インド・オーストラリアプレート

ページ名:インド・オーストラリアプレート
Tectonic plates-ja

██ 橙色がインド=オーストラリアプレート。この図では赤色のインドプレートと橙色のオーストラリアプレートが分けて描かれている

インド・オーストラリアプレートは、インド亜大陸、オーストラリア大陸、インド洋東部、太平洋南西部および周辺諸島の地殻及びマントル上方のリソスフェアを形成する海洋プレートである。「インド=オーストラリアプレート」とも表記する。

目次

歴史[]

インド・オーストラリアプレートはしばしば、北西側のインドプレートと南東側のオーストラリアプレートに分けて考えられる。ただ、分けて考えたり一緒にして考えられたりとまちまちである。これは、プレートテクトニクス理論が提唱されてから長い間、インドプレートとオーストラリアプレートの境界が諸説(境界が無い=2つのプレートは同一という説も含む)あり、はっきりしなかったことによる。現在は、2つのプレートは結合して1つのプレートになっていると考えられているが、2つに分けて考えることもある。

現在広く支持されている説では、白亜紀初期に東ゴンドワナ大陸がインド大陸+マダガスカル島と南極大陸+オーストラリア大陸の2つに分裂したときからインド大陸とオーストラリア大陸の間に海嶺ができ、両大陸は北上すると同時に東西に離れていったと考えられている。この時点でプレートはインドプレートとオーストラリアプレートの2つに分かれていた。白亜紀後期の9,000万年前には、マダガスカル島とインド大陸の間にも海嶺ができて分離し始めた。これ以降インド大陸が乗ったインドプレートの移動速度は20cm/年と非常に速くなり、およそ4,000万年で2,000km北上した。

これが変わったのが5,500~5,000万年前である。このころ、インドプレートのインド大陸部分がユーラシアプレートの大陸部分に衝突して動きが遅くなった。海底の堆積物や山塊などが2つのプレートの間で強く圧縮されて隆起しヒマラヤ山脈やチベット高原などができ始めたためである。マダガスカルとインドの間にある海嶺の拡大は、ヒマラヤでのプレート衝突によって妨げられて、プレートの移動が極端に遅くなった。これとほとんど同じ時期に、インドとオーストラリアの間にある海嶺が活動を終え、両プレートの境界部分は固定されて「インド・オーストラリアプレート」となり、ほとんど同じ方向に動くようになった。

インド大陸とオーストラリア大陸はもともと東ゴンドワナ大陸のときに密着して同じ位置にあったが、インドのほうが先に北上し、インドがユーラシアに衝突した時点の位置でオーストラリアとの位置関係が固定され、それ以来同時にゆっくり北上して現在に至っているのである。

インドとオーストラリアの間にある海嶺では、海嶺特有の地形が5,000万年という長い間に風化して分かりにくくなってしまい、境界を特定するのが難しくなったとされている。また、インド洋の諸島や海山列などをもとに海洋底拡大を説明付ける説では、海洋底拡大の速度が変わったり方向が変わったりと複雑な歴史があると考えられていることも、境界特定を難しくしている。

これまで境界ではないかとされてきたのは、東経90度海嶺、中央インド洋海盆の中央部ライン、中央インド洋海盆を横切るラインなどであった。現在の定説は、東経90度海嶺の北半分と中央インド洋海盆を横切る南緯5度付近のラインである。

ただ、1990年代に入ってGPSを応用したプレートの移動測定が可能となったことで、インドプレートとされてきた地域とオーストラリアプレートとされてきた地域は移動方向・速度がほとんど同じことがわかり、同一のプレートとみなされるようになった。

周辺のプレートとの関係[]

アラビア半島沖のソコトラ島東方沖からアムステルダム島付近まで、南東方向に曲がりくねりながら、長さ数千kmのインド洋中央海嶺がある。ここはアフリカプレート大地溝帯を隔てて離れつつあるソマリアプレートとの境界である。アムステルダム島からマッコーリー島付近まで、東方向に曲がりくねりながら、これまた長さ数千kmのオーストラリア南極海嶺がある。ここは南極プレートとの境界である。

マッコーリー島付近からニュージーランドのクック海峡付近までは、弓のように曲がった境界線が作られており、トランスフォーム断層海溝、衝突型境界が交互に並んでいる。クック海峡を過ぎると、北島の東方沖からサモア東方沖まで連なるヒクランギ海溝・ケルマデック海溝トンガ海溝になる。これらの海溝では太平洋プレートがインド・オーストラリアプレートの下に沈みこんでいる。サモア東方沖からは、サモアやフィジーを北東から南西に貫く境界が走っている。ここは火山帯からなる拡大型境界やトランスフォーム断層と見られているが、GPSなどの観測によって移動方向が若干異なる「マイクロプレート」が複数存在することが分かっており、複雑になっている。

また、ニューカレドニアの東方沖からは、バヌアツの西方沖~ソロモン諸島の南方沖~ニューブリテン島の南方沖まで連なる曲がりくねった海溝となる。南から順に南ニューヘブリデス海溝、トレス海溝、南ソロモン海溝、ニューブリテン海溝と呼ばれている。この付近からティモール島までの地域は、海溝や山脈、群島が何重にも並ぶ構造で、プレートの境界が長い間はっきりしてこなかった。GPSによる測定を応用していくつかの説が出されているが、まだ確定していないため、便宜的には、ニューギニア島の北岸~ニューギニア島西部を縦断するライン~タニンバル諸島・ティモール島南岸までを境界として扱うことが多い。マッコーリー島付近からここまでは、太平洋プレートとの長い境界である。

スンバワ島付近からは、ジャワ島やスマトラ島、アンダマン諸島やニコバル諸島の南岸・西岸を通る弓のように曲がった海溝になる。スンダ海峡より東をジャワ海溝、西をスンダ海溝と呼んでおり、インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいる。アンダマン諸島より北では、プレート境界がミャンマー中央部を縦断し、ミャンマー北端から西に向きを変えてヒマラヤ山脈の地下の衝突型境界につながる。この境界線はカラコルム山脈を経てパキスタンを縦断し、カラチの沖からソコトラ島までつながる。カラチ付近まではユーラシアプレートとの境界、それより南はアラビアプレートとの境界である。

ニュージーランドからパキスタンにかけてのプレート境界部は、海溝型地震や断層型地震が頻発する地震の多発地帯である。近年もスマトラ島沖地震 (2004年・2005年・2007年)やパキスタン地震 (2005年)、ソロモン諸島沖地震 (2007年)などが発生しており、津波がよく発生することで知られている。

関連項目[]

出典[]

  • PALEOMAP project
・話・編・歴
プレートテクトニクス
理論
地球の内部構造
地殻 - マントル(上部マントル・下部マントル) - コア(外核・内核) // リソスフェアプレート) - アセノスフェア - メソスフェア
プレート境界
発散型 : 海嶺 // 収束型 : 沈み込み帯海溝 - トラフ) // トランスフォーム型 : トランスフォーム断層
地殻変動
 
プレート
ユーラシア
アムール - 揚子江 - 沖縄 - スンダ - ビルマ - モルッカ海 - バンダ海 - ティモール - アナトリア - エーゲ海
フィリピン海
マリアナ
太平洋
カロライナ - 北ビスマルク - 南ビスマルク - マヌス - フツナ - バルモーラル暗礁 - コンウェイ暗礁 - ニューヘブリデス
北アメリカ
オホーツク - ベーリング
カリブ
パナマ
ココス
ファンデフカ - リベラ
南アメリカ
スコシア - サンドウィッチ - シェトランド - アルティプラーノ - 北アンデス
ナスカ
ガラパゴス - イースター - ファン・フェルナンデス
南極
-
アフリカ
ソマリア
アラビア
-
インド・オーストラリア
インド - オーストラリア - ケルマデック - トンガ - ニウアフォ - バーズヘッド - モルッカ海 - ウッドラーク - ソロモン海
 
トピックス
超大陸
古海洋
パンサラッサ - テチス海 - イアペトゥス海
古期地殻変動
カレドニア造山帯 - ヘルシニア造山帯 - ウラル造山帯 - 中央アジア造山帯 - タスマン造山帯 - アパラチア造山帯 - インド大陸 - 洪水玄武岩
主要なプレート境界

ca:Placa australianada:Indo-Australske Pladeeo:Aŭstralia platohr:Indo-australska pločaid:Lempeng Indo-Australiait:Placca indo-australiananl:Australische Plaatpl:Płyta indoaustralijskapt:Placa Indo-australianasw:Bamba la Australiata:இந்திய-ஆஸ்திரேலியப் புவித்தட்டுuk:Індо-Австралійська плитаvi:Mảng Ấn-Úc



特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

龍神温泉

♨龍神温泉ファイル:Ryujin Spa1.jpg.JPG日高川沿いに並ぶ旅館温泉情報所在地和歌山県田辺市龍神村交通アクセスバス - 龍神バス:バス停「龍神温泉」・「季楽里龍神」車 - 高野龍神スカイ...

鼓川温泉

♨鼓川温泉温泉情報所在地山梨県山梨市牧丘町交通アクセス車:中央自動車道 勝沼ICより、国道140号を経由して乙女高原方面へ鉄道:中央本線塩山駅より牧丘町塩平方面行きバス、鼓川温泉下車泉質単純温泉泉温3...

黒薙温泉

♨黒薙温泉ファイル:Kuronagi-onsen01.JPG混浴露天風呂(2007年)温泉情報所在地富山県黒部市宇奈月温泉交通アクセスアクセスの項を参照泉質単純温泉泉温97.2 セルシウス度|テンプレ...

黒羽温泉

♨黒羽温泉温泉情報所在地栃木県大田原市黒羽交通アクセス鉄道 : 宇都宮線西那須野駅よりタクシー・車で約35分車 : 東北自動車道西那須野塩原インターチェンジより40分、那須インターチェンジより約30分...

黒石温泉郷

黒石温泉郷(くろいしおんせんきょう)は、青森県黒石市(旧国陸奥国)の奥座敷に位置する温泉の総称(温泉郷)である。浅瀬石川沿いに長寿温泉、温湯温泉、落合温泉、板留温泉の4つが存在。前述の4温泉から山間部...

黒湯

曖昧さ回避この項目では、黒色の温泉について記述しています。秋田県仙北市にある温泉については「黒湯温泉」をご覧ください。黒湯(くろゆ)とは、主に湯船における湯の色が黒色、黒褐色をした源泉のことを指す。東...

黒沢温泉

♨黒沢温泉温泉情報所在地山形県山形市交通アクセス鉄道:奥羽本線(山形線) 蔵王駅より徒歩約10分泉質硫酸塩泉宿泊施設数7 表・話・編・歴 黒沢温泉(くろさわおんせん、Kurosawa Hot Spri...

黒松内温泉

♨黒松内温泉温泉情報所在地北海道寿都郡黒松内町交通アクセスJR北海道函館本線黒松内駅より車で約5分泉質塩化物泉泉温39.9 セルシウス度|テンプレート:℃湧出量400リットル(毎分)宿泊施設数1 表・...

黒川温泉_(兵庫県)

♨黒川温泉ファイル:黒川温泉1.JPG温泉情報所在地兵庫県朝来市生野町黒川交通アクセス車 : 播但連絡道路生野ランプより車で約30分鉄道 : 播但線生野駅から神姫グリーンバス生野駅裏より「黒川」行き終...

黒島_(鹿児島県)

日本 > 鹿児島県 > 鹿児島郡 > 三島村 > 黒島黒島 (鹿児島県)ファイル:Kuroshima of Kagoshima.jpg東方上空より撮影座標北緯30度50分5.6秒東経129度57分20...

黒岳_(大分県)

黒岳標高1,587m所在地大分県由布市位置北緯33度06分20秒東経131度17分34秒山系九重山系ウィキプロジェクト 山ウィキプロジェクト 山黒岳(くろだけ)は、大分県由布市庄内町及び竹田市久住町に...

黒姫山_(長野県)

曖昧さ回避この項目では、長野県信濃町の黒姫山について記述しています。新潟県糸魚川市の黒姫山については「黒姫山 (糸魚川市)」を、その他の黒姫山については「黒姫山」をご覧ください。黒姫山ファイル:Mt-...

黄金崎不老不死温泉

♨黄金崎不老不死温泉ファイル:Furofushi-spa.jpg混浴露天風呂温泉情報所在地青森県西津軽郡深浦町大字舮作字下清滝15交通アクセス鉄道:五能線艫作駅より徒歩約15分。リゾートしらかみ利用の...

黄砂

この記事は秀逸な記事に選ばれました。詳細はリンク先を参照してください。曖昧さ回避オユンナの楽曲およびアルバムについては「オユンナII黄砂」をご覧ください。ファイル:Asian Dust in Aizu...

鹿部温泉

♨鹿部温泉ファイル:Sikabe kanketusen 2005.jpgしかべ間歇泉公園内の間欠泉温泉情報所在地北海道茅部郡鹿部町交通アクセス鹿部駅よりバスで20分。函館市内より車で約1時間。泉質食塩...

鹿塩温泉

♨鹿塩温泉温泉情報所在地長野県下伊那郡大鹿村交通アクセス鉄道 : 飯田線伊那大島駅より伊那バス大鹿線で約50分で最寄バス停鹿塩へ。バス停より徒歩約15分泉質塩化物泉泉温14 セルシウス度|テンプレート...

鷹巣温泉

♨鷹巣温泉温泉情報所在地福井県福井市蓑町22字17番1交通アクセス鉄道 : 福井駅から路線バスで50分車:北陸自動車道福井北ICより45分泉質アルカリ性単純温泉アルカリ性低張性高温泉泉温49 セルシウ...

鷹の子温泉

♨鷹の子温泉温泉情報所在地愛媛県松山市交通アクセス伊予鉄道横河原線久米駅下車徒歩7分泉質単純硫黄温泉泉温38.4 セルシウス度|テンプレート:℃湧出量毎分800リットルpH9.3液性の分類アルカリ性 ...