業 | 映画監督 ゲームクリエイター 小説家 脚本家 漫画原作者 劇作家 |
ジャンル | アニメ、実写、SF |
活動期間 | 1977年 - |
配偶者 | あり |
家族 | 押井友絵(娘) 乙一(娘婿) |
公式サイト | ガブリエルの憂鬱 |
主な作品 | |
『うる星やつら』 『機動警察パトレイバー』 『攻殻機動隊』 | |
押井 守(おしい まもる、1951年8月8日 - )は、アニメや実写映画を中心に活動している日本の映画監督。その他にも、ゲームクリエイター、小説家、脚本家、漫画原作者、劇作家、大学教授と活動は幅広い。
東京都大田区出身。東京都立小山台高等学校、東京学芸大学教育学部美術教育学科卒。静岡県熱海市在住。2008年度より東京経済大学コミュニケーション学部の客員教授に就任。
代表作に『うる星やつら』『機動警察パトレイバー』『攻殻機動隊』など。アニメ映画『イノセンス』(カンヌ国際映画祭コンペ部門出品作品)により、日本SF大賞を受賞した。大賞でアニメ映画が対象となったのはこれが初めてであった(星雲賞では過去に例がある)。
個人事務所は、有限会社八八粍。事務所所在地は、東京都港区虎ノ門。押井自身の全額出資によって設立された。
押井守が多く用いる映像表現として、アニメにレンズの概念など実写的要素を取り入れたレイアウトシステムの導入、2Dの手描きのアニメと3DのCGIの融合、更にそれら素材にデジタル加工を施し、手描きの絵やCGIでは得られない質感を加えたり、画面全体に統一感を持たせるエフェクト処理(ビジュアルエフェクツ)などがある。これらの手法は全てが押井の独創ではないが、現在の漫画・アニメ界に関わる多くの人に影響を与えている(押井のこれらの手法の使い方が印象的であることの証明ともいえる)。また「映画の半分は音である」と語るほど音響と音楽を非常に重視[1]しており、近年の大作では音響作業を米国のスカイウォーカー・サウンドで行い、音楽は『紅い眼鏡』以降すべて川井憲次に任せている。もはや川井憲次の音楽表現は押井作品と切り離せないと言える。その映像センスと音楽表現、そして時には「ギャグ」、時には「衒学的」「哲学的」に語られる独特の長台詞回し(「押井節」とも呼ばれる)は、一部から高い評価と支持を得ている。
一般的には映画を構成する要素(A『キャラクター』・B『物語』・C『世界観』)はA→B→Cの順番で構築されるケースが多いが、押井作品では逆にC→B→Aとなることが多く、まず『世界観』ありきでそこから無理の無い『物語』・『キャラクター』が逆算で割り出される。
押井の永遠のテーマとも言えるシナリオの方法論として、「虚構と現実・真実と嘘の曖昧さ」がある。これも上記と同じく押井が源流ではない(前例として古くは荘子、近年では楳図かずお、フィリップ・K・ディック等が挙げられる)。これに付加して、同じ状況を何度も繰り返すなど「永遠性」を意識した演出も多用される。
映画は単に映像の快感原則の連続によってのみ成立するのではなく、あえて流れに逆らう部分が必要という考え(「ダレ場理論」と呼ばれる)から、押井作品には多くの割合でストーリーの進行とは直接関係ないダレ場(ある意味、眠気を誘うシークエンス)が挿入される。
押井は自らを「娯楽作品をつくる商業監督である」と語っているが、一方で「自分の作品の客は1万人程度でいいと思っている」、「1本の映画を100万人が1回観るのも、1万人が100回観るのも同じ」といった発言[2]があることから大衆・万人に受け入れられる作品づくりにはあまり興味がない模様である[3]。また、それに関連して「自分が普通の映画を撮ったところでなんら存在意義が無く、映画を発明するのが自分の役割」として、特に実写作品では実験的側面が強い傾向にある。
職業監督として制作に入った作品は決められた予算でキッチリ納期までに仕上げることをポリシーとしていて、現に(現場が動き出す前に頓挫した作品を除き)殆どの作品で予算と納期を守る優れた管理能力を示している。しかしそうしたスタンスのため、公開に間に合わなくなると判断したシーン[4]は、たとえそれが作画作業中であってもカットすることが少なくない。また、上映時間は90分前後から最長でも120分未満を理想としているため、ストーリー上余分と判断したシーン[5]はコンテ段階で極力省かれる[6] そうした、ストーリー的な解りやすさよりも映画の完成度を優先する姿勢が、結果的に観客に難解な印象を与える要因の1つとも言える。 また、「映画は一回観ただけで解ったつもりになる必要があるのか?」と疑問も呈しており、「観るたびに違う印象を与えるように心掛けている」と語っている。
1度完成し、公開された作品の映像に新たに手を加えることを好まず、ビデオソフト化においても本編に未公開シーンを加えた完全版などは基本的に制作されなかった。[7]しかし2007年末、『ブレードランナーファイナルカット版』の上映に伴うトークセッションにおいて「以前だったら絶対やらなかったと思うんだけど、ある作品は、今作り直す価値があるんじゃないかと考えている」と発言しており、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の制作発表時にも見られた信条の変化が伺われる。
1970年、東京学芸大学入学後すぐに「映像芸術研究会」を設立[8]、実写映画を撮り始める。この時期、いくつか映画を製作するが、完成したのは卒業制作の一本のみであったとのこと。学生時代は塾の講師を2年務めていた。卒業間近に映画監督への道を諦めて小学校の図画工作の教員になる予定だったが、教員試験の願書の提出を頼んでおいた友人が提出することを忘れていたために受験が不可能となってしまい、映画関係の会社に就職活動するも全社不採用となる。
1977年、ラジオ制作会社に就職して番組を制作していたが、給料が少なく生活が辛かったので半年で退社。「ひたすら毎日プラモデルを作るなどして暇をもてあましていた」(本人談)時に、電柱に貼ってあった求人広告を見てタツノコプロの面接を受ける[9]。当初は事務雑用を担当していたが、演出の人手不足からアニメ演出を手掛けるようになり、やがて、2年早く入社した西久保瑞穂、真下耕一、うえだひでひとと共に「タツノコ四天王」の異名を取るようになる。なお、西久保と真下が演出助手から始めたのに対して、押井はラジオでのディレクター経験を買われ、最初から演出を任されていた。独特のギャグの才能をタツノコプロ演出部長の笹川ひろしに買われて、『タイムボカンシリーズ』を長く担当。タツノコプロ退社後もアルバイトで絵コンテを描き、後には持ちネタのひとつとした「立ち喰い」ネタをこの時すでに『タイムボカンシリーズ』に盛り込んでいる。
1980年、私淑する鳥海永行に続く形でスタジオぴえろに移籍。テレビアニメ『ニルスのふしぎな旅』のレギュラー演出家として鳥海の下につく。タツノコプロ時代よりこの頃の押井はギャグを得意とすると見なされており、ぴえろ社員として『まいっちんぐマチコ先生』の絵コンテを1本描いたこともあった。
翌1981年、テレビアニメ『うる星やつら』のチーフディレクターに抜擢。当初は低視聴率に苦しみ、フジテレビ側との軋轢も生じたが、原作の的確なアレンジ、千葉繁演じる「メガネ」などの押井の分身とも思えるサブキャラクターの熱演、若手スタッフの登用と彼らによる“暴走”と呼ばれる作画、映画や漫画のパロディや前衛的な内容などが視聴者に支持され、やがて高視聴率を挙げるようになる[10]。その後、劇場版第1作『うる星やつら オンリー・ユー』、さらに劇場版第2作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』で単なるアニメ演出家というよりも映像作家として認知されるようになる。なお『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は1984年キネマ旬報読者選出ベスト・テン第7位(邦画)という快挙を成し遂げている(同年の1位は『風の谷のナウシカ』)。
虚構性をテーマとする押井の作風が確立したのはこの頃からである。1984年、『うる星やつら』を降板すると同時にスタジオぴえろを退社[11]。以後フリーランスの演出家となる。
1984年に宮崎駿、大塚康生の誘いもあり、『ルパン三世』の映画第3作の監督の依頼を受ける。ところが、半年間考えた脚本を東宝と読売テレビのプロデューサーから没にされて製作は中止[12]。その後、同映画のスタッフだった天野喜孝とともに、徳間書店・『アニメージュ』のバックアップにより、スタジオディーンの制作でOVA『天使のたまご』(1986年)を完成させる。なお、『天使のたまご』には、のちの劇場アニメ『機動警察パトレイバー the Movie』にも共通する、幻となった押井版『ルパン三世』で押井が描こうとしたテーマが根底に流れているといわれる。また、同年『アニメージュ』誌で初の漫画原作作品『とどのつまり…』連載を開始。作画は『うる星やつら』の作画を支えた森山ゆうじが担当した。
『天使のたまご』以降は作家性の強いマニアックさが災いして5年ほど干された(本人談)。最初の1年目は毎日ひたすらTVゲームをして過ごしていたが、2年目は貯えも底を突き、さすがに危機感を覚え、企画書を書いて持ち込んでは断られという毎日だったという。そこに、スタジオぴえろ時代の同僚である伊藤和典より『機動警察パトレイバー』の企画を進めていた「ヘッドギア」への参加依頼を受け、押井曰く「しょうがなく」参加する。
1987年、タツノコプロで同僚だった西久保瑞穂が監督を務めた『赤い光弾ジリオン』に参加。絵コンテ2本のみだったが、この作品がきっかけとなって、後に活動の拠点とするProduction I.Gとの付き合いが始まる。同年、声優・千葉繁のプロモーションビデオを自主制作する話が発展し、『うる星やつら』も担当した音響制作会社オムニバスプロモーションの製作による実写作品『紅い眼鏡』を監督。この映画の予算は「こんな低い制作費で作れるわけがない!」と関係者が叫んだほどの安さで、自主製作映画に近いものだった[13]。しかし、その低予算ゆえのユニークな演出が一部で高い評価を受ける。これ以後、アニメのみならず、実写にも活動の場を広げる。
1988年にはOVA『機動警察パトレイバー』を監督して第一線に復帰。続けて1989年に公開された劇場アニメ『機動警察パトレイバー the Movie』で第7回日本アニメ大賞を受賞し、メジャーシーンに返り咲いた。スタジオぴえろから独立後、OVAシリーズ『機動警察パトレイバー』まで、押井はスタジオディーンと組んで仕事をすることが多かったが、『機動警察パトレイバー the Movie』を契機として、活動の拠点をProduction I.Gへと移した。以後、Production I.Gにはフリーでの参加ながら、企画者育成のために「押井塾」を主宰するなど、中心的役割を担っている。
1995年の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』で海外から注目を浴び、同映画を収録したビデオはアメリカ『ビルボード』誌のホームビデオ部門で売上1位を記録した[14]。これは日本アニメ史上初の快挙として、国内で大きく報道された。スティーブン・スピルバーグやジェームズ・キャメロンなどに絶賛され、ウォシャウスキー兄弟の『マトリックス』はその影響を強く受けている。兄弟は来日した際、押井に面会に行き「パクリじゃないですから」と言ったほどである。押井本人にそのような実感は無く、ビルボードさえ知らなかったと話す。
1997年に織部賞を受賞。2004年には『イノセンス』が第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされた。カンヌ国際映画祭のコンペ部門に日本のアニメーション作品が出品されるのはこの作品が初めてであった(宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』はベルリン国際映画祭に出品)。
2005年の愛知万博にて、中日新聞プロデュース共同館「夢みる山」で上映した映像作品『めざめの方舟』の総合演出を担当した。
学生時代はSF小説家も志望していたが、ほぼ同い年である山田正紀のデビュー作『神狩り』を読んで才能の差にうちのめされ、「小説家になるのを諦めた」といくつかのインタビューで語っている。なお、山田は小説『イノセンス After The Long Goodbye』の執筆も手がけており、同作品内で押井は寄稿文を寄せている。
2008年、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』がヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門ノミネート。フューチャー・フィルム・フェスティバル・デジタル・アワード受賞[15]。第41回シッチェス・カタロニア国際映画祭で批評家連盟賞とヤング審査員賞を受賞。
2009年は、6月公開の『宮本武蔵 -双剣に馳せる夢-』で、原案・脚本を手がけた[16]。12月には単独作品としては8年ぶりの実写映画となる『ASSAULT GIRLS』が公開された。
兄、姉の三人兄弟の末っ子。血液型O型。姉は舞踏家の最上和子。父は興信所で私立探偵業を行なっていた。映画ライターの押井友絵は前妻との間にもうけた長女。押井は友絵から取材を受けたことがあり、その際は「妙な気分だった」と語っている。押井友絵は作家の乙一夫人となり、押井の映画『立喰師列伝』ではハンバーガー店の店員として出演している。『スカイ・クロラ』の企画を持ち込まれた際に、娘がその企画に興味を示したことが『スカイ・クロラ』の監督を受けるきっかけとなったと押井本人は語っている。
「オシメーション」とは、デジタルカメラで撮影した俳優の写真をデジタル加工し、アニメのパーツとして使用する技法のこと。従来からアニメーションの技法のひとつとして、実写の人間をコマ撮りする、「ピクシレーション(en:pixilation)」がある。このピクシレーションをさらに発展させたものが、「オシメーション」である。
「オシメーション」という名称はProduction I.G社長石川光久が「押井守の原点にもどって作ってもらおうということで」「原点の赤ちゃんになってもらって、押井監督がおしめをはくような作品」という理由で命名し、『立喰師列伝』の制作会見の席上で西尾鉄也によるデフォルメ調の「おしめを穿いた押井守のイラスト」と共に発表された。以後、あまり浸透せず宣伝等では「スーパーライヴメーション」という名称で紹介されることが多い。
読切短編。最初は神崎将臣作画で掲載されたものの、押井・神崎とのストーリー構成の意見の食い違い、ファンから「押井らしくない」と批判があったため、後に杉浦守作画で再掲載。前者は単行本未収録であり、後者は「RAINY DOGS 紅い足痕 / 犬狼伝説 紅い足痕」の単行本巻末に収録。
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