SCP-1822-JP

ページ名:SCP-1822-JP

登録日:2020/03/30 (月曜日) 19:18:45
更新日:2024/05/17 Fri 11:10:12NEW!
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scp foundation 日本生類創研 scp-jp カブトガニ 生態系 safe 石炭紀 scp-1822-jp



SCP-1822-JPは怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」の日本支部に登場するオブジェクトである。
項目名は「原始の島」。オブジェクトクラスはSafe。
タグにある通り日本生類創研絡みのオブジェクトだが、今回はだいぶ違った一面がある。



概要

SCP-1822-JPは北緯3█°、東経1██°に存在する直径2キロメートルの巨大カブトガニの死骸その上に形成された生態系
このSCP-1822-JP(以下カブトガニ、カブトガニ島)には石炭紀の生態系が再現されていて、巨大な植物や地面を覆うシダ、30%もの酸素濃度は石炭紀そのもの。
生物もメガネウラを模したトンボをはじめ様々な生物がいる様子。


このオブジェクトは財団が太平洋ゴミベルト調査中に、浮島が海洋調査船を追尾し始めたため発見。
この時はカブトガニはまだ生きていたが非常に衰弱しており、治療も虚しく68時間後死亡が確認された。



先述の通り生態系を文字通り支えるカブトガニは既に死んで崩壊が始まっており、20██年には完全に崩壊、沈没すると推測されてる。
この島の固有種の保全は財団生物保護委員会で協議中。アノマリーも「保護」するのが財団である。


少々遅れたが特別収容プロトコルは、


  • ███島の海岸に漂着させて管理。許可のない人物や航空機、船舶の侵入禁止。
  • 公開される衛星画像は全て漂着前映像のものに変更する。
  • 侵入防止に着陸可能な浜や船着場は全て破壊されているため、侵入調査を行う時は専用潜水艦を使用し、海底を経由して上陸。
  • 生態系維持のため調査の際は防護スーツ着用義務あり。
  • PoI-1822の捜索。(本オブジェクト担当職員の最重要事項)

となってる。



補遺

さて、プロトコル最後に出てきたPoI-1822だが、どうやらニッソにおけるカブトガニ島の担当研究員だったようだ。
カブトガニの甲羅の裏には生活や研究の痕跡がある建築物が残っており、回収された文書(主に印刷されたメール)の抜粋が元ページに乗っている。



Subject: カブトガニ島について
From: ███████@lab.joicl.co.jp To: ██████@lab.joicl.co.jp


██上級研究員
███です。お世話になっております。
この度はカブトガニ島の製作にご協力いただき、誠にありがとうございます。あれから島の環境は急速に発展し、個々の生物たちも環境への適応が進んでおります。特にムカシトンボから改造したメガネウラが海鳥を捕食することで外来鳥類が排除され、環境の安定にも貢献しております。
注意すべきは現代生物の侵入と繁殖の防止であり、海岸沿いの木々には外来の地衣類の繁殖が確認されました。地衣類や菌類の繁殖は枯死した木々を分解することで土壌を汚染し、島の腐朽をもたらすため、塩化ベンザルコニウムによる地衣類除去を定期的に実施しております。また、島の植物の多くは病原菌や害虫への耐性を持たず、そのため感染樹木の確認は徹底しております。
また懸念点として、以前から広報担当から視察の要望が上がっており、何度か強引に接近を試みる船舶を見かけました。これは研究を妨げる重大なインシデントと認識しておりますので、お手数ながら██さんからも上申をお願い致します。
よろしくお願い致します。
日本生類創研██学部門第██研究室
「カブトガニ島」担当研究員 Y██████ A██████

早速でてきた担当研究員 Y██████ A██████がPoI-1822なのは言うまでもないだろう。
それにしてもカブトガニ島の雲行きが早速怪しい…


Subject: 【重要】カブトガニ島のこと
From: ██████@lab.joicl.co.jp To: ███████@lab.joicl.co.jp


███研究員
██です。お疲れ様です。
先日、営業部門との会議で貴方のカブトガニ島の話題が出てきました。何でも、お客様をお連れの上で島の視察が行われ、来年中にでもツアーサイトとして利用するそうです。貴方が学会の為にイリノイに発って翌日のことだそうです。私の記憶では、貴方はまだ関係者以外の視察を許可していないという話でしたね。
貴方が戻るまで、用意された手順に基づいて島の被害確認を行います。また営業担当からの資料を添付しましたのでご確認ください。
よろしくお願いします。
日本生類創研██学部門第██研究室
上席主任研究員██████ ███


企画案: ジュラシック・アイランド


提案: 日本生類創研第五営業部門担当 小埜寺 博道
象顧客層: エキゾチックツアー愛好の富裕層、昆虫好きの児童
参加料金案: おとな1人███万円、子ども半額
概要: 石炭紀を再現した生態系へのアドベンチャーツアー。オオムカデに乗って島中を回り、石炭紀の動植物の知育を行う。海水湖横に建設予定のホテルでは島で養殖した昆虫・魚介料理を振る舞う。
███研究員の提案した古生代の島の建設はかなり良好な結果を出しており、石炭紀の節足動物の生態系をほぼ再現できたと言える。古代生物好きのスポンサーをお連れしての視察時にはなかなか好感触であり、マニアたちも喜ぶ出来栄えとなっている。現在は両生類部門、爬虫類部門に頼んでオオサンショウウオやフトアゴトカゲを使用した脊椎動物の再現も試みている。これが上手くいけば、さらに石炭紀恐竜を推したジュラシックパークツアーを企画できるだろう。


Subject: カブトガニ島廃止について
From: ██████@lab.joicl.co.jp To: onodera-hiromichi@mark.joicl.co.jp


小埜寺様
██研究員から企画の話を聞き及び、資料に目を通させていただきました。私があなた方にカブトガニ島への上陸を許可した覚えはございません。まず島の生態系は安定したとは言えず、進化の過程にありました。本来であれば石炭化したリンボクにより土台が堆積し、それにより島の生態が安定化して大規模テラリウムとして成立するはずでした。それを外来物の干渉の結果、節足動物の遺伝子汚染、適応力の高い昆虫類による生態系破壊、さらには持ち込まれた菌類や地衣類による深刻な土壌汚染が確認されました。現在、島の発展は停滞しており、あまつさえハワイ島へ向かうためにフィリピン海の回遊域からゴミベルトへ突入させられたことにより、本体が回復不可能なダメージを負いました。土壌の変質により倒壊した植物の石炭化は停止しており、植物相の変化も既に修正不可能な状態にあります。よって、カブトガニ島のプロジェクトは廃止と致します。この貴重な機会を台無しにされ、私は大変残念に思います。
最後に、島の生物の保護のため、外来鳥獣駆除用の改良リッサウィルスを散布致しました。事前にお話しいただければワクチンの投与を行えますが、感染後の効果はございませんゆえ、ましてやお客様をお連れの上での侵入はお勧めしません。今回の件について、対話の意思を見せていただけることを期待しております。
よろしくお願い致します。
日本生類創研██学部門第██研究室
「カブトガニ島」担当研究員 Y██████ A██████

「カブトガニ島 外来生物汚染被害状況図」という資料も添付されており、島の森の大部分が重度の被害を受けたことがわかる。
詳細として外来地衣類と菌類、節足動物感染ウイルス、シロアリ、ブラックバス、その他黒塗り2点が侵入し荒らしてるようだ。
ダメだこりゃ。


Subject: Re: 【重要】██研究員を見つけろ
From: ███████@lab.joicl.co.jp To: onoderahiromichi@mark.joicl.co.jp


小埜寺様
██です。お疲れ様です。
貴方が何のために見境なく各所に連絡しているかはわかっております。██研究員の送ったメールは迷惑メールにでも登録されていましたか?それともメールを途中まで読んで破棄なさいましたか?いずれにしてもどうぞお大事に。我々からも注意喚起致しましたし、██研究員もしっかりと貴方個人への忠告を行いました。あとは我々のサポートできる範疇ではございませんゆえ、ウィルス学部門にご確認いただくことをおすすめ致します。
よろしくお願い致します。
日本生類創研██学部門第██研究室
上席主任研究員 ██████ ███

営業部門の小埜寺がリッサウィルス*1に感染したようだ。なにをしたかは言うまでもない。
会社内のメールはしっかり読みましょう。


最後に、発見された手書きの文書が残ってる。


この島をあなた方に差し上げます。島の価値を理解し得ない外来物どもに踏み荒らされるくらいならば、理解を拒みただ閉ざすあなた方に任せることが私にとって望ましいです。この楽園の理解者たる者が、あなた方の中にいると信じております。
P.S. 島に上陸してから具合悪くなられた方がいらしたら、以下の番号へご連絡ください。試験中の治療薬を提供いたします。
日本生類創研「カブトガニ島」担当研究員 Y.A.
TEL: 050-████-████


日本生類創研内での内部分裂により、カブトガニ島は財団の手に渡った。果たしてこれでよかったのか。財団的にはよいだろうが…
なお追伸の電話番号は音声ガイダンスに繋がり、指示に従うと発信者の元に3時間後薬品ケースが転送された。なにげにそんな技術もあるのかニッソ…



余談

著者ページによるとモチーフは石炭紀とジュラシック・パーク営業および企画部とのトラブル(実体験)それと下記のSCP-3934とのこと。
また、2020年3月現在実現してないが、Y.A.氏を今後も登場させる予定とある。
そして小埜寺氏の名前が出てるのはY.A.氏の嫌がらせであった



関連SCP

SCP-3934(ネッシー売ってます)
オブジェクトクラス:Safe


マーシャル・カーター&ダーク株式会社で製造されたプレシオサウルス。
ネッシーの物語はMC&D社がこのSCPをつかって作り出したもので、1935年からパイプのある富裕層に超高額で売っていた。
発見に至った補遺がちょっとかわいい。


SCP-1822-JPとの相似点は「作成過程が異常だが、SCP本体には異常性がない」点。
逆に違う点は、「営業と開発の合致」である。


SCP-3934は首長竜の巨体故に飼料、環境、医療に多大な費用を要し、飼いきれず2年以内に死亡または遺棄されるのがほとんどだったとのこと。
MC&D社はそれに対し全くのフォローを入れず、幼い個体を繰り返し購入することを進めたようだ。
あまりにも身勝手、かつSCPが可哀そうである。



追記修正は、自然保護のために外来種を持ち込まないようお願いします。



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*1 人間と動物双方に感染するウィルス。狂犬病もこの中に含まれる

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