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マダム・ドローレス・ジェーン・アンブリッジ次官・教授(1965年以前、8月26日生まれ)とは、半純血の魔女であり、コーネリウス・ファッジ、ルーファス・スクリムジョール、パイアス・シックネスら魔法大臣のもとで魔法大臣上級次官として仕えた。
1995年、魔法省の指令により彼女はホグワーツ魔法魔術学校で闇の魔術に対する防衛術教授に就任し、後にアルバス・ダンブルドア教授が学校を去るとホグワーツ高等尋問官および校長を兼任した。この3つのポストによりホグワーツの生徒、教師、に対する権力は絶大になりカリキュラムに独断で変更を加えていった。アンブリッジのホグワーツでの行動は生徒に対する残酷さと暴力的な罰則に代表され、その干渉的で恩着せがましい態度から多くの生徒、教師に憎まれていた。
こうした仕事を失い魔法省が陥落するとアンブリッジはマグル生まれ登録委員会のリーダーとなって無実の人々を糾弾した。第二次魔法戦争終結後、戦時中のマグル生まれに対する犯罪から、彼女はアズカバン収監を宣告された。
ドローレス・アンブリッジは魔法使いのオーフォードとマグルのエレン・クラックネルの間に生まれた。アンブリッジには弟がいたがスクイブだった。彼女は父親の影響を受け、マグルの母とスクイブの弟を自分より劣った存在であると軽蔑するようになった。家庭では両親との喧嘩が絶えず、幸せな家庭環境とは言えなかった。アンブリッジが15歳になる前に母エレンは父オーフォードと離婚し、弟は母とマグルの世界に戻り、アンブリッジとは二度と顔を合わせることはなかった。
アンブリッジはホグワーツ入学前のある時点で自身の杖を手に入れた。彼女の杖は非常に短く、ギャリック・オリバンダーによれば杖が短いのは身長が短いだけでなく、精神面や道徳面で欠陥を持っていることの表れである。
アンブリッジが11歳になるとホグワーツ魔法魔術学校に入学し、スリザリンに組分けされた。彼女の学生時代を知る人物にホラス・スラグホーンがいるが、彼によればアンブリッジは「バカ」であり、決して好きな人物ではなかった。アンブリッジは学生時代に総じて監督生や首席に選ばれずコンプレックスを感じていた。ホグワーツ在学中を通してアンブリッジには友人がおらず、学生時代を楽しんだことはなかった。
魔法不適正使用取締局長時代のアンブリッジ
アンブリッジはホグワーツ卒業後、イギリス魔法省に入省し、瞬く間に影響力のある地位に就いた。彼女は魔法不適正使用取締局でキャリアを始め、30歳になる前に局長に就任した。これは彼女の優秀さというよりは、性格と目的の為なら手段を選らばないという冷徹な戦術を行使した故であった。
アンブリッジは学生時代からコンプレックスと虚栄心を抱いていたため、一流のキャリアを求めている間、閑職とされていた魔法ビル部門に勤務していた父オーフォードを恥ずかしく感じていた。そのため、魔法省で父について聞かれた際も他人事のように振る舞っていた。彼女は魔法省上部に圧力をかけ、月に少額の支援手当を出すことを引き換えに父親を早期に辞職させた。この時期からアンブリッジは自身の血統は純血の魔法族であると主張し始め、家族の出生を偽装し、自身を「聖28一族」のセルウィン家の末裔と主張した。彼女は最終的に魔法大臣付次官となり、ウィゼンガモットのメンバーになった。
1994年、ハリー・ポッターがリトル・ウィンジングで吸魂鬼に襲われる事件が発生した。この時、ハリーは身を守るべく守護霊の呪文を行使した。その後に開かれたハリーの裁判でアンブリッジはウィゼンガモットでハリー・ポッターを威嚇するために自身の権威を利用した。アンブリッジは吸魂鬼は魔法省で管理しているため、マグル界に紛れ込んで襲うのはおかしい話であるとした。そして、ハリーを未成年者の魔法使用違反で罰するべきだと主張した。しかし、危機の際の使用は例外であり、マダム・ボーンズの証言などからハリーは無罪となった。
イギリス魔法省、特にコーネリウス・ファッジはヴォルデモート卿の復活を信じておらず、アルバス・ダンブルドアが魔法大臣の座を狙っているという妄想に囚われていた。ファッジはダンブルドアを監視すべく、ホグワーツ魔法魔術学校にアンブリッジを派遣した。彼女は闇の魔術に対する防衛術の教授の地位を得たが、実践的な呪文が行わず座学のみに終始し、魔法省の権力がホグワーツに届くようにした。
アンブリッジは子供嫌いだった。学生時代に満足する地位(監督生や首席)に就けなかった彼女は、今度こそホグワーツで権力を行使する機会であると考えた。彼女の授業は退屈この上なく、授業が終わってもかろうじて生徒が1.2回拍手する程度だった。しかし、アーガス・フィルチはアンブリッジに心から拍手を送っていた。
アンブリッジはヴォルデモート卿傘下のイギリス魔法省でマグル生まれ登録委員会の委員長に就任した。彼女は徹底的にマグルを迫害し、無実のマグル生まれの魔法使いや魔女を逮捕し、「本物の魔法使いから魔法を奪った」マグル生まれへの裁判を行い、多くをアズカバン送りにした。また、純血主義的プロパガンダポスターや書籍を多数発刊した。
アンブリッジの投獄を報じる日刊予言者新聞
アンブリッジはホグワーツの戦いの後、ヴォルデモート卿への協力とマグル生まれやマグルの迫害を行ったとして逮捕され、アズカバンに収用された。
ドローレス・アンブリッジは大きなヒキガエルに似た背の低い女性だった。顔や口は広くたるんでいて、首は小さかった。外見とは裏腹に彼女は少女のソプラノ歌手のような甲高い声を発し、自分の部屋には猫の肖像画とピンクの壁紙で飾っていた。ピンクの服を来ており、一見して無害に見えるが残忍な内面を持っており、毒入り蜂蜜と言われた。
また、マグル生まれの魔法使いを尋問する間彼女はサラザール・スリザリンのロケットを身につけていた。アンブリッジはこれをセルウィン家の象徴であるとし、自身が「純血」への正統性を主張した。
アンブリッジは冷酷で残忍かつサディスティクな魔女だった。彼女は権力の亡者であり、傲慢で倫理観を持っていなかった。彼女は上の命令には絶対に従う「媚びへつらう」絶対主義者であり、魔法大臣コーネリウス・ファッジ、ルーファス・スクリムジョール、パイアス・シックネスの命令を忠実に実行しイギリス魔法省を熱心的に支えた。
彼女は自身の権力の為にはどんな仕事でも行った。アンブリッジは子供嫌いであり、学生時代は嫌な思い出しかなかったにも関わらず、ホグワーツ魔法魔術学校へ赴き、アルバス・ダンブルドアを監視する任務をこなした。彼女はハリーを吸魂鬼に襲わせ、子供を拷問しながら目的を成し遂げようとした。その根底にあるのは「目的の為なら手段を選ばない。目的は手段に勝る」との考えだった。そのアンブリッジの極端で厳格な考えにロンたちは「病的」であると表現した。
しかし、このアンブリッジのカルト的な忠誠心は時に彼女の思考を曇らせ、「上の考えは間違ってはいない」と信じ、権威に盲目的で従順だった。ヴォルデモートが復活した際も「ヴォルデモートの復活は流言飛語である」と魔法省の見解を鵜呑みにし、それを信じて疑わなかった。彼女の権威主義的思考は全体主義、ファシズムにも通じていた。アンブリッジにとって、異議を唱えたり「自由」という考えはは到底容認できるものではなかった。
アンブリッジは魔法に疎いとされているが、比較的若い年齢で重職に就いていることから、管理職としては有能な人物であったと考えられる。しかし教育者の面では全く以て無能だった。彼女は子供が嫌いであり教育の経験がなく、授業も教科書の朗読のみであり肝心の実践教育を否定した。これにはファッジの思惑もあるが、それを含めても教育者としては不適格な人物だった。彼女は教育方針を巡ってミネルバ・マクゴナガルと対立していた。
アンブリッジは地理を重要視しており、ホグワーツの管理人だったアーガス・フィルチを重宝した。彼が2級市民としてみなされることが多く、幼少期に軽蔑していたスクイブであったにも関わらず、彼と友好関係を築いた。また、アンブリッジは茶に大量の砂糖を入れて飲む習慣があった。この習慣はアンブリッジの体重増加の原因を招いた可能性があり、不健康な食生活を送っていたことが伺える。
アンブリッジは魔法省で高位の職に就いていたにも関わらず、一見したところ強力な魔女には見えなかった。彼女はベリタセラム(真実薬)の調合についての知識が無く、また尋問の際に必要以上に浪費したため、薬を切らす一面があった。このことから魔法薬学には無知だった可能性がある。また、彼女は他の教師陣が難なく対処していたウィーズリー家のいたずら花火に対処することができなかった。
アンブリッジの得意としていた魔法の分野は攻撃的な魔法と闇の魔術に集中していた。彼女は実力で昇進していたのではなく、他人に媚びへつらいながら、上司におもねることでその地位を手にしていただけである。
アンブリッジには魔法使いの父親とマグル生まれの母親、そしてスクイブの弟がいた。
アンブリッジは父親の影響を強く受け、マグル生まれの母親とスクイブの弟を激しく非難し、劣った存在であると偏見を持つようになった。彼女は15歳に達すると母親や弟と絶縁した。
父親は彼女に純血主義的考えを与えたが、自身の役職より下にいることに不満を持っており、追放しようと考えた。アンブリッジは魔法省のキャリアで父親の存在が恥ずかくなり、父に早期退職を迫り、少量の年金と引き換えに魔法省から追放した。
野心家だったアンブリッジは家族に愛想を尽かしていた。コンプレックスと虚栄心から彼女はいつしか純血を名乗るようになり、自身がセルウィン家の子孫であると自称した。
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