天正
天正(てんしょう)とは、日本の安土桃山時代の1番目の元号である。天正の年表天正期は、元亀4年7月28日(西暦1573年8月25日)から、天正20年12月8日(西暦1592年12月31日)まで。年西暦出...
嚴命云。內鞠も所詮は懸の料なれば。木をよく蹴習にはしかず。初分は只かくいふ計にて不能委細。木一本に四五人も兩三人も立廻て。つねに習べき也。一本に八分有。其分も見定てけ習也。八分とは八人の儀也。又走所。流所。つく所。そふ所。もたるゝ所。よどむ所。はぬる所。さはる所。こす所。此等をよく/\蹴知。自在にけベし。いかなる木をみても。こゝはかゝる所。かしこはいかなるベしと兼て存に。蹴折も無相違たがはぬ程に可存知。依所用意有。足のまうけ。足踏蹴所。はぬる所。のする所。つよくあらく蹴所。やはらかにける所等あり。能々蹴知べし。兼ては敎がたし。只木數をけて。いかなる木も不審なき程に兼て存ベし。所詮只木をよく我物にしてしたゝむるに有。いかにも餘人は木を恐也。上手は我木にかけて自在に振舞也。依木面々各々にかはる也。多蹴てみるにはしかず。ながるゝまり。若木若枝。或緣ながれ落を普通のやうにければわろし。足にのせおほせて後はぬればよき也。突延はいかにもかねて存也。突て後初て延とおもへば。かはきて後井をほるがごとし。上に枝有てつよく蹴ば。さだめてつくベき歟の用意ありて。しかも不恐してつよくける足を。やがて延んとする足のまうけにして。體をつゝめ心を急速にして。みゝをむなしくしてよけば。あたる音に付て。雖不見足。只身をすてゝ延也。鞠のおもむきは枝の樣に隨て兼ておぼゆる也。只兼てあたらば延んとおもひて。兼て心にまうくる也。さればのびらるゝ也。延持は先拍子を合て踏ざまに。右足を力にして地を踏放て。左足あがきて身をなげてのぶる也。けてゆく鞠枝に當て。なげ返して頭の上をこゆるをば。力足をつよくふみて。其力足にはじかれてとびかへる也。力足よはくけぬればおそく歸る也。
木にそふ鞠は。もしは枝もしは節などのありて。鞠さはらんづらんと思ふ所を念すぐしてあしをあげよとて。上ば一定火打出來也。能々用意有ベし。すぐなる木の木末より本まで。けつりさまにそひて。つよく落る鞠が大事の物也。さはるべき所なくは。いかにはやくとも目をふさぎ心を急にして。足を蹴かへてたゞつよくけよ。心中に猶用心有べし。恐るればたま/\あたる鞠なれども。そばへ蹴切す也。かやうの事は詞にも筆にもいはれぬ事也。大方の趣ばかりをこそ如斯いはるゝ事なれ。眞實の秘曲は心中に分明也。それまでいたらぬ足はちからなき事也。いはれぬ所を知ほどに成べし。急成大事は初心なるほどは似よく蹴出たりとも。何としてけつるとも不覺。達者は心中に分明なるのみにあらず。前後明に心にうかびてみるがごとし。只練習の功入なば。我とさとるなり。自覺も又有善惡。覺語(悟?)と所作也。玉理と相應ずるを實覺とすべし。但心に相應すとおもへども。人にゆるさずば所理にそむき實覺とすべからず。所詮は姿不亂。足踏拍子合て。たをやかにみにくゝして。しかもつよくやはらかにえむにみえて。足ごとに思入ておちさるが大事なり。一はよけれども一はわろく。かやうあらば猶不達と思ふへし。上は長閑にてはやくするがよき也。されば上手の鞠は淀河のごとしといへり。返々先達のいひたるをおほくもちて。常に案習すれば。をのづからさとり出し蹴出し。若は夢にも見うつゝにも了簡し出す也。心にかけねば功なし。蹴ては案じ案じては蹴べし。凡此事の我はかなはぬといふ事はなきなり。たとひ遲速拔群不拔群こそあれども。眞實心に入てつねに練習すれば。かならずし習也。不叶打置事なかれ。諸法は心の所行なれば。せられずといふことなし。垂枝にかゝれば。枝の下に入て。鞠をいたゞきて。拍子を合て踏かへてまつ也。すぐに落るとはねのくと二を用意すベし。枝かゝる時は。先前に落るを宗として。又後へ越事を心にかけて待也。一方ばかりを存れば。ちがふ時かなはぬ也。又兩方をかけて疑ば。おもはぬに落時えならぬ也。宗とあるかたへつよくおもむきて。しかも左右後を存ずる也。心は四方を明に察し。情は宗と趣方へ存ずる也。このちがひ樣を能々存じて。一心に兩方をおもふべし。
走枝は自梢卷て後などにこゆる鞠。又つよく走枝の本にてうたれて。はねこえむとする。迯あへこめがたく覺ば。むずと枝の本に立ふさがれば。まり身に當てよどむ時。足を蹴なをして靜に蹴也。身にそふまりかなはぬ人は此足を得ず。又わが立たる木にそひ落るなり。我は迯こめむと後へ迯時。鞠は內に落るを。人はよらぬをば木にそひてたはやかに木にそひなびきて。足ばかりを木にそへて。さしやりて一足けて。次の足に直て。人にゆづる事あり。品有たけやう也。かまへてなべて木にたはれしたがふべし。木にそひて足斗をやりてけばなさけなく。又平懷にも見えてかたくわろし。かやうの事はかまへて品あり靜にえむにしなすべし。木にそひてながるゝまりをば。木を踏てけるなり。左足をたてよせて。頭をすゝめて立ば。左方へもちがひ落るに蹴よきなり。足の左右をならベてのけはりたてば。左右へちがひ落る時蹴にくき也。たとへ一兩足こそけらるれ。それより多く小鞠にて蹴からかふ時は。只のけはりになりて。えすくひあげられず。凡一方にむかはゞ。餘の三方八分明に存べし。心と情との分也。先段にいふがごとし。又木の下に別としは流るゝ鞠をはね出さんとするにあがりやらぬを。こそ/\と三四足もけばことに見苦也。心ざしつめて一足はつよくたかくけんとおもひ。次足はこしらへてすくひあげむと。おもひかへてけんとおもひければ。其こゝろをのづから色にあらはれて。おなじ蹴長の鞠もこせめかず。所存ありと見えてかさ出くる也。足ごとに上手下足のけぢめみゆる事也。唯諸足は所詮の大惡はのけはりて。足はすゝみ出。頭はよらぬ也。頭すゝみぬれば。いかなる難所もやすく次足けらるゝ也。是尤秘事也。かやうの難所等おほしとはいへども。さのみ書つくしがたし。是等の大旨をもちてぞ見に准知べし。
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