狂歌百物語（千首）

千首

001．一部づゝ 千部の経を 千首の 受けんと塚を 出る小塚原（栄寿堂）
002．数あまた 並びし首の 桶狭間おけはざま 実検をせし 跡の怨念（藤紫園友成）
003．見た人が 十人寄れば 十色にて 百倍恐く 咄す千首（文栄子雪麻呂）
004．百筋の 燈火ともしび消して 物語り 十倍増して 出づる千首（栃木 通児楼諭）
005．千ばかり あつちに哀れ 深草や 乾し並べたる 土の生首（檜園）
006．一目見て さへもの凄く 襟元の 震へ出しけり 多き首数（舟唄）
007．限りなき 目のよる所 数々の 人の天窓あたまも よるの凄さよ（坂槻）
008．見るうちに すごく鳴子に 数あまた 首も千部に 堀之内ほりのうち道（文栄子雪麻呂）
009．百筋の 燈火消せば 怖ろしさ 十倍まして 出づる千首（栃木 諭）
010．大鳥の いもの頭の 数珠つなぎ 暮れて千住へ かゝる首塚（国吉）
011．打ち負けし 恨みもつのる 山崎に 瓢ひさご形なりなす 首も千ほど（菱持）
012．むかし其の 千人斬りや 偲ぶらん 五条あたりに 見ゆる首数（常陸村田 緑洞園菊成）
013．並んだる 百万遍の 千首も 津浪に亡うせし 人の怨念（夏繁）
014．浮かまんと 数多あまたの首の 現れて 額ぬかづく千手観音の塚（楽成）
015．千人の 禿かむろの数の 髑髏されかうべ 栄花の夢も 醒めし秋風（舟唄）
016．弁慶が 切りし昔の 愁念か 五条ほとりに 見ゆる千首（梅袖）

タグ

一覧： 狂歌 狂歌百物語

カウンター

ページ全体： 281
今日： 1
昨日： 1