007 死ぬのは奴らだ
Live and Let Die
公開
1973年7月5日
1973年7月28日 日本の旗
この項目ではイアン・フレミングの小説 及び 小説を原作とした映画について記述しています。ウイングスの楽曲(同映画の主題歌)については
007 死ぬのは奴らだ (曲)をご覧ください。
『007 死ぬのは奴らだ』(だぶるおーせぶん しぬのはやつらだ、Live And Let Die)はイアン・フレミングの長編小説007第2作。また1973年公開、ガイ・ハミルトン監督のスパイアクション映画。007シリーズ第8作。ジェームズ・ボンド役をロジャー・ムーアが演じた初の作品である。
小説[]
イアン・フレミングの小説007シリーズ長編第2作。1954年、ジョナサン・ケープ社より出版された。日本では1957年に早川書房から井上一夫訳によりハヤカワ・ポケット・ミステリで発売された。
ストーリー[]
ブードゥー教でハーレムを支配し、ソ連・スメルシュの一員でもある黒人犯罪王ミスター・ビッグは、海賊“血まみれモーガン”の財宝の金貨をアメリカ国内に持ち込み資金源としていた。
イギリス秘密諜報部員007ジェームズ・ボンドはニューヨークに派遣され、FBIのデクスター主任やCIAのフェリックス・ライターと協力して調査を開始するが、すでにその情報を掴んでいたミスター・ビッグから手荒い歓迎を受ける。
だが、テレパシー能力を持ち、ミスター・ビッグが妻にしようとしているソリテールが寝返り、ボンドは彼女とセントピーターズバーグへ向かうが、そこで彼女は奪い返され、フェリックス・ライターも鮫に片腕・片脚を食いちぎられた姿で送り届けられる。
怒りに燃えるボンドは、ジャマイカでミスター・ビッグと最後の対決を行う。
出版[]
- 『死ぬのは奴らだ』井上一夫訳、早川書房、1976年4月、ISBN 978-4-15-070652-4
- 『007 死ぬのは奴らだ』(改訳版)井上一夫訳、早川書房、1998年3月、ISBN 978-4-15-171352-1
- "Live and Let Die" , Penguin Classics, 2004/06, ISBN 978-0-14-118757-0
映画[]
スタッフ[]
- 監督 - ガイ・ハミルトン
- 製作 - ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
- 脚本 - トム・マンキーウィッツ
- 音楽 - ジョージ・マーティン
- 撮影 - テッド・ムーア
- 特撮 - デレク・メディングス
- 美術 - スティーブン・ヘンドリックソン
- 衣裳 - ジェリー・ハリス
- テーマ曲 - モンティ・ノーマン
- 主題歌 - ポール・マッカートニー&ウイングス
- メインタイトル・デザイン - モーリス・ビンダー
キャスト[]
- ジェームズ・ボンド - ロジャー・ムーア
- Dr.カナンガ/Mr.ビッグ - ヤフェット・コットー
- ソリテール - ジェーン・シーモア
- ロージー・カヴァー - グロリア・ヘンドリー
- サメディ男爵 - ジェフリー・ホールダー
- ティー・ヒー - ジュリアス・ハリス
- G.W.ペッパー保安官 - クリフトン・ジェームズ
- ハミルトン - ボブ・ディックス
- アダム - トミー・ライン
- 美女 - マデリン・スミス
- ストラッター - ロン・サットン
- クォーリー - ロイ・スチュワート
- ウィスパー - エアリー・ジョイ・ブラウン
- タクシードライバー1 - アーノルド・ウイリアムズ
- Mrs.ベル - ルース・ケンフ
- チャーリー - ジョー・シットウッド
- 販売員 - クビ・チャーズ
- 歌手 - B・J・アーナウ
- フェリックス・ライター - デヴィッド・ヘディソン
- M - バーナード・リー
- マニーペニー - ロイス・マクスウェル
- スタント - ボブ・シモンズ
- ボートスタント - ジェリー・カモー
- スタントドライバー - モーリス・パチェット
- ワニ園スタント - ロス・カナンガ
ストーリー[]
ハミルトンはニューオリンズのジャズ葬パレードで刺され、カリブの島国サン・モニークではベーンズが宗教的な儀式により毒蛇に噛まれ、そしてドーズは国連の会議中に殺される。
殺害されたのは全て、ミスター・ビッグの麻薬取引の動向を追っていた英国諜報部員であり、事態を重く見た諜報部はジェームズ・ボンドを派遣する。
しかし彼ですら、サン・モニークの元首ドクター・カナンガに囲われたタロットカードの遣い手・ソリテールの予知能力に翻弄されてしまう。彼女だけでなく、鋼鉄の義手を持つティーヒー(ミスター・ビッグの用心棒)と、呪術宗教の集団を率いるサメディ男爵(カナンガ博士の手下)の2人をはじめ、敵陣営のユニークなサブ悪役(殺し屋)たちにもボンドは苦戦する。
そしてクライマックスでDr.カナンガとMr.ビッグとの関係が明らかに…。
興行成績[]
主役がショーン・コネリーからロジャー・ムーアに替わった本作は、1973年の映画の世界興行成績で第3位にとどまった。日本では、1973年度の外国映画配給収入の第2位であった。
キャラクター、キャストなど[]
- 『カジノ・ロワイヤル』以前の20作品で、Q(もしくはブースロイド少佐)が登場しなかったのは本作だけ(ただし、腕時計を修理に出していたということで、Qの名前だけは出てくる)。なお、『ワールド・イズ・ノット・イナフ』までQを演じたデスモンド・リュウェリンが引退するまで、リュウェリンが出演しなかったのは本作と『ドクター・ノオ』の2作である。また、Qという役名が登場したのは『ゴールドフィンガー』が最初。『ロシアより愛をこめて』でリュウェリンが初出演した時の役名はQというコードネームではなく「ブースロイド少佐」であり、『ドクター・ノオ』ではピーター・バートンがブースロイド少佐を演じている。
- ロジャー・ムーアの母がリチャード・ディックスの大ファンだからリチャードの息子ボブに出演依頼をした。
- 脚本家と監督からバート・レイノルズがボンド役候補に上がったが、「長身の英国人」との条件でプロデューサーから却下された。
- 脚本家からダイアナ・ロスがソリテール役候補に出たが、プロデューサーは「原作通り、セクシーで無垢な印象の白人」とのことで却下。
- ソリテール役にカトリーヌ・ドヌーヴも候補に出ていたが、イギリスのテレビ番組「The Onedin Line」を見たブロッコリがジェーン・シーモアを抜擢した。
- カナンガはクロコダイル園(Jamaica Swamp Safari Limitedワニ1500頭)の経営者ロス・カナンガの名に由来する。
- ワニ革靴を履いていたロジャー・ムーアは、実際ワニに襲われそうになる。
- ブロッコリとサルツマンはカジノでロジャー・ムーアと知り合った。
- ヤフェット・コットーは『110番街交差点』の撮影中にデイヴィッド・ピッカー元UA社長から出演依頼を受けた。
- ジェーン・シーモアはタロット占いで「3度結婚する」と予言され、1993年に4度目の結婚をしている。
- ロジャー・ムーアはブードゥー呪術医に「息子を持つ」「博愛主義者になる」と予言され、実際に「息子が生まれ」「ユニセフ親善大使」にもなる。
- ジェフリー・ホールダーは撮影日にアレクサンドラ妃が見学していたこともあり、実際に生きたヘビの入った棺桶に倒れ込んだ。
- 原作のフェリックス・ライターは、ミスター・ビッグに捕らわれ、サメに片手片脚を食いちぎられる。このシーンは本作では採用されなかったが、後に『消されたライセンス』で取り入れられた。
- その『消されたライセンス』のライター役は、奇しくも本作でライターを演じたデヴィッド・ヘディソンであった。ライター役は作品ごとに異っており、二度演じた俳優はヘディソンとジェフリー・ライトのみである。ヘディソンは、テレビシリーズ『原子力潜水艦シービュー号』のクレーン艦長役などで知られるアメリカの俳優。
- G.W.ペッパー保安官を演じたクリフトン・ジェームズは、次回作『黄金銃を持つ男』でも同じ役で出演している。
秘密兵器など[]
- 強力な磁石とベゼルが丸鋸になるロレックスの腕時計サブマリナーを使用。この時計をQに修理に出していた間、ボンドはハミルトンのパルサー(LED表示のデジタル・ウォッチで、当時は画期的だった)を着用していた[1][2][3]。
- その他の秘密兵器は、ヘアブラシ型無線機、盗聴探知機、サメ退治用圧縮ガス弾など。
- 特殊装備を搭載したボンドカーは登場しないが、2階建てバスやモーターボートを奪ってチェイスを繰り広げる。
- ボート・チェイスのシーンでは、テキサス州オースティンのグラストロン社製ボートを使用。ガラス繊維強化プラスチック製で、ウォータージェット推進のため外部に突出したスクリューがなく、ジャンプや陸地の滑走が可能となった。同社は本作用に26隻のボートを製造したが、うち17隻がジャンプのテスト中に大破した。
- 劇中ではボンドが行ったことになっている、グラストロン・GT-150のジャンプは、110ft(約34m)の世界記録を出した[4]。
- カナンガの屋敷に潜入するのに、ハンググライダーを使用する。
- ビル・ベネット(ハンググライダーの先駆者)がハンググライダーの技術指導をした。
- S&W M29、8インチステンレスモデル(M629)を終盤で使用(ビデオパッケージでもPPKではなくこの銃を構えている。これは本作の2年前公開された『ダーティハリー』の影響が考えられる)。ボンドが持つ銃に意見をしたブースロイドは「ボンドがリボルバー式拳銃をつかうところを観たいが、おそらくそれは実現しないだろう。」と語っていたが、実現した。
- ウィスパーのキャディラック・エルドラドは、ドアミラーに銃が仕込んであり、運転しながらモニターを見て照準を合わせ、発射が可能。
- サン・モニークのカナンガの屋敷の周辺には、監視カメラと銃を仕掛けた案山子(かかし)が配置されている。
- ミスター・ビッグの手下が運転するイエローキャブは、客席のドアロックと、運転席との間をガラスで仕切る仕掛けで、ボンドとソリテールを捕らえた。
主題歌[]
元ビートルズのポール・マッカートニーが起用され、同タイトル曲を担当した。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位9位、アメリカの「ビルボード」誌では、最高位2位を獲得し、映画と共に大ヒットとなった。また、映画のサウンドトラックは、プロデューサーのジョージ・マーティンが担当し、ビートルズ時代以来の両雄による共演となった。同サウンドトラック・アルバムは、「ビルボード」誌アルバム・チャートでは、最高位17位だった。
その他[]
- ショーン・コネリーと同じセリフを避けるため、お酒は「バーボン氷なし」と頼む。
- 同様に、これまでシャンパンはドン・ペリニヨンを愛飲していたのが、本作ではボランジェを注文。しかし、続く『黄金銃を持つ男』と『私を愛したスパイ』では再びドンペリに戻り、『ムーンレイカー』から正式にボランジェとのタイアップが始まる。
- タロット・カードは、ファーガス・ホールの特製デザイン。実際に市販もされた。映像でも確認できるが、裏面の模様は数字の007を図案化したもので、そのようなカードをソリテールが使っているのは、冷静に考えるとおかしい。
- 撮影地は、ニューオーリンズ、ルイジアナの入江、ニューヨーク、モンテゴ・ベイ(ジャマイカ)、パインウッド・スタジオなど。
- ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港についたボンドは、迎えの車でイースト川沿いのFDRドライブを走行し、マンハッタン橋を過ぎた後、ウィスパーに襲われる。
- ミスター・ビッグを追ってハーレムに行くシーンでは、実際に現地でも撮影。
- カナンガ博士が元首を務める「サン・モニーク」は架空の国(カリブ海にある島国)である。ロケは大半がジャマイカで行われた。
- サン・モニークでボンドの泊まるホテルのシーンは、モンテゴ・ベイのローズ・ホール・グレート・ハウスで撮影された。
- ニューオーリンズでは、冒頭の葬式のシーンも含め、フレンチ・クオーターでロケが行われた。
- ルイジアナの住人フロー・トレッドウェイの敷地を、ボートで横切るシーンに使う。ヘリコプターでロケハンをしていたスタッフが、空中から格好の場所として発見。着陸して、家から出てきたフローに使用の許可を依頼した。
- 現場で何らかのトラブルが発生するとスタッフ達はすぐに「ショーン・コネリーを呼んでこい」と言うのが口癖だった。
- ドクター・ノオの義手は精巧に出来ていたが、本作のティーヒーの義手はよく見ると作り物っぽい(義手のあるほうの腕が明らかに長い)
- Mとマニーペニーがボンドの自宅を訪ねるシーンが出てくるのは、本作が初めて(ボンドの自宅そのものは、『ドクター・ノオ』にも登場している)。
- ボンドの自宅にあるエスプレッソ・マシンは、イタリアのラ・パヴォーニ社製。当時、こうした機械を家庭で使うことは一般的ではなく、実演を見たMは「それだけか?」と呆れる。
- 本作はパン・アメリカン航空とタイアップしており、ボンドがニューヨークに行くときに乗ったのは同社のボーイング747。
- 同じくパナソニックとタイアップしており、フェリックス・ライター(CIA)の使用する機器(オープンリール・テープレコーダー等)は、同社製のものが使用されている。
- 列車内でティー・ヒーが義手を固定されてもがいているシーンで、窓ガラスにスタッフが映りこんでいる。
日本語吹き替え[]
役名 | 俳優 | TBS版1 | TBS版2 | DVD新録版 |
---|
ボンド | ロジャー・ムーア | 広川太一郎 |
カナンガ / ビッグ | ヤフェット・コットー | 内海賢二 | 後藤哲夫 |
ソリテール | ジェーン・シーモア | 岡本茉利 | 玉川紗己子 | 日野由利加 |
サメディ | ジェフリー・ホルダー | | 銀河万丈 | 西凜太朗 |
ティー・ヒー | ジュリアス・ハリス | 田中康郎 | |
ペッパー | クリフトン・ジェームズ | 滝口順平 | 宝亀克寿 |
M | バーナード・リー | 今西正男 | 石森達幸 | 藤本譲 |
マニーペニー | ロイス・マクスウェル | 花形恵子 | 竹口安芸子 | 泉裕子 |
ライター | デヴィッド・ヘディソン | | 徳丸完 | 小島敏彦 |
ストラッター | ロン・サットン | | 秋元洋介 | |
クオーレルJr | ロイ・スチュワート | | 玄田哲章 | |
- TBS版1 - 初回放送1981年4月6日(月)、TBS『月曜ロードショー』
- TBS版2 - 初回放送1988年、TBS『ザ・ロードショー』
プロデューサー - 上田正人、台詞 - 木原たけし、演出 - 小山悟、日本語版制作 - 東北新社、TBS- DVD版 - 2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション
翻訳 - 佐藤一公参照[]
- ↑ボンドウォッチプロジェクト
- ↑Q Branch at Her Majesty's Secret Servant
- ↑James Bond Gadget Watch History at the watchismo times
- ↑History 1970'satGlastron Boats
関連項目[]
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