九九式襲撃機

ページ名:九九式襲撃機

登録日:2014/04/12 Sat 01:04:35
更新日:2023/12/15 Fri 13:23:26NEW!
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軍事 陸軍 航空機 攻撃機 地味 縁の下の力持ち やればできる子 大日本帝国 スパッツ 襲撃機 実は汎用機 結局最後は特攻機 九九式襲撃機



九九式襲撃機とは、大日本帝国陸軍が運用した対地攻撃機である。連合軍内でのコードネームはSonia(ソニア)。



性能諸元

試作名称:キ51
略称:九九襲など
開発:三菱重工
全長:9.21m
全幅:12.10m
主翼面積:24.20m2
自重:1.873t
全備重量:2.798t
エンジン:三菱製 ハ26-II(海軍納入時名称:瑞星15型)、離昇出力940hp
最高速度:高度3,000mで424km/h
上昇力:5,000mまで8分47秒
航続距離:燃料608lで1,060km
機体構造:エンジン単発、低翼単葉、モノコック、固定脚
固定武装:翼内7.7mm機銃(前期型)or12.7mm機銃(後期型)、7.7mm後方旋回機銃
爆装:最大200kg(12kg爆弾12発ないし50kg爆弾4発。特攻仕様は胴体下部に250kg爆弾搭載可)
乗員:2名


テスト結果は此方→https://www.jacar.archives.go.jp/aj/meta/listPhoto?LANG=default&BID=F2006083121024402369&ID=M2006083121044002713&REFCODE=C01004892100


襲撃機ってなんぞ?

1938年5月に改定された『陸軍航空兵器研究方針』で初めて明確にカテゴライズされた帝国陸軍の軍用機種で、同方針に曰く

「主として敵飛行場に在る飛行機並に地上軍隊の襲撃」

「超低空並に降下爆撃に適し努めて行動を軽快ならしむ」

という規定によるものだった。要は近接航空支援などの様々な任務に使える軽快で汎用性の高い機体、ということになる。
ぶっちゃけると「偵察機をそういう用途に使っても装甲紙だし、損耗率とか考えてもっと長く使える新型機作ろうず」ということだったりする。
お前ら九九襲と同時期に九八直協の仕様要求立川に出しといてそれか……いや、運用コンセプト自体だいぶ違うが。


元々陸軍では双発の重爆撃機と単発の軽爆撃機を保持していて、それらは作戦行動半径の大小で差別化されていたのだが、より近距離向けの襲撃機が加わったことで、軽爆撃機の双発化が行われることとなった。


ちなみに同じく襲撃機というカテゴリーに属する軍用機として著名なものに、ソ連の生み出した最終鬼畜飛行トーチカ「Il-2」が存在する。


開発経緯

明文化はされてなくても「こういう機体欲しいんだけど……」ということで、襲撃機のカテゴライズが行われる前年の1937年、単発近距離地上攻撃機の開発指示が三菱に内示される。
三菱は大木喬之助技師を設計主務に据えた開発陣を編成、仕様要求に基づきキ51を設計、1939年6月に初飛行を成功させた。
開発には九七司偵や九七軽爆のノウハウが盛り込まれており、バランスのとれた設計となっている。


初期型では両翼内に7.7mm機銃を搭載していたが、実戦運用していた現地の皆様から「さすがに火力低過ぎ!」とクレームが殺到したので1943年11月以降に生産された後期型では12.7mm機銃に換装された。
ちょっと遅すぎやしませんかね……
胴体には小型の爆弾倉を設けており、ここと翼下に爆弾を搭載することで爆撃任務に対応する。爆弾搭載量はそう多いものではないが、本格的爆撃任務に従事する機体ではなかったので問題視されなかったようだ。
有人誘導精密爆撃には使われたがな!


また帝国軍の軍用機としてはかなり防弾設備に気を使っており、6mm厚の防弾鋼板で機体下面と背面を保護し、燃料タンクもゴム張りのセルフシーリング式を採用している。
紙装甲に定評のある帝国軍機としては珍しい重装甲だが、実際戦った連中からしてもなかなか墜ちない(帝国軍機比)ので相当ウザがられたとか。
なお大戦後期の荒ぶる米帝軍団にはカモられた模様
機体構造はモノコックで強度に優れ、不整地でも離着陸が容易で頑丈に作れる固定脚を採用し、幅広のタイヤに大型スパッツ*1を装着させている。


飛行テストの結果は上々だったが失速特性など問題がまったく出なかったわけでもなく、主翼にスラット(前縁フラップの一種)を設けるなどの改善が行われた後1940年5月に制式採用された。
ちなみに皇紀2600年制式採用なのに前年度年式の九九式な理由は「皇紀00年度の命名方針が未定だった」から。


ぶっちゃけ、カタログスペックだけならこれといった特徴らしいものを持たない平凡オブ平凡な機体だったのだが……


バリエーション

九九式軍偵察機
生産過程で艤装変更を行い偵察機仕様としたもの。略称は九九軍偵など。後部座席の副操縦装置や防弾鋼板を撤去して空中撮影用の写真機を胴体内の代わりに設置している。
また、偵察機としてのさらなる視界確保のためにキャノピーが大型化されているが、それら艤装以外は原型機と概ね同一。


実戦での評価

制式採用された九九襲は支那事変後期から終戦まで第一線で運用され、中国大陸から南方各方面の広範囲で活躍した。
上空から敵軍の砲兵陣地の頭を押さえて砲撃を阻害・撃滅してくれる本機は、歩兵からしてみれば爆撃機や戦闘機以上にありがたい存在であったという。
構造が頑丈で機首に機銃を内装していないためエンジンまわりの整備性も良好だったなど、戦地での酷使に十二分に耐えうるカタログ以外の点が極めて優秀な優良機だった。


特に、設計者が首をかしげるレベルの操縦性と低空運動性は対地攻撃の確実化に多大な貢献をしたのみならず、変態的格闘戦能力を誇る九七式戦闘機相手の模擬戦で容易には後ろを取らせなかった*2とまで言われている。
さらにフィリピンではP-40を叩き落として生還する機体まで出る始末。戦闘機の搭乗員が絶句したというから驚きである。
普通、対地攻撃機が戦闘機に接敵したらその時点で終了のお知らせなわけだが……
その素直な操縦性から教導用の高等練習機としても重宝されたほか、連絡機や小規模人員輸送機としても運用されている。


爆弾搭載量は50kg爆弾×4と同時期の他の爆撃機と比べると小さいが、本機の抜群の運動性と照準の正確性が合わさると1機で15cm榴弾砲1個中隊の斉射、3~4機編隊の一斉攻撃で1個大隊の斉射以上の効果が有り、尚且つ高射砲で撃ち落とすには機敏過ぎ、高射機関砲では中々決定打を与えられない防御力は地上に展開する敵歩兵や砲兵にとっては厄介極まりない
マレーの戦いではイギリス軍砲兵を次々と血祭りにあげ、本機が出現しただけでイギリス軍は発見を恐れて砲撃出来ず、逆に日本軍の士気は爆上がり。
ジャワ島の戦いでは戦車・装甲車合計150両を擁したオランダ軍機甲部隊の総力を挙げた反撃も、自慢の機動性を活かして先頭車両と最後尾を叩き潰し、身動きが取れなくなったオランダ軍は後続の九九式双発軽爆撃機の波状攻撃で壊滅してしまった。オランダ軍がティーガーパンター等の大戦後期の重戦車を擁していたとしても、ジャングルの一本道で15cm榴弾砲以上の攻撃で先頭と後尾を襲われたら結果は変わらなかった可能性が高い。


また九九軍偵は大戦後半には対潜哨戒機としても運用されており、1945年8月6日に米海軍の潜水艦「ブルヘッド」を撃沈している。
ちなみに、これが第二次大戦における攻撃による最後の連合軍喪失艦。


軍偵型も含めた最終生産機数は2,385機で、そのうち1,000機弱は三菱ではなく立川陸軍工廠で生産されている。
総じて『蛮用酷使に耐え、種々の任務に適する縁の下の力持ち』とでも言うべき優良汎用機だった。


しかし、大戦後半ともなってくると連合軍機の高速化による機動性の相対的低下から損害が増大し、爆弾搭載量の少なさや(帝国軍機としては)あまり長くない航続距離が足を引っ張りもした。
それでも高い信頼性から終戦まで第一線で戦い続け、最終的には半ばお約束的に特攻にも使用された。


面白いエピソードとしては、チャールズ・リンドバーグ*3の駆るP-38と本機が交戦した記録が残っている。
彼の僚機2機を相手取って翻弄していた1機がリンドバーグ機との反航戦に敗れ撃墜されたという。まあペロハチは一撃離脱殺法の速力重視な機体ですしおすし


戦後は戦地に残存した一部の機体が現地の軍隊に鹵獲・運用されている。著名なところでは国共内戦時の人民解放軍やインドネシア独立戦争の際のインドネシア人民軍など。
特にインドネシアでは、修復された実機が一式戦闘機とともに空軍中央博物館に展示されている。


創作における九九式襲撃機

編隊少女に登場する。
一応「夜戦」能力持ちなのだが、最低ランクの☆1の機体であること、夜戦持ちなら☆3の月光がそこそこ手に入りやすいことから他の機体を押しのけてまで使われるものではない。






追記・修正は九九襲で敵軍の砲兵陣地に爆撃かましてからお願いします。


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  • 知名度の低さは、対地直協だとシュトゥーカやらシュトゥルモヴィクやら他に有名どころがいるってのもあるのかねぇ 陸軍機は -- 名無しさん (2014-04-12 11:01:31)
  • 海軍機より知名度低めな気もするが -- 名無しさん (2014-04-12 11:02:02)
  • 大戦略シリーズと提督の決断に登場してるから十分ではないだろうか -- 名無しさん (2014-04-12 16:53:54)
  • ミリオタでも「陸軍機を5個挙げて~」って言われてコレを挙げる人は少なさそうではある -- 名無しさん (2014-04-12 17:02:04)
  • 紺碧の艦隊ではジェット化して35mm機関砲搭載した奴が出てきたな -- 名無しさん (2014-04-12 20:09:52)
  • 仮想だと最近では横山信義の作品には結構な頻度で九九式及びその架空の後継機が登場してますな。海の牙城の黄龍、群龍の海の四式とか。 -- 名無しさん (2014-04-12 20:52:02)
  • 航続距離!航続距離!格闘性能!だった海軍機より製品としてバランスがいい印象な陸軍機 -- 名無しさん (2016-02-18 00:32:52)
  • 海軍はスマート!海軍はあったまいい!なんて風評がウソのような馬鹿な無茶振り納期ガバガバな海軍機に比べると陸軍機は良い機体多いよなあ、どうして仲良うせんのや… -- 名無しさん (2016-02-19 00:46:56)

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*1 空力特性改善を兼ねたタイヤの泥よけ。エロい事考えたりリンク踏んだ変態紳士諸君、憲兵がお待ちかねだ
*2 無論、得意とする低空域での話
*3 翼よ、あれがパリの灯だ!で有名な彼。実子が誘拐・殺害されたことでも有名

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