福井青春物語
『福井青春物語』(ふくいせいしゅんものがたり、英題:FOR EVERY FUKUI REVOLUTION)は、森川陽一郎監督による日本映画。2005年5月1日映画祭公開、同年10月22日ロードショー公開。2007年11月14日に著作権フリー宣言された[1][2]。
概要[]
低予算・ノンタイアップ[]
- 短期間撮影で低予算製作のいわゆるB級映画。公式ウェブサイトによると、メインロケ撮影は3日に渡って行われたが、2005年1月5日18時頃から1月7日19時頃までの実質2日間[3]。
- 森川陽一郎監督は舞台挨拶などで「『製作予算』は8万円、最終的な『製作費』は30万円」と語っている。
- 予算が8万円の理由は、ロケ直前の2005年元旦を迎えた時点での森川の財布の中身が8万円であった[4]ためで、タイアップや配給の無い、完全個人製作の自主映画だと言える。
- 地方で自主制作された映画でありながらロードショー公開(2005年~2006年)が行われた[5]。メイキング『福井青春革命』ほか、メディアでも「革命的なインディーズ映画」と紹介された[5]が、森川は「僕の心の中の個人的な革命」と述べている[3]。
- 映画祭などのコネを嫌う森川は、渋谷の映画館に片っ端からアポ無しで営業し[4]ロードショーが決まった。
- 渋谷でのアポ無し営業では、「せめて作品を見て検討して下さい」と土下座した[4]こともあり、土下座をやめるよう言われても「田舎では土下座で挨拶するのが当然だ」という理由からの作戦であった。しかし、実際にロードショーが決まったUPLINK Xでは、土下座すること無く、森川と映画館の思いが一致して決まったと舞台挨拶で語っている。
福井へのこだわり[]
- ご当地映画。全キャスト、全スタッフ、全ロケ地が福井という福井尽くしの青春映画。登場人物の全員がコテコテの福井弁を話す為、標準語字幕が付いている。
- 福井県出身の俳優、津田寛治と山本浩司が、この作品で初共演を果たした。
- 福井を代表する食べ物のいくつかが登場するが、女子高生が水ようかんを食べながら町を歩いているシーンなど、明らかに大げさな表現もある。
監督の勘違い[]
- 2003年12月5日、津田寛治と森川陽一郎監督が初めて対面する。この時、津田が森川に「出してよ」と言った。津田は俳優として活躍する一方で、監督として自主映画作品を撮っており、森川が主宰していた福井インディーズ映画祭に出品したい、という意味であった[6]。これを森川は「出演したい」と勘違いした。
- 森川の「脚本書きます」に対し、津田の所属事務所の社長の返答は「お時間が合えば」であった。これは業界では断りに近い言葉とも言われている[6]。しかし、またも森川は勘違いして「時間はいくらでも合わせます、2日間でいいのです」と答えた。その後、森川は津田の事務所に対し、企画書や手紙の郵送、電話やメールなどの手段で月一回ペースで連絡を続けた[6]。
- 2004年10月22日[4]、ついに津田の携帯電話から森川に連絡があり、この映画が実現した。最終的には津田が事務所の社長に請願したと言われている[6]。
- 森川は自分の勘違いに気づかないまま撮影に入り、映画が完成した。
- 2005年5月1日、初公開での舞台挨拶のステージ上で、津田はこれらの勘違いの事実を打ち明けた。満員の観客を前にして自身の勘違いを知った森川は、言葉を失った。
登場する福井の食べ物[]
- 松岡軒の羽二重餅 - 芸能事務所のシーンで、穴田行央から山本浩司への差し入れとして登場。
- 江川の水羊かん - 福井駅前のシーンで女子高生が、服屋のシーンで津田寛治らが食べている。
- 今川焼 - 福井駅前のシーンで登場。
- 秋吉の焼き鳥 - 焼鳥屋のシーンで津田寛治や小野寺昭憲らが食べている。
- 福井駅の駅そば - 福井駅のシーンで津田寛治が食べている。
- ヨーロッパ軒のソースカツ丼 - カツ丼屋のシーンで小野寺昭憲や穴田行央らが食べている。
- 五月ヶ瀬の名代手焼煎餅 - 芸能事務所のシーンで、津田寛治から山本浩司への差し入れとして登場。
おもなロケ地[]
- JR福井駅 - 現在は取り壊された2005年1月当時の駅舎で撮影。
- おさごえ民家園 - 津田寛治の自宅という設定。
- 一乗滝 - 一乗滝のシーン
- 福井神社 - 津田寛治が自転車のおじさんに声をかけられるシーン
- 福井城跡 - 県庁堀のシーン
- 東尋坊 - 回想シーン
- 足羽山百坂 - 小学校の前という設定
- 福井市水道記念館 - 小学校という設定
- 足羽川堤防(桜橋付近) - 中学校の帰り道という設定
- 福井鉄道福武線田原町駅 - 上京のシーンで、200形電車が登場
- 月刊URALA編集部 - 地元タウン誌のスタジオ、編集室のシーン
- 丸岡城 - 月刊URALA編集部の外観という設定。
- 一乗谷朝倉氏遺跡 - 小野寺昭憲の自宅という設定。
- 柴田神社 - 穴田行央が電話をかけている九十九橋という設定。
- だるまや西武(現:福井西武)のクリスマスツリー - ラストシーン
- 勝木書店本店 - ラストシーンで屋上が登場。
同時公開作品[]
公開歴[]
上映[]
- 2005年5月1日~、福井市響のホールでの『「福井青春物語」完成記念映画祭』にて3日間上映、のべ1,252名動員。
- 2005年8~9月、福井(敦賀,大野,小浜)、東京(中野)にて上映。
ロードショー公開[]
- 2005年10月22日~、渋谷・アップリンクXにて7日間ロードショー、約300名動員。
- 2005年11月8日~、名古屋・シネマスコーレにて3日間レイトショー、約100名動員。
- 2006年2月4日~、岐阜・シネマジャングルにて14日間ロードショー、約200名動員。
- 2006年4~5月、福井、鯖江、新潟、長岡での劇場ロードショーが監督の不祥事で中止。
テレビ放映[]
- 2006年1月1日~1月7日、丹南CATV(2ch)
- 2006年1月2日~1月13日、福井CATV(5ch)
無料上映[]
- 2005年10月26日、清水町立清水中学校(現・福井市立清水中学校)にて全校生徒対象に上映。
インターネット公開[]
- 2007年4月26日~現在、AmebaVisionに本編動画を公式投稿。
- 2007年4月28日~現在、YouTubeに本編動画を公式投稿。
DVD販売[]
- 2005年9月23日、初回プレス、200枚。
- 2005年10月22日、追加プレス、1,000枚。
- 2007年10月までに、のべ1,100枚以上を売り上げる。
- 2007年11月14日、Web通販での販売を終了し、森川陽一郎監督によって『著作権フリー宣言』された[1][2]。
キャスト[]
- 津田寛治 - 津田寛治 役
- 山本浩司 - 山本ヒロシ 役
- 山田昭二 - 祖父 役
- 小野寺昭憲 - 小野寺 役
- 穴田ユキ久 - 穴田 役
- 北川和歌子 - 和歌子 役
- 川上テルヒサ - 川上 役
- 辻本弘治 - 辻本 役
- 打田チカオ(劇団百年イラチカ) - マネージャー 役
- 榎ちひろ(深海シガレットムーン) - 霊媒師 役
- 倉坂茉莉 - まい 役
- 池田光咲 - 女子高生 役
- 富田晋也 - 刑事 役
スタッフ[]
- 製作:FREDERIC-HANDS
- 監督・脚本・撮影・編集:森川陽一郎
- 制作:森川陽一郎、大田淳子、山上貴子
- 制作補:辻岡昇一、岡田美穂、辻本弘治
- 撮影助手:反保修治、藤田侑平、宮越健、南出和宏
- スタッフ:岡本諭司、榎智洋、高野充晃、中島知美、佐々木麻衣、山口祐佳里、武田龍馬、平光弘
- 企画原案:森川陽一郎、川上テルヒサ、辻本弘治
- メイキングドキュメンタリー『福井青春革命』
- 製作:KENFIL ARTS PRODUCTION
- 監督・編集・製作総指揮:小野寺昭憲
- 撮影監督:真理子
- 題字:山内改行
- WEB広報:青戸千春
音楽[]
- ROYAL FISH & REBEL MESSENGERS - 「トランペット」「LET'S PAINT THE FUTURE」
- The Stereo Garden - 「BABY IN CAR」「星に願いを」
- アノヨロシ - 「NAKED HEART」「心のまま」
- ネズミ警察 - 「死? (Dear.jim)」「ありふれた日常」
- ROYAL FISH - 「トランペット」「存在」
エンディングテーマ[]
- 川上テルヒサ&ネズミ警察 - 「言の葉」(作詞・作曲川上テルヒサ)
キャッチコピー[]
- 『なんやっちゃおぇー』
- 『言語:福井弁 (標準語字幕付)』
- 『邦画の明るい未来をよろこぼさぁ!───津田寛治』
- 『故郷を愛するすべての人にこの映画を捧げる───森川陽一郎』
選定キャッチコピー選定:青戸千春
ストーリー[]
福井に住む津田寛治(津田寛治)は映画監督を夢見て、友人の小野寺昭憲(小野寺昭憲)と穴田行央(穴田行央)と共に、自主製作映画を撮っていた。ある日、津田に転機が訪れる。同じ福井出身で有名俳優の山本ヒロシ(山本浩司)が津田の映画に出演してくれることが決まったのだ。友人は皆協力的で、川上(川上テルヒサ)は音楽を、服屋オーナーの辻本(辻本弘治)は衣装を提供すると言ってくれている。しかし津田は、なかなか脚本が書けない。やがて福井で本当にいい映画が撮れるのかという疑問を抱き始める。
そんなとき、津田は祖父(山田昭二)に怪しげな呪文をかけられ、タイムスリップする。──高校時代、人生の分岐点が訪れる。彼女だった和歌子(北川和歌子)は女優になるために上京したが、津田は悩んだ挙句、小野寺と穴田と共に福井に残って映画を続けることを決めていた。テンプレート:ネタバレタイムスリップによって人生の分岐点を目の当たりにした津田は、人生をやり直したいという願望から、和歌子と共に上京する道を選ぶ。上京から数年が経ったが、津田の映画は成功していなかった。山本ヒロシを主演にした映画の企画書を持って山本の事務所を訪れたが、山本に会うことはできなかった。その頃、福井に残っていた小野寺と穴田の映画に、山本が出演することが決まっていた。津田は福井に帰り、自分の企画を小野寺たちに提案するが、かつての親友たちとは確執が生まれていた。──ここで津田は目が覚めた。祖父に呪文をかけられた時に眠っていて、タイムスリップは夢の中の出来事だった。すぐに津田は脚本を書き始めた。台詞を福井弁にして完成した脚本を見た山本ヒロシは驚いた。
ある日の夜、福井駅前。津田の映画の撮影現場に、山本の姿があり、多くのエキストラが集まっていた。有名俳優の演技に熱狂する人々。歓声はいつまでも続いた。(おわり)テンプレート:ネタバレ終了
関連項目[]
- 福井弁
- 福井県を舞台にした作品
- ご当地映画
- 青春映画
- B級映画
- 著作権フリー
- パブリックドメイン
脚注[]
- ↑ 1.01.1 テンプレート:Cite webただし、実際にどの程度自由に扱えるのかという具体的な言及は無かった。
- ↑ 2.02.1 テンプレート:Cite web“誰もが自由に使用、複製または改変できるものとする。”と全面的にフリーであり、パブリックドメインと同義であると明言している。
- ↑ 3.03.1制作公開歴 - 福井青春物語より。
- ↑ 4.04.14.24.3 福井青春物語ロードショー公開初日舞台挨拶の森川陽一郎監督の発言(UPLINK X2005年10月22日)より
- ↑ 5.05.1 「『福井力』を探る 俳優・津田寛治さん 映画監督・森川陽一郎」朝日新聞福井版 2006年1月1日
- ↑ 6.06.16.26.3 映画祭公開初日トークショー(響のホール2005年5月1日)での津田寛治と森川陽一郎監督の会話より
外部リンク[]
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