天正
天正(てんしょう)とは、日本の安土桃山時代の1番目の元号である。天正の年表天正期は、元亀4年7月28日(西暦1573年8月25日)から、天正20年12月8日(西暦1592年12月31日)まで。年西暦出...
001.身をちかく 足をばひきく 上るとも 先あたらぬは 下手のうちなり
002.たちおゝふ かたちといひて さのみまた かゞむもわろし のけそるもうし
003.ゑりよりも 出いるさまに けなしつゝ 苦しさもなき 鞠の上手さ
004.分足の 數は三ッなり しぬてには かへる鞠まで 四ッ五ッまで
005.外よりも うけとる鞠と けはなして 渡すまりをぞ 他足とはいふ
006.我方に こぬまりとても 立足は かへす/゛\も むやくなりけり
007.軒のまり よし落るとも 身にかけて ながさば流せ 軒の永きに
008.我まりは うばゝるゝとも 人のまへ たゞかりそめも 斟酌をせよ
009.かなふべき 鞠にあらずば 中/\に けぬべきとする ふりもよしなし
010.ふきつたふ ながれはあまた 難波江の 鹽風よりも たゞ飛鳥かぜ
011.庭のうちは 七間まなか 四方なり かゝりの内は 二じやう三尺
012.桐生の 松はいぬいの 物なれば 楓のかたは ひつじさるなり
013.靑柳は 辰巳の角の 物なれば さくらの花は 丑寅ぞかし
014.我宿の おものはしらの 程よりも 植木のあひはは 八しやくぞかし
015.鞠かきは 二丈なりけり 横ぬきの あいだ/\は 四寸五分なり
016.まり垣の 柱は深く 立るなり あいだ/\は 間中なるべし
017.玉つばき かきほの垣や 梅檜の木 ゆるしあらでは いかゞ植べき
018.二もとも 三本も松は 我家の ゆるしのなくば 誰か植べき
019.たつ人の ゑぼしにさわる 枝ならば 花も紅葉も をらん靑柳
020.みな松の 四本かゝりは 位ある 人のたてたる 庭とこそきけ
021.ましこきは ましこ額や ましこかた ふくらまなこに 上下ぞある
022.とり皮や こし皮のめや こしかわや もしりかたある ぬいめとぞいふ
023.天照す 月日もよしや 此鞠の 人と我身の まへさきぞ有
024.とり皮は 一寸貳分の ものなれど さききるさまは 四季にかわれり
025.あいかはに さゝら波たつ 水まきは 只世の常の まりのぬい皮
026.こめむ皮 またにしき皮 むらさきは 以上のまりの けしやう皮なり
027.こいふすべ 長者皮とて 我家の 外にはたれか まりにつけなん
028.谷(若?)輩の 役に定る 上まりを 斟酌するは 知ぬゆへかは
029.上鞠は ふたり(?)のわきと 位有(?) 人といふには さらにけざりき
030.あげまりの 高さの程は いかならん 一身半ぞ およそなりける
031.ふたつとも 三ッともならば 上鞠は あひみて禮に とりてけなをせ
032.木にさわり 袂にかゝり 身をこすも まづ上まりに けぬとこそ聞
033.我足の 上よりおつる 上まりを 人のあけなば 一禮をなせ
034.我手より 渡して上る あげ鞠の わきへひそかば ちぢよくならずや
035.聟入や よめいりなどの 上まりは 軒と向はゞ さらにけぬもの
036.上方の 役にあらざる 上まりを とりてめされば 禮義あるべし
037.枝の鞠 わりこのまりの 上まりは(缺字)
038.正分の つめといひしは 面つめ すみと/\の 人をいふなり
039.すみならで むかひて立る 人をこそ 次分のつめと いふべかりけれ
040.上方の 詰は是非なし あひかゝり 木こしもよしや 斟酌をせよ
041.正分の あいてならぬぞ 中つめは 返す/\も びろうなりけり
042.わきの人 つめてゆくとも 右左 ふたりは跡に 殘るべきなり
043.正分に 詰てもひまの 明ならば(缺字)
044.詰のまり よしさわ數の おほく共 身をはなれずば いかでけぬべき
045.わきつめや 自分他分の 鞠とても かつてへ落ば 乞てけぬべし
046.つめ過し かゝりをぬくる 折にしも 人と植木の あひはとをらず
047.い堺の さかいをこして つめたらば かゝりの外を 立歸るべし
048.のべかゑり 又のべしくも 延あしも ぬしなきまりの 曲にぞ有ける
049.すり鞠や 身にそふまりや ながし鞠 三ッの曲には かず有もよし
050.おひまりや 思ひ返しと いふ足は 主さだまれる 曲とこそきけ
051.おほくなき 足と聞なり 貫足は たゞ一くれに ひとつなりけり
052.ひんすりや うつぼ流しは 曲足の 中にもまりの 大事なりけり
053.軒のきは 御蘆のまへを 折しくは 馬路の足と これをこそいへ
054.おひまりを 受ながしつゝ 折敷て けるをぞ三ッの 曲あしといふ
055.順逆に まはりあひつゝ ける鞠を 左右のかへりの 足といふなり
056.順逆に その儘おいて けるをこそ 左右のおくびの 鞠といふなり
057.浪分の 曲とは高く けあげつゝ はづむをおひて けるをいふなり
058.たかくあげ 雲いるまりに 目を付て けしむるをこそ 上手とは見れ
059.軒よりも 落くるまりを 立まわり かゝりにむかひ ける他眼曲
060.けあげつゝ 一ッやふたつ まはりつゝ 拍子をふみて けるも曲なり
061.身のたけに け上てめぐり けるを社 枕かへりと いふべかりけれ
062.おり歸り 又かけかへり わけ歸り はなちかへりと いふも曲あし
063.かのこおり 木の根まくらの 折歸り いづれも鞠の 曲と聞也
064.猿はしり うけおひのまり 追返し 鬼神かへしと いふも曲そく
065.ひさ渡し 衞門ながらや 瀧落し いやしく見ゆる うつぼつげ哉
066.自まりをば けもせで曲に するを社 まり拜言と いふべかりけれ
067.むば玉の からすおとりと いふ足は たゞ曲足の ほかと知るべし
068.調伏の 鞠にけぬべき 沓かへし 聞にもつらし 見るもうるさし
069.曲足の かずはあまたに 有明の つきなき時は けけるも由なし
070.自鞠さへ すなをにならで 曲たれは かへす/゛\も 無用成けり
071.軒のした 用ありとても 横さまに まりけぬをりも とほらざりけり
072.軒の方 あがり成けり 何事も かゝりによりて さがりもぞする
073.圓座をば 中より一二 三四五と 左右に分て おく物ぞかし
074.沓はくも あしを包も 傍に 立よりてせよ 庭の禮なり
075.沓の緒は 七まとひして 結びつゝ うちつむふしの 上にはさめり
076.鼻紙に あふぎをそへて 砂の上 なをる圓座の 右にはさめり
077.わきざしも 刀も拔て 立時は なをる圓座の 脇にをくなり
078.幾度も やすむといゝて のくおりも 刀をさすは 俗の法なり
079.茶を呑と 酒をのむとも 圓座をば 少しくだりて つゝしみをなせ
080.鞠のうち よし茶はのむと 庭の方 手をおゝひつゝ 呑物ぞかし
081.一丈も 九尺もよしや まり掉の 長さの程は 二間なりけり
082.鞠掉の 傍にさゝれば かりそめも 左を先へ 持ものぞかし
083.溜りたる まりさへ落ば 其儘に かゝりの方の 手をつきてのせ
084.きつさしの 竹は一丈 二尺なり 枝をば半󠄁に 葉をしごくべし
085.節のうへ 一寸五分 のこしつゝ たゞ一もじに きるものぞかし
086.きつさしの 竹の下ふし 地ぎわより 一寸五分 上におくなり
087.きつたての さい下枝は すみちがへ かゝりのうちに むく物ぞかし
088.鴨沓も くずのはかまも ゆるさずば 誰かはきまし 誰かはかまし
089.つゝ皮の 五めむむらさき 錦皮 ゆるしのなくば いかにはくべき
090.懸緒にも かみのひもにも 紫は ゆるしなくては 更にせざりき
091.おもたかも ともゑの丸も 我家の 紋としりては たれかつけまし
092.誤りて 鞠をふみなば 左あしの うへにをきつゝ 馬路してのけ
093.まり扇子 いつゝばかりも ひらきつゝ 身に引添て つかふべきなり
094.ありといふ 聲より外に いふ事は 鞠のかゝりに せぬとこそ聞け
095.ありやとも ありやおつとも やくわん共 ならひなくては いかゞ言べき
096.庭の中 たかくあげつゝ 手に受て つまりはやとて 退散をせよ
097.數上る ならひはやすし 御數十 御數廿と 高くいふべし
098.忌中なる まりにはくべき 白なめし たゞよのつねは みるもうるさし
099.見物も 參る禮衆も 鞠の庭 立居につけて ならひある哉
100.足つゝむ ならひばかりは いわね共 難波の事か 君に殘さむ
蹴鞠百首和歌之終。
右仁和寺御室御所樣御所望從被成候。蹴鞠之大體を百首之哥につらね。永正三丙寅の歳彌生之中の五日に令御書上覧に備ふ。且は上意もだしがたきにより。且は一流の者後代の當論をやめつる爲に詠之侍りぬ。當家之門子遺葉之輩は。尤此道の至寳として。明鏡に守るべき者也。深く是を秘すべし。穴賢/\。
飛鳥井二樂在判
天正十九閏正月下旬之比。和州宇多之郡井足殿に御坐候を申請候て書之寫畢。
越前之國吉田之郡田谷寺之住僧童[次+酉]
(鞠図用語/とりかは, ましこ, ふくらかた・かけ緒, くりいれ, とりかへはさみ, とち取)
表紙云。
蹴鞠百首和歌。秘書也。
表紙袖云。
立よるも心にかけてかりそめも人の身につく鞠はけざりき
水の上にうきたる鳥をみても猶わが足ぶみのみちをしぞおもふ
角ならで向ひにたてる人をこそ次分の縮といふべかりけり
みな松の四本かゝりは位有人のたてたる庭とこそきけ
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