君の名は

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『君の名は』(きみのなは)は、ラジオドラマのタイトル。好評につき、映画化、テレビ化、舞台化、及び再ラジオドラマ化されている。

目次

あらすじ[]

第二次大戦、東京大空襲の夜。焼夷弾が降り注ぐ中、たまたま一緒になった見知らぬ男女、真知子と春樹は助け合って逃げ回るうちに、銀座・数寄屋橋までたどり着く。二人はここでようやく互いの無事を確認する。名を名乗らないまま、互いに生きていたら半年後、それがだめならまた半年後にこの橋で会おうと約束し、そのまま別れる。やがて、2人は運命の渦に巻き込まれ、互いに数寄屋橋で相手を待つも再会がかなわず、やっと会えた頃には真知子はすでに人の妻となっていた。しかし、夫との生活に悩む真知子、そんな彼女を気にかける春樹、2人をめぐる人々の間で、運命はさらなる展開を迎えていく。

特徴[]

真知子と春樹が再会しそうになる(半年ごとの数寄屋橋での待ち合わせなど)が、不都合が起きて会えない。この「会えそうで会えない」という事態が何度も繰り返された。後のドラマでもよく見られる描写(演出)である。本作は、このパターンの典型にして古典となっている。

脚本家・菊田一夫の代表作。1952年にラジオドラマで放送され、「番組が始まる時間になると、銭湯の女湯から人が消える」と言われるほど、ラジオの前に人が集まる人気となった。

松竹で映画化された際は、主人公のショールの巻き方が「真知子巻き」と呼ばれ、女性の間で流行した。これは、撮影の合間、岸恵子(主演)があまりの寒さにショールを肩からぐるりと一周させ、耳や頭をくるんでいたことによる。この姿はカメラが回っている時にも使われることになり、「真知子巻き」が誕生した。

銭湯の真偽[]

「女湯から人が消える」という話は、「アメリカでの事実を基にして、松竹の宣伝部が作った虚構である」という説も根強い[1]

  • アメリカでは、「ラジオの人気番組の放送時間にあわせ、女性ファンが炊事や入浴を止めた為に水道の使用量が減った」というテンプレート:要出典。

NHKラジオ連続放送劇[]

番組の冒頭で「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」という来宮良子のナレーションが流れる。音楽は古関裕而で、伴奏のハモンドオルガンも自ら演奏した。当時のラジオドラマは生放送だったため、劇中のBGMも古関裕而が毎回即興で演奏していた。

  • 後宮春樹 - 北沢彪
  • 氏家真知子 - 阿里道子
  • 他に古川緑波、七尾伶子など

主題歌[]

  • 「君の名は」作詞:菊田一夫作曲:古関裕而歌:高柳二葉(放送版)

販売用のレコードは織井茂子によって吹き込まれている。

映画[]

全3部。総集編(再編集版)もある。

  • 監督: 大庭秀雄
  • 製作: 1953年~1954年
  • キャスト
    • 氏家真知子:岸惠子
    • 後宮春樹:佐田啓二
    • 綾:淡島千景
    • 悠起枝:月丘夢路
    • 加瀬田修造:笠智衆
    • 浜口勝則:川喜多雄二
    • 浜口徳枝:市川春代
    • 勘次:市川小太夫
    • 信枝:望月優子
    • 梢:小林トシ子
    • あさ:野添ひとみ
    • 水沢謙吾:須賀不二男
    • 水沢奈美:淡路恵子
    • 横山:三井弘次
    • 副島渡:大坂志郎
    • ユミ:北原三枝

  • 撮影地: 北海道美幌町・弟子屈町、三重県志摩市(大王町、志摩町)・長崎県雲仙温泉他


主題歌・挿入歌[]

  • 「君の名は」(歌:織井茂子)
  • 「黒百合の歌」(歌:織井茂子)
  • 「忘れ得ぬ人」(歌:伊藤久男)
  • 「数寄屋橋エレジー」(歌:伊藤久男)
  • 「君は遥かな」(歌:佐田啓二、織井茂子)
  • 「綾の歌」(歌:淡島千景)
  • ほか

「君の名は」に関する歌の作詞・作曲は、すべて菊田一夫・古関裕而のコンビによる。

舞台[]

宝塚歌劇団によって舞台化された作品の一覧を参照。

テレビ[]

2008年現在、テレビでは4度ドラマ化されている。

1962年版[]

1962年10月2日から1963年4月9日まで、フジテレビ系列で放映。

  • 出演:津川雅彦、北林早苗、山岡久乃など。

テンプレート:前後番組

1966年版[]

1966年5月23日から1967年1月28日まで、日本テレビ系列の毎週月曜~土曜の13:00-13:45の時間枠で放映。全216回。

  • 脚本:岩井基成、柳川創造
  • 出演:伊藤孝雄、萩玲子、有沢正子、池田忠夫、折原啓子、南佐斗子、田浦正巳、二瓶秀雄など
  • 撮影地:北海道、浅虫温泉(青森県)、佐渡島(新潟県)、水上温泉(群馬県)、熱川温泉(静岡県)、白浜温泉(和歌山県)

1976年版[]

1976年10月1日から12月24日まで、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列の毎週金曜21時枠で放映。全13回。

  • 脚本:花登筐
  • 演出:山本孝則
  • 出演:古谷一行、酒井和歌子、金田龍之介、森繁久彌など

テンプレート:前後番組

1991年版(NHK連続テレビ小説)[]

1991年4月1日から1992年4月4日まで、NHKの連続テレビ小説30周年記念作品として、連続テレビ小説では「おしん」以来の1年間放送となった。

最高視聴率(34.6%)、期間平均視聴率(29.1%)とも、連続ドラマ小説歴代最低を記録している(本ドラマ終了時点での)。放送15年後の2006年4月3日からNHK-BS2でアンコール放送された。

放送開始後ほどなくして、視聴率は低迷した。そのため、

  • 脚本家が休養をとったのち、複数人体制にした。
  • オープニングの曲を、放送開始3ヶ月後と年明け後に明るめに変えた。
  • 『第×部「~編」』という表示の導入。

以上の工夫を施した。

しかし、旧版の制作関係者をはじめ、往年のファンからの批判も少なくなく(特に、「原作には無い後日談」を加えたことに対して)、かつての人気を取り戻すまでには至らなかった。

なお第五部の舞台は、長崎県島原市の予定だったが、雲仙普賢岳の噴火により、中止となり、舞台は、静岡県西伊豆に変更された。

第一部:(第1部は、~編というのはなかった)

第二部:「結婚編」

第三部:「旅立ち・北海道編」

第四部:「愛ふたたび・志摩編」

第五部:「愛のゆくえ・対決編」

第六部:「それからの二人・夫婦編」

  • 原作:菊田一夫
  • 脚本:井沢満、横光晃、小林政広、星川泰子、宮村優子
  • 音楽:池辺晋一郎
  • 語り:八千草薫
  • 演奏:東京コンサーツ
  • 題字:篠田桃紅
  • 考証:松平誠
  • 考証協力:天野隆子
  • アイヌ民俗関連監修:萱野茂
  • 所作指導:鈴木宗卓
  • 医事指導:雨宮昭
  • 方言指導:佐渡稔、山國成男、谷津勲、山中篤、岡部雅郎
  • 撮影協力:三重県志摩郡阿児町、千葉県野田市、新潟県佐渡、静岡県西伊豆、北海道美幌町、同弟子屈町
  • 制作:石井愼、松本守正
  • 美術:藤井俊樹、岡本忠士、矢野隆士
  • 技術:沖中正悦、渡部浩和、原滋
  • 音響効果:田中正男、太田岳二、矢島清
  • 撮影:中村和夫、川崎一彦、安田熙男
  • 音声:谷島一樹、大地祥嗣
  • 照明:高橋伴幸、篠根正継
  • 記録·編集:田中美砂、高室晃三郎、岡部敦子、上田裕里子
  • 演出:宮沢俊樹、三井智一、長沖渉、原嶋邦明、伊豫田静弘、一井久司ほか
キャスト[]
  • 氏家(→浜口→後宮)真知子(ヒロイン):鈴木京香
  • 後宮春樹(空襲で真知子を助けた男):倉田てつを
東京(浜口家)
  • 浜口勝則(真知子の夫):布施博
  • 浜口徳枝(勝則の母・真知子の姑):加藤治子
その他 東京の住人
  • 小野瀬綾(真知子・春樹の友人佐渡出身):いしだあゆみ
  • 美村蘭子(夜の女):佐藤友美
  • 美村礼治(蘭子の夫、戦争によって記憶喪失に):小坂一也
  • 美村千枝子(美村夫妻の娘、戦争によって行方不明に):小川京子→川田美香
  • あさ(夜の女):伊藤嘉奈子
  • 石上梢(夜の女):河合美智子
  • 加瀬田修造(元陸軍少将):橋爪功
  • 加瀬田岸枝(修造の妻・曙荘の管理人):中原ひとみ
  • 加瀬田和子(加瀬田夫妻の娘)羽田美智子
  • 田上うらら子(天天教の教祖):益田愛子
  • 岩間(副島)伝次(闇市でならしたヤクザ):宍戸開
  • マリー(夜の女・蘭子のライバル):伊佐山ひろ子
  • 永橋(勝則の上司):加藤武
  • 永橋清子(永橋の妻):高田敏江
  • 深野柳子(下町の長家の大家):樹木希林
  • 住職(真知子・春樹の結婚式を行う寺の住職):鈴木清順
  • 多比良良作(定彦の仕事仲間)、税務署職員::蟹江敬三
  • 木村五郎(大学受験生。下宿し勉強中):八百坂圭祐→大沢樹生
  • 真知子の父(東京大空襲で死去・勘次の弟):冨田浩太郎
  • 真知子の母(東京大空襲で死去):泉よし子
清宮家(東京)
  • 清宮(→浜口)美子(勝則の2番目の婚約者):とよた真帆
  • 清宮田鶴子(美子の母):稲垣美穂子
北海道 美幌・弟子屈
  • 末永保(春樹の大学の先輩):村田雄浩
  • 松吉(末永の先代から牧場で働いている):高品格
  • ユミ(春樹を好きになった女):松永麗子
  • 三郎(牧場で働いている男):土門廣
新潟・佐渡
  • 本間定彦(真知子・春樹の友人北国文学):古舘伊知郎
  • 野添絹子(定彦の友・勘次の不倫相手):早乙女愛
  • 角倉勘次(真知子の叔父・角勘の主):宍戸錠
  • 角倉信枝(真知子の叔母・角勘の女将):佐々木すみ江
  • 米夫(角勘の従業員):井上康
  • 捨松(角勘の従業員);中野英雄
  • スミ代(捨松の妻):山家千花
  • 忠公(角勘の従業員):三井善忠
三重県・志摩
  • 西崎(→後宮→水沢)悠起枝(春樹の姉):田中好子
  • 水沢謙吾(悠起枝の友人):平田満
  • 戸村(→水沢)奈美(海女·謙吾の妻後に行方不明に):杉本彩
  • 水沢フサ(謙吾の母):小林トシ江
  • 長島(密輸組織のボス):鶴田忍
  • 海渡琴乃(志摩で店を営む):伊藤友乃
愛知・名古屋
  • 尾田登美子(那古野旅館·女将):山田昌
  • 天馬徹太郎(浪漫タイムス編集長):金田龍之介
  • 菅谷三千代(天馬の元妻):たかべしげこ
  • 菅谷博史(三千代と天馬の子・現在は巣鴨留置所で生活):美木良介
その他(脇役出演)
  • きし子(浜口家の前で遊ぶ女の子):安達祐実
  • 美代子(春樹が列車の中で出会った女の子):星野真里
  • 数寄屋橋の警官:きたろう
協力
  • 劇団ひまわり
  • 劇団いろは
  • 劇団東俳
  • 劇団若草
  • ジャパンアクションクラブ
  • 若駒
  • 東京児童劇団
  • 早川プロ
  • 鳳プロ
  • 悪役商会
  • 丹波道場など

ラジオ復刻版[]

NHK放送開始80周年記念特別番組「もっと身近に もっと世界へ NHK80」(2005年3月19から22日)の一環として、「復刻ラジオドラマ」として放送された。放送日時は19日~21日の連日21:05ごろ~21:55(JST)。NHKのライブラリーに保管されている音源や台本を参考にしている。

出演は田中美里、萩原聖人他。ナレーションは、映画版で主人公の氏家真知子を演じた岸惠子が担当した。

NHK総合テレビでは、「君の名は&冬のソナタ 今夜純愛をあなたに…」の特集を組み、その中でラジオドラマの収録風景を放送している。放送日時は3月20日夜22:20~21:05(JST)。司会は小野文惠アナウンサーだった。

数寄屋橋の撤去[]

  • 東京オリンピックを控えての開発ラッシュの際、皇居外堀を埋めて高速道路が作られることになり、数寄屋橋も撤去された。今は数寄屋橋交差点わきの公園に、原作者の菊田一夫の筆による「数寄屋橋 此処に ありき」の小さな石碑が残されている。

注[]

  1. 日本経済新聞2007年5月31日編集手帳によると、松竹の重役であった野口鶴吉が宣伝用に広めたのだという。

関連項目[]

  • 織井茂子

テンプレート:前後番組テンプレート:前後番組テンプレート:NHK朝の連続テレビ小説

テンプレート:Tv-stubテンプレート:Radio-stubテンプレート:Movie-stub

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