内外三時抄（布衣）

朝云。布衣は尋常の服。當道に所執也。其も只よのつねにたがふことなし。但香の色をぞ長老の用る色にて。荒凉には不着。若重代若さるべき人の此道も相傳たしかに故實ぞむじためる人着べし。こき引のりうらなど汗にわろき間。右のみ用ざる歟。其外ことなる事なし。口傳集等のごとく。尻は常よりはみじかく。四旬以前指貫より一寸ばかりみじかく。强仕已後はさしぬきと同分なるベし。指貫は口傳集には恒よりはすこし廣くみじかくあるべしと云々。されど近來短くする人なき也。故相公ぞ短を用意有けると聞し。長をば或腰を折反。或は括さしを折反。又くりあげなどすくりあげといふは。わきへをし下て。括にてまき上て。指貫をもをしあげて括也。小俣必縫べし。不縫ば延足などの時袙のすそ出ことあり。括たる指貫の長さは。足のくびより一寸半許たかゝるベし。指貫足くびにしかれて鞠あたるをば。指貫のまりけると云て見苦事也。さればとてあまりたかくて。韈と指貫との間赤脛みゆる殊に見ぐるし。只見よく蹴よき程を計べし。右の方のしたぎをばうしろへをしやりて。ひざにまりのさはるに。あやまりなき程にすべし。又股立はさみ上事常（當？）家にはせず。四條の流にし出たり。成平拾遺亞相以下さる事なし。子細口傳集分明也。故宗長卿雅賢卿に習てしはじめたり。（关）說は彼の佐々木野の家の說也。且親任入道語しは。故四條入道殿後刑部。承元に召出されて見證時。被のそはたさまれたるをみて歸て之後。是は誰說を傳たるぞとて大に被申き。即親任が又（父？）親敎入道まさしく承之きと云々。凡此外も彼卿雅賢卿より相傳事少々有之由。世以所知也。故宗長卿は一期にそはたらざる事一度云々。然に宗敎卿は常不取之。父子不間（問？）。是當流の兼尊律師に宗敎卿は傳受之。故上手人執心者絹上めしき。

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