砂箱です
その日、パークは終焉を迎えた。
いや、終焉に向かって大きく前進した、というべきだろうか。
「緊急警報。現在、ジャパリパーク各地において多数のセルリアンが出現しています。アニマルガールは職員の指示に従って直ちに避難してください」
既に来園者は再閉鎖されたパークにはいない。今セルリアンに襲われているのは、パーク職員と多くのフレンズだった。
…それだけならわかる。
セルリアンも動物であり、フレンズは獲物、人間は狩りの障害。だからどちらも攻撃されるのは不思議ではない。
…だが、奴らはそれだけではなかった。大型セルリアンの内何体かは、フレンズを半ば無視するようにして建物や車両のような人工物を執拗に破壊しているように思える。
「やめてぇぇぇぇぇ!!!」
叫び声。
振り向くと、小さなフレンズの目の前で、四つ足の大型セルリアンが一件の家屋を粉々に粉砕していた。
恐らく長く住んでいた住居だったのだろう、その有様に小さなフレンズは膝から崩れ落ち、大粒の涙を零している。
「っ……!」
大型セルリアンは用済みだとばかりにフレンズに前足を伸ばす。
私は抑えきれない感情を叩きつけるかのように、横合いから殴りつけセルリアンの伸ばした前足を叩き割った。
「~!? …!?!?」
突然の事にセルリアンが驚いている隙に、バク転の要領で背中に飛び乗り続けざまに石に拳をぶつけた。
たったそれだけで、大型セルリアンは崩れ落ち、サンドスターに帰った。
「……うっ…うぅ………」
「無事ですか?
ここは危険です、早く行きましょう」
目の前で起こった事にすらほぼ反応せずに泣いていたフレンズに声を掛ける。
「…どこに行くの?」
「森です。これほど多くのセルリアンが市街地で暴れている以上、市街地よりも森の方がまだ安全です」
「……ここには、戻って来られないの?」
「戻れるかもしれませんが…すぐには無理です。危険過ぎます」
「……そう、なんだ…」
「もう、████さんとは会えないんだ…」
「ここも、みんな壊れて無くなっちゃうんだ……」
その言葉を聞いた時、私は胸が締め付けられるような思いにかられた。
なぜ。
なぜ奴らは人工物を破壊して回るのか。
ただ狩りをするだけなら、ここまで破壊活動をする必要などない。明らかに狩りと破壊の両方が目的だ。
ひょっとして、奴らは人間が憎いのだろうか。
元々フレンズと奴らだけの場所のはずだったこの島に現れ、フレンズを独占し自分達を駆逐しようとした人間が、憎いのだろうか。
「ぁ……!」
「っ………」
遠くで、高層ビルの一つが倒壊していく。
また一つ、人間の痕跡が壊されていく。
昔の私なら、この光景をどう捉えただろう。
喜んだのだろうか。こんなはずではと、後悔しただろうか。
「…あれを壊せるほど危険なセルリアンも来ているようです。 …もう行きましょう」
「ぅん…」
小さなフレンズの手を引き、私はかつて試験解放区と呼ばれていた区画の外に向かって歩いていく。
……生きなければ。
それが、再び野生に解き放たれた、私達の宿命だから。
ページ記録アーカイブ
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パーク内関連施設
- 試験解放区 (Test Release Area)
- ブルージオ・ラボ (BlueGeo Laboratories)
- チョウシュウ鳥類館 (Choshu Bird Hall)
- タズミ海洋動物公園 (Tadumi Ocean Animals Park)
ジャパリ関連組織
- アミーゴス・デ・ラ・ベスティア (Amigos de la bestia)
アニマルガール
- ギガントピテクスのピクス
- アルゲンタヴィス
- ワタリガラス「レイ」
- ホシバナモグラ「スターノ」
- アンドリューサルクス
- キジオライチョウ
- サイカブト
- クロアゲハのクロハ
- インドヒオドシコウモリ
- ダーウィンギツネ
- ヘリコプリオン「リオン」
- アオウミガメ
- ライノセラスアダー
- キンメペンギン
- キマユペンギン
- アンスロポルニス
- ブンチョウ「フミ」
- ボンゴ
- コロコロ
- バルチスタンコミミトビネズミ「ピグミー」
- モロクトカゲ
- オオアナコンダ
- ゴイサギ
- アオサギビ
- ジュウジメドクアマガエル
- ナイルワニ
- ミンククジラ
- ポタモテリウム「リビス」
- ネコマタ
- ツバメ
- キットギツネ
- ケルベロス「ルーベ」
- ジャンガリアンハムスター「ヒーリィ」
- スズメ
- タイゴン
- ザトウクジラ「リサ」
- ヒゲワシ
- マッコウクジラ
- ヤク(ディ)
- ホッキョククジラ
- メガネウ
- ブラウン・スイス
- ケブカサイ
- ギガンテウスオオツノジカ
- ゴマフアザラシ
- ナヌラークもしくはグローラーベア「ローラ」
- ボウズハゲギス「デコ」
- プロトプテルム(ペンギンモドキ)「スウィング」
- オニオオハシ(トゥッカーノ)
- ベローシファカ
- ハワイオーオー
パーク職員
- パーク運営事務局最高顧問"遥"
- 地方管理センター職員"花江"
- ジャパリパーク動物研究所 安定的動物管理研究室主任研究員 "ゴコウ"
- 開発局上級研究員-藍司の報告書
- ポセイドンカンパニー代表取締役社長 "D.F.ウィルソン"
- 教職員 識瑠葉 天音
- 人事担当職員 今羽 翁
- 見習いパークガイド グエンドリン・ヘイゼルウッド"軍曹"
- 郵政局 法被
- パーク諸職員掌姉妹
- A.D.L.B最高責任者"ザク"
- A.D.L.B警備員"ガーラ"
- A.D.L.B警備員"スノーマン"
- A.D.L.B警備員"鋸草"
- A.D.L.B.教官"ルーク・クヴァント"
- A.D.L.B警備員"レッドラム"
- チョウシュウ鳥類館総支配人"サキ"
- A.D.L.B医療班"フリード"
- シンノウ淡水族館マスクドサーファー"マインケ"
- ジャパリ・蛇族研究所受付"マリアンネ"
- タズミ海洋動物公園特殊動物飼育員"ミナガ"
- ファントム・オブ・ザ・ラウンドの概要及び所属隊員
パーク来園者
- 未指定
斎条水咲ユートリアム・斎条 - 未指定 ミューラス・H・ローウェル
- キョウシュウ 小谷 百合
- アンイン 要注意人物ウルタール氏
- サンカイ 九洲梨瓜世
- サンカイ 根桐 夏栖 マネージャー
- サンカイ ジェイデン・"ゴールドスミス"・ミラー
- カントー 適藤尚人
- カントー 恐山鸚哥
Tale作品
- 愛は防弾
- 遠い春の思い出
- 特殊動物(アニマルガール)間交流倫理規定
- 失くした歯車
- ヘリコプリオンの過去
カノン
- クライシス・オブ・ジャパリパーク
- あぽかりぷす・おぶ・ジャパリパーク
- 透明な壁の向こう側
エッセイ
- ジャパリパーク役職一覧
【JGP】パークの負の遺産
区域関連
- 封鎖区域
組織関連
- Amigos de la bestia"Los cazadores"
- 特定特殊生物対策委員会
セルリアン
- アンチヒーロー[CEL-1-777/VF]
- イジェクト[CEL-2-20/PU]
- イージス[CEL-2-198/NA]
- エンスイ[CEL-1-757/CC]
- キューブ[CEL-2-147/NC]
- シェラー[CEL-1-023/ST]
- スプリット[CEL-1-402/TC]
- フルバレット[CEL-2-200/BP]
- ペェイタァリィミュージカル[CEL-2-1999/EM]
Tale作品
- ウェットワーク
- 2125
- 倫理保安局監査部の一幕
その他
- 「野生解放能力」に関連する各種報告[シャドウデータ復元]
- 時代設定時系列年表
- 新物質"サンドスター"調査研究報告書
- 記憶処理薬
- ディプロカウルス―未定
- ティタノミルマー未定
動物名:
愛称:
所属:
管理権限:
アニマルガール概要
外見
能力・野生解放
動物情報
動物名:
学名:
分布:
IUCNによる保全状況:
動物概要
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