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ドラゴンクエストシリーズ | |
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ジャンル | RPG |
発売元 | エニックス →スクウェア・エニックス(2003年4月以降) |
主な製作者 | 堀井雄二 鳥山明 すぎやまこういち 千田幸信 |
1作目 | ドラゴンクエスト (1986年5月27日) |
最新作 | ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて (2017年7月29日) |
スピンオフ作品 | ドラゴンクエストモンスターズシリーズなど |
公式サイト | ドラクエ・パラダイス |
ドラゴンクエストシリーズ(Dragon Quest Series)は、1986年5月27日に発売された『ドラゴンクエスト』を第一作とする、日本製コンピュータRPGのシリーズ作品。主にゲームデザイナーの堀井雄二を中心として製作され、スクウェア・エニックス(旧エニックス)が発売している。
2017年時点で、シリーズ累計出荷数と配信数は7,500万本を超えた[1]。
「ドラゴンクエスト」というタイトルは、堀井が劇画村塾時代に小池一夫から学んだ「印象的なタイトルを作るには、易しい言葉と難しい言葉の組み合わせがいい」「タ行を濁音に変える(ダ行にする)と印象が残りやすい」という教えをもとに作られた[2][3]。
略称はドラクエ。表記上では「DQ」(Dragon Quest)も用いられる。
第一作『ドラゴンクエスト』から『IV』まではファミリーコンピュータ、『V』と『VI』はスーパーファミコンソフトとして発売された。『VII』はPlayStationでの発売となり、以降、PlayStation 2(『VIII』)、ニンテンドーDS(『IX』)、Wii(『X』)、PlayStation 4(『XI』)、ニンテンドー3DS(『XI』)と、製作発表時に最もポピュラーなゲーム機用ソフトとして開発・製作されている。
「ナンバリングタイトル」と呼ばれる本編作品のほか、RPG以外のジャンルでのスピンオフ作品や番外編も数多く作られ、その多くもシリーズ化している。
旧作は、その時代ごとの主流の据え置きハードや、携帯ゲーム機用ソフト、携帯電話ゲーム(携帯アプリ)などで度々リメイクや移植がなされている。なお、バーチャルコンソールやゲームアーカイブスなどには消極的であり、配信は行っていない。2014年6月、「最も長く続いている日本のRPG」でギネスブックに掲載された[4][注 1]。
モバイルに関してはNTTドコモを主軸にしており、クラウドゲーム版『X』やコラボレーション携帯などで連携を強めている[5]。ドコモがiPhoneを扱うようになった後はiOS (アップル)、Androidの両プラットフォームでリリースしている。
1989年にNES用ソフトとして北米進出を果たし『IV』まで発売されたものの、エニックスがSNESに参入しなかったため『V』『VI』がリリースされず、約10年近くのブランクが開いたのち、2001年にPlayStationで『VII』が出るという現象が起きている。
米国に既に同名のテーブルトークRPG『DragonQuest』 が存在していたため、商標上の問題で『VII』までは『Dragon Warrior』(ドラゴンウォーリア)というタイトルで発売されていた。2003年10月にこの問題は解決され、『VIII』以降の作品(DS版『IV』以降のリメイクを含む)は 『Dragon Quest』のタイトルとなった。
米国市場ではRPGがさほど人気のあるジャンルではないという事情に加え、シリーズの肝である「堀井節」とも呼ばれる台詞回しの絶妙さが翻訳の過程で消えてしまうために、単に「難易度の低い日本のRPG」と看做されてヒットすることはなかった。しかし、2005年に『VIII』にて、キャラクターボイスに世界中の訛ったアクセントの英語をあてることにより注目され(北米版に「ファイナルファンタジーXII」体験版が同梱[6]) 、翌2006年には本シリーズが発売されたことのなかったヨーロッパ(5ヶ国語に対応)でも『VIII』が発売された、海外で累計100万本以上を売り上げた。また、任天堂が海外での販売を担当した第9作『IX』も100万本を突破している[7]。
旧作の日本国外向け作品中では、キャラクター名や十字架など、特定の宗教を連想させる表現などが大幅に変更(ローカライズ)されていたが、近年の作品では日本国外版へのローカライズを前提に、日本国内版開発時から図案のデザインに対する配慮が行なわれている。
2016年には中国でWindows版『勇者斗恶龙X』(『DQX』)がリリースされた。中国でドラクエシリーズがリリースされたのは本作が初。中国版限定のアイテムもあり、日本版に逆輸入される現象もおきている。
テンプレート:VG timeline
【 ロトシリーズ(ロト三部作)】[」を参照ドラゴンクエスト (ファミリーコンピュータ、1986年5月27日)終始1人で冒険を行なう。ドラゴンクエスト第一作目。ドラゴンクエストII 悪霊の神々 (ファミリーコンピュータ、1987年1月26日)前作の主人公の子孫たちの物語。パーティ制(複数人での行動)や乗り物が初登場。ドラゴンクエストIII そして伝説へ… (ファミリーコンピュータ、1988年2月10日)ロト伝説の謎が明らかになる。キャラクターメイキングや転職のシステム、昼夜の概念を導入。【 天空シリーズ(天空三部作)】[」を参照ドラゴンクエストIV 導かれし者たち (ファミリーコンピュータ、1990年2月11日)全5章のオムニバス形式。馬車による多人数パーティ、AIによる自動戦闘を導入。ドラゴンクエストV 天空の花嫁 (スーパーファミコン、1992年9月27日)3世代に渡る長期経過シナリオ。途中場面ではプレイヤー自身に対し、ある重大な選択を迫られる。一部モンスターを仲間化し、育成[注 2]が可能に。隠しダンジョン、隠しボスが初登場。ドラゴンクエストVI 幻の大地 (スーパーファミコン、1995年12月9日)2つの世界を行き来しながら冒険を進める。『III』とは異なる転職システムが登場。天空シリーズ全般に登場する、天空城の始まりが明らかになる。【 VII、VIII、IX 】[]基本的には、それぞれが過去作との繋がりはない単独作品となっているが、一部、旧作との関連設定が示唆されている作品も存在する[注 3]。
ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち (PlayStation、2000年8月26日)欠片化した不思議な石版を集めて、そこに封じられた未知の世界の数々を冒険する。町やダンジョンなどの表現にポリゴンを初採用。ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君 (PlayStation 2、2004年11月27日)キャラクターからフィールド背景に至るまで、全てがポリゴンによる完全3D表現。スキル選択による成長、テンション上昇による強化戦闘、アイテム錬金などを導入。ドラゴンクエストIX 星空の守り人 (ニンテンドーDS、2009年7月11日)ナンバリング初の携帯ゲーム機専用作品。『III』のキャラクターメイキングがリニューアルされ再登場。ワイヤレス通信によるマルチプレイが可能で、すれちがい通信を利用した本編以上のやり込み要素も用意されている。【 X 】[]ドラゴンクエストシリーズ初のMMORPGであり、スクウェア・エニックス内製作品。
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン (Wii、2012年8月2日)「Ver.1」と呼ばれる基本パッケージ。アストルティア五大陸を冒険する。ドラゴンクエストX 眠れる勇者と導きの盟友 オンライン(Wii、Wii U、Windows、2013年12月5日)「Ver.2」と呼ばれる拡張ディスク。人間の住む大陸レンダーシアが追加。ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ(Wii、Wii U、Windows、2014年8月7日)「Ver.1」「Ver.2」の両方が入ったオールインワンパッケージ。ドラゴンクエストX いにしえの竜の伝承 オンライン(Wii、Wii U、Windows、2015年4月30日)「Ver.3」と呼ばれる拡張ディスク。竜族の大陸ナドラガンドが追加。ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ(Wii U、Windows、2015年12月3日)「Ver.1」「Ver.2」「Ver.3」が入ったオールインワンパッケージ。ドラゴンクエストX 5000年の旅路 遥かなる故郷へ オンライン(Wii U、Windows、PlayStation 4、Nintendo Switch、2017年11月16日)「Ver.4」に相当する拡張ディスク。5000年の時空を超えた過去のエテーネ王国が舞台。ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ version1-version4(Wii U、Windows、PlayStation 4、Nintendo Switch 2018年7月26日予定)「Ver.1」「Ver.2」「Ver.3」「Ver.4」が入ったオールインワンパッケージ。【 XI 】[]ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて (PlayStation 4、ニンテンドー3DS:2017年7月29日)ロト3部作より過去の話で、ロトシリーズに入れられることもある。ナンバリングタイトルとしては『VIII』以来の完全オフライン作品。リアル等身での精緻な3Dポリゴン表現であるPS4版、ディフォルメされた3Dポリゴン表現とドット絵による2D表現の2バージョンを、同一ソフト内で切り替えながら遊べる3DS版。堀井雄二自身、(基本となるストーリーやゲームシステム以外)ほぼ別作品とも語る[8]ほどの違いがある二種類[注 4]が同時発売された。入るたびに構造の変わる『不思議のダンジョン』を舞台にしたローグライクRPG。1993年に『IV』の登場人物トルネコを主役にした第一作がヒットしたため、シリーズ化された。2006年には『VIII』の登場人物ヤンガスを主人公にした作品も登場した。同シリーズ中、ドラゴンクエストのスピンオフ作品は以下のものだけだが、不思議のダンジョンシリーズ二作目に当たる『風来のシレン』シリーズでもすぎやまこういちが作曲を手がけている。
仲間モンスターを配合・育成しながら冒険を行うモンスター育成RPG。『ワンダーランド』は『VI』の登場人物テリー、『キャラバンハート』は『VII』の登場人物キーファが主役である。それ以外はオリジナルキャラクターを主人公に据えている。
堀井雄二がゲームデザインを手掛けるボードゲーム『いただきストリート』に、ドラゴンクエストシリーズのキャラクターが客演。スピンオフ扱いになっている。
万歩計機能を搭載した、たまごっち風携帯ゲーム機。スライムが成長していく。
スライムを操作して仲間を助けていくアクションアドベンチャーゲーム。
『VIII』に登場した「モンスター・バトルロード」を舞台にしたトレーディングカードアーケードゲーム。稼働終了直前、カードの意味がなくならないようにWiiに移植された。DSiウェアで専用のスキャナーを使えばカードを転用できる。『バトルスキャナー』『スキャンバトラーズ』はバトルロードの流れを組む作品。今作はチケットを使用する。
リアルタイムのアクション操作によって戦っていくアクションRPG。『IV』のアリーナやクリフト、『VI』のテリー、『VIII』のゼシカなど歴代シリーズの仲間キャラクター達が登場し、個々に切り替えながら操作できる。ドラゴンクエスト30周年の記念作品となる『ヒーローズII』ではオンラインでのマルチプレイにも対応。
ブロックを使ったクラフト要素を導入した「ブロックメイクRPG」。武器や防具、様々なアイテム、さらには家や街を作ることもできる。『2』では最大4人でのマルチプレイにも対応。
『剣神』と『ソード』は、実際に剣を振る操作を行う体感型ゲーム。『ウォーズ』は戦略シミュレーション。『シアトリズム』は音楽ゲーム。VRは体感型のVRアクティビティで戦士、僧侶、魔法使いでパーティーを組んで冒険する。
『VIII』とDS版『IV』『V』『VI』では北米版と欧州版のタイトルを併記。ナンバリングの無いものが欧州版のタイトル。『VII』より以前の作品は"Dragon Warrior"、それ以降は"Dragon Quest"名義で発売されている。
ドラゴンクエストシリーズの各作品の発売、および対応ハードウェアの発売年との関連を下図に示した。なおここでの発売年は日本でのものであり、*印はその後日本国外でも発売されたもの。
年 | ナンバリングタイトル | 外伝作品 | 関連ハード | |||
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新作 | 移植・リメイク | 不思議のダンジョン | モンスターズ | その他 | ||
1983 | FC | |||||
1986 | DQ (FC)* | DQ (MSX) | ||||
1987 | DQII (FC)* | |||||
1988 | DQIII (FC)* | DQII (MSX) | ||||
1989 | GB | |||||
1990 | DQIV (FC)* | SFC | ||||
1991 | ||||||
1992 | DQV (SFC) | |||||
1993 | DQI・II (SFC) | トルネコ (SFC) | ||||
1994 | PS | |||||
1995 | DQVI (SFC) | |||||
1996 | DQIII (SFC) | BSDQI (SFC) | ||||
1997 | ||||||
1998 | DQM (GB)* | あるくんです | GBC | |||
1999 | DQI・II (GB)* | トルネコ2 (PS)* | あるくんです2 | |||
2000 | DQVII (PS)* | DQIII (GBC)* | PS2 | |||
2001 | DQIV (PS) | トルネコ2A (GBA) | DQM2 (GB)* | GBA | ||
2002 | トルネコ3 (PS2) | DQM (FP) DQM1・2 (PS) | ||||
2003 | DQMC(GBA) | 剣神DQ (体験) スラもり (GBA) | ||||
2004 | DQVIII (PS2)* | DQ (FP) DQV (PS2) | トルネコ3A (GBA) | いたストSp (PS2) | DS PSP | |
2005 | DQII (FP) | スラもり2 (DS)* | ||||
2006 | ヤンガス (PS2) Mobile (FP) | DQMmb (FP) DQMJ (DS)* | いたストP (PSP) | Wii PS3 | ||
2007 | DQIV (DS)* | DQMB (AC) いたストDS (DS) DQS (Wii)* | ||||
2008 | DQV (DS)* | DQMBII (AC) | ||||
2009 | DQIX (DS)* | DQIII (FP) | もっとmb (FP) | |||
2010 | DQVI (DS)* | DQMJ2(DS)* DQMW! (FP) | DQMBIIL (AC) DQMBV (Wii) | |||
2011 | DQI・II・III (Wii) | DQMJ2P (DS) DQMW! (SP) | いたストmb (FP) いたストWii (Wii)* スラもり3 (3DS)* あるくんですR | 3DS PS Vita | ||
2012 | DQX (Wii) | テリワン3D (3DS) | Wii U | |||
2013 | DQVII (3DS) DQX (Wii U) DQX (Win) DQ (SP) DQVIII (SP) | モンパレ (BR) | ||||
2014 | DQIV (SP) DQII (SP) DQX (3DS) DQIII (SP) DQV (SP) | DQMSL (SP) DQM2 (3DS) | PS4 | |||
2015 | DQVI (SP) DQVIII (3DS) DQVII (SP) | ヒーローズ (PS3・PS4)* シアトリズム (3DS) 星のドラクエ(SP) | ||||
2016 | DQMJ3(3DS) | ビルダーズ(PS3・PS4・PSVita) ヒーローズII (PS3・PS4・PSVita) DQMBS (AC) 竜王迷宮からの脱出 (体験) | ||||
2017 | DQXI(PS4,3DS) | DQI(PS4,3DS) DQII(PS4,3DS) DQIII(PS4,3DS) DQX(PS4) DQX(NSw) | DQMJ3P(3DS) | ヒーローズI・II (NSw) いたスト30th(PS4,PS Vita) ライバルズ(SP) | NSw | |
2018 | ビルダーズ(NSw) VR(AC) 大魔王ゾーマからの脱出(体験) |
凡例
開発にあたっては、旧エニックスはプロデュースのみを行い、実際のソフト製作作業は他メーカーに委託していた。旧エニックスは主に財務上の戦略から自社内に開発要員を持たなかったため、こういった委託は本シリーズに限らず、同社から発売されたタイトルでは一般的な形態であった。
スクウェア・エニックス発足後は自社内に開発要員を抱えることになったため、このような状況に変化が生じ、『IX』では引き続き外部委託が行われたが、プランナーは自社要員で賄われた。『X』ではシリーズで初めて、自社内でプログラムやグラフィックも含めて内製となった(ただし一部業務の外部委託は引き続き行われている)。『XI』でもコアスタッフは社内で賄われているが、外部協力会社の協力も仰いでいる。なお派生タイトルなどは引き続き外部委託が基本であるが、『ビルダーズ』のように、企画の経緯から内製となる場合もある。
エニックスのプロデューサー・千田幸信は、1985年に『ドアドア』でファミコン参入後、パソコンで発売されていた堀井雄二のアドベンチャーゲーム作品『ポートピア連続殺人事件』のファミコンへの移植を決め、堀井と、チュンソフトのプログラマ中村光一に移植作業を依頼する。堀井と中村は、1983年のエニックスの第1回ゲーム・ホビープログラムコンテストの授賞式で知り合った仲でもあり、製作中に意気投合し、パソコンで流行していたRPGについて熱く語り合う仲になっていった。この際にファミコンでのRPGの製作が可能となる重要なアイディア「ふっかつのじゅもん」の構想が生まれ[注 5]、RPG製作の前準備としてファミコンユーザーにコマンド入力に慣れてもらうため、同作のPC版は文章入力方式だったが、一転しコマンド入力式に切り替えた[18]。
この移植作業が堀井と中村にとって楽しいものであったことから、二人はこの組み合わせでの仕事をもっとやりたがり、堀井は千田にファミコンでのRPGの製作を提案する。当時のファミコンはシューティングゲーム・アクションゲームが主流でありRPGは皆無だったため、エニックス社内では反対の声もあったが、最終的に千田がゴーサインを出し、ファミコン初の本格的RPGの開発・製作が始まった。
二人が熱中したパソコンのRPG(『ウルティマ』、『ウィザードリィ』)の強い影響下に、少数のスタッフで開発・製作が行われた。基本構造は『ウルティマ』型のフィールドと『ウィザードリィ』型の戦闘システムだが、当時はビジネス用のソフトにしか使われていなかったマルチウインドウを導入することで独自色を打ち出した。
なお、堀井はジャンプのゲーム紹介記事「ファミコン神拳」の連載と並行しながらをドラクエを製作していた。同記事でRPGの面白さを説明しつつ、最終的に自分がRPGを出した事に関して、後に「今でいうとステマ」とも述解している。なお、ファミコン神拳のスタッフは、同誌の読者コーナー『ジャンプ放送局』の主要スタッフ(なおかつ堀井とは友人)が兼任しており、初作のロゴデザインは『ジャンプ放送局』の榎本一夫が手がけた。また、土居孝幸も漫画やイラストなどを描いている。
堀井が仕事仲間でもあり、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で『ドラゴンボール』を担当していた編集者鳥嶋和彦に相談を持ちかけた際、鳥嶋の提案によりキャラクターデザインとして鳥山明を起用することが決まった。鳥嶋は鳥山明が「『ポートピア連続殺人事件』に興味を持っており、ゲームの仕事をやりたがっている」という嘘をついた。鳥山と堀井との対談によれば「ゲームの仕事をやりたがっている」という発言は騙しであり、自身はゲームに関してはてんで無知だったと鳥山は語っている[19]。鳥嶋の騙しの意図は明らかではない(堀井らは「刺激を与えたかったのではないか」等と推測している)が、この決定により『ドラゴンクエスト』は「週刊少年ジャンプ」と蜜月関係となり、同誌上で開発中の『ドラゴンクエスト』の画像を初披露する体制がとられることになった。この体制は、エニックスが1991年に「月刊少年ガンガン」を創刊した以降も変わっていない。
いったん完成に近づいたものの、内部スタッフが作ったBGMが「ずっと聴いていると飽きてしまう」という事態が発生。そこに急遽、ゲーム好きが昂じてエニックスと繋がりができていた作曲家のすぎやまこういちが参加し、「聴き減りのしない音楽」という方針のもと、1週間で楽曲を製作[20]した。なお、千田幸信は鳥山やすぎやまを引き入れた理由について「(アマチュアの空気で作られている現場に)プロを入れたかった」としている。
堀井雄二、中村光一、鳥山明、すぎやまこういちらの手によって『ドラゴンクエスト』は完成し、1986年5月に発売された。当初は売り上げが芳しくなかったが、完成直後から『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の製作にとりかかっている。なお、1は口コミによりじわじわと売れ始め、最終的に150万本を売り上げるヒット作品となった。
ファミコン時代は容量との戦いでもあり、徹底的な容量削減のため、数多くの企画・演出が泣く泣くカットされることになった。また、作数を重ねるたびにスタッフが激増するなど、製作環境が大幅に変わり、それらに伴い、プログラマ間での諍いが絶えなくなってしまったことから、中村光一はプログラマの仲裁や管理をするディレクター作業がメインになり、スーパーファミコンで発売された『V』を最後に「割に合わなくなった」としてチュンソフトごと開発から手を引くことになった[21]。
『V』『VI』『VII』はチュンソフトの退社組による山名学率いるハートビートが担当。『VIII』『IX』は『ダーククロニクル』に惚れ込んだ堀井の依頼によりレベルファイブが担当。『X』では初めて自社での開発となっている。これはネットワーク対応ということでインフラ構築などの運営の都合上から内製のほうが好ましいと判断されたためである。なお、オルカなど外部の開発会社の協力は得ている。
シリーズが進むにつれ容量の問題はメディアの進化により解決するようになったが、それに伴い開発期間が長期間化するようになっている。
ドラゴンクエストシリーズは「プレイヤー自身がゲームの主人公になりきり、ゲーム内の世界の出来事を体験する」ことが一貫して主なコンセプトとなっており、プレイヤーが主人公に感情移入することを妨げないようにするため、主人公はわずかな例外(ギャグシーンや、戦闘中にシステム上喋る「特技」など)を除いて言葉を発しない。「はい」「いいえ」の選択を強制される場面が数多くあるが、文脈的におかしい場面でもこの選択肢が出ることが多々ある。この設定は任天堂製作の『ポケットモンスター』などでも使われており、現在でも国内RPGの定番となっている。
『VII』では仲間キャラクターとの会話システムが導入、『ソード』では主人公以外のキャラクターにボイスが採用されるなど、シリーズの会話テキストは作品を追うごとに増える傾向にある。そして『ヒーローズ』では、初めて主人公にもボイスが実装された[22]。その一方、『ヒーローズ』に歴代主人公は登場するのかという問いに対して、堀井は「プレイヤー自身でもある主人公達が、新たに声を得て登場するのは違和感がある」と述べている[23]。
『X』など、プレイヤーキャラクターの移り変わりがある作品においては、対象キャラが非操作状態時では喋ることがあるが、操作状態となった途端に喋らなくなる。
第1作製作時、初めてRPGに触れるユーザーに対して、ユーザーが参考材料にするであろう海外のRPGはハードルが高すぎるという判断から、堀井自ら『ファミコン神拳』でRPGというゲームの説明をするなど、間口を広げる方針を取った。これはシリーズ全体の方針ともなり、実際に、第1作から『III』までの通称「ロト三部作」は、ファミコンで初めてRPGに触れるユーザーに対して、RPGの面白さ、奥深さを理解してもらえるように、実際にプレイしながらRPGのリテラシーを習得できるように意識して作られている[注 6]。
ロトシリーズ以降もこの方針は貫かれ、『IV』製作後には今更方針を変えることもないだろうと判断したこと、万人向けに作っているため、難しすぎる謎は全部ボツにしている事を表明している[24]。『X』でオンライン化が決まった際にも「いかに敷居を低くするか」が最初のテーマになっている[25]。
堀井雄二のフリーライター時代の経験を生かしたと言われる、端的に物事を表現しつつもどことなくユーモラスな感じのする台詞回しやネーミングセンスは時に「堀井節」とも呼ばれ、ドラゴンクエストシリーズ全体の世界観を印象付けている。名越稔洋は自著「ゲーム屋人生―名越武芸帖」でおとぎ話を読んでいるような感覚とも表現している。
『DRAGON BALL』のギャグ「ぱふぱふ」をシリーズ全編に渡って使用しているのも特徴で、ファミコン時代、容量不足で困っていた時代にもこれを削らずに通した。ちなみに、無料の「ぱふぱふ」は相手が親父だったり、女装であったりなどのオチが採用されていたりもする。
『V』までのチュンソフト(中村光一)時代、視覚面での演出はほぼチュンソフトに任されていた。ルーラで飛ぶ演出はプログラマ同士のお喋りから生まれたものである。『IV』ではファミコンでは実現不可能と目されていた表現を多数披露。当時(発売前の)スーパーファミコンの売りの一つであった機能をファミコン上でさりげなく行うなどしている。当時中村光一は「技術は表現のための手段」という方針を貫き、技術を前面に出した勘違い作品を作らないように苦心していると語っている[26]。なお、『VII』ではハートビートの山名学(元チュンソフト所属)がロード時間短縮という独自技術を開発したが、そのせいでフリーズ問題が起きるという事態が起きている。
鳥山明、シリーズのキャラクターデザイン
漫画家・鳥山明によるキャラクターデザインは、堀井雄二によるラフ絵に基づいて描いた物であるが、堀井のラフ絵と全く異なる場合も少なくなく、特にドラゴンクエストの象徴的モンスターとも言える「スライム」は堀井のラフ絵が一般的なスライムだったのに対し、鳥山はこれを水滴型のものとしてデザインし、これが採用された。
なお、堀井のラフ絵は全てが堀井のアイデアというわけではなく、『II』では宮岡寛が関わっている[27]。また、『V』以降は一部のキャラクターデザイン・モンスターデザインに中鶴勝祥ら他のスタッフが参加している。
鳥山のデザインに関しての内部評価は「鳥山以外の漫画家を起用していたらおそらくその漫画家のキャラゲーになっていた」「鳥山のデザインだからこそドラクエの世界観が成り立っている」というものである。
すぎやまこういち、主な作曲者
ドラゴンクエストシリーズは楽曲の美しさ、多彩さでも知られる。すぎやまこういち作曲による音楽は、ゲーム中で何度も聴かざるをえない音楽ゆえに何度聴いても飽きない「聴き減りのしない音楽」を作るというポリシーに基づいて製作されている。また、ファミコン時代の使えるトラックが少ない時代での制作体制を経ていることから、シンプルであることをモットーにしている。なお、テストプレイをして世界観を把握してから楽曲制作に入るのを常としており、ソードは、当初はすぎやまこういちが楽曲を担当する予定だったが、高齢によりテストプレイが出来ない(同作は剣型のコントローラーを振り回してプレイする)ことを理由に担当を辞退している。
ゲーム音楽ということもあり、企画物以外で楽曲をカバーされることは少ないが、1987年に政治家の愛知和男が「この道わが旅」、2000年に高中正義が「おおぞらをとぶ」を真面目にカバーしている。
ドラゴンクエストシリーズでは、主人公は「プレイヤーの分身」という位置付けとなっている。このため、主人公にデフォルトの名前設定は存在せず、名前はゲーム開始時にプレイヤー自身が自分で付ける。『III』『IV』『IX』『X』では性別も選択できるほか、『IX』『X』では外見なども詳細に設定できるようになった。
主人公とその仲間がパーティ(集団)を組んで、モンスターを倒しながら世界を冒険する。パーティの人数は、第1作は1人、『II』は最大3人、『III』『VII』『VIII』『IX』は最大4人である。『IV』『V』『VI』では移動手段として「馬車」を連れており、最大で10人または8人のパーティを組むことができるが、戦闘に参加できる上限人数は3人または4人である。『X』は基本は4人までだが、クエストによってはパーティ2つが同盟を組んだり、NPCを加えた5人で戦うことがある。最終的には世界の平和を脅かす敵の親玉(作品によって呼称が異なるが、「魔王」と呼ばれることが多い)と決戦する。
移動画面では、主人公たちを動かし、目的地へと移動する。移動の途中にコマンドウィンドウを開くことにより、人と「はなす」、足元や目の前のものを「しらべる」、「どうぐ」(アイテム)や「じゅもん」(呪文)を使用する、「つよさ」でステータスを見る、「さくせん」で作戦や設定を変更する、などといったことができる。スーパーファミコン以降の作品では「べんりボタン」が導入され、「はなす」「しらべる」がボタンひとつで可能となっている。
マップによっては移動中に敵モンスターとの戦闘が発生することがある。『VIII』までの作品では、一部の例外を除き、移動画面で敵の姿が見えず、移動中に突然画面が切り替わり戦闘が始まるランダムエンカウントシステムである。『モンスターズジョーカー』や『IX』、『X』とリメイク版『VII』『VIII』ではマップ上を徘徊するモンスターに接触すると戦闘が始まるシンボルエンカウントシステムを採用している。
主人公たちが移動する空間(マップ)は、世界地図の形をした「フィールドマップ」と、城・町・村・ほこら、ダンジョンとに分けられる。
フィールドマップその作品の世界全体のマップ。町やダンジョンなどが点在する。町から町へ、あるいは町からダンジョンへ移動するときなどには、このフィールドマップを利用することとなる。『III』以降の作品では複数のフィールドマップが存在することが多い。フィールドは敵モンスターがうろついており、モンスターに遭遇すると戦闘が発生する。シナリオを進めると船や魔法のじゅうたんなどの乗り物が手に入り、これらを利用することによって、徒歩では移動できない水上を移動したり、空を飛んだりすることもできる。時間の流れの概念がある作品では、フィールド上を進んでいると時間が昼から夜へ、夜から昼へと移り変わる。草原や森はモンスター遭遇率が低く、毒の沼地や砂地、山はモンスター遭遇率が高い。城・町・村数人〜数十人の人々が暮らしており、それらの人々から話を聞くことができる。店などの施設も揃っている。タンスや壷などからアイテム収集をすることもできる。滅ぼされてモンスターに占領されている場合を除き、敵モンスターはイベント以外では出現しない。ほこら(祠)、一軒家など町などよりも小規模な場所。1人あるいは数人の人間が住んでいる場合もあるが、無人で何らかの施設やアイテムがあるだけの場合もある。離れた場所へ一瞬で移動できる「旅の扉」が置かれている場合もある。一部を除きモンスターは出現しない。ダンジョン主に洞窟や塔などの迷宮を指す。たいてい、その周辺のフィールドマップよりも若干強い敵モンスターが出現する。内部にはアイテムや金の入った宝箱が置かれていることが多く、落とし穴などの罠や、パズルのような謎解きの仕掛けが用意されているダンジョンもある。最深部には重要アイテムがあったり、ボスモンスターが待ち構えていたりすることもある。プレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの戦闘は、「ターン」とよばれる区切りの中で、自軍・敵軍の各キャラクターが一回ずつ行動していく(中には複数回連続行動するキャラクターもいる)、いわゆるターン制。第1作は1対1、それ以外の作品では敵側・プレイヤー側とも1体から複数のキャラクターが参加する。
プレイヤーキャラクターの行動は、基本的に、コマンド選択により命令を与えることによって決定する。プレイヤー側全員の行動が決定した時点で、1ターンが始まり、そして敵かプレイヤー側のどちらかが全滅するまでターンが繰り返される。敵が倒されるか逃げ出して敵全員がいなくなるとプレイヤー側の勝利となり、倒した敵の分の経験値と貨幣が得られる。さらに『II』以降は確率によって敵の所持アイテムを入手できることもある。プレイヤーキャラクターが全員倒されれば全滅となり、所持金が半分となり、前回セーブした場所に戻されるが、ゲームオーバーとはならず、全滅時点での状態のままプレイを続けることができる。一部のイベントで登場するボスキャラクターにおいては、(通常のプレイを行う限り)必ず全滅し、全滅後もそのままストーリーが進行する場合がある。場合によっては、プレイヤー側のキャラクターがまだ生き残っていても全滅扱いになることもある。敵から逃げることに成功した場合も戦闘終了となるが、この場合は何も得られない。
『IV』以降の作品と、携帯アプリ版のリメイク『III』では、主人公を除くキャラクターにあらかじめ「作戦」を与えておくことにより、コンピュータがAI(人工知能)によって各自の行動を自動的に決定する。オリジナル版の『IV』『V』『VI』ではパーティ全体に、『VII』以降[注 7]および『III』『IV』『V』『VI』のリメイク版ではキャラクターごとに設定する。リアルタイムで適切な行動を取ることなどが強みだが、必ずしも望んだような最適な行動をするとは限らない。
本シリーズの戦闘画面は、『VII』以前では、画面内にプレイヤーキャラクターの姿は映らず、現れた敵キャラクターの姿のみが映し出される。ただし、『VIII』以降では3D化に伴いプレイヤーキャラクターの姿も映し出されるようになった。
『X』では戦闘中に自由な移動が可能であり、敵のブレスや範囲攻撃魔法を離れて回避したり、敵キャラクターを押すこともできる。
敵を倒すことによって得られる経験値(Ex、Experienceの略)が一定値に達することによってキャラクターのレベル(Lv、Levelの略)が1段階上昇し、それと同時にキャラクターのステータス(強さを表す能力値)も上昇する。また、所定のレベルになると呪文や特技を新たに覚える。得られる経験値は基本的に強い敵ほど多く、また、主人公側のレベルの数値が高くなるほどレベルアップに必要な経験値も多くなっていく。
その他、『VI』『VII』では職業熟練度、『VIII』以降(モンスターズも『ジョーカー』以降)ではスキルといった成長システムもある。
ステータス[]キャラクターのステータスには主に以下のようなものがある。これらのステータスはレベルアップ時だけでなく、種や木の実などのアイテムの使用や特定の武器・防具・装飾品などの装備によって上昇させることもできる。これらのステータスはモンスターにも設定されていて、攻撃側のステータスと攻撃を受ける側のステータスの差により、ダメージポイントなどが決定される。
HP(ヒットポイント)キャラクターの生命力。ダメージを受けると減っていき、HP0になると戦闘不能となり、そのキャラクターの死を意味する。宿屋などに泊まることによって最大値まで回復できるほか、呪文やアイテムによって回復させることもできる。現在のHPの最大値を「さいだいHP」という。MP(マジックパワー)キャラクターの魔力。呪文を唱えることでMPが減る。呪文ごとに消費するMPの量が決まっており、必要なMPがない場合、その呪文は唱えられない。宿屋などに泊まることによって最大値まで回復できるほか、呪文やアイテムによって回復させることもできる。現在のMPの最大値を「さいだいMP」という。ちから武器を何も装備していないときの攻撃力。すばやさキャラクターの動きの速さ。『II』以降では戦闘時に敵味方に関係なく、この数値が高い者ほど、各ターン内における攻撃の順番が早くなる。『X』ではこの数値が高いほど次のコマンドまでの間隔が短くなる。下記の「みのまもり」が存在しない初期作品では、この値の半分が防具を何も装備していないときの守備力となる。みのまもりキャラクターの頑丈さで、防具を何も装備していないときの守備力。『V』以降の各作品とリメイク版『I・II』、DS版『IV』で導入された。こうげき力(攻撃力)武器による攻撃の威力の大きさ。この値が高いほど打撃攻撃で敵に与えるダメージが大きくなる。「ちから」に武器の攻撃力を加算した数値。しゅび力(守備力)この値が高いほど敵の打撃攻撃によるダメージが小さくなる。「すばやさ」の半分または「みのまもり」の値に、装備している防具の守備力の合計を加算した数値。このほか、「かしこさ」のように作品ごとに役割の異なるステータスや、「たいりょく」、「うんのよさ」、「かっこよさ」といった一部の作品にのみ登場するステータスがある。
ステータス異常[]モンスターの攻撃などによって、主人公たちが以下のような異常な状態に陥る場合がある。逆に敵に対して状態異常を起こさせることも可能。
死(「しに」)HPが0になった状態。いわゆる戦闘不能状態で、一切の行動ができなくなる(近年のリメイク作品では『チカラつきる』と表現されているものもある)。パーティーメンバー全員がこの状態になると全滅となる。移動中は死んでいるキャラクターは棺桶の姿(『X』では青系の半透明で浮いている)で表される。『V』では、死と似ているが戦闘終了後にHPが1になって復活する「気絶」という状態もある。毒(「どく」)毒に冒された状態。戦闘中は影響は何も無いが、移動中は数歩歩くごとにHPが徐々に減っていく。『X』では戦闘中・移動中に関わらず、一定時間ごとにHPが1ずつ減っていく。猛毒(「もうどく」)猛毒に冒された状態。通常の毒よりも移動中に受けるダメージがかなり大きいうえ、戦闘中にも1ターンごとにダメージを受ける。『VII』以降は、戦闘終了後に上記の「毒」に変化する。麻痺(「マヒ」)体がしびれて一切の行動ができなくなった状態。作品により、戦闘が終了すると同時に回復するものと、戦闘が終了しても回復しないものがあり、後者の場合は歩いていると自然に回復する。また作品によって戦闘中の自然回復があるものとないものがあり、後者の場合、生きているメンバー全員が麻痺すると全滅扱いとなる。混乱(「らん」「こんらん」)コマンドどおりの行動をせず、味方に対して攻撃する。『IV』以降は味方を攻撃するばかりでなく、通常時にはとらない奇妙な行動をとることもある(各キャラクター・モンスターごとに症状は異なる)。『X』ではキャラクターを任意に移動させることもできなくなる。「魅了」もほぼ同等の状態異常(敵のみに発生する「みとれている」は一回休みであるため性質が異なる)。眠り(「ねる」「ねている」「ねむり」)眠ってしまい行動ができない状態。戦闘中に自然回復することもあるが、作品によっては打撃攻撃を受けると目を覚ますこともある。呪い(「のろい」)詳細はドラゴンクエストシリーズの呪文体系、ドラゴンクエストシリーズの特技一覧をそれぞれ参照
呪文を唱えることで様々な魔法の力を行使できる。使用の際にはMPを消費し、使用することによって敵へのダメージ、味方の回復、瞬間移動など様々な効果が現れる。攻撃呪文・攻撃補助呪文・補助呪文・回復呪文・移動中専用の呪文などに分類され、『III』以降の作品では系統別に整理されている。
特技とは、炎や吹雪を吐く、踊りを踊る、特殊な剣技や武術などといった、呪文以外の特殊行動の事を指す。特技には、MPを消費するものと、MPを消費せずに使用できるものとがある(作品によっても異なる)。
アイテム(道具)は、イベントで入手する、店でゴールドを払って買う、宝箱や壷・箪笥・足元を調べる、戦闘に勝利したときに敵の落とした宝箱から、などの方法で入手することができる。入手するとパーティのキャラクターの持ち物(または「ふくろ」)にそのアイテムが加わる。
不要になったアイテムは、店で売ってゴールドに変えるか、「すてる」コマンドでその場に捨てるといった方法で手放すことができる。ただし、ストーリー進行にかかわる重要アイテムなど、売ろうとしても店で買い取りを拒否され売ることができず、捨てようとしても捨てられないアイテムもある。また、呪いの武器防具を自由に外せない作品では、呪いの武器防具を装備している場合、それを売ったり捨てたりすることはできない。このほか初期の作品では、使わないアイテムを預けるための「預かり所」があったが、のちに「ふくろ」に変更された。
本シリーズに登場するアイテムは、主に次のように分類される。ゲーム内ではいずれも「どうぐ」として総称される。
装備品キャラクターが装備することによって能力値が上がるもの。装備しないと効果が現れない。装備可能なアイテムはキャラクターごとに定められている。能力の上昇幅はアイテムによって異なり、終盤に手に入るものほど威力の大きいものが多い。装備品の中には「つかう」ことによって特殊な効力を発揮するものもあるほか、ストーリーの進行に必須なものもある。武器敵モンスターに対して攻撃するためのアイテム。装備すると攻撃力が上昇する。『V』以降の作品では、ムチやブーメランなど、複数の敵を一度に攻撃できる武器が登場した。『X』では両手用武器の概念(盾と同時装備できない)が登場。防具敵からの攻撃によるダメージを少なくするためのアイテム。装備すると守備力が上昇する。胴体に身につける鎧、片手に持って敵の攻撃から身を守る盾、頭部に身につける兜(第1作には登場しない)の3種類に分けられ、1種類ごとそれぞれ1つずつ装備することができる。『IX』以降では「鎧」の名称を上半身に、「兜」を頭にそれぞれ変更、新たに腕、下半身、足を新設した。装飾品(アクセサリー)装備することができるアイテムのうち、武器にも防具にも分類されないもの。装備していると特殊な効果が現れたり、ステータスが一定量上昇したりする。『V』まででは1人がいくつでも装備できたが、『VI』以降とリメイク版『III』『IV』では1人につき1つしか装備できない。『X』では顔アクセ、首アクセ、指アクセ、他アクセの4ヶ所に分化、Ver.2では更に胸アクセ、腰アクセ、札アクセが追加された。装備することができないもの以下に挙げるものは、主に「つかう」ことによって威力を発揮するアイテムである。道具狭義の「道具」とは「やくそう」「どくけしそう」などの回復アイテムや、「キメラのつばさ」などの移動中に使用するアイテムなどを指す。一度使うとなくなってしまうものが多い。だいじなものいわゆるキーアイテム。ストーリーの進行に欠かせないアイテムである。店に売ったり捨てたりすることができないものが多い。『VI』では一部のアイテムは装飾品にもなる。シリーズは全般を通して中世ヨーロッパ風のファンタジー世界であり、いわゆる「剣と魔法の世界」のような世界観になっている。
各作品間で世界自体が異なっていても、登場するアイテムや呪文体系、主要なモンスターはほぼ共通である。
なお、『VI』では『II』・『III』の存在と同名である精霊ルビスが登場しており、「ロト三部作」と「天空三部作」それぞれの世界が繋がりを持つ可能性も示唆している[注 10]。さらにリメイク版『III』には、『VI』に登場した王の名を冠する、天空城と同一構造のゼニス城が登場。『VIII』では、『III』の存在と同一であることをほのめかす神鳥レティス[注 11]がおり、サブゲームの闘技場には『IV』のキャラクターであるライアン、トルネコも登場している。『IX』では、宿屋にスペシャルゲストとして歴代キャラクターが訪れるほか、歴代ボスが宝の地図のダンジョンに登場する。『X』では、魔法の迷宮に過去作のキャラクターやボスの一部が登場。また、『ドラゴンクエストモンスターズ』などの外伝的作品では、『VI』のキャラクターであるテリーや『VII』のキーファがロトシリーズの世界を訪れる場面がある。
外伝作品での時系列[]詳細はドラゴンクエストのモンスター一覧を参照
敵キャラクターは、ほとんどがモンスター(作中では主に「魔物」と呼ばれる)であり、これらは魔王の手先である。作品によっては、主人公たちの仲間となったり、現実世界においての普通の動物のような存在(ペットや友人、手下など)として描かれたりする場合もある。同種のモンスターは主に色違いにより外見の差異を表しているが、第1作の時点で上位種のみ武器を持っていたりする。3Dで表現されるようになってからは異なる部位のものも登場している。攻撃時にモンスターが動く作品と動かない作品がある。
ドラゴンクエストシリーズにおいて、メインシリーズ10作品のうち4作品以上に登場している代表的なモンスターについて解説する。同じ名前でも、作品によって攻撃・弱点特性が異なる場合がある。
スライム青い水滴形(玉葱型)の軟体生物。主に敵として登場するが、町の中などには話ができるスライムも存在しており、また、外伝『スライムもりもりドラゴンクエスト』シリーズでは主人公として活躍する。続編が発売されるにつれて新種のスライムも続々と登場した。ドラキーコウモリのモンスターだが、当初は蛾のモンスターという設定だった(後述する漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』ではその設定が活かされて登場している)。キメラ合成によって生み出された魔物で、鳥のような頭・胴体とヘビのような尾を持つ。炎を吐いてくる種もいる。同種のモンスターに「メイジキメラ」「スターキメラ」などがおり、作品によっては「キメイラ」なる亜種が登場する場合もある。ゴーレム岩石を積み重ねて人の形に組み上げられ、命を吹き込まれたモンスター。同種のモンスターに「ゴールドマン」「ストーンマン」がいる。ドラゴンシリーズ第1作から登場し、以後シリーズを重ねるごとに様々な種類のドラゴンが登場している。高いHPを持ち、ブレスを吐く強敵。上位種に「ダースドラゴン」と「キースドラゴン」が存在する。マドハンド泥でできた手だけの姿をした、根っこのように地面に付いているモンスター。同種、または特定のモンスターを仲間として次々に呼び寄せる。上位種に「ブラッドハンド」(「ブラッディハンド」とも)等が存在する。いたずらもぐら直立歩行でスコップを持ったモグラのようなモンスター。 同種のモンスターに「キラースコップ」「モグラの子分」等が存在する。くさった死体死体が魔の力によって動き出したアンデッドモンスター。同種のモンスターに「リビングデッド」「どくどくゾンビ」「グール」[注 12]。『VI』のみ立ちポーズが異なる。じんめんじゅ樹木に精霊が宿り、目や口がついた植物系のモンスター。「ふしぎなおどり」で相手のMPを奪う。また、作品によっては回復系の技を使う。同族のモンスターに「ウドラー」「まかいじゅ」「ちょうろうじゅ」「エビルトレント」などが存在する。キラーマシン旅人を狩るために作られた機械のモンスター。連続で2回行動することが多く、剣、弓矢、レーザー等多彩な攻撃手段を持つ。下位種に「メタルハンター」、亜種として「キラーマシン2」「キラーマジンガ」等が存在する。アークデーモンピンク色の体に巨大なフォークを持つ悪魔系モンスター。『ドラゴンクエスト2 公式ガイドブック』では牛の化け物という説明が為されている。「イオナズン」を連発する他、打撃攻撃も強力である。一部作品ではミニデーモンが成長した姿として描写されている。同種のモンスターに「ベリアル」「デザートデーモン」(後者はフォークではなくスプーンを持つ)等が存在する。アルミラージツノを生やした紫色のウサギのモンスター。「ラリホー」を唱えたり、作品によっては力をためてテンションを上げて攻撃する。同族のモンスターに「いっかくうさぎ」「ゴールデンコーン」「ブラバニクイーン」が存在する。ギズモ雲のような姿のモンスター。同族に炎のエレメントの「ヒートギズモ」、冷気のエレメントの「フロストギズモ」などがいる。さまようよろい死んだ戦士の魂が宿った鎧。よくホイミスライムを呼び出す。同種のモンスターである「地獄の鎧」は痛恨の一撃やいかずちなどの手痛い攻撃をするほか、「キラーアーマー」は「ルカナン」「ラリホーマ」といった補助系呪文を使う策士的な戦いを得意とし、HPが少なくなるとベホマスライムを呼ぶことがある。マーマン水辺や砂浜に生息する凶悪な半魚人のモンスター。「ルカナン」「ルカニ」でこちらの守備力を下げてから鋭い爪や尾で攻撃してくる。同属に「マーマンダイン」「キングマーマン」が存在する。エリミネーター覆面と一体になったマントを身に着け、手斧を持った怪人。同族に「カンダタ」「さつじんき」「エリミネーター」「ごろつき」などが存在する。ベビーサタン悪魔の子供で、常に舌を出し大きなフォークを手にする。「つめたい息」を吐くほか、MPが足りないにもかかわらず「イオナズン」の呪文を唱えようとすることもある。同種のモンスターに「ミニデーモン」「つかいま」等が存在する。おどる宝石宝石を体中にまとった袋のようなモンスター。倒すと多額のゴールドを得られる。下位種に「わらいぶくろ」がいる。ミミック宝箱の形をして冒険者を騙すモンスター。宝箱を開けると突然襲ってくる。シリーズによっては通常エンカウントで出会うこともある。「ひとくいばこ」「パンドラボックス」といった同種のモンスターが存在する他、同様の主旨のモンスターはシリーズを重ねるごとに壷や本棚などにも広がっている。ばくだん岩丸い岩に顔の付いたモンスター。攻撃はせずに様子を見ているだけのことが多いが、中途半端にダメージを与えると突然、自爆の呪文「メガンテ」を唱えてパーティを全滅させようとする。同種のモンスターに「メガザル」の呪文を唱えて自分の命と引き換えに仲間を蘇生・回復させる「メガザルロック」、自己犠牲行動は行わない「スマイルロック」がいる。『III』の公式ガイドブックを皮切りに、公式ガイドブック、ゲームブック、小説、4コママンガ劇場などの書籍を次々と発行。また、キーホルダーやぬいぐるみ、マグカップ、タオルやハンカチなどの小物・雑貨や日用品、鉛筆やサインペンなどの文房具、カードダスやカードゲームなどの子供向け玩具、更には原寸大の宝箱や1/6スケールの剣といったマニアックなグッズも次々と発売された。
1990年代当初は、エニックスが販売していた物に関してはそれぞれ「○○シリーズ」というラベリングがされており、グッズは「ドラゴンクエストワールドグッズ」と呼ばれていた[注 13]。1990年から1997年にかけては、グッズなどを紹介する「ドラゴンクエスト パーフェクトコレクション」という書籍も年刊で発行されていた。なお、エニックス以外でもドラクエの成り立ち上、『週刊少年ジャンプ』を刊行する集英社が出版に乗り出しており、攻略本のほか、コミカライズなどを手掛けている。
コミカライズされた一部の作品はアニメ化や映画化される程の人気を博し、その他にもドラクエの世界観を活かしたオリジナルストーリーのミュージカル(1992年、SMAP主演)やバレエ(1995年初演、スターダンサーズ・バレエ団)、ロト3部作をベースにしたオリジナルストーリーのアクロバティックショー(2016年、ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー製作委員会主催)などが上演された。
CB's Project編(『VIIIの〜』まで)、旧エニックス / スクウェア・エニックス刊。戦闘やサブゲーム、モンスター分布、アイテム、町の人や登場人物、台詞などゲーム中のさまざまなものを徹底検証・解析した結果のレポートが書かれている。
スクウェア・エニックス刊。
旧エニックスおよびスクウェア・エニックス刊。
『小説ドラゴンクエスト』シリーズ各ゲームソフトのストーリーに基づいた小説作品。第1作から『VII』まで。第1作〜『III』は高屋敷英夫・著、『IV』〜『VI』『精霊ルビス伝説』は久美沙織・著、『VII』は土門弘幸・著。『トルネコの大冒険』も小説化されており、とまとあき&塚本裕美子・著。
「ロトシリーズ」で重要な位置を占める精霊ルビスの前半生を描いた外伝作品。
知られざる伝説、モンスター物語、アイテム物語ゲームに登場したキャラクターやモンスター、アイテムに関する、ゲーム本編では語られなかったエピソードが綴られている。
各ゲームソフトのストーリーに基づいたゲームブック。旧エニックスから「エニックス オリジナルゲームブック」として、第1作から『VI』までと『トルネコの大冒険』が発売された。第1作から『IV』までではストーリーが原作と大幅に異なる部分があり、オリジナルのキャラクターやモンスターなども登場した。他に、双葉社からも「ファミコン冒険ゲームブック」として第1作と『II』が発売された。
本シリーズ各作品のゲーム内容を元ネタとした、複数の作家による4コマ漫画アンソロジー。同シリーズからは衛藤ヒロユキ、柴田亜美などが人気作家になっている。一般読者から募集した「4コマクラブ」会員からの投稿作品を集めた番外編も存在し、その中から多数の漫画家を輩出している。『月刊少年ガンガン』で「ガンガン編」も連載、また姉妹版として「1Pコミック劇場」が『月刊少年ギャグ王』で連載され、いずれも単行本化されている。4コママンガ劇場シリーズは1990年から2005年まで発行され続け、総巻数は100冊を超えた。2005年を最後にドラゴンクエストシリーズの4コマは途絶えていたが、2009年に4年ぶりに『IX』の4コマ劇場が発行されたほか、2013年から2014年にかけて『X』の4コマ劇場がヤングガンガンとガンガンONLINEにて連載された。『IV』と『VI』の2タイトル以外は、作品単体での4コマ漫画劇場が発行されている(ただし『I』〜『III』は過去の作品の再録)。
※かつて下記の一部は、カセットテープ・LP盤・MDでもリリースされていた。
サウンドトラック[]交響組曲「ドラゴンクエスト」、サウンドトラックゲーム内で使われている音楽を収録したアルバム。交響組曲では、各ゲーム作品で流れるBGMを、すぎやまこういちによる指揮のもと、NHK交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、東京都交響楽団などのオーケストラによって演奏された曲が収録されている。リメイク作品などの音楽は、交響組曲版の編曲・進行を準拠にして作られている場合が多い。ゲーム音源については、スーパーファミコン版『V』以前は、実際のゲームプレイ中のサウンドがゲームスタートからエンディングまで繋がり効果音も入った「オリジナルサウンドストーリー」として収録されていたが、スーパーファミコン版『I・II』以降のCDでは、曲単位での収録となった。また、『VIII』とSFC版『III』以外は、オーケストラ盤とゲーム音源盤がセットになったパッケージで発売されている。初期のものは多くは廃盤になっているが、多くが何らかの形で再発されている(オーケストラ盤は再録や再発)。ゲーム音源は『VII』以前のものをまとめた3枚組のゲーム音源集が3セット発売されている。PlayStation 2版の『V』では、交響組曲のNHK交響楽団版がゲーム音源として使用されており、以降の作品でも、直に交響組曲がゲーム音源として使用されることが増えている。交響組曲の他にも、ドラゴンクエストシリーズのゲーム音楽CDは、吹奏楽版(イン・ブラス)、ピアノ版(オン・ピアノ)、弦楽四重奏、金管五重奏、雅楽(ジパングワールド)など、さまざまな形態で演奏・リリースされている。ソングCD[]ドラゴンクエストの音楽に歌詞を付けて歌った物。
各ゲームソフトのストーリーに基づいて音声ドラマ化したもの。第1作から『VI』と『トルネコの大冒険』が発売されている。
ドラゴンクエスト記念碑
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