「下層っていうのはそのとおり、下の方。主に俺たち管理者と、見つけたばっかの子供がいたりするところ。
『かみさま』がいるところはその下層の、一番下だね。52層は他の階層より少し広いんだ。かみさまでっかいし」
「それ以外は……ここ、他の階層と比べてなんだか地味なんだよなあ。寒いし」
「まあまあ――ぼちぼち始めようか、ここの話。ちょうどそこにいる、俺の後輩が」
下層の景色 |
「すーっぐ放り投げるっ!」
「……ええ、いいえ!説明するのが嫌なわけじゃないんです、むしろそういう仕事はやりがいがありますから!」
「さてさて、下層がどういう場所か……の話ですよね?どういう場所か、私の感想を言わせてもらうと――」
「地味です。殺風景です。色が足りません!」
「ええと――」
「――っと、こう叩いてみた通り、ここの壁も床も、全部固い板でできてますよね。ええーと……『金属』というやつなんですが」
「上層と比べて土も草もないですし、当然花も咲いてませんし。見渡す限り、冷たくて黒っぽい感じ」
「だからここって転ぶとすごく痛いんです!ワタでも敷き詰めてくれたらなー、って思いますね」
「いいところは……ここは部屋の仕切りがしっかりしてて、下層で暮らしてるみんなは個室がもらえるんです。上の方はみんな大部屋ですけど」
「私は大部屋、憧れなんですけどね。1人が大好きな人にとっては、下層のほうが住みやすいのかもです」
気候 |
「そうそう、冷たくてって言いましたけど、本当にここって冷たいんです!」
「ほら、私もセンパイも上に羽織って長袖で長いスカートで、上でこんな格好してたらきっと茹で上がっちゃいます」
「ここは暑がりさん向き、寒がりさんは暮らしにくい!……って感じでしょうか?」
他には? |
「あとあとー……あ、そうだっ!書庫!ありますよ!えーとですね……文字っていうのが紙に書いてあってですね」
「……」
「とにかく便利なんです!もし興味があったら行ってみるといいですよ、便利ですから!」