松下十巻抄

ページ名:松下十巻抄

蹴鞠條々

懸の樹の事

式の懸とは櫻柳楓松也。此木不足して二本うふる事くるしからず。又雜木をも師のゆるしを蒙る入植ますベし。雜木には椿榎椋柹これ植べし。椿。櫻の所。榎。柳の所。椋。同前。柹。楓の所。なるべし

懸植事

木は宅宅〔安宅歟〕の術。懸は鎭屋の方也。何方にても櫻。うしとら。柳。たつみ。楓。ひつじさる。松。いぬい。なるべし。軒と木との間二丈なるべし。庭せばき所ならば。一尺ばかり二丈のうちへもつゝむべし。しからば軒と木との間も一尺斗つゝむべし。㝡下の枝は地より六尺五寸ばかり有べし。高さこずへまで一丈五尺斗可然也。但うへて後年/\高くなれば。一丈七八尺まではくるしからず。猶高くなれば梢をつゝむ。㝡下の枝はわきへむくべし。兩方のつぎにありてよし。むかいつめのかたにあふ事わろし。惣而枝のかすることなし。鞠さはりて見苦敷枝などつめ候べし。本木を見きる枝など。つねに有ごとくつめ候べし。

切立の事

松三本柳一本。又は二本づゝも子細なし。又竹をも立とすべし。丈數はうへ木におなじ。竹はすへをふしのきわより切也。地より梢まで一丈五尺なり。竹は四本四所にも立る也。㝡下の枝も木におなじ。木のときは四本。同木はわろし。竹の時は四本ばかりよし。末を切事ことなる儀なし。ふしのきわより切まで也。

一段の事

三足づゝけて人にわたさむ事也。これ一段也。されど四足五足をける事は。鞠色よくけなして。人にゆづらんとてける也。又一足にても人にわたす事は。或はけがたき所をもけいだし。木の外の鞠などは。わざと一足にても人にわたすベし。三足の後人こはん鞠を。なをしたひける事有べからず。けがたき所。軒の下。かきのきわなど。惣而懸の外の鞠など。上手にて有とも。一足又は二足□□にてけわたすべし。

三段の事

序破急の三段有べし。鞠始まる時は序分也。鞠長の鞠をけて。のびらかにのどやかにけ付すベし。破分は中ほどのけやうなり。鞠長に甲乙あひまぜて。高きとひきゝとを同じほどにけて。時々曲をもけるなり。急は晚景のけやうなり。ひきゝをけて。鞠たけの鞠を少々ける也。曲をもけ數をもはげみ。忠をつくし興をもよふし。いかにもにぎやかにけなすべし。

鞠長の事

一丈五尺なり。それより高くける事詮なし。

網事

便宜にしたがひて。何方にもかくべし。苧を繩にして。あいにそめても用る也。又わらはも外にかくるはくるしからず。目のひろさ四寸也。高さ地より一丈六尺也。目の寸高さの尺まで也。ことなる儀なし。かけやうなど人のこのみたるべし。

鞠垣の事

高さ網におなじ。ふちのあはひも四寸也。立竹のあはひも四寸。方四寸たるべし。ふちの數なし。いかほども結次第たるべし。家のやねなどのあはひゆひきる事。此ごとくたるベし。家のなりにつれべし。地よりあとへつるかきは。所ともなるはわろし。いかにもすくなくがよし。

あしつゝむ事

紙壹枚をふたつに折候て。又よこさまにおり。大ゆびのうへのそばよりほかさまにまき。又上にてまきとゞめ。紙あまり候はゞ。うちへおり入て。かみよりにてふたまき/\。ゆびのうへにてまむすびに二ッむすび。一文字に切也。鞠はて候はゞ。いかにもこまかにきざみてすつべし。かみよりにて二まき卷。ゆびの上にて二ッむすびて切也。扨つゝみ紙のさきをおり返し一文字に切也。

鞠を庭に置事

先ふくらの方を上になし。兩の手にてかゝへ。中門より出て。軒のむかふより庭なかに持てより置時。左のひざ左手をつき。右の手にて取革をとり。よこさまにふくらの方を軒左右に成やうに。いかにもしづかに置て。左に歸るべし。又貴人など御座候い〔は歟〕ゞ。其御方を前になし歸るべし。鞠をかゝゆるは。人さしゆびと大ゆびにてとり革を取り。のこり三ッにてこしもとをかゝゆるやうにする也。鞠はて候はゞ。いだしたる人取て歸るベし。まりいだす人は若輩の役たるべし。枝の時は替よろしく。鞠をかゝゆる樣は。右の人さしゆびと大ゆびにて取革を取。殘三ッにて腰の本をかゝへ。左の手は左のこしのもとへそとそゆる也。

けあげする事

軒のむかふよりも又何方へも仕候。先大方は軒のむかふと心得べく候。其上下たる人の役也。各□〔座歟〕につかれ候て。そのうちけあげつかまつるべき人さしよりて。左のひざ左の手をつき。右にて取革をとり。又兩の手にてかゝへ立て。そのむかふに目合。一足も立さらずけるとき。左をはなし。右にてあしにおとしかけてける也。所とも手にて上てける事有べからず。我がまへにかゝり候へば。何度も仕なほし候べく候。又木こしにてだにもなく候へば。我ともに五人にはつかまつるべく候。又貴人などにはつかまつりかけぬ事にて候間。其時のけあげはそばへ仕ベく候。自然貴人御むかふにまいり候はんずる時は。此心得肝要也。能々分別たるべく候。難波にも鞠置もすぢかへにを〔遠歟〕けあげも後に立たる人するといへり。けあげをする事。我むかふの人さしあふ時は。むかふの木をあい懸り。又わが相懸りの人にて仕候。此外三人の木こしの人には仕まじく候。
けあげを人よりけかけられ候はゞ。うけ取て一ッもおとさぬ事にて候。そのまゝけべし。殊其鞠をけあげ候人に。一足にて又けかへさぬ事にて候。

圓座しく事

其衆により候て。圓座多候はゞ兩人。すくなくば一人にて然るべく候。先鞠なきまへに。庭の下のかたへ二所にかさねて置也。鞠有べきはじめに。鞠衆の分。かの兩人いでゝ。彼圓座をかゝへ。上座より一枚づゝうちをき/\敷也。間をさのみせばく候はぬやうに。よきほどにみはからひ敷べし。かさねたる圓座我下のかたへ置。一枚づゝとり/\敷也。又別にも敷やうあり。鞠衆十六人。又は十人十二三人もあらば。圓座二所に置。二人にて敷べし。八人計ならば一所に置。一人にて左右の間いづ方へも廣方へ敷ベし。又別にも敷やう有之ば。先ならベて敷べし。一こしにさきさまに取こし/\敷也。ヶ樣に候へば。廣さざうさなくしかるゝ也。是はさのみこのみて敷まじく候。圓座の結の方後になすべし。

圓座敷べき所の事

軒の左右。能々軒の左右せばく候はゞ。何方へもひろき所を用る也。又貴人御本所など御座候はん時は。軒の左に疊一帖敷べし。貴人あそばされ候時。疊敷べきやう。軒の左の方にたてさまに敷べし。

圓座につく次第の事

先中門にて次第を定て一人づゝつく也。扇を左に持。軒のとをりにて一禮候て。又圓座のもとにて蹲踞して。上首の方へ一禮にて。軒にうしろをなさで。手をも上首の方をつきて圓座に居べし。何時も左の足を上にかさね候べし。圓座につく時。軒の通りの禮は。左の方に着座候はゞ。軒のとをりにては左の手をつくべし。ひざはつきつかずによし。是も左のひざたるべし。圓座のもとにては。右の手をつき。左の足ふみ出しなをるベし。右の方に着座候はゞ。軒のとをりにて。右の手をつき候也。右のひざつきつかずたるべし。圓座のもとにて。左の手をつき。右の足をふみ出し直るベし。刀。扇。はなかみ取合たるを左に居候はゞ。右にてかゝへ。左の手を前より下さまに入てとり置べし也。右に居候はゞ。左にてかゝへ。手をさきより下さまに入て取。其まゝをく也。

刀たゝふがみ置事

扇を左に持ながら。右にてはなかみを取いだし。扇にかさね。左にて刀をぬき。はなかみにかさね。刀のさき軒にならぬやうに左に居て。我が左の方へつかの方を軒になし刀置也。軒のむかふに居候時も。大方其心得有べく候。
一、かはりて圓座に付候ても。何時も扇を取て左に持て居べく候。あつく候はゞ。二三げんひろげてつかひ候べし。
一、圓座に居候ても。鞠をちかゝり候はゞ。居ながら一足を立つゝ。一足も可仕候。

鞠ふみ候ての事

一、其時いかにもに靜に鞠を取。たゝきふくらめ候て。ころばかし出し候て。やがて座になをるベし。自然貴人などめし出され候はゞまいるべく候。可秘/\。

正二位 鞠條々

一、鞠の庭をば當家には鞠庭と云。のゝ字をばいはぬなり。
一、鞠を見物するに。我前にころびくるを。そのまゝにてをくもいかゞなれば。手にてはゆめ/\いろはで。左の手に持たる扇にておしやるが能候。扇にておしやるは。鞠衆かはりて座に有時も如斯し。又見物する人も如斯鞠衆ならば。おちかゝる鞠をば心〔得脱歟〕蹴べき也。ころびきたるを扇にておしやるべし。見物衆ならば。鞠かきのうちをひ。かゝりそとに居て蹴べし。鞠かきの外ならば。取てころばかし可入なり。
一、けて着座の事。公家武家ともにかはる事あり。公家には刀を御さしなく候間。扇を左にもち。たゞふがみを取出し。扇の下にかさね。我が左の後の方の圓座の下に入て。〔右は所によりて上首の方におく也〕扇のほねを我まへになすやうに是を置也。武家は刀をさす間。刀扇をはなかみに重ね。右の方におかるゝ也。刀のさきいさゝか我まへになるやうに置也。鞠けまじきと思ひ候へば。たゝふがみをおさめ刀をさす也。かまへて/\刀のさき貴人の方へならぬやうに置也。能々可心得もの也。出家は公家同前。公家に扇たゝふがみかさねて圓座の下におかるゝは。左の手にて右の方にさしこしてとりて。かた手にて圓座の下におかれ候也。武家には刀左座の衆は左に置也。
一、立所の事能々分別たるべし。先圓座より次第に一人ヅゝ立候て。木には付候。其人々の位により圓座にも付候間。木に付候時も。圓座の上より被付候べし。又そのうち堪能の人又は貴人など御下知有べし。下知なくして付候時は。先其內㝡前の人軒の左にも可付候。其次よりは先懸の間/\に立ふさぐベし。五人めより其心得可入候。又㝡前被付候人のむかいつめ/\になるやうにも付候也。それは所々もとの依體可爲分別。又貴人などのむかひつめ。懸のきはゝ可斟酌。必堪能の人たるべく候。さりながら貴人などのしきりにまいり候へと被仰候はゞ。さのみは斟酌すまじく候。懸の度々に立ふさぐベしといふは。㝡前の人軒に付候。其次より軒の向にてもあれ。又左右の間どなたへも先一人ヅゝ付べし。軒に御付候て。其後の衆軒の左右軒のむかひつめいづれもあがりさがりなし。又軒の左右に着座の時。かゝりに付候事。一番に左の軒。二に右の軒。三に左の軒の木こし。四に右の軒の木こし。五に左の軒の木こしあひかゝり。六に右の軒の木こしのあいかゝり。七に右の軒のむかひつめ。八に左の軒のむかひつめ。此上有之貴人の向ひつめあひ懸り心得入べし。圓座一方にしきたる時も如斯心得べし。此立やう常によし。軒に付候はゞ。其次より間/\に一人づゝ立ふさぐもよし。
一、懸の上下は先二人賞翫也。其內にもなを軒の左の人一の賞翫たるべし。されば貴人相懸軒より左の方しんしやくといへり。
一、懸により畏は。木と我があひだ三尺計。いさゝか外かどに。懸の方のひざ。懸の方の手をつき候て可畏候。又貴人など相懸に御座候はゞ。其方のひざを可付候。難波にはいつも右の手ひざをつくといへり。
一、懸に㝡前も又いつも付候時は。一禮もせぬ事にて候。去ながら貴人など御座候御まへは一禮も有べし。
一、外へおちたる鞠を取候て。懸のうちにころばかしいるゝ事有。若輩として行て懸へころばかし入たるを。いまだ人の取てけぬを。又よりて入たる同人取てけ上らるゝ事は不可然候。
一、軒なき庭は松櫻上ると可心得。
一、軒上候又とをらぬと言事。大方は如斯なれども。惣別は客人の亭主賞翫の心得にて。客人は軒をとをらず。亭主は軒をもとをりてもくるしからずといへり。
一、貴人など其外の衆はや木につかれ候て。貴人の木越にまいら候べし。あるに斟酌かと頻にと候はゞ。其時まいり候時は。貴人の御後をとをらぬ事にて候ほどに。其時は軒をとをり候ても不苦也。
一、鞠の人數八人よりおふく候てかはる事あれ。そろはではじめまじきか。されども自然或は七人或は六人などにてはじむる事あらば。其內の堪能の人などを二本の木の中に立てけべし。それも畏時は右の木のもとによりて可畏。六人懸にむかひ合候べく候。これ式々にはあるまじき事なれども。しぜんのために尋申て注し侍る也。六人にてけ候時は。軒に一人。軒むかひつめに一人立べく候。兩の脇に二人づゝ可立候。
一、懸の上下定まらず。貴人はあそばしよき所へ御座候間。いつも貴人御座候方をあがりと可心得。大方は軒左右上にて候とも可心得。
一、圓座に付候時。手は何時も貴人の方又軒の方を大方付候。
一、圓座に居候はゞ。上座を見合候て。刀たゝふ帋を可納候。
一、圓座に付候時は。左右の敷うならば。一人ヅゝ左右にかけて付候がよく候。能々可心得。
一、刀をよく我そばへ圓座の下に置事もあり。それは下座のかたへ可然候。

正二位 鞠之一書

一、けかたの事。先木に立候時も。平生のごとく身なりなどもつくらず立候。去ながら左足少さし出候て。け足を少後にひきて立候也。いつも蹴足さき立候事わろし。それを立あしとてきらひ候。鞠け候時は。少腰をすへ。むねをいかほどもひきこみて。目づかひも右のかたをそばめに見。鞠に落かゝるまで見くだし。足によく/\落付てけべし。人のける間も鞠上候へば。其人の足まで見くだし候て。少も/\無油斷やうにける事にて候。つまさきにてけ候へば。鞠しやきり候てわろし。足のかうにおとし付。いかにもむくやかにけなし候がよく候。人體もしやきり。まりもしやきり候て色わろく仕候事。第一きらひ候。いかにも/\ゆう/\と仕候。乍去又にぎ/"\と仕候がよく候。
一、むね出候事又そり候事。又くゝみ候事。何れもわろし。たゞいつもの立すがたよく候。
一、いかに鞠にあたり。おきつころびつ仕候て。しらぬものゝめには見事と申候へども。かたきのわろき鞠はまりにて有まじく候。いかに足たかく。しらぬものゝめにはわろく立候とも。かたきのよきまりは鞠たるベく候。第一かたきを本にすべし。乍去其人によりいかになをしてもなをるまじきくせあるものにて候。又すがたも有ものにて候。それは無才覺候之間。其なりのまゝけさせべく候。如此の儀何も可用捨候。
一、鞠に三德と云事は。是もけかたより出候也。
一、手もちの事。身よりも少さきに出候やうにもちたるが能候。いかにも手のうちより鞠出候ごとく。身ちかくけなすべきためにて候。手少さきに出候へば。をのづから鞠もちかくなり候。
一、三びやうし肝要にて候。三びやうしは右左右とふむ也。なを/\口傳/\。
一、いつもけ渡しをたしなむべし。
一、三段三足之事。右一卷に在。能々可分別。又人の鞠けはなしかぬる事あり。それはそばよりこい候て可仕候。
一、かさねごゑは我まり人よりけられ候時かくる事にて候。又面白き時は靜にかくべし。ばいそくの時ははやくこひ候べく候。
一、きよくおもしろがらせて。身なりをくづしける事わろし。殊にうつぼながしなど。け候て。めをそともひき事も。其鞠はけぬうちよりとり候。能々可心得。殊に平生もかたこしをくずしける事わろし。
一、貴人の御身に鞠をけあて候ても。又御身にあたりたる鞠など仕候ても。け候て後ひざを少付候。
一、鞠請取候てけ候鞠は。我まへゝまる〔?歟〕やうに仕候て。分のまりいかにも色よくけまはして有やうに蹴上。又はなつ鞠をば外にまいるやうにけあぐべし。但心にまかすベからざるか。されば分足三足とは。請取候て一足。分のまり一そく。けはなつまり一足。以上三足なり。三足の外人のこひ候は。いかに我鞠なりとてもすて候べし。
一、ける人のむかひつめのつむる時。相懸の人もおもはゞ。半分ばかりまでつむる事也。尙八境にしるされ候。
一、鞠をつめてもひらけ。ひらきてものけ。はなしてものけ。我立所へ歸る時。うしろしざりにはかへらぬ事にて候。左右にかへり候べく候。
一、懸にわがけ上たる鞠はいまだ我鞠也。つめてけべきか。但け上やうによるべし。木の左右の後へゆかんは是非に及ばず。能々可心得。
一、鞠をこふ事。ありやと云は春のこゝろ。但うけとりはじめはこはず。おふと云は夏のこゝろ。有と云は秋の心也。分鞠をあふとこふ也。切こゑといふは。まりなどのけふなるを。あり/\とこふをいふ也。おうと云はけはなつ時の心也。但たか/\蹴上て。こゑをひきて。おうとも我懸にけ上て。又軒にけかけての時は。必々おうのこゑ成べし。ありとはこふべからず。乍去又おうのこゑはそこつに有べからざる儀也。今は飛鳥井殿などの外いかにもこふべからず事也。
一、一段三足と云事又あり。右の一卷にもしるし候也。尚こま/"\の事在。けあげを一段といふは。け上て其足にてふむ足まで也。□而其足を後へふむ一足。さて左の足をさきへふみて鞠を待。是一足。三足之儀也。可秘/\。
一、花のもとの鞠はしんしやくすベし。仕候とも心得可入也。
一、風吹のまりは風吹候方へきふく仕候也。其內こうしやを風下に可立。
一、雨の後のまりは。はかまのくゝりをつよくゆい。身ごしらへをいかにもよく仕候事候べく候。何も/\可心得入なり。

鞠之一書

一、御前の鞠は久敷仕候はぬ事にて候。惣而かはりてのおほく候はゞ。平生も早々かはり候事にて候。それも上座より次第/\にかはるべし。御前のまりもかはる衆あらばの事にて候。かはる衆なくば。いか程も可仕候/\。かはりて可仕候時は。賞翫の人御立候つる所も不苦可立。けられ候人かはらんために着座候へば。やがて立候鞠衆。いか程もあれ。上座の人左右より四人づゝ先けられ候。四人の下□□□上座より次第にかはるベし。
一、鞠垣つゐぢゑんなどよりころびをち候鞠は。何時もひざをつき候て可仕候。殊ゑんなどより落候まりは。むかひてけ候へば。鞠內へ入事候。初心の人はそばむき候てけいださるべく候。軒よりもゑんよりもころび落候はずば。さほにておとし候べく候。又手にてころばかしいだしたるがよく候。えんに上たるは。立ながらあつか〔は脱歟〕ぬ事にて侯。すこし腰をかゞめ候べし。
一、軒にあがりておち候鞠は。是非に何時も軒の下に入候て。ゐ〔な歟〕をり合候てけ候べし。軒にあがり候て落候時。はやくなをり候へばわろく候。軒のとをりにころび落る時直りあふがよし。
一、鞠たけの事。先三足の內。序の時は前をほそく。後二足を大にけベし。急は後をほそく可仕候。猶右一卷にあり。
一、さくらの花などは。いかにもけちらさぬやうにけベし。楓松などのしき〔げ歟〕りて。かゝりたる鞠のみへぬ事あり。さ樣なるをば葉がゝりの鞠とてけにくきもの也。又葉がゝりの鞠常葉木のもと遠く見よと云。木にけかけたる鞠。色々けうに落。けうになる所をけなをして。靜に人にわたすべき心有べし。是又鞠のやうによるべき也。葉がゝりのまり常葉木のもと遠く見よといふは。ちかくよれば見えぬほどに。遠くより見るべきなり。
一、軒のむかひつめの人。軒にけあげたる鞠をば。軒に立たる所のむかひつめの人。ころび出る所をけ出す也。軒のうへをころびまはりて。遠くよ所へ落るは。其きわに立たる人の鞠なるベし。定まるベからず。又軒にけ上たる人も。鞠の軒より遠くころび落候へば。むかひつめのけべき事も在。軒にあがるまりは必軒の人のなれども。遠くをちば其軒のむかひつめの鞠なり。むかひつめの人油〔斷脱歟〕すまじき也。〔猶可有吟味〕
一、むかひつめの人につきて。とをく外へ出たる時は。むかひつめに付てつむるなり。猶もやうによりて二足三足程は出もすベき也。先木のとをりより外へはさうなく出間敷事也。若懸の外に遠く出候時は。遠き鞠をのべ候てはくるしからず。此時はさうなく軒につめてけまじきと覺たり。されば軒にけあげたる鞠は。軒の下の人はむかひの人のかほをみると云儀あり。
一、つむる人むかひの懸に外に遠くつめて出たるに。其鞠よの人のけ入られて後に。つめたる人ける時は有べし。さやうならねども。遠く出たる時は。懸のうちをばかへらで。すどをりとて。かゝりの外をまはりて立所へかへるべし。其時も軒の方は可有心得。又其時懸の外まはりて行時も。人のける鞠に心をかけ目をはなさず見候てまはるが。無油斷可見能候。よく/\可心得事也。
一、袖越とて。左の手を身にそへ候て。手の外にてけるを云也。このまぬ事なり。
一、鞠そとへ出たる時入事。ころばかし入るは。木のもと三尺ほどをき候て。手をつきてころばかし入る也。是は見物する人。又はまり衆かはり候はんずるためにのき候人の事たるべく候。け衆はとりたる人やがてあげまりすべき間沙汰に不及也。
一、汗のごふ事。かはり衆あらば。圓座につき候て。そとかげむきてのごひ候べく候。又かはり衆なくば。かゝり三尺ほどのき候て。かげにむきてのごひ候べく候。
一、すあふのひも。懸四尺ほどのき候てつかひ候べく候。とけたらんずる時の事也。
一、はなかむ事。是又同座にてそとかげにむきてかむがよき候。
一、鞠を請取渡候事。枝の儀は右一卷に。いつも渡候は。庭に直候やうに。かゝへて出候て渡候時。こし革を左の手にすへ。右の手をふくらにそへて。取革上になしさし上候。さてうけとり人は右にて取革をとり。左を下へそへ候て。其まゝかゝへて取べし。
一、鞠人に見せ申時。持て出わたす事は大〔右歟〕のごとく。うけ取人も右のごとく請取也。先こしかはをみまはし。さて左にすへ。右の手にてふくらを二度うち。又右にすへ候て。左にてふくら一方を三度ばかり打うち候て。近來見事の鞠といひて。本のごとく指出し候。惣じて鞠はこのふた能候。こし革を見まはし候は。先わが前の方を見候て。さきをのちに見るべし。
一、主人の御目にかけ候時は。まりはこのふたなどにいれて見せ申候べく候。自然手づから掛御目候時は。右申ごとく仕候て。手をいかにも地に付て。さし上候てみせ申べく候。

鞠一書

一、野臥の事。堪能の人たるべく候。其衆はかはり衆圓座にあるときも。きるゝ鞠を立てけれらるゝも野ぶし也。三段にけいれらるべし。此時の三段とは三曲の事也。三段にけいるゝほどの堪能ならずとも。かわりたる人數のうち。圓座にあらばけもいるべし。先のぶしと云は。八人のけてのうち。よはきけ手の後へ立て。よはきけての合力にするをいふ也。可立ほどらひは一間ばかり後に可然。但そのよりのきによるベし。着座の時もきるゝ鞠をけいるゝは只見物者の心得也。只一足にてけいるゝは是非に及ばず。必三曲のうち一曲もけべき也。內裏にて御鞠の有けるに。三條の內府入數にてはなくて見物ありけるに。外へきるゝ鞠をつゝと立てけいれらるゝに。有とこはれ候。飛鳥井の分の鞠なるを。こはれ候事不可然とありけるを。內府ことの外なる着座にて。りようしやう有けるとの事。尤可秘/\。かはり衆の着座の人にてもあれ。又見物衆にてもあれ。きるゝまりをける時聲をかけぬ事也。又八人の衆のうち。よはきけての後に立野ぶしの人も。常には聲をかける也。されどもとをくゆきたる鞠のときはかけもすベし。着座衆のける鞠は。いまだ八人のけての鞠なれば聲をかけぬ也。
一、圓座に着座の時。貴人役などもめし候べ。又㝡前木に御付候時は。各座よりをり一禮すベし。木に御着候てより又圓座に居候べく候。
一、懸は何れも相生たるべし。其內二本立の木二本もあればむかひあふべし。いづれも相生なれば是非に及ばず。同木相生二本あらばむかひ合べし。さて殘るニ本別々の木にてもあれ。又同木にてもあれよし。松櫻柳楓の時は。有時に相生をむかひ合せずともうへべし。
一、露はらひと云ふ事。禁裏。仙洞などにて賀茂人はじめ候を云。懸の露をおとすベきため也。常には初心の衆も仕候。露はらひとはおもてむきの申也。內儀は又色々にふるまひ候。懸の枝候へば。彼枝にあたりて行鞠のやう見候はんために仕候。露はらひのときばかり。木などにあらけなく仕かけ候也。平生は無其儀候。賀茂人とはかもの社人也。
一、鞠高く候へば。ひきごゑに傳かけ候。ひき候時は切こゑたるべし。
一、並木は庭のひろき方にならべてうへ候べく候。高さ二丈ばかり也。庭のひろき方に植べしと云はいつもの植木也。おひ懸りの方。かまへざるかたの事。
一、ふすベ鞠は春夏秋冬にかはると申候へども。中にも雪花の時用る也。但ふすべ鞠はひめむすに不斷用る也。其故は日月にたとへ仕候時ある間。必又雪花にもかぎるベからず。
一、鞠庭は一尺あまりにほり候て。土をふるひ。すなをふるひ候て作る也。
一、人に當座にて鞠あそばせなどゝ云事。一足あそばせなどゝいはぬ事にて候。鞠そとあそばせと云がよく候。遠く文などにて鞠仕度などゝ云時は。一足參會仕度などゝいふてもよし。
一、鞠ほす事。ざうさなく木に付候てほす事わろく候。鞠箱のふたなどに入候てほし候べく候。鞠箱のふたに入べきが必可然。ほし所まり庭のうちは何たる所も不苦。懸四本の內外。またつゐぢのうへなどもよし。只の庭なればはしちかくほしたるはわろく候。鞠箱のふたにもいれず。たゞものにかけたりなどしてほさば。物かげに可然。又くかいにほすとも。鞠の置やうなどさのみ有がたし。懸の內外などならば。けるとき置やうにしるべし。
一、こしはさみは內は鞠のほどらひたるべし。內より外のあいの廣さ一寸八分。あつき貳歩斗也。八角にも六角にもよし。
一、庭をはく事のさのみ口傳有べからざるもの也。乍去口傳も有か。足かたもなきやうに。うしろしざりにはくべし。いくたりにてもはくべし。懸四本のうち又軒なども通りてくるしからずはくべき也。はくべき人いか體の者のやうなどゝいふこともなし。鞠あるべきとかくごすればはやくはきてよし。ふとの時は其刻もはくべし。
一、圓座はさぬき圓座たるべし。今はたゞ竹のかはもよし。ゐもよし。いづれも可用。廣さは一尺七寸ばかり也。苧のかたうしろたるべし。廣さの寸肝要也。苧はかけて置やうに付べし。なかをあけず□□もよし。ゆひとめに緖は付べし。
一、三曲の事
一のべ。一歸あし。一身にそふ鞠也。すりをひ又こむる足といふも。うつぼながしびんずりなどゝ云も。ことなる身にそふ鞠のうち也。
一、かへし足と云は。立足なるとき。ふとくる鞠を。けあしを後にひきて。土をふまで其まゝける足也。例式はけ足を左の足よりそとひつこみて。後にふみてまちてける也。
一、歸り足はおひ鞠の事也。惣じておひまりすりおひなどゝ云事有べからず。
一、うつぼながしはをのづから身にそへころばかし。足までころばかしくだし候へば。やがて/\むかふのまりたるべし。
一、こむる足といふは口傳在。
一、曲足の名の事
のべかへり
軒がへり
くゝり入足
うつぼながし
右歸り
左歸り
左右の歸り足
ひざをつきて歸足
木をふむ足
はね足
しりおとり
秋津島〔鳥歟〕歸り
一、きらひ足の事
竹ふみ
千鳥足
くつくだり
木をのべきるあし
みすの鞠
これら能々可分別。
一、のべかへりと云は。とをき鞠を延候て。其鞠遠くはいかで。やがてうしろへ落るを。其まゝのベながらなをり合て又のぶる鞠なり。
一、軒歸りは軒にけ上候て。軒の下に入候て。なをり合てけるを云也。
一、くゝりいり足は。一足けて。さのみたかくはなき鞠を。下にくゝり入候て。又なをり候てける事。
一、うつぼながしは。右に申ごとく。いかにも身をちかくすらせける也。
一、左がへりは。一足け上候て。いかにもくる/\とめぐり鞠にめぐりける鞠を身ちかく可仕候。左に歸る事也。
一、右がへり足は。一足け上候て右に歸り。いかにもくる/\とめぐり候てけるをいふ。
一、左右のかへり足は。一足け上候て。一足の內にて左右に歸してける也。
一、ひざ付歸りは。一足ひざ付て歸りて後にちかく行を。又歸りてひざつき候てけるをいふ。
一、はね足は。鞠ふところびくるを。足をひき。もろあしともにはねてけるを云。
一、木をふむ足は。木に懸すりてくだる木に。足をつけてけ上るを云。
一、のべ足は。左を敷。いかにもとをきをのぶる也。
一、しりおどりは。延候樣に又のべにてはなくて。つまさきを立敷候て。いくたびもいながらをどりより/\ける也。
一、あきつとり歸り。そばへ行を。ひきかへるやうに仕候。猶口傳。
一、懸四本可植事。
八本十六本などもあり。是は內裏。仙洞などの事。皆松皆柳など。同木四本植る事。是は皆木と云。いづれの庭にてもくるしからずといへども。但ところによるべきか。皆木も兩木の間か。
一、木を植事
右の御一卷にあり。雖然色々の儀也。木と木の間二丈にも。又二丈二三尺にも。そのうちいかほどもつゞめて。猶もせばき庭ならば其心得可有候。軒と木の間も懸におうじ侯ベく候。二丈二三尺などは常の庭にはひろし。多分二丈がよし。庭せばくばいかほどもつゞめ候べし。
一、なをもせばき庭には。家の軒を軒の懸に用て。むかひに木二本植る事もあり。柱と軒の懸の間も庭によるべし。木のたけ不定。さりながら大方定候。いかにも大なる木をも用ひ候なり。おも柱のとをりにはからひて可植也。但尙口傳。家の軒を軒のかゝりに用て。むかひの木二本植る時。一色の木も不苦。皆木の沙汰なし。木の高さ庭いかにひろくとも。一丈五尺には過まじく候。せばき庭には。猶もひきく可然。庭におうじ其心得有べし。おも柱のとをりにはからひて。木を植る事も庭の體によるべし。せばくば沙汰に不及。
一、切立の事。雜木は右御一卷に有。但いづれにてもしな/\としたる木可然候。梅などはしやちけてわろし。又はそこつに不植木なり。屋形又は飛鳥井殿に有べく候。
一、いづれにても當座のために切て立たるをば切立と云べし。
一、竹を立たるを竹切立といふ也。
一、皆松皆木などはそこつに不植候間。松三本の時は竹植ますべく候。其內柳一本もあれば子細なし。たらぬ時の儀なり。竹を三本も植也。三本植れば。三すみになるやうに。一のかどを外かどになして植る也。竹は切立の時ばかり也。木のごとくしかと植る事なし。木三所竹一所にもあらば。竹は必軒のむかひたるべし。左右の間いづ方も可然。木二所にもあらばむかひあふてよし。但二本の木によるべし。二本同木ならばむかひ合すベし。木により有所にたてむかひ合候よし。しからずば竹一方に有ても不苦。竹斗四所にて立候。ばかり立ても。皆木のさたなし。くるしからず。
一、二本竹を植る事も有べし。能々可心得。
〔図〕
一、四本懸とは柳櫻楓松をいふべし。
一、同木を二本。又別の同木を二本植もす。又同木三本。別の木を一本と植たるは。何れも木を二色也。是は二本懸と云べし。
一、同木二本。別々の木二本植たるは三色也。是は三本懸りと云べし。かやうなるを又必三本懸りと云にはあらず。又壹本懸二本懸とて。いたつてせばき庭に。軒を一方の懸りになして。二本植る事も有。立樣つめひらき替也。秘事也。植樣もあり。四本も二色なるは二本懸と云。又四本三色ならんも三本懸と云。只木を三本植ることはいかゞ。但あるが軒を軒の懸に用ひ。むかひに木二本植候時。立樣。軒の方より木にむかふて四人。木の方より軒にむかひて四人立也。つめは其むかひ/\也。六人の時は木二本のあはひに二人。軒に左右に二人。軒と木のあはひに一人づゝ二人立べし。是も軒の方よりは木にむき。木の方よりは軒にむき。其むかひ/\つめべし。そばの人は又其むかひにつめべし。是は略儀なれば圓座の沙汰などなし。あげまりは軒のむかひつめよりいつもごとくたるべし。如斯二本植る時は何木もよく候。右一卷にしるされ候。雜木ののもくるしからず。又同木を三本うゆることはこのみて無用也。事かけてはちからなし。切立の時はくるしからず。
一、同木二本又同木二本植る時は。同木を向合に可植候。切立のとき二本立のいかさま木あるべし。竹も二本立の切立の木にむかひに。竹二本可植事也。
一、おい懸と世間にいふをばにげ木と云。軒なくて鞠のきれべき方に植るといへり。一本も植。二本ばかりも植る也。本懸の木のとをりに可植。間も大略同。軒のこゝろへかにげ木四本のうちならずば雜木たるべし。是もしやちけて見ぐるしき木はわろし。殊に梅などこのまず。にげ木は本懸の木のとをりに二本植て。其二本のあはひに一本植。以上三本もよし。本懸とにげ木のあはひは。軒と懸との間ほどたるべし。懸四本のうちの木は植まじき也。懸皆雜木ならば。櫻柳楓くるしからず候。如斯木植たる時はわけ木といふ。植たる時はおい懸といふ。
一、四色なるをば四本懸と云。四本一色なるをば皆木といふ。皆木は內裏。仙洞。飛鳥井どのに有。四本は四天王の心也。されば寺社などに可植也。
一、軒の木を必面柱のとをりと云はなんばか。
一、妻戶の落の間のとをりに懸を植る事はいかゞ。人の出入あるによりて也。惣而右の一卷にしるし候ごとく。軒などのあながちとをらぬとは申まじく候。主人の御後をとをらぬ時。又堪能の人などは何時もくるしからずと申侍る也。
一、竹を二本にても候へ。三本にても候へ。立そへばさし合候枝二三ばかりおとし候。丈數も植木に同かるべし。
一、切立にも植木にも。みのなり候木をば。みをおとし候て可仕候/\。
一、鞠仕候間。懸にかりそめにも手をかけず。又はあらけなくあたらぬものなり。惣而四天王と何もくわんねんすベし/\。無聊爾者也。

正三位

一、鞠のおこりの事。抑鞠の初まりの事。天まつり地をまつりあそばされ候事。皇〔黄歟〕帝の御時よりの儀也。其後日本にて天智天皇被遊候。さればけあぐるを天。おつるを地とがうす。白鞠を月。あか鞠を日と號。同白鞠を陰。ふすべ鞠を陽とがうす。されば足にて仕候物とて。少も聊爾にすべからず義也。猶口傳あり。あか鞠といふもふすベ鞠の事也。ふすベやうはこしがはを紙にてはりてふすぶる也。ましこひたひにちとかゝるやうにはり候也。此ほか皆ふすぶるなり。うすふすべなるべし。
一、飛鳥井りうと云事。天智天皇より此方之儀也。
一、木を植る事日本にて始候事。大唐にてはなきよし申傳也。
一、ふすベ鞠は春夏。白鞠は秋冬可用也。これ大方陰陽を表する儀也。ふすベ鞠は春夏。白鞠は秋冬と申せども。雪花の時ふすベ鞠にてしとらざるゆへ也。いづれもくるしからず。
一、佛も鞠は被遊候事あり。それは佛法の方より他心有まじき心得候。されば鞠仕候間。他心わろき事也。他心あらんずる人。其人數にくはふべからず。さればしやうとくふもんにて。足にて落たる鞠はけるにならず候。鞠に心を入ず。油斷にて心にて落したる鞠をけるなるべしと被仰聞候。能々可心得事也。
一、懸は四天王のかたち也。是又れうじにすべからず。右一卷にしるし侍るもの也。
一、沓。くずばかまのたちあけ。つゆの革上下の事。一番無紋のふすベ革。二番紋の有ふすベ革。其次無紋の紫革。其次紋ある紫革。其次錦革。其次紋のあるにしき革也。錦革とは甲斐國革の事を申也。是は御ゆるしなく候ては付ベからず/\。人々へ今被下候。又付てはき候は藍白地又は靑き革のすぢ。又黃革の紋のある革也。何も如斯次第。御ゆるしなくして。ふすベ革あか革むらさきのあいだ。かりそめにもすあふのひもにも付候まじき事也。よく/\可心得。
一、鞠のみちゆるされ候事は。扇をゆるさるゝといへり。此時のあふぎは。十ほねにしろほね黑ほねの間にねこましてさしほねに仕候。畵のかきやうさしやう右一卷にあり。黑ほねは一賞翫也。十ほねとは鞠扇と可心得。猶口傳。
一、鞠しやうぞく革も事ある革わるし。是又右一卷に在。
一、懸植事右御一卷にあり。さりながらみのなり候木をば。何れもみをおとし候て立候べく候。是は雜木を切立又植候時の事也。
一、鞠箱の作樣。まり一ツもいるやうに仕候。又二ツもいるやうに可仕候。ニツ入はながくさして。中にへだてを仕候。一ツ入。其まゝ一ツ入やうにさして。上は黑も仕候てぬりなどしたるがよく候。內のこしらへやう寸法などの事口傳に有。鞠の入ほどにひろさもふかさもすべし。ふたのふかさなどとかくの儀なし。しぶはりにして黑くしたるがよし。內は鞠のそこにあたらぬやうに。こし革のなりにしあわせて板をはむる也。扨うちは皆紙にてはるべし。惣而鞠にしあはするまで也。別に寸法などなし。緖の付やうたいなどことなる儀なし。たゞ鞠入る用計也。緖の革はことなるかはゝ無用也。紋ある赤革黃革などに繪を書てよし。すぢのある黑革などもよし。
一、鞠はさみの事。こしはさみと云なり。あつさ二分。廣さ一寸八分斗に仕候。兩をみがきて柳などもかき候。又うちくもりなどにてはりてもよく候。又しろくも仕候。黑漆にして蒔繪にも仕候。うちのふとさ鞠にあい候やうに仕候。緖のながき〔さ歟〕三尺ばかり也。是は紫革何もよく候。八角にもすべし。六角にもすべし。緖はもん有革赤革よし。紫がはゝ無用たるべし。こしはさみは內儀のものなるほどに。又何にてもくるしからず。うちくもりにてはりたる時は。靑き方うへになすべし。鞠はさむ時は。とり革を上になすべし。こしはさみ。上のかたはすみちがへにし。おもてにてとゞむべし。とりやう二むすび/\て切也。ちがひ目は上下ともに左の方上に成やうにちがゆるなり。下のとぢめはすみちがへにして。上下よこにとをすベし。緖は三尺なるを。二重に取候て。とぢめにてむすび。又さきにてむすぶベし。下のとぢめは一の下にてとゞむべし。かけておく時は。一むすび/\て二重に取てよし。かやうにあれば以上四重也。
一、鞠庭に敷たゝみの事。御本所などはあかり成べし。院など鞠あそばして着座候はゞ疊しくべし。
一、鞠遠國へ遣候時は。鞠箱に入遣候が能候。又ちかく候へば。やなひ〔ぎ歟〕ばこに付て遣すがよく候。鞠箱のうけ取わたしやう無物也。
一、柳筥の寸法の事。其物々によりて廣さ不定候。長サは大方一尺二三寸ばかり也。あしは一寸八ぶ計也。上の木は柳たるべし。しろく三角にけづり。紙よりにてくみ候。くみやう口傳有。足は下をばかどをたつるやうにしてまろめて。上の木のあたる所はひし/\けり候。鞠付候やう右一卷に有。是又口傳たんざくなどすゆる事も有。是も同前。
一、鞠庭に敷革敷事はいつものごとく。毛の方を上になして敷也。圓座同前也。弓方のごとくたるべし。
一、鞠と云字はまつるともよむ。よろこぶともよむ。納ともよむ也。是は子細ある義也。大方は先口書の心得候。口傳よみの子細は。天をまつり地をまつり。皇帝のあそばし出され候に付てまつるとよむ。又しゆうといふ鬼をたいらげ。かしらを切て。鞠とかうしてけられ。天下をおさめられ候に付て。よろこぶともおさむるともよむなり。

蹴鞠條々

一、數とる事。五十までは心のうちにてとり。五拾のとき。かずといかにもずの字をながく云べし。それよりは六十七十。其上あがり次第いか程もとるべし。百十の時百じうと申也。二百十のとき二百じうと申也。惣而いつも百のうへの十の時はじうと申べく候也。それよりは五百も千もあがり次第に能候。三百六十の時。數三百六十と申也。そくをばいはぬ也。數三百六十と云事は。三百六十と定りたる鞠の時也。さなければ三百五十よりいひつゞけて。三百六十。三百七十といふべし。大がい年頭には三百六十にておさまるべし。惣而御數といはざる事也。何時も御の字をいわずして。かずと斗いふべし。なんそくともいふまじき也。又鞠は八人にあまり候はゞ。數もまり衆のうちの人取べし。八人までならば別人とるべし。
一、鞠さほの事。一丈五尺ばかり也。枝をばいかにもうつくしくおとし。うらほそき竹のさのみ大にも又さのみほそくもなく。能ほどの竹を用る也。末はふしの上四分計にきり。いかにもうつくしくかどをまろめて切也。もとはふしより下三分計をき。一もんじに切。いかにもかどをたて。かためをあらせて切也。ふし數は不定。つねにはもと末を紙一枚にてふたつにおりつゝみてよし。つゝみやう。足つゝむごとく。紙一枚をたてざまに二に折。それをよこざまに又二に折。そのまゝさきにきせ。ふしのきはを紙よりにてゆひ候。ふしはゆひめのうちになし。二重にゆひ候。一方はわな。一方は兩のさきをそろへて切べし。わなは左になすべし。もとうら同前也。惣而不斷如斯つゝみてをくがよし。御本所など鞠庭にもたせられ候時までも。つゝませられ候由候。庭に出候時。とかせたるがよし。もとうらの寸をみせまじきがためか。
一、さをあつかふ事。惣別は役者さだまるといへども。いまはかはり。圓座にあらば。其衆によりつかまつり候事。能々先懸に鞠留候へば。さほをとり軒をうしろになさで持て。何時も座をまへになしあつかふべし。左候間左の手さきに成時も有べく候。又右の手さきになる時も有べし。立ながらいかにも靜におとし候べく候。鞠とゞまり候枝を。鞠にはそともいろはで枝をおす也。それにてもおちずば。つきもおとし候べく候。又庭の內にてはなをさぬ事也。自然人のかほなどにあたる事もあり。庭の外へ出る/\。何となくなをしたるがよく候也。右にしるすごとく。役者は鞠衆內たるべし。又見物の人もする也。鞠衆八人のうへ有之。着座の人あらば其人の役たるべし。不然ば鞠衆のうちたるべし。着座の人もそこもとの時宜あしくば無用也。蹴衆の近邊にあらば。け衆の內からおとすべし。懸にとまりたらば。立ながらおとして。其後さほのさきを地につけて。こしをそとすへ候てかへるベし。懸よりも其便宜次第におとすべし。又えんなどにとまりたるは。はじめからひさきつきたるがよし。比時はさほさきを地に付ずとも也。
一、さほ置候はんずる所の事。何時も〔貴人□左の時〕軒の方にさきをなして置也。又さやうにもをかれぬ所は。みはからひて置べし。
一、かきとりとて。さほ取のごとく。竹のさきにちいさきかまをつけて。鞠のかゝりたる枝をそときりおとす也。但かきとりは今は用ざる也。以前難波流などには。さほとりとて。一人着座して有つるよし也。
一、鞠を一足二足とはいはぬ也。一ツ一〔二歟〕ツと云が能候也。又ふみは一顆二顆と書べし。三顆まではよし。四になれば四つと書べし。去ながらことばには顆とも又そくともいひたるは耳にたちてわろし。何となく一ツ二ツといふべし。
一、〔可爲吟味〕枝の事。春夏秋冬にかはる事。春櫻。夏柳。秋楓。冬松にて候へども。いつも松よく候。其ゆへは何もかはらぬものにて候間よし。彼枝のこしらへやう。先上に枝を四ツ置也。しんともに五ツ也。又下に大枝一ツ有べし。以上枝五ツ也。彼下の技〔枝?〕よりしも一尺五寸也。又一尺二寸にもよし。又下の枝のとをりをそぐ也。枝の下一尺五寸の時は。そぎぐち一寸五分也。又一尺二寸の時は一寸貳ぶ也。上のはは一所より四ツさし出候がよく候。枝の體別の一卷にこまかにしるす也。
一、鞠を枝に付る事。紙よりをいかにもうつくしく。上にのりをひきたるが能候。付るやうは。下の枝と上の枝とのあはひに。鞠をおしはさみ。とり革に紙よりをとをし。四つの枝のうちに引とをして。しんにかけてうらにてとゞむる也。とめやうはたゞひとへにかたわなによし。わなのかたを松の梢になし。くちの方をもとになす也。
一、とく日の時節。とかぬ日の時節と云事あり。鞠を枝に付てをく時。その日鞠有べき時は。紙よりのかたへ地をながくしておく也。又其日有まじき時は。紙よりのくちをそろへておく也。よそにて見るべき時も此心得にて。其日の鞠の有なしをしるべし。可秘/\。又紙よりながき方はとく方也。とく方は五分ばかりながくすべし。
一、こしはさみは大方略儀也。鞠をそんさ〔ぜ歟〕じがため也。かけてをくも。かみよりをほそくこゆびほどにして。きれぬやうになるを水ひきにして。上をふくさにしかとよりてながくして。まんなかを取。二人にしてつばを取革をとをし引しめて。又あはひをくぎ一むすび/\て。其上を兩方つぼに成やうに。たとへばいつもおびをむすぶがごとくして。さてかけておくがよく候。又人の方へつかはし候時も。其まゝくるしからざる也。あまたかけても置也。又其中に其けるべき鞠は。紙よりの一方のさきを長くすべし。枝のごとし。ゆひやうはこしがわのきわを二重まはして。取革のもとにてしるしつけにする也。かみよりを一重とりかはにはとをす也。中にてもあれ。さきにてもあれ。たゞ一重とをす也。
一、鞠を人のかたへ遣候時は。木に付遣事も有ベし。竹に付るとも云。是は尤秘する事也。又時として雜木にも付べし。木のこしらへやう。何も枝に同前。又四きにかはる事も有。春夏秋冬四本懸の木のごとし。去ながら是も何時も松よく候。又花の時は櫻などもよし。付やう。いつものごとく紙よりふくさなればきるゝ事有。間中を水引にして。うへにふくさなるがよし。是は故實也。又木に鞠を二ツもつくる事あり。其時はあなたこなたへうちちがへて付候べし。付るやうはまへに同じ體也。又自然下の枝にしたふづをつくる事も有べし。其時は一足を取合。一方つぼに成やうにして。一むすび結びて。一の下の枝にうけかくる也。若おつる事あらば。一まきもまきつくる也。能々可心得也。又枝にしたふづは楚忽には付べからず。竹に鞠を付る事は。本の木の枝を秘する事。竹はえだの體廿本の枝のごとく。式々になくともくるしからず。下のもたする枝計はをきてもよし。付るやうは木に同前也。また雜木に付候はゞ。かゝりに植る木たるべし。又鞠木に付てよそへ遣候は。いかにも賞翫の方などに有べき也。又したふづを枝に付る事は。公家などの義たるべし。
一、御前の鞠は必三顆一枝につけられ候といふ儀也。それも右に申ごとく。あなたこなたへ打ちがへ/\付るなるべし。一の下の枝に付候は。上の衆のあそばされ候べく候。二ツ三ツかなるに。かならずふすベ鞠一ツ有べし。其內にてもとかぬ日とく日のさた有べし。能々可有分別也。
〔図〕
一、下着用の事。さむく候へばきる物を。一ツのうへを白かたびらにてつゝみて能候。何時も下着は白かたびらよく候。冬は必小袖を白かたびらにてつゝむべき也。何時も白かたびら也。
一、枝に鞠を付候て人に渡す事。早晩庭にいだし候時のごとく。もち出渡し候時。木末をなをして可渡候。請取人其まゝ請取也。わたし候人枝を取なをさずば。請取からとりなをすべし。
一、柳筥に鞠すゆる事も。かみよりにてあしのかたをさきになして。とり革をとをし。是もかたわなに。わなのかたをさきになすべし。くちの方はまへたるべし。柳筥の寸法はひろさはそのおきものもかはるべし。長さ一尺二三寸ばかり也。柳箱にすゆる事は。人に遣候時の儀也。けられ候時の義にあらず候。枝につき候ごとく。取革ばかりをとをす也。柳筥の木ふとくば一ツにつけべし。ほそくば二ツに付べし。枝に付るごとく付べし。紙よりのさきはそろへて切べし。渡しやうはわなの方をさきになして持て。其まゝ渡すべし。請取人請取て取直すべし。又渡す人取直しても渡すベし。柳筥まりすゆるは四角なるがごとし。
一、圓座の寸法。大方一尺七寸ばかりによし。さぬき圓座本たるべし。
一、あたらしき鞠を。文などには新鞠と如此かく也。よみはしんきとよむ也。

鞠之一書

一、足かためはさゆつけと大方可心得也。去ながら又定るべからず。足かためとは。鞠有べきまへに物をまいり候事也。常の體也。別にことなる義なし。鞠庭にはなし。內にての事也。
一、鞠座にて御酒すゝめられ候事。是は子細ある事也。鞠はて候て。各圓座に被付候て。さかなはわりごなどよし。又おり候やうにも仕候。もり物は色々の菓子等を用る也。中にももちいなどよく候よし申候。わりごの鞠と申時。圓座にてわりごをめん/\にすへ候。又其時のわりごは扇なりに能候。又いつも何となく仕候へば。折を二ツこしらへ。左右の上座になをし置也。それは彼貴人堪能の人兩人計きこしめして。其まゝをかるゝ事もあり。又各はさみ候てまいらせられ候ても能候。それは其時の依體はからふべし。さて其後てうし持出る也。人數おほくて圓座兩方なる時は。兩人めしつかはれ候べし。くはへの衆も兩人たるベし。貴人など御座候ときは。くきやうに盃をすへて。貴人の御前にまゐりて。同座に目禮までにて。御酒きこしめし候て。其盃をてうしの口に御すへ候て。くきやうをそばへ直しをかるゝ也。それよりはいづれも給ひ候て。から銚子の口にすへらるベし。貴人御座なき時は。㝡前よりは銚子の口にすへ出すべし。しやく取は兩人たるべく候。如斯酒すゝめられ候事は。勝負の鞠年頭七夕などの義也。惣じて作法の鞠の時たるべし。肴を兩方の上座に置候は。折にてもくきやうにても。いづれも可然。惣て御酒をたベ。しやくなどし。肴を持て出てはさむ事も常のごとく也。鞠はて候て。御酒はまいり候間。いづれも刀をさし候。扇は手にもちて酒のみ候とき。何となく下に可置。給仕候人も刀さし候。酒は只一ぺんにて候。くわへ候はず候。ほしき人は我々のこのみ也。一献ときり候はゞ。しやくは其まゝ立べし。又肴をはさみ人にまいらせ候ても。そのまゝ持て可立。
一、庭にて御酒給候事。只目禮までにて。二ツも三ツもほしきほどたベ候べく候。さてやがて銚子の口に土器を置也。又貴人の盃は圓座より下て給るべし。
一、めしつかはれ候事。もろひざをつきて。銚子に酒をつはとつぎ候て。いかほども有次第につぎ候べし。細々はくわへぬ事也。銚子になくばやがてくわゆべし。其まゝ一ぺんたるべし。わりごは色々に奔走すべき事也。酌は必もろひざをつくべし。
一、椿もちいは黄にそめてもよし。又いつものもちいを椿の葉に付てもする也。折などにつみてもよし。
一、枝鞠を庭に出し□□□□先各圓座には着て。枝鞠を鞠衆を外の人中門の口まで持てよる也。さて其衆中より役者定而。彼枝を請取。庭を前になして枝をもち。左の手さきに成時も有べし。それは庭の前になるやうに仕候間定るべからず。扨軒の右の方か左の方にか置也。それは後の役者左圓座にあらば軒の右に置也。後の役者右の軒にあらば。左の方の軒のそばへたてかけて置べし。歸るとき貴人の方を後にならぬやうに可歸。中門まで持ていづるやう。左の手にて鞠の付たる所をかゝへ。右にて枝のもとのさきを手を下さまにむけて取。左の手をかたのとをりにあるやうにさしのべ。右を乳の下のあたりに有ほどにひつつけてもつ也。軒左右いづかたにをかれ候とも。左をさきになして持。我もそむくやうにして。左のひざをつきつかずにして畏候。鞠を軒の左にをかるべきにて侯はゞ。其まゝわたすベし。右にをかるべきならば。枝のもとを地につけて。右にて鞠の付たる所を取。左にてもとを取て渡すベし。さて其もとひろくばしざり。せばくば其まゝも有之。後の役者枝をわたさるべきまで堪忍すべし。又請取人は座より立てより。左の軒にも置候へ。右の軒にも置候へ。左のひざを必つくべし。左の方に鞠を置て。右の手をさきになし。鞠付たる所をかゝへ。左にて枝のもとのそぎ口を。手を下さまにむけて取て。扨軒のもとにて右のひざをつき。持たるまゝ枝をおくべし。座になをり候時。㝡前なをり候ごとく。圓座のもとにて手をつき置候。右の方にをき候はゞ。左の手を鞠のつきたる所にやり。右にてそぎ口を手を下さまにむけて取べし。軒のもとにて。左のひざをつき。其まゝなをるべき也。右の軒に鞠を置べき時。中門まで持て出たる人。枝を取なをさず候はゞ。請取てより取直すベし。取直すやう。もちて出たる人のとり直すごとくたるべし。請取て軒のもとに持てよるべし。手持も㝡前の人もち出たる樣體たるべし。又鞠をときて庭中に置。役者左右いづ方よりにても可然請取て。軒のもとにをく。役者左右にいづ方よりといふ儀もなし。こなたよりもくるしからず。軒に置。左右の間と後の役者左右の間の事ばかり也。
一、後の役者の事。貴人か堪能の人などの役也。先圓座より立て。彼枝のある所へ行枝を取。いつものごとく持て。軒の向の木本より枝の本を土につかせ。枝をうつむけに鞠の方を下になして。まりをとき。左にて木をとらへ。右にて紙よりを二ツ三ツにをりて。ふところに入。扨枝を木に立かけて。鞠をいつものごとくかゝへて庭中におく也。さて歸りてひざを付枝をとり。左にて本をとり。右にてやがて右の脇の下へひきたはめ中門まで出る也。其後はじめ鞠中門まで持てより候人さしより彼枝を請取。やがてもろひざつき。兩の手にて請取。もと木さきになして。右の手にてひつさげて歸るべきなり。其後の役者は座に直るべし。其後各一人づゝ木につかるべし。枝の鞠軒の左右いづ方にもあれ。請取手なをしたる人のごとく。もちやうひざのつきやう有べし。左にあらば右の手をさきになし。左の手にてもとを取。右のひざをつきてとるべし。持て立たる時は。かゝりうしろに成べし。軒の向の左の懸の本により。右のひざを付。枝のもとを地につけうつぶけて。左にて鞠の付たる所をとり。右にてときたる紙よりをふところに入。枝を木に立かけ。鞠を庭中に置。かへりて枝を取。左さまに立なをり。中門にてわたす也。後時左の手は其まゝにて。右の脇へひきたはめたるをさし出して。兩の手ながら下さまにむけてわたす也。主人なれば立ながらわたし候。鞠右の方にあらば。左の手にてさきを取。右にて枝のもとを取。左のひざをつきて取べし。是も立たる時は懸はうしろに成べし。やがて軒の向の右のかゝりの中より。左のひざつき。枝のもとを地につけうつぶけて。左の手をはじめ取たるまゝにて。右にてとき。紙よりふところに入て。枝を木にたてかけ。鞠を庭中になをし。木のもとにより。左のひざをつき。枝の本を左にてとり。右の脇の下へ引たはめ。右さまに立なをり渡也。是も渡しやう。左ははじめのまゝにて。右の脇へ引たはめたるをさし出し。兩の手ながく下さまにむけてとりて渡候。請取人はわたし候人の手二ツのあはひに。兩の手をうへさまにむけてとりかへるベし。もろひざを必つくべし。渡候人同輩にてももろひざたるべし。左さまにかへるべし。又鞠を軒の本になをし候時も。又ときて庭中におかんずる役者。軒のもとによりてとる時も。左右ともにかゝりの方さまに直りながら。主人貴人座に御座候はゞ。懸を後になすとも。貴人の方へ直るべし。庭中に鞠を置ては。左さまに直るべし。是も貴人御座候はゞ。其方へなをるべし。
一、あたらしき鞠は。新鞠と文などには書べし。
一、くずばかま着次第の事。先左より足を入て右を入。先くゝりを右よりひざの下のおり目の方にていかにも留。さて左のかたを留。さてまへこしをあてむすび。又後腰をあて。まへこしをしかとはさみ。後腰もはさまず。兩方わなにしてはさまず。其まゝ置也。ぬぐ時は左よりぬぐべし。又武士の人まへこしうしろこしともにはさむ人も有。子細なし。
一、沓をはき候時は右よりはき。ぬぐ時は左よりぬぐべし。緖はつぶゞしのもとにて。かたむすびにわなのかたをさきになし。一ツ口の方をあとの方になしてむすび。いかにもとけぬ樣にしかと留候べし。是もぬぐ時は左よりぬぐべし。何もしたふづも如斯。たびはく事も沓はくごとくたるべく候。をゝとりこのふしのもとにて留て。兩方のさきをとり。とりあはせ。さきさまにひねり。むすびめよりあとの方に。下より上さまにおしはさみ候。うへの方よりはゝさみ候。少見へてもくるしからず。下よりさきの見へざるやうに能々はさむべし。左右同前也。又緖の長サは兩方わなにして。其まゝ一方づゝひねり。さきのゆひめよりさきにはさむべし。あとのゆひめよりあとにはさむべし。あともさきも緖のさき少も見へぬやうにはさむべし。中はみえても不苦。是も下より上さまにはさむべし。又緖の長さいかほどゝいふことなし。幾重卷などゝいふことなし。とめやうまで也。又たびの革あひしらい。もんあかきかと黑きすぢ革たるべし。あいしらいとは。白革に繪を書たるをいふ。さゝのはをもたかなどよし。ぢもんがよし。又ひろ革にて沓のごとくぬい。たちあげをたちつけにして。自由にはよし。公男〔家歟〕はつくり革本たるべし。たちあげをたちつけにしたるは。うすくあかうるしにぬりてよし。是には繪かきてはわろし。公男〔家歟〕にはくまじき歟。かもくつに似たるべし。
一、沓のきんはたちあげともいふ。したふづとも申也。

蹴鞠條々

一、わりごの鞠の事。わりごは扇なりにも。又おりくきやうにも仕て。えん座の衆めん/\にすへて。御酒まいらせらるゝ儀也。もり物は何にてもあれ能候。猶口傳あり。もり物は何にてもあれよし。精進たるべし。魚類は出まじく候歟。但俗衆ばかりならば出すべき歟。
一、雪の朝に鞠をける事。佘の木の雪をばゝかせて。松の雪をのこしてけるべし。又しぜん松などかるゝ事あり。其時は枯木の雪をば不用也。雪の朝にける鞠を。雪土の鞠。又雪の庭にけるなどゝいふ。
一、扇鬮の鞠の事。せうぶなどの時も仕候。左右の衆を定る時。鬮をかきあふぎにはさみとらする也。又くじは硯箱のふたなどにも入てとらするがよし。人數皆の扇を取あつめ。左右のくじを骨にはさみとらせ候。鬮の紙のひろさは高さ二寸ほど。よこへ一寸ほどたるべし。これをよこさまに二ツにをり。又二ツにおりてはさみ候。扇にはさみ候はゞ。とらせ候ときは。おりたるをたゞ一ひねりひねるべし。くじばかりの時は。硯箱のふたなどに可入。扇鬮ならばそれ〔に脱歟〕おゝじたる入物たるべし。鞠衆各一座にあらば。扇にはさまずともとらすべし。別々の所にあらば扇にはさむべし。とりやうは我々の扇みしりてとるべき也。かやうにくじをとるは。鞠なき以前同にてのこと也。庭にてはあるましき事也。
一、勝負の鞠の事。先鞠なきまへに。座敷にて鞠衆をば十六人定め。左八人右八人のくじを書てとらせ候。其鬮を以て左右をわけ。扨圓座の左右にいつものごとく付べし。くじは左と云字八。右と云ふ字八也。又上鞠何度と定め。先左衆仕候。其數日記を右衆より付候。そとも地にをちばのぞくべし。左衆の鞠はて候はゞ。右衆よりつかまつり候。又數も日記も左衆つけきて。上鞠はてゝ左右の日記合て。かちまけをさたすベし。日記の付やう口傳。
一、勝負の鞠のけやうは。いかにも鞠たけひかへて。靜に可仕候。曲なども又ほりまりすくひ鞠などはつかまつらず候。よく/\可心得。そとも土にをちたらん鞠つかまつらざる也。鞠たけをひきくける也。はじめより如斯たるべし。勝負の時にかぎり。序破急の沙汰なき也。又貴人の身などにあたりたるをも始よりけべき也。鞠たけをひかゆるとは。ひきくけるを云也。
一、三時の鞠の事。一日に三度ける鞠也。それは一日の遊山を專にす。先朝六ツ時より一時仕候。やがてはてゝ其間に御したてあり。又八時分より一時計仕候て。やがてはてゝ。又其間に種々の御肴もて御酒有べし。又御ゆづけなどもよし。其後はいつものごとく晚景にけらるべし。あしたにはいかにも早々出て。したくなどさのみきれいになくともけらるべし。くるしからず。八時分より次第/\に晩景までは。いかにも/\きれいにしたくすべし。いしやう度々にしかへ。びんなどもそゝけぬやうにたゞしうしてけらるべし。一日の遊事なれば。がいぶん色々の儀をもよふしてしかるべし。三時の鞠といふもも〔異歟〕なる義なし。只遊山專也。勝負などによし。いかほども人數おほくてよし。三番四番にも御けてけべきが可然也。
一、年始のまりは松の枝に付て。數三百六十可然候。必三百六十たるべし。三百六十の時けおとして。其まゝをくまで也。其後酒など有之。後けベきならば如常いかほどもけベし。人數あらばかはりてけべし。
一、祈禱神前などの鞠はしやうきくの心得也。乍去しやうきくはさうなくつかまつらぬ事にて候か。先常には一日しやうじんにて。鞠を松の枝に付てけべし。又神前にいかきゆひしめを引。幣棚をかき幣を置。はらひをする也。けてのはらひをして庭にいづるは。先いつものごとく中門より一人づゝ出て。彼たなのもとにて幣をとり。左一度右一度はらひて。圓座にいつものごとくつく事。いかきは軒に鞠かきをゆひしめを引也。軒よりもかきを高くゆひあげ候。勝負にもける也。あげまりも七度十二度がよし。勝負の時は左右の數を合。後日日記一ツに何一日何十法樂と書候。一たてにける時も。幾度にいかほど勝負のごとく日記に付て法樂と書候。かやうにして寳殿にこむる也。寳殿に鞠をけあてぬやうにけ候べし。此外いろ/\の儀有。又常に何となくけるときも。この心得候て可然候也。
一、むことり嫁とりの鞠は。あげまりをてう/"\にして。いかにも□□□祝てけるべし。又鞠を定る時は百二十か百八十かよかるべし。わたましなどにもあげ鞠は十二度がよし。祝てけるべきまでなり。別にことなる儀なし。あげ鞠幾度と定る時は十二度たるべし。數はいかほども定られ候はゞ。百二十か百八十かよかるべし。かやうにけて後けたく候はゞ。いつものごとくたるべし。
一、七夕の鞠の事。公家武家ともに七くさの遊物にて候。朝も晩景もよし。七度のあげ鞠にて。まりはてゝ後に。雲入のとて。冬木に付て。其中堪能の人立留。軒にむかひ。二丈ばかりにたゞ一足蹴候べく候。枝もかぢ葉などゝ申候へども。いつも松よく候。雲入の足と云は。星にたむくる觀念也。是を蹴べき人は。㝡前木に付候時。軒のむかひの懸ニ本のうち。又は其木こし四所の間に立べし。かの役者座の事。左右いづ方もくるしからず。左とも右とも不定。七度あげ鞠の後。おち次第にそのまゝ蹴衆木に付畏候。鞠ちかき人中にころばかし入て畏べし。後役者も畏て又立て只一足ける也。鞠を取てけるやう。いつものけあげのごとくたるべし。是まで也。又左右よりひとりづゝかけて木に付候はゞ。雲入のあしの役者。つねに可立所へ可付。其次に付べき人左右どなたへも付べし。あげ鞠すべき所に彼役者立候はゞ。そばの人あげまりすべし。
一、てうふくの鞠。昔はありしよし申。今はなきよし申。さりながらあるものゝなきものゝよし。
一、しうたんの鞠の事。枝竹に付候こしらへやう。いつものえだ同前。鞠もくろ革しやうぞく也。すはう又葛ばかまつゆなどもくろ革なるべし。けやうも心もちをのづからうれへ心にて。まりもすこ/\とけなして上鞠しかるべし。
一、陣中のまりの事。先てき陣のかたへ。あみのごとくまくをはしらして。上鞠も一足もしざらず。むかふに蹴かけべく候。惣じてうしろへしざるあしきらふべし。鞠はてゝ後に。てき陣のかたへ一足けおとして。そのまゝはたし候べし。又枝はそれも松がよし。又太刀などに付る事も有べし。
一、神前の鞠の時。幣棚のひろさ二尺。高さ三尺五寸也。長さ三尺なり。枝にてさしてよし。幣串の長さ二尺二寸。幣は二くだりによし。又上鞠さだめ候へばてう/"\によし。又數定て仕候へば。三百六十か百八十か五百六十か。いづれもよし。是もうしろあし一足もひかぬなり。いかにも/\すなをにける也。
一、太刀に鞠付る事。是又陣中の儀也。人に鞠をまいらせるゝ時の事也。付るやう。はなしもと太刀のひらにさし。花のかたを太刀のさきになし。紙よりにて鞠を太刀のむねのかたへ付。はの方にてとゞめ。是もかたむすびに。わなの方を太刀のつかの方になし。足のまゝとゞくやうによる也。付る所は足の中ほどよりそとのつかの方によせて付る也。鞠は必ふすベ鞠たるべし。請取わたしはいつも太刀同前たるべし。猶口傳可秘/\。花は草花たるべし。おもてのひらに付候。おびとりむすびたるうちを花とをし候。おびとりは鞠よりおもての方になすべし。鞠付やうは。取革のちがひめを紙よりとをして。むねの方にまりを付。はのかたに留候。枝に付るごとく也。おびとりのむすびめよりつかの方に付べし。花も太刀に鞠付る。紙よりにてゆひそへ候。
〔図〕
一、かたあなは五七九にぬいたるがよき也。一方はさしかはの方よりさきさまにぬひ。一方はさきよりこしかわのかたへぬいたるがよし。ぬいはじめはさきをむすびて。內よりとをして。次第/\に內より外さまへとをす也。とゞむる所は。ぬいたるかは一ツにひとへかけて。內に出し入べし。上手はかたあな一にてもつくり候。本儀は二ツなり。かたあなぬい候かはも取革も白革に紋あるがよし。べになどにていろ取てよし。白鞠もふすべ鞠も同前也。
一、とりかはのながさ二ツふせ。扨一文字なり。入ちがへたるさきはしかと付るなり。とりかは付る所は。こしかわのおりかへしめたるべし。乍去かたあな二ツの中程たるべし。
一、鞠のまへうしろと云事なし。
〔図〕
一、勝負之鞠數
〔図〕
硯紙常のごとく文臺取合可出。もちて出る人は鞠衆の外也。付手は如鞠衆也。着座候て刀などをかれ候へば。やがて出る也。付手上下のさたなし。其中可然人體たるべし。貴人などにては有まじき也。此外人數おほくて。四度にもあれば四たるべし。それは一番二番三番四番と分候べし。一ばん二ばんは合畢。三ばん四番は合畢。かみ一重に折て可書。
此一册加一見。存分少々注なり。
享祿四年六月日
左金吾判
?公蘭若主行譽(花押)

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