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メカゴジラの逆襲 | |
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Terror of Mechagodzilla | |
監督 | 本多猪四郎(本編) 中野昭慶(特撮) |
脚本 | 高山由紀子 |
製作 | 所健二 |
製作総指揮 | 田中友幸 西野一夫 |
出演者 | 佐々木勝彦 藍とも子 阿川泰子 内田勝正 六本木真 平田昭彦 |
音楽 | 伊福部昭 |
撮影 | 富岡素敬 |
編集 | 黒岩義民 |
配給 | 東宝 |
公開 | 日本の旗1975年3月15日 |
上映時間 | 83分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | ゴジラ対メカゴジラ |
次作 | ゴジラ |
表・話・編・歴 |
『メカゴジラの逆襲』(メカゴジラのぎゃくしゅう)はテンプレート:和暦3月15日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」第15作。制作は東宝映像。製作・配給は東宝。カラー、シネマスコープ。上映時間は83分。観客動員数は97万人。
前作『ゴジラ対メカゴジラ』では敵怪獣はメカゴジラのみで、さらにゴジラには沖縄の伝説怪獣であるキングシーサーというパートナーもいたが、本作ではゴジラだけで強化改造されたメカゴジラとチタノザウルスの2体を相手にするため、ゴジラは大苦戦する。
ゴジラ映画でタイトルにゴジラ以外の怪獣のみが入るのは『ゴジラ FINAL WARS』までの28作品のうち、本作のみである(タイトルに「ゴジラ」の3文字こそ入っているものの、ゴジラ自身のことではない)。前作と併せ、メカゴジラ関連の玩具やキャラクター商品も多数販売され、当時のメカゴジラの人気がうかがい知れる事例となっている。
キングギドラ、ラドン、マンダ、キングシーサーが過去の映像の流用で登場した。
シリーズを追うごとに子供向けのヒーロー路線を辿っていき、特に本作の「チタノザウルスに踏み潰されそうになる子供がゴジラに助けを求める」というシーンがそれを如実に表している。本作の劇場パンフレットで本多猪四郎監督はその要因として、子供のファンからの「悪者にされてゴジラがかわいそうだ」、「ヒーローのゴジラを観たい」との多数の意見があったことを挙げている。
敵役であるメカゴジラとチタノザウルスの街を襲撃するシーンなどが目立っているが、その一方で主役であるゴジラは若干影が薄い存在となっている。これらは当時怪獣映画が斜陽期に差し掛かっていたことを象徴している。実際に、本作が公開された1975年は、洋画興行収入が邦画興行収入を越えた年であり[1]、怪獣ブームも海外のSF映画の影響で下火になり始める。
一方で、本作は田中友幸が観客動員を増やそうとして、大人向きに「初期のゴジラシリーズの雰囲気」を再度描くことを試みた[1]。そのため、リアリティを追求した本多猪四郎が監督に復帰。BGMも伊福部昭が手がけ、サイボーグ少女・桂の、人間としての感情と冷たい機械の挟間での葛藤が盛り込まれた、全体的に重い人間ドラマの部分を強調した作劇がなされた。
本多猪四郎による特撮映画の監督は『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』以来5年ぶりの作品となる。本作は本編班と特撮班とに分けずに、一班体制で制作が行われ、円谷組特撮カメラマンだった富岡素敬が、本編カメラマンを兼任している。脚本はコンテストによって高山由紀子の脚本が選ばれ[1]、本作はゴジラシリーズで初めて主要スタッフに女性が加わる作品となった。本作は、本多が監督した最後の映画作品となり、これ以降は黒澤明監督に請われ、黒澤作品の演出補佐を務めた。
特撮面では、予算不足から前作ではほとんど描かれなかった都市破壊シーンが復活し、本多監督の巨大怪獣映画では必ずと言っていいほど見られる、群衆の避難シーンも描写された。自衛隊の出動、怪獣との交戦シーンも復活したが、メーサー光線車などのいわゆる「超兵器」の類はほとんど登場しない。架空の兵器としては対チタノザウルス用の超音波発信器が登場するが、搭載するプラットフォームは深海探査艇やヘリコプターなど、実在、または実在する機体をモデルとした機材となっている。
キャスティングでは、前作に引き続き平田昭彦が出演。前作の宮島博士や、第1作『ゴジラ』の芹沢博士とは対極に位置するマッドサイエンティスト的な役柄で登場し、注目を集めた。
劇中音楽は、第1作ほか数多くのゴジラシリーズ作品を担当した伊福部昭。本作では、第1作目(1954年)のメインタイトルとして使われた曲が、かなりの編曲はなされているがメロディはほぼそのままでゴジラのテーマ曲として使われている(本来のテーマ曲「ゴジラの猛威」は未使用)。
本作はゴジラシリーズ観客動員数のワースト記録である97万人[2]を記録し、これを受けた東宝は、莫大な製作費を必要とする「ゴジラシリーズ」を一時休止させることを決定した。本作を最後にこの「昭和ゴジラシリーズ」は終了し、1979年に一度、映画「ゴジラの復活」が企画され、紆余曲折を経て1984年に公開された『ゴジラ』に始まる「平成ゴジラシリーズ」まで、9年間の充電休止となった。
アメリカでは、1978年にUPAの手で89分のTV映画として配給された。桂の乳房が写る下記のシーンがカットされた他、過去作品の映像で構成されたダイジェストが追加された。その後、ボッブ・コーン・エンタープライズによって劇場公開されたが、子供向け映画にしようとした同社がPG指定をおそれて拳銃が写るシーンも全てカットした[1]。
ゴジラに敗れ、海に沈んだメカゴジラの残骸を調査していた潜水艦「あかつき号」が「恐竜」という言葉を残して消息を絶った。それは15年前に学会を追放された真船博士が操るチタノザウルスだった。海洋学者の一之瀬は、乗組員の最期の言葉から、15年前に「自らが発見した恐竜を、自由にコントロールしてみせる」として学会を追われた科学者真船博士の娘・桂と接触を持つが、桂は真船博士はもう死んだと答える。出会いを重ねるうちに桂と一之瀬の間には、ほのかな恋愛感情が芽生えるのだった。
ブラックホール第3惑星人は真船博士と手を組み、博士の協力のもと天城山中の秘密基地でメカゴジラを修復し、メカゴジラIIとして蘇らせていた。そして恐竜コントロール装置実験中の事故によって死んだ桂をサイボーグとして蘇らせてメカゴジラと同調させ、真船親子を追放した人間社会に対する怒りをそのままメカゴジラの怒りとして利用しようとする。
翌日、横浜に上陸したチタノザウルスと戦うゴジラだが、チタノザウルスの尻尾の起こす強風に苦戦を強いられる。さらにメカゴジラIIまで現れ、圧倒的に不利な戦いになり、メカゴジラの新必殺兵器「ドリルミサイル」の威力に前に、ついにゴジラは生き埋めにされてしまう。一方、インターポールは真船博士の足跡を追い、ついに宇宙人の基地を突き止めた。一之瀬は真船邸へ向かい、桂を説得しようとする。果たして戦いの結末は……。
前作にてメカゴジラを操り地球征服を企んだ宇宙人だが、素顔は猿ではなくケロイド状の顔となっており、ユニフォームは前作と異なりアンテナのようなものが付いたヘルメットを被っている。隊長ムガールは地球人に変装した顔は前作の黒沼とほぼ同じだが、黒沼にあった左目尻の痣がない。彼等によれば「ブラックホール第3惑星の破滅が近づいている」とされ、それが地球侵略の理由と思われる。
新天城に地底基地を建造し、前回ゴジラに破壊されたメカゴジラの残骸を改修して2号機(メカゴジラII)を造り上げた。さらに地球人に恨みを持つ真船博士を利用するべく近づき、かつて事故死した真船博士の娘の桂をサイボーグとして再生させて博士の信用を得、さらに桂にメカゴジラIIのコントロールシステムを埋め込み、メカゴジラをより完璧な存在にしようとした。そして真船博士の操る怪獣チタノザウルスと共にメカゴジラで横須賀への攻撃(その際、天城の基地を捨て真船邸に拠点を移した)を手始めに地球侵略作戦を実行に移す。計画は当初こそ上手く行き、両怪獣の猛攻で自衛隊とゴジラを徹底的に追い詰めるが、博士の死や桂の改心などの要因によりメカゴジラとチタノザウルスが次々と戦闘不能に陥り、計画は土壇場で頓挫する。侵略が失敗したムガールは相模湾の海底に隠していた水色の平べったい3機の円盤に乗って宇宙へ逃げようとしたが、ゴジラの放射熱線で3機とも撃墜された。
まだ若かりし日の真船博士に接近して桂を再生するなど、前作とあわせて相当長期間、地球に潜入・活動していた気配が窺える。ムガールも部下も、そろって地球人の原始的な文明や交通機関、東京の町並みの汚さを嘲笑しており、既に占領後の都市計画すら用意していた。(本気で履行するつもりだったかは疑問があるが)真船博士には協力の見返りとして、占領・再開発後の「新しい東京1番地」に親子で暮らす豪邸を用意すると約束していた。
ラストで登場する宇宙円盤は、1尺サイズのミニチュアが作られた。劇場ポスターにはこの円盤ではなく、『怪獣大戦争』に登場したX星人の円盤が描かれている。
恐竜(チタノザウルス)に超音波を送る実験(時期は前作よりも前)を行った際に事故死した直後、第3惑星人の手によってサイボーグに改造された真船博士の娘。当初はチタノザウルスを操る目的のみであったが、メカゴジラIIが完成されると同時に再改造を施され、メカゴジラIIのコントロール装置を埋め込まれた。
公開時の宣材写真では、銀ラメの衣装を着けた桂がゴジラやチタノザウルスを脇に、鞭を手に構えているものがあるが、劇中ではこのような鞭を使う描写は無かった。藍とも子はちょうどテレビ番組『ウルトラマンレオ』(TBS、円谷プロ)に松木晴子隊員役で出演中であったため[3] 、隊員服のままでオーデションを受けている。
作り物とはいえ、女性の乳房が写る(桂の手術シーン)のはゴジラ映画では唯一である。EXテレビでゴジラ特集が組まれた際に、これを当時の他社のロマンポルノ路線の影響ではないかとの説が唱えられていた。
詳細はゴジラを参照
『ゴジラ対メガロ』で作られたものの流用。演技者は河合徹。顔つきが若干きつい感じに改修されている。ラストの海へ帰るゴジラのシーンには、前作で「偽ゴジラ」として使用されたアトラクション用のぬいぐるみが使用されている。
詳細はメカゴジラを参照
造形は安丸信行と小林知巳。演技者は森一成。前作ではハードスポンジ製だった胴体が、型抜きによるラテックス製となり、軟らかい感じになった。体色には、前作で没となった銀地に黒い墨取りが採り入れられた。ゴジラの放射能火炎を左右に受け流すため、胸部のデザインがV字型に改良されたという設定である。頭は前作と同じ型からFRPで抜かれたものだが、後頭部の三列のヒレが、本作では一列になっている。
レーザーヘッド装置を組み込んだ胴体には、前作のメカゴジラの胸部分を改造したものが使われ、飛行模型も前作のものが流用された。
爆破技術で有名だった中野昭慶が特技監督を手掛けており、「全身が武器」との売り文句のメカゴジラの攻撃描写では前作以上に派手な火薬効果が持ち込まれ、特に横須賀市の破壊シーンではセットの床を落とすなど、過激な爆破が幾度か登場する。
詳細はチタノザウルスを参照
デザインは井口昭彦、造形は村瀬継蔵(ツェニー)、演技者は二家本辰巳。人間が入るタイプのものと、同じ大きさのアップ用の首、ヒレが開閉する仕掛けのついた尻尾が作られた。上陸したチタノザウルスが大きく伸びあがるカットでは、演技者が前後逆に入ってこれを表現した。
中野特技監督が「恐竜の体色は極彩色だった」という学説を採り入れ、大変派手な体色になっている。チタノザウルスの首はかなり長めで、中野監督は「あんな撮りにくい怪獣は無かった、首を長くしたのは大失敗だった」と述懐している。
劇中でチタノザウルスを呼ぶ際のセリフに入る「恐竜」の発音が通例と異なり、「きょう↑りゅう↓」と、「きょう」に抑揚をつけたものとなっている(ただし、あかつき号の潜水艦員は普通に恐竜「きょう→りゅう→」と平坦に呼んでいた)。この抑揚は第一作「ゴジラ」での「恐竜」の発音と同じ。また作中では恐竜ではなく「恐龍」と表記されていた。
同作のDVDによると、アメリカでは「タイタノサウルス」と表音されている。15年前の回想シーンで真船博士がチタノザウルスを説明するカットで、バックにテレスドンの解剖図が使われている。
テンプレート:ゴジラの映画テンプレート:ゴジラテンプレート:本多猪四郎監督作品
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