とある者のメモからその存在は認知されつつあった。
いや、《認知される》というよりは《おそらく存在すると考えられ始めた》と言う方が正しいだろうか。
もしかしたら物語上での存在で、この世界には存在しないのかもしれない。
時を重ねど重ねど、その結論は見えてこない。
なぜなら
《誰もこの者の事を覚えていないから》。
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+推定パーソナルデータ-推定パーソナルデータ
彼に関する情報が、断片的にメモとして残されている。
この情報が本当に正しい物かはわからないが、ひとまずの目安とする。
名前(仮名) :アスタリスク
エムブレム/コード:不明
身長 :約89㎝
+概要-概要
彼に関する情報はほとんど残されておらず、また誰も覚えていない。
+能力-能力
何らかの能力を使い戦闘していたという報告が上がる事はあるが、それが彼の能力によるものかどうかは定かではないし、その戦闘に彼が絡んでいた事さえも誰も覚えていない。
見知らぬ装丁が施された本を何冊か拾った。
…もしかすると魔導書かもしれない。
恐る恐る、中身を呼んでみた。
およそどこの世界の言葉かわからないが、どんな事が書かれているかは何となくわかった。
ここに、読み取れた内容を一部記載する。
レフィセンテ
《凶星》の二つ名を持つ生命。
こちらの世界にも同一の個体が存在しており、恐らく「彼女」の影響で生まれてしまった一匹だろう。
会うなり非常に怪しまれ幾多もの洗礼を受けてしまった。
…状況が理解できたのか、生きるつもりすらないのかはわからないが、次元適合魔法には素直に応じてくれた。
これでこの子も、きっと…。
記憶に関しては、私と同様《残さない》事を求めているらしい。
恐らく、彼女が《凶星》である所以だろう。
こちらの世界でも他人の事を先に考えるとは。
血は争えない、という事だろう。
念のため、「淋しくないのか」と尋ねたが、「あんたも同じだろう」と返された。
…返す言葉もない。
彼女の力は、この赤いバッジに封印してある。
呼び出そうと思えばいつでも呼び出せる。
私の身に危機が迫ったのなら、存分にその力を奮ってもらおう。
…そういえば、元の世界のこの子は料理がある程度得意だと聞いた。
気晴らし程度に用意してやるかな?
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