狂歌百物語(逆柱) - いにしえwiki
家や鳴りする さかさ柱に 逃げ出いだす 己れが足も 空ざまにして(松の門鶴子)003.思ひきや 逆柱の はしら□ 書きにし哥も 病ありとは(和風亭国吉)004.逆ばしら 立てしは誰たそや 心にも 節ある人の 仕業なるらん(松梅亭槙住)005.怒る如ごと 見ゆる顎あぎとの 玉杢目た
家や鳴りする さかさ柱に 逃げ出いだす 己れが足も 空ざまにして(松の門鶴子)003.思ひきや 逆柱の はしら□ 書きにし哥も 病ありとは(和風亭国吉)004.逆ばしら 立てしは誰たそや 心にも 節ある人の 仕業なるらん(松梅亭槙住)005.怒る如ごと 見ゆる顎あぎとの 玉杢目た
られし 子は珍しき 親に孝行(上総大堀 花月楼)五編当座 行脚僧臥野東海園大人判001.哥うた枕 鶉衣ぞ 露けしと 深草野辺に 臥す行脚僧(和風亭国吉)002.背に霜の おける夢野の 草枕 哀れ雄鹿を 臥しながら聞く(花前亭)003.旅行脚たびあんぎや 野に臥す日数 廿日草 牡丹
みこしの国の 雪の中に ひやひやとして 縮みゐるなり(江戸崎 緑亀園廣丸)011.冷汗の 水をしぼるや 青ざめし 糸瓜の棚を 見こし入道(和風亭国吉)012.ぞつとする ばかりに我を 見越路や 雪の夜道の 寒き襟元(館林 小竹の屋直幹)013.鉄の棒 つきほどの目で 出雲崎 見
る 梢の上の 龍燈に 鱗きらめく 橋立はしだての松(江戸崎 緑樹園)002.かんてらも 幾尋いくひろあるか 消えずして 鯨の油 添はる龍燈(和風亭国吉)003.のろしほど 軋きしめき出づる 龍燈に 龍たつの宮姫 笑みや含まん(鈍々舎香勝)004.龍燈の 夜な夜な上がる 磯辺には
雪女001.硝子ビードロを さかさに登る 雪女 軒のつらゝに 冷やす生肝いきゞも(和風亭国吉)002.本来は 空くうなる物か 雪女 よくよく見れば 一物もなし(藤紫園友成)003.丑三ツの 頃に出でけり 雪女 初夜は五つの 障りありとて(松の門鶴子)004.雪女 粧ふ櫛も 厚氷
軋きしらする 片輪車に 取られしは 躄ゐざり這ひせし 子にやありけん(弓の屋)003.奈良の町 都大路も 廻りけん 片輪車に とゞろきの橋(和風亭国吉)004.おどろきて 己おのれが捨てた 提灯も 片輪車と 廻る軒下(銭の屋銭丸)005.糸を引く 柳の馬場を 軋らする 片輪車は
雷獣001.紅くれなゐの御橋のもとに狩り出すは火神鳴ひかみなりにもつきし獣か(和風亭国吉)002.鳴神なるかみの 臍を好めば 毛物さへ 麝香猫じやかうねこかと 思はれぞする(閑雅子)003.木をも裂き 石をも砕き 雷の 獣はたよる 雲や何なる(銚子 大酒館釜樽だいしゆかん かまた
蔭芳)006.箱根から 向ふ処か 小田原へ ふらついて出る 提灯小僧(槙住)007.白張しらはりの 提灯小僧 蠟燭の 心細くも 見る光願寺(和風亭国吉)008.蠟燭の 消ゆる思ひや 闇の夜に 提灯小僧 化けて出づれば(喜久也)009.蠟燭の 火ほどの舌を ぺろぺろと 出すは破れし
2.羽根生えて 利足も高く 飛び歩ありく 烏に貸せる 金の玉かも(朝霞亭)003.怖ろしと 見し人をもて 言はしむる 天に口なし 色の金玉(和風亭国吉)004.爪に火を ともして溜めし 金玉の 飛び行く方へ 指をさしけり(遠江見附 草の舎)005.金玉も 爰ここに筋目を 引窓の
穂)002.子を産みて 増える狐の 尾崎村 持参金にも まさる婚礼(東風のや)003.尻馬に のせて送らん 花嫁の 持参に添へし 尾崎狐を(和風亭国吉)004.上つけの 尾崎狐の 玉つむぎ 化かす本場の ふえし疋数(升友)005.嫁入りの 釣り合ひ如何いかに 尾崎村 提灯照らす
4.霊国の 空ゆく船を くつがへす 風に怪しき 法やあるらん(楽月庵)005.掛すだれ 旋風つむじに空へ 巻き上げし 魔風怪しき 切支丹坂(和風亭国吉)006.大嵐 荒るゝ馬家も 上棟うはむねの 鐙あぶみ瓦も 砕きてや飛ぶ(宝山亭金丸)007.真夜中に いなさ光りて なまぐさき
.秋風の 立ちて夜寒の 絵馬さへも 背中合せの 縁切り榎(江戸崎 広丸)008.悪縁の 縁切り榎 生木なまきをも 裂くは御神の 刀なりけり(和風亭国吉)009.出雲へと 立ちぬる神は 板橋の 縁切榎 わき目してゆく(織人)010.削られて さぞ板橋に 幾世経る 縁切榎 名を嘆くら
船幽霊001.生魚を 積み来る船も 腐つたる 匂ひたまらぬ 夜半の幽霊(花前亭)002.乗りし人 覆さんと 取りつくは 船幽霊の 罪の面楫(和風亭国吉)003.襟元へ 水かけらるゝ 心地せり 柄杓貸せてふ 船のこわねに(江戸崎 有文)004.底ぬけの 柄杓を借りて 酒船へ 水を割