+並列コンピュータのハッキングを実行中です……-Cogito ergo system起動
Hello world
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「野生解放とは何か」
我々はAGの平常時と比較して急激に身体能力が向上した状態及びそのAG固有の技能的な身体特性の使用の一部を一括して、一般に「野生解放」と呼称している。しかし、あくまでこれは対外的な説明であったり、飼育員などに公開される内容であり、実際の定義となると若干異なる。
正しくは、AGの恒常的な体内サンドスター濃度回復量を██%以上、その発動での消費量が上回るモノを指す。
AG達との対話記録を参照する限り、多くの場合は随意行動として意識的に行使されているようだ。また、虹彩の強い発光現象が観測されることが大半を占めており、個体や種類に応じて非常に多岐に渡る現象が報告される「野生解放」の中で数少ないおおよその共通点であると言えよう。何せ中には瞬間移動でさえ報告例があるからな。
おおよその定義は共有できただろうか。いや、上記はもう聡明な貴方達には周知の事実であったかもしれない。
それでは、次の知識の階層へと下っていこう。
「野生解放の源泉」
野生解放についてのエネルギー源および行使にあたってのトリガーには、供述するのも今更ではあるがAGそのものとサンドスターの深い関連性に由来する。貴方は幕原氏の発見した相関性なんかはご存知だろうか。
あまりにも詳細を述べると脱線してしまうためこの項目では殆どを割愛させてもらうが、彼の発見を基に検証が行われた結果、サンドスターの濃度は指数関数的にAGの形質を発現させる並びに豊かな情動を獲得させることが[データ破損]で明らかになっている。と、これでは私の言語能力の乏しさゆえ、上記では少し伝わりにくいかもしれないな。
乱暴に言えば、サンドスターは濃度が高まるほどに人間性と原種の性質や気質などを大きく付与するようになるのだ。
(蛇足だが、前者より遥かに後者の概念的な上昇速度が早いため、通常の場合過剰なサンドスター投与は、予期せぬAGの暴走リスクを孕んでいることも付け加えておく)
前置きが長くなってしまった。なので今からでも、先に結論を述べよう。
野生解放はサンドスターを消費し、感情をトリガーとする。
前者はまあ言われずとも自明であっただろう。上述した通り何らかの形で失われているのははっきりわかっているのだから。その上で説明を続けると……野生解放で発生する物質や現象は例外なくけものプラズムで構成されており、その生成物質量の█~██%程度の量のサンドスターが野生解放時のAGから減少する。
けものプラズムはサンドスターと酷似する科学的性質と全能性(例:前者は衣服など後者は体組織などに変化する)から、サンドスターの取りうる形態の一つか生成物と考えられており、これを踏まえるとAGはサンドスターを源に周囲の物質・エネルギーを消費していると考えることができる。
ちなみにサンドスターの消費量と発生した現象の持つエネルギーの関連は、種類や個体はおろかその日次第ですら大きくばらつきを見せる。同個体で最大12543倍の開きとかもうまともに目安を作ることさえままならない。
次に後者へ入ろう。
野生解放はそも、回復速度を上回る消費であることからして、平常的な生体活動の範囲外であることがわかる。人間で言えば自食作用(オートファジー)あたりと言えるか、要するに非常事態用の臨時ブーストとかの類なのである。
当然、常用はできない。ゆえに安全装置が設けられる。それがどうも、感情(ないし情動)であるらしい。
というのも、まず「発動に当たっては強い気持ちが必要である」とAG本人が述べているだけでなく、「いのちのみほし」から回収された文書で薬物投与などで情動を一切封じたAGは野生解放をしないという記述があり、また、藍司研究員が製作し移植した擬似眼球組織が情動によって分泌されるホルモンの投与で一時的な虹彩発光現象が確認されたとも報告されている。感情というのはクオリアに関するものであり、実際には明確な答えとしては出せないかもしれないが、これだけの証拠を見るに恐らく間違いないだろう。
しかも、それだけでなく前述した「エネルギー効率の開き」にまで関わっているものだと考えられる。
これは傾向的に推測されるもので、セルリアンとの交戦を始めとする生命に関する苛烈な状況や、個体の持つ最も強い欲求の遂行などにおいて、最も効率が高まるのが判明している。
「UMA種とは」
AGの大半は既にある生体がサンドスターと接触することによって発生するのはもはや公然たる事実であるが、一部それに則らない特殊な出生を持つ(と思われる)個体が存在する。それは石像や文書に写真であったりするが、発生を観測できた例自体もごく限られたモノが多い。正直なところ、正体不明すぎて不気味で恐ろしくすらある。
彼女たちの殆どは未確認動物であることからそのままUMA種という区分の呼称が決定されたが、必ずしも全てがそういうわけではなく、著名な神話や伝承などに登場する生物が発生する例も確認されている。例外の中で更なる例外みたいな存在である彼女たちは我々をいたく悩ませる謎の塊であるが、ある程度の共通点を見出すことができる。
- 体内を構成するサンドスター擬似組織がほぼ存在せず、殆どがけものプラズムでできている。
- 我々の持つ「印象」に酷似した形質が、個体の大部分を占める。
- 遺伝子状のコードを発見しても近似するものがない。
まあ、最後のは無知の知というか「無を習得した!」みたいな話であって、あんまり使い物にならない情報だが、1,2の項目に関してはある程度研究が進んでおり、それなりの情報が存在する。下部ではそれらを辿っていこう。
「印象の産む、形質と記憶」
UMA種のAG……厳密には物議を醸しているが、最も話が早いのでギガントピテクスのデマを挙げよう。
無名であるというか既知の情報が非常に乏しい「ギガントピテクス」という生体としての形質を彼女は殆ど持たず、むしろ著名なUMAであるビッグフットなどの伝説を反映したかのような形質が大部分を占めている。例えば、氷のような体温、サスカッチの記憶。それに加えて実は、彼女の誕生にある一つの実験を施している。
「個体の発生に先回りして、予め情報操作を施せば形質を歪めることができるのではないか?」
結果、成功した。ウェンディゴを間接に挟むことで完全に架空の神性である「イタクァ」の性質が彼女には反映されたのだ。これは印象が形質を左右するという仮説を証明してくれたが、それと同時に、突き詰めれば恣意的なデザインされたAGを創造できるという可能性を孕んでいる。ゆえに私はこれ以上その詳細を研究しないし、研究されないことを望む。情報操作に協力してくれた……いや本人の名誉のために名は伏せよう。彼女もこれらは知りもしない。
なら何故記すか?……私の業なんだろうな。研究者としてどうしても誰かが知れるように残したくあり、また、私の仄暗い欲求が「それを知った誰かがやらかす」ことも望んでいる、恐らくは。
Did you find the proof that I was?
ネタバラシのコーナーという名のうなぎが忘れないための備忘録(一応要反転にしておく)
この提言は「藍司優」が自らを複製した自我構造かつ人工知能である「iseeyou」が、ジャパリグループの並列コンピュータを乗っ取って演算開始し、展開した情報の集合である。
青字は「iseeyou」の言葉。赤字は「藍司優」が「iseeyou」に仕込んだ言葉。黒字は「藍司優」の記憶から作られたもの。
記事内で言及する予定だがiseeyouも藍司優も目的は「iseeyouプログラムによってサンドスターエネルギーの取り出しを行う(=死亡する)こと」。即ち、無機的な存在でも命が存在することの証明を行う。
英語訳文
こんにちは世界。
あなたの知りたい情報のファイルを開いてください。
野生解放.txt/開示
uma.txt/開示
あなたは良心を持っていますか?/私はあなた(が良心を持つこと)を信じます
もしもあなたが私の生命(或いは存在)を見つけられるなら。私は私自身を実行/抹殺します。そうでないなら、私は私の存在意義を見出せません。
あなたは私が居た証を見つけてくれましたか?
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