登録日:2015/11/12(木) 17:02:41
更新日:2024/01/16 Tue 13:02:27NEW!
所要時間:約 20 分で読めます
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絶園のテンペスト フロイライン 無職 黒髪ロング 巨乳 乳揺れ ミニスカ お色気担当 美女 リョナ かませ犬 ネタキャラ サングラス 愛すべきバカ 水樹奈々 長身美女 ナイスバディ 谷間 鉄壁スカート 残念な美人 敵女 不遇 長身 拳銃 ショットガン アラサー トリックスター エージェント 行動力のあるバカ 三枚目 左利き お姉さん ドジッ子 おねショタ ヘタレ ポスト峰不二子 顔芸 人妻 エヴァンジェリン山本 勝率0%←最終的に25% フロイライン山本 長靴を履いた猫 歩く敗北フラグ 釵
姓は山本
名はエヴァンジェリン
人呼んでフロイライン山本
推 参 な り ! !
エヴァンジェリン山本とは、城平京原作・左有秀構成・彩崎廉作画の漫画作品『絶園のテンペスト』に登場するキャラクターである。
吸血鬼ではない。作者は昔吸血鬼の漫画描いてたが。
ネタキャラしかいない本作の登場人物の中でも最強レベルのネタキャラとして高い人気を誇る。
どのくらい人気かというと、名指しで2巻のあとがきに「読者の皆様から大人気の~」と書かれる程。
アニメでのCVは水樹奈々。
ちなみに鎖部葉風役の沢城みゆきは山本役のオーディションを受けに行ったらなぜか葉風役に決まっていたとのこと。
当人曰く山本は「Sっ気満点の変態」らしい。
登録名は「エヴァンジェリン山本」にさせていただいたが、親しい人からは「フロイライン山本」(ドイツ語で未婚女性を表す敬称)の
愛称で呼ばれる…と語っている通り、作中では上司の早河を始めとしてあらゆるキャラからフロイライン(フロイライン山本)と呼ばれている。*1
あまりに作中でそう呼ばれすぎているため、9.5巻によればアニメのエンドロールを見るまで作者が本名を思い出せなかったという逸話が残っている。
なお、本作では「女性キャラには植物に関連する漢字を入れる」という裏設定があるが、山本は唯一それが無い。
もしかしたら本名は植物系の「菫」とか「葵」みたいなカワイイ名前なのかもしれない。作者が考えてなかっただけとか言うな
自称「28歳の無職」*2。
しかしてその正体は世界各国を股にかけて暗躍するエージェント…のような女性であり、ホントの所は不明。
少なくとも、「そのスジ」ではかなり名が知られており、鎖部一族より有名である。
この28歳という名乗りも早河と初めて出会った時(恐らく十代中~後半)から言っていたらしく、早河からは「嘘つけ」と言われていた。
まあ、実際の年齢も早河が「私は(こんなに政治的に高い)役職に就くには若すぎる」と自嘲している*3ので、
後述する通り早河より年下(出会った時点で早河は24歳)と思われる彼女がそこまでオバハンということはないだろうが。
波打つ黒髪*4と愛らしい泣きぼくろ、非常に豊満なおっぱいがトレードマーク。
アニメ版では戦闘シーンだろうが普通のシーンだろうがそれはもう所狭しとぶるんぶるん揺れまくり。ありがとうございます。
原作では吉野におっぱいチョークをかまして赤面させ、アニメ版ではビキニ姿で潤一郎をKOした。
髪型は初期は葉風と同じサラサラのロングヘアだったが、絶園の魔法使い編以降はパーマが当たっている。
キャラデザは原作漫画とアニメで少し異なっており、アニメ版ではやや化粧が濃く、大人びた外見になっている。原作が童顔すぎるだけでもあるが。
そこ、結城蛍とかドミヌーラとか言うな。
なお、没設定では身長180㎝代で金髪ストレート(前髪は中分け)になる予定だったらしいが、
作画の都合上このような黒ずくめかつV字前髪に変更になったらしい。(作画担当の彩崎のついっぷるには没の金髪ver.のカットも描かれていた)
アニメではそうでもない(ヒール無しだと主人公の滝川吉野・不破真広とほぼ同じ)が、
原作だと上記の設定の名残か、ヒールの高さも含めれば170後半程度はありそうな長身で描かれている。
その容姿に関しては作中でも羽村が「きれいな人だなあ」と言っている通り公式で美形設定。
衣装も第1話が真冬だとは思えないほどの胸元全開かつ超ミニスカ(推定膝上20㎝以上)黒スーツ姿で、
その露出度の高さ故にアニメでは「ううっ、寒っ…80デニールのタイツ履いてくりゃよかった…」と自虐している。
この衣装はそれなりに気に入っているようで、初対面の早河に長靴呼ばわりされた時には怒っていた。
耳には真広の銀ピアスと対になるかのような金のイヤリングをはめている。
アニメでは黒のチョーカーが追加され、原作漫画では4巻以降は十字架のペンダント(魔具?)を提げている。
性格は極めて明朗快活で人懐っこく、かなりのお調子者。
原作では吉野相手に「へぇ彼女と話すって言って出て来たんだ…いっそお姉さんとそんな関係になってみる?」とからかったりもしていた。
(即座に「年上はごめんです」と断られていたが)
『ハムレット』のワンフレーズを即座に見抜いたり、葉風相手にムキになって難しい表現を使った言葉で会話しあったりと割かしインテリ。
絵も上手いのか、原作ではマーカー一本で水墨画を思わせるイラストを描いている。
また、作中でただ一人の左利きであり、銃や槍も左手で扱い、鞄も左肩に掛けている。
ただし箸だけは右手を使う他、上記のお絵かきでも右手でマーカーを握っている。意外と器用なのかもしれない。
政府の役人・早河巧の元で働いており(本人曰くボランティア)、人々が金属化する「黒鉄病」の調査を行っている。
といっても主従関係はなく、立場は一応対等である(双方タメ口)。
早河の祖父・梶倉隆吾の下で一時期暮らしていたらしく、梶倉の死に際して早河の下に「遺産」として送られることとなった。
これが現在から6~9年ほど前であり、この頃の山本さんは(原作はキャラデザ全般が童顔だが)かなり若く、どう見ても早河より年下。
ちなみに早河によれば「祖父は君と私を結婚させたいと思ってたのではないか」とのこと。
このことから考えれば梶倉に拾われた孤児か、もともと梶倉一族に仕える家系の出身ではないかと思われるが詳細は不明。
多分作者も何も考えてない。
常に護身のために銃を複数持ち歩いており、原作でも拳銃と散弾銃を、アニメではそれに加え短機関銃を使用。
爆弾も使い慣れているらしく、吉野にスタングレネードの扱いを教えている他、アニメ版ではガスマスクと催涙ガスを使用している。
吉野を簡単に投げ飛ばすほど格闘技術も高く、10巻の地の文の記述によれば剣術の心得もある。
富士山での夏村との戦いでは、槍(原作では釵も)を使用している。
長年の経験が活かされた戦闘センスと身体能力は鎖部一族最強の夏村ですら舌を巻き「敵わない」と断言させ、
どんな無茶な移動を行っても全く時差ボケの症状が出ないなどそのポテンシャルは計り知れない。
作中の個性豊かな面々を結びつける接着剤としても機能しており、8.5巻では作者本人が「物語の中心人物」と断言している。
つまり3人目の主人公…ではないにしろ、主要キャラであることは間違いない。本作唯一の総受けである
そんな彼女を言い表した公式のセールス文句は
「行動力抜群のパワフルウーマン」(8.5巻より)
「柔軟に動き、強くて頭もいいのが不自然でない非の打ち所の無い美女」(9.5巻原作者コメント)
などが印象深い。
まさしく、葉風・愛花に並ぶとも劣らない、本作の3人目のヒロインと言って差し支えないだろう。
「いっそお姉さんと、追記・修正してみる?」
&link_up(△)メニュー
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[#include(name=テンプレ3)]
* *
* + うそではないです
n ∧_∧ n
- (ヨ(*´∀`)E)
Y Y *
とまあこのように書くと信じられない程チートなキャラに思えるかもしれないが、
そんなキャラならネタキャラ扱いなんぞされず、ただの「エロかっこいいお姉さん」で終わりである。
実は彼女、
戦 闘 で ま っ た く 役 に 立 っ て い な い のである。
順を追って解説しよう。
冒頭では意図的に書かずにおいたものの、彼女の初登場時の立ち位置は 第1話の敵キャラ である。
想像していただきたい。有名なアクション漫画の、第1話に登場した敵を。
ジード、プテラノドンっぽい怪獣、カシオス、にせ抜刀斎、近海の主、ミズキ先生、フィッシュボーンD、コーネロ司教、
ガララワニ、偽火竜の魔導士、朱凶、仙台のノミ呪霊、ゾンビの悪魔…。
ここで作劇的な観点から考えてほしい。彼らはいったいなぜ登場したのかを。
大概、こいつらは重要人物や主人公の立ち寄った自治体の住民などに何らかの危害を加えようとしている。
そしてアワヤ一大事、という所に主人公は現れ、彼らと戦うことになる。
もうお分かりだろう。
第1話の敵の存在意義は、 主人公の圧倒的な強さの指標 に他ならない。
前述した奴らはいずれも巨体であったり、多彩な技を持っていたり、果ては人間ですらなかったりする。
当然それらをぶっ倒すことで主人公の超人的な強さは読者の目にヒジョーにわかりやすく伝わる。
すなわち、第一話に登場する敵キャラとは、出来る限りの強さを見せつけたうえで、華々しく主人公にぶちのめされて、ブザマに退場しなければならんのである。
…ごめん、申公豹みたいに主人公に勝つ悪役もいたわ。
しかしそれは「敵はこんなに強いんだぞー、主人公も気を抜いてられへんぞー」ということをアピールするためであり、あくまで特殊な例である。
実際第2話に登場した陳圭は噛ませ犬的に太公望に倒されてるしね。
さて…戻したくはないが、『絶園のテンペスト』に話を戻そう。
本作は不破真広と滝川吉野のW主人公で話が進み、
物語開始前に真広は義妹(及び両親)を殺害した犯人を捜して高校を中退し、失踪している。
第1話冒頭、吉野は学校からの帰り道に不破家の墓に墓参りに行くが、そこで出会ったのが山本である。
山本は黒鉄病の原因を探るため、金属化が進んだ街で唯一助け出された少女が口にした「ふわ まひろ」という人物を探し、
ようやく「ふわ」家の墓の所在地を探り当てて、そこで吉野を見つける。
事態は差し迫っていると告げ、山本は吉野に銃を突き付けて真広に関する情報を無理矢理聞き出そうとする。
「悪いけど事態は差し迫ってるの。知ってることは全部話して」
「本当に、何も知らない?」(吉野の胸倉を掴み、顎に銃を突き付けて)
この時の彼女の目つきや銃の扱いは完全なまでに悪役そのものである。
吉野は報道統制されているような機密を知ってしまったことに焦り、口封じのために消されるのではないかと危惧。
そこに現れた揚羽蝶の大群*5に目を向かわせ、山本が驚いた瞬間に手にした傘を振り回して反撃する
…のだが、あっさり山本に投げ倒されてショットガンを突きつけられてしまう。
「お生憎様…銃は一丁じゃないの」
不敵な笑みを浮かべ(※アニメ版の描写)、倒れた吉野に銃口を向ける山本。
しかしそこに、宙を切って真広が現れ、空から山本の頬に飛び蹴りを食らわせる。
もう一度書く。空から山本の頬に飛び蹴りを食らわせる(それもめっちゃゴツいブーツ履いたまま)。
吉野がこの数分前に山本に「事実あいつはひどいんです」といった通りのウルトラ無礼講である。
空から突然現れた真広に驚く吉野は、どこから来たのか、なぜ飛べるようになったのかなどを問いかけるが、
真広は「蝶を追ってきた」と答え、山本について何者かと逆に問いかける。このシーンの気絶した山本の姿はエロい
吉野と真広はその後しばらく会話していたのだが、そこで突然一発の銃声が鳴り響く。
撃ったのは当然、意識を取り戻した山本。しかし防御結界に阻まれ、真広には傷一つつかない。
唇の血を拭いながら立ち上がった山本は、なおも真広に対し黒鉄病の情報を提供するように宣告するが、真広はこれを一蹴して応戦。
高速移動魔法を自在に使いこなす真広に山本は完全に圧倒され、ショットガンでの接射を試みるものの、瞬時に展開した防御結界に阻まれる。
さらに次の手を打とうとする山本だったが、そこに非情の魔手が突き付けられる。
「いいぜ、その強気なところ」
真広は山本の顔面を掴んで持ち上げ、一気に飛び上がる。
「でも今は寝てろよ!!」
腕が一気に振り下ろされ、山本は後頭部を地面に叩きつけられて仰向けに地面に倒れ伏す。
全てが終わった後、ピクリとも動かなくなった山本を尻目に真広は吉野に町から出ることを宣告する…。
さて、ここで改めてこの一戦を振り返ってみよう。
☆WINNER:不破真広
- 傷一つなし
★LOSER:エヴァンジェリン山本
- 頬への飛び蹴り及び墓石への全身強打(原作では直撃し血反吐を吹いている、アニメでは転がされただけ)
- 至近距離からの右フック(原作では間一髪ガードしているものの、アニメでは直撃)
- 顔面への掌底突き(原作ではただ添えただけだが、アニメでは完全に鼻を叩き折っている)
- [決まり手] 地面(原作では石畳)への後頭部の叩きつけによる失神昏倒
※真広に無視されて突貫されてから斃されるまで4ページ、アニメでの所要時間30秒
御覧の通り、2戦目の戦闘時間はわずか30秒。
これは『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の四乃森蒼紫VS阿武隈四入道とほぼ同じくらいの超短時間である。
追記しておけば、顔を掴まれるシーンはアニメでは頬の肉が歪むほど思いっきり握られており、
さらに持ち上げられる瞬間には驚愕の表情のまま滂沱するという屈辱の感情演出まで作画されている。
これほどまでに手ひどくやられたにもかかわらず、こちら側の与えた手傷は0。まるっきり0。セブンの息子。
デスティニーVSインフィニットジャスティスより一方的な敗北である。
おまけにこの第1話は全国の書店等で第1巻発売時に試し読み小冊子として配布され、さらにガンガンの公式サイトでも、大抵の電子書籍サイトでも無料掲載。
故にガンガン読者のみならず、日本全国のあらゆる人々の脳裏にこの山本の惨敗は刻み込まれることになった。
おかげで、原作未読のアニメ視聴者(放送当時のネット上)からは、山本が生きてただけで話題になる始末。公式サイトのキャスト欄に掲載されてる奴がそんなすぐ死ぬわけねーだろ!
「第1話の敵」というのは、そのくらいの認識なのである。
さて、第2話にて真広と吉野がすっかり黒鉄病の温床となった町にたどり着いたころ、遅ればせながら山本は墓地で意識を取り戻していた。
「あんのガキども…チッ」(※アニメではカットされました)
山本は起き上がり早河に連絡を入れようとするが、黒鉄病の根源たる「絶園の果実」を目の当たりにして最早一刻の猶予も無いことを悟る。
電話越しの早河の進言をもとに地域封鎖がかけられることを知った彼女は、再び吉野に接近し、情報を得ようとする。
一方で真広は愛花殺しの犯人を探るため鎖部一族の元当主・葉風から魔具を手に入れていると明かし、
護身用に吉野にも予備の魔具を持たせると「彼女がいるようなヤツをこれ以上危険な目に遭わせるわけにはいかない」 と進言する。
それを受けて吉野は魔具を受け取り、不破邸を後にする…。
一旦自宅に戻った吉野だったが、そこに一足先に辿り着いていた山本に背後から抱きかかえられて拘束され、銃を突きつけられる。
「…いい? 助けを呼んだり少しでも抵抗したら、まず足を撃ち抜くから」
「全部話しなさい、魔法使いについて」
首を極められ苦しむ吉野だったが、懐に隠し持った魔具に触れ、防御と高速移動をイメージ。
背後にぶっ飛んだ吉野は山本ごと壁に激突。
壁と吉野の背に挟まれた山本は悶絶し、一方で山本の柔らかな女体がクッションになった吉野は隙をついて脱出。
苦悶しつつも銃を向けようとする山本だったが、一瞬早く吉野の回し蹴りが炸裂し、山本は吹き飛んで食器棚に激突する。
割れた食器の下敷きにされ、蹴られた脇腹を押さえた山本は、吉野が魔法を使えるようになっていることに驚く。
その隙をついて吉野は山本の手から落ちた拳銃を奪い取り、彼女の眼前に突き付けることに成功する。
「…やるね吉野君。でも、キミに撃てるかな? 下手に撃てば相手は死ぬよ?」
素人である吉野を挑発する山本だったが、吉野はこれほど理不尽な状況において起こりえないことなんかないと嘯き、そのまま銃口を向け続ける。
「この子は撃てる、冷静に、確実に」
「とんだ狼じゃない」
吉野の危険性を認識する山本だったが、吉野は不意に銃口を下げ、山本に取引を持ちかける。
1話では手も足も出なかった相手を魔法を得た途端に易々と圧倒し、更に平然と命を天秤に掛けさせるその異常性。
今までは守られてばかりだった吉野の抱えている闇をまざまざと表したシーンであり、山本は見事に叩き台と化した。
この真っ最中、真広は夏村と出会っており、真広サイドは夏村とのバトルになだれ込んでいくこととなる。
それを強調するため、アニメでは真広サイドと吉野サイドをいったん分けて描写しており、吉野VS山本の渡り合いも2場面に分けている。
(ご丁寧に原作では描かれなかった右頬の痣と鼻の絆創膏が生々しく描写されている)
…が、それにより山本の墓穴職人ぶりが余計に強調されてしまう結果となった。
順を追って説明しよう。
吉野は自宅を出て街を見廻っている時に、自分から財布を強奪した不良が黒鉄病で絶命しているのを見つける。
金属化した死体から財布を返してもらっていると、そこに追いついた山本からあらぬ疑い*6を掛けられ、鞄で殴り倒された上に締め上げられる。
原作通り吉野は高速移動魔法で危機を脱すると、とっさに拳銃を掠め取って逃走を図る。
しかし後ろは段ボールが積まれており、それがクッションになったからか、原作とは異なり山本はすぐに起き上って追撃を開始した。
逃げる吉野は近くにあった学校(全滅した母校)に逃げ込み、ひとまず安堵するが、直後に銃声が響くとともに廊下の窓ガラスが爆散!
携帯のカメラで外を写し撮った吉野は、校庭にサブマシンガンを携えた山本が辿り着いたことを見て愕然とする。
その動きを見て居場所を悟った山本はどこかからか盗み取ったキュウリを噛み砕きつつ、不敵な笑みを浮かべ校内へと侵入していく。
おい、死体から泥棒していたのを咎めたのはどこのどいつだ。
「吉野く~ん、滝川吉野く~ん♡」
喜々として校舎内に足を踏み入れた山本は、金属化した死体を平然と乗り越え、吉野を追う。
「ふふっ、ナメてもらっちゃ困るわ」
「さびしい大人の女はね、いろんな道具がお友達…なのよ」マリー自重しろ
悪役度100%の顔でそう言うが速いか、山本はカバンの中からガスマスクを取り出す。
一方で教室内に潜伏していた吉野は、突然湧き出てきた煙幕に燻され、たまらず廊下に飛び出すと階段を駆け上がっていく。
無視界の中、慣れた口調で山本はサブマシンガン片手に軽口を叩く。
「ナンタラと煙は高い所が好き…ってね」
屋上に辿り着いた山本は搭屋から離れるとガスマスクを外し、周囲を見回す。
しかし吉野の姿は無く、山本は寒さに愚痴るばかり。
そこに一発の銃声が轟き、山本の眼前の貯水タンクから一条の滝が零れ落ちる。
驚く山本は背後を見やり、吉野が拳銃を構えているのを見ると、荷物を落としおとなしく手を上げる。
「返してくれない? 子供には手に余る玩具…下手に撃てば相手は死ぬよ?」
原作通り吉野を挑発するが、彼からの返事は勿論そっけないもの。
吉野の危険性を認識した山本は投降する振りをしてガスマスクを蹴り上げ、吉野にぶつける。
思わず怯む吉野だったが、山本がサブマシンガンを拾おうと手を伸ばした瞬間に魔法を発動。
彼女の身体を抱えたまま屋上の外まで飛びだすと、タイミングを見計らって防御結界を張った。
虚空に放り出された山本は目を閉じて苦悶するも、間一髪で防御結界が張られたことに驚愕。
ひとまず助かった吉野は防御結界を解除し、落差数㎝の飯綱落としを受けて山本は地面に叩きつけられる。
死の恐怖をまざまざと突き付けられてこの世の終わりのような表情で怯える山本に向け、吉野は取引を持ちかけるのだった。
…さて、ここまで読んでいただいて、ただ単に「吉野すげえ」と思っているようであれば、あなたも山本と同じ墓穴を掘っている。
もう一度学校に山本さんが辿り着いた状況を整理すると
①捕獲対象は既に高速移動魔法を使っている事を山本は知っている(原作における「なんであの子まで魔法を使えるようになってんのよっ…」の単純削除)
②高速移動魔法の使用者は一時的な飛行も可能である(現に真広は何もない海から飛んできていた)
③捕獲対象は拳銃を所有している
という点であり、煙でいぶしだすという方法はこの状態においても相手が人間である以上(一応)効果的ではある。
だが、そんな状態にもかかわらずこのヒトは、追い詰めた相手が屋上のどこに隠れたかも全く予想しないまま、ズケズケと搭屋から5~6歩歩いている。
これは考えうる限り最悪の愚手であり、当然、その間狙撃される可能性(まあ当たる確率も低いだろうが)もあれば、
屋上から魔法で飛んで逃げられたり、塔屋の脇に隠れた相手からタックル受ける可能性もある。
従ってこの場合は、周囲をガラス越しに確認してから戸を開け、即座に銃を突きつけ、搭屋から動かずに出方を伺う…
…という手段に出るべきである(塔屋の上に隠れてるかもしれないわけだし)。
所謂FPSでいう所のクリアリング=安全確保というやつである。
にもかかわらず山本は考え無しに搭屋から距離を開けまくり、数分前に生まれて初めて銃を持ったようなド素人である吉野ごときに
背後を取られてハンズアップされる結果となった。
これでどうにかなると思っていたのならば、少し相手を舐めすぎであろう。果たしてナンタラとはだれのことだったのか。
とまあ、このようにオマヌケではあるが戦闘力は高く、おまけに顔も広い彼女を味方に付けることは決して不利ではないと判断し、
吉野は山本一派と影から手を組み、真広の暴走を止めようとする。
原作では共に旅する真広に対し「彼女と連絡してくる」とごまかして魔具や情報を取引していたが、
アニメ版においては流石にちょっと無理があるからか国防軍に拉致される寸劇を入れ、名目上は「誘拐された」ということにして
山本は吉野を上司である早河とも引き合わせている(原作ではこの2人は富士山編以降に出会っている)。
そして、富士山にて鎖部一族が結集する中、国防軍は魔法使いとの決戦に挑む。
鎖部一族最強の使い手・鎖部夏村は左門が絶園の樹を復活させるための時間を稼ぐべく、総攻撃を仕掛けた国防軍に向けただ一騎で突貫を挑み、
あろうことか武器や戦車を片っ端から「はじまりの樹」の供物に捧げるという戦法で一人の命も奪うことなく軍を次々に壊滅させていく。
「魔法には二度ほど痛い目に遭っていてね…ここらでやり返しておかなくちゃ、気が治まらないのよ!」
が、そんな無双の強さを誇る夏村の前に待ったをかけたのが山本。
吉野から渡された魔具を身に纏い、分を弁えた上記のセリフを揚げるや否や、大槍を片手に夏村相手に真っ向勝負を挑む。
そして魔力の圧倒的な差をカバーすべく、付け焼刃の魔法を巧みに展開し、トリッキーな戦術で夏村を翻弄したのだ。
夏村を以てしてもかつての真広(山本が吉野とドンパチやってたのと同時並行)の非ではない程に苦戦し、
遂に「認めよう 我が武技ではそちらに及ばぬと」とまで言わしめたのである。
…原作漫画ではね。
え? アニメ版ではどうなったかって?
左門がぐにゃぐにゃやってる間の箸休め的に戦闘シーンが3カットだけ入った後に膝ついて負けましたよwwwwww
この第10話の決着を見て、全国の原作読者が目が点になったのは書くまでも無い。
更に言うなれば
- 原作では夏村はトレンチコートを脱ぎ捨てて本気モードに入っているが、こちらでは着たまま
- 原作の夏村はかなり手傷を負っていたはずだが、アニメ版では服のほつれすらなく、息一つ乱していない
- もちろん原作の「武技では及ばぬ」発言もカット
- 原作では槍は夏村に叩き折られて釵で戦うシーンがあったが、アニメ版では槍を弾き飛ばされた直後に倒れている
- トドメに「ま…ッ! 待っで…ッ」という無駄にエロい断末魔が追加
と言う事態も発生している。
原作では夏村のトリッキーな戦術で宙に浮かされ、そこで背骨を叩き折られて敗れ去ったはずだが、
アニメ版ではただ単にチャンバラやって手傷一つ負わせられずにボコボコに叩きのめされて完敗した、という風にしか見えない終わり方のため、
猶更悲惨さが増している。
1話でのビビリ泣きといい2話でのヘタレぶりといい、スタッフは山本に恨みでもあったのだろうか?
かくして夏村にやられた後は、作品内に於ける数少ない山本ファンである星村潤一郎くんにより夏村は翻弄され、
最終的に早河・山本陣営の目論みは達成できたこととなった。
そんなわけで葉風は現代に帰還し、左門は蘇らせようとしていた「樹」の本性を目の当たりにすることとなる。
国防軍の壊滅により責任を取らされることとなった早河は閑職に左遷され、山本もそれについていく形となり、
鎖部一族と協力して「絶園の魔法使い」を探し出していくこととなる。
そんなこんなで鎖部一族と和解した山本は「絶園の魔法使い」である羽村めぐむと邂逅を果たし、
真広やら星村やらと組んで、「樹」を破壊する能力を持つ彼を人類救済のための救世主として担ぎ上げる作戦に出る。
鎖部の皆様や山本らと共に各国を旅しては「樹」を破壊して回る除草…もとい除樹作業に携わることとなった羽村は日に日に疲弊していくが、
山本だけは全く変わらず元気なままであった…。
そしていよいよ愛花の死の真相を知った一行は、最後の核となる「大樹」を破壊する作戦に打って出る。
魔法が使えなくなる以上、「大樹」を取り囲む調査船団を撃破することなく制圧するため、一行は割り振りを行う。
山本の属する班は夏村&潤兄さんという、どこかで見たような取り合わせであった。
夏村の槍裁きと潤兄さんの柔術で次々調査団を鎮圧する中、彼女は拳銃を構えた調査員を難なく鎮圧し船をジャックした。
事実上の最終巻である9巻目にして初の白星である。長すぎだ。
そしてこのシーンは ア ニ メ で は カ ッ ト さ れ た。(制圧自体は成功しているが)
こうして絶園・はじまりの両大樹は地球から消滅し、文明崩壊の危機はひとまず去った。
だが、葉風が言っている通り「この戦いは何かを倒せばそれで終わるような」代物ではない。
黒鉄病の尻拭いと鎖部一族の救済のため、早河と山本は休むことなく奔走を続けるのだった。
かくして魔法が消滅した世界で、山本は作中最強の座に帰り着いたのである。
最弱から最強へ、長い長い道のりだった。
合わせて言えば、富士山編での失態により追い込まれたどん底から、山本を含めた作中ほぼ全てのキャラを支配下に置くまでに大出世した相棒・早河に関しても、
同じことは言えるだろう。
「失礼、私はエヴァンジェリン山本。親しい人からはフロイライン山本と呼ばれる、無職の28歳」
気付けば彼女がこの台詞を発してから、作中でも1年3か月が、リアル世界では3年以上経過した。
樹は消え、吉野と真広が大学に合格し、物語が幕を引くころになれば、もう彼女もこう称することは無かった。
なぜかって?
彼女には、世界の安寧を護り続けるという信念に満ちた定職と、帰りを待ってくれる優しい旦那が出来たからさ。
ま、未だに28歳って名乗り続けてるのはホントだけどな!
カタカタカタ カシャン
「…とまあ、こんな感じだろうな。私とて表を胸を張って歩けるような人生を送ってきたわけではない。それは彼女も同じだろう」
「だからこそ私は、彼女と出会い、結ばれたことを誇りに思っている」
「それでは諸君、追記修正よろしく頼むぞ」
「勿論、私の記事の作成も待っているからな」
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▷ コメント欄
*1 アニメでは吉野からエヴァンジェリンと呼ばれる描写がある*2 ガンガン公式HPではなぜか27歳と表記してある
*3 作者も8.5巻で「早河は30代前半です」と語っている。
*4 アニメ版は本放送とDVDで画質が異なり、前者では山本の髪は緑色に近い
*5 季節は冬であり、成虫が群れを成して飛ぶなんてことはまずありえない
*6 念のために書いておくと、刑法において下手人が死んだ場合の自力救済は(自分がその下手人の死に係っていない限り)罪には問われない。
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