大友克洋

ページ名:大友克洋

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大友 克洋(おおとも かつひろ、1954年4月14日 - )は、日本の漫画家、映画監督。宮城県登米郡迫町(現在の登米市迫町)出身。同郷、同高校(宮城県佐沼高等学校)出身に石ノ森章太郎がいる。血液型はA型。

目次

人物[]

大ヒット作の劇場版アニメ『AKIRA』は他の日本アニメに先駆け、世界的な評価を受け、衝撃を与えたことでも知られる。

ペンタッチにたよらず、大胆な画面構成に背景などを細部まで克明に描き込む画風が特徴。また当時は圧倒的な画力と構成力から、海外でも『AKIRA』や『童夢』の評価は高く、現代でこそ日本の漫画は英語に翻訳され海外で発売されることが当たり前だが、大友漫画はAKIRA連載が終了する以前から英語版も発売されている。ジャン・ジロー・メビウスから影響を受けているらしい。なお、メビウス自身も、大友のマンガのファンだと発言している。

また、初期は、日本人のキャラクターを「アジア人的な容姿と体形」(細い目、低い鼻、短足、女性の胸は平べったい)のリアルな絵柄で描き、それまでの「日本人でありながら、ヨーロッパ人のように描かれた漫画キャラ」に慣れていた漫画ファンに、衝撃を与えた。1981年に刊行された『さよならにっぽん』は、ニューヨークにたむろする日本人たちの群像を描き、「日本人的風貌」はより強調された絵柄となった。だが、『AKIRA』以降、主人公のヒーロー化に伴い、従来の漫画に近い「大きな目、高い鼻」のキャラクターを描くようになった。

また、初期は「70年代的なヒッピー的感性」の物語を主に描いていたが、79年の未完の作品「Fire-Ball」から、SF作品を描くようになった。この作品は大友の知名度を一気にあげた作品であり、80年代の大友のSF作品への前触れとなった。(「Fire-Ball」は未完のまま、のちに『彼女の想いで‥‥』に収録された。)

劇画の時代から漫画の時代への回帰の時期に現れた大友克洋のスタイルは、士郎正宗をはじめ当時の新進漫画家に多大な影響を与え、多くの亜流的な画風・表現方法を持つ漫画家が現れた。『AKIRA』以降は海外でも知名度が上がり評価が高く、洋画の映像手法やカット割りに影響を与えた。

1983年のアニメ映画『幻魔大戦』にキャラクターデザイナーとして参加したのをきっかけとして、アニメ制作に関わるようになる。1984年にはキヤノンのカメラのCMアニメでキャラクターデザインのほか、絵コンテと原画を手掛けた。オムニバスアニメ『迷宮物語』の中の一編を監督したあと、1988年には自ら監督となり『AKIRA』をアニメ映画化した。以降、漫画よりもアニメでの活躍が目立つようになる。

なお、大友の有名な映像表現として「車・オートバイのテールライトの残光」「触手のようにのたうち回るコードの群れ」「超能力を使うと球体状に空間が歪む」などがある。

エピソード[]

  • カニが好きらしく、大友と原作者の矢作俊彦が、漫画のキャラクターとして登場する『気分はもう戦争』でも、漫画の中の大友が「カニを食べたい」としゃべっていた。さらには吾妻ひでおのギャグ漫画『ななこSOS』に、大友をモデルとする「Dr.○友」という悪役キャラが登場するが、その漫画でも「カニが大好き」という設定であった。
  • 80年代初頭は、ギャグ漫画家の大半が「大友風の画で書かれたコマ」に自身のキャラを登場させ、その違和感で笑いをとった。

略歴[]

  • 1973年 『銃声』(原作:プロスペル・メリメ)でデビュー。
  • 1982年 代表作といえる長編作品『AKIRA』の連載開始。
  • 1983年 『童夢』で第4回日本SF大賞を受賞。
  • 1983年 アニメ映画『幻魔大戦』でキャラクターデザインを手掛ける。
  • 1984年 『AKIRA』で第8回講談社漫画賞を受賞。
  • 1984年 『童夢』で第15回星雲賞コミック部門を受賞。
  • 1988年 『AKIRA』を原作としたアニメ映画『AKIRA』で監督を務める。
  • 1991年 アニメ映画『老人Z』で原作・脚本・メカニックデザインを務める。
  • 1992年 『AKIRA』の彩色された米国版が、アイズナー賞最優秀彩色部門を受賞。
  • 1998年 アニメ映画『スプリガン』で総監修を務める。
  • 2001年 手塚治虫原作のアニメ映画『メトロポリス』の脚本を手掛ける。
  • 2002年 『AKIRA』の米国版が、アイズナー賞最優秀アーカイブプロジェクト部門および最優秀国際作品部門を受賞。
  • 2004年 アニメ映画『スチームボーイ』で監督を務める。
  • 2005年 フランス政府から「芸術文化勲章シュバリエ」を授与される

作品リスト[]

漫画作品[]

  • 1979年 ショート・ピース 全1巻
  • 1979年 ハイウェイスター 全1巻
  • 1981年 GOOD WEATHER
  • 1981年 さよならにっぽん
  • 1981年 ヘンゼルとグレーテル
  • 1982年 気分はもう戦争(原作:矢作俊彦) 全1巻
  • 1982年 BOOGIE WOOGIE WALTZ
  • 1983年 童夢 全1巻
  • 1984年 - 1993年 AKIRA 全6巻
  • 1990年 彼女の想いで… 全1巻
  • 1996年 SOS大東京探検隊 全1巻(大友自身が執筆した単行本では現在のところ、これが最新)
  • 1990年 - 2004年 沙流羅(原作のみ。作画:ながやす巧)
  • 2006年 公園BRUTUS 2007年 1/15号

映画監督作品[]

  • 1982年 じゆうを我等に(実写作品)自主制作
  • 1988年 迷宮物語(工事中止命令)
  • 1988年 AKIRA
  • 1991年 ワールド・アパートメント・ホラー(実写作品)
  • 1995年 MEMORIES(彼女の想いで、最臭兵器、大砲の街)
  • 1998年 GUNDAM Mission to the Rise(短編作品)
  • 2004年 スチームボーイ
  • 2007年 蟲師(実写作品)

その他[]

  • 1981年 高校エロトピア 赤い制服 原作
    • にっかつロマンポルノ映画。短編「任侠シネマクラブ」映像化。監督:白鳥信一
  • 1981年 シャッフル 原作
    • 短編映画。短編「RUN」を実写映像化。監督:石井聰亙 出演:室井滋ほか
  • 1981年 矢作俊彦「カニを、もっとカニを!」 挿絵
  • 1982年 矢作俊彦「カニを、さらにカニを!!」 挿絵
  • 1982年 NHK教育「YOU」
    • オープニングのイラスト集。テーマ音楽:坂本龍一
  • 1988年 不可思議物語 原作 
    • オムニバスVシネマの中の一作。短編「猫はよく朝方に帰ってくる」を実写映像化。監督:山川直人 出演:三上博史、室井滋ほか
  • 1988年 SO WHAT 原作
    • 劇場公開映画。同名の短編を実写映像化。監督:山川直人 出演:東幹久、室井滋、竹中直人ほか
  • 1995年 石野卓球「DOVE LOVES DUB」 CDジャケットイラスト
  • 2006年 新SOS大東京探検隊 原作・キャラクター原案 
    • 劇場アニメ映画。
  • 2006年 FREEDOM-PROJECT 一部キャラクターデザイン・メカニックデザイン

アシスタント[]

  • 高寺彰彦

参考文献[]

  • ユリイカ 臨時増刊号 「総特集 大友克洋」(1988年、青土社)
    • 『AKIRA』までの大友克洋について詳しく紹介している。手塚治虫による巻頭エッセイに、大友克洋の絵には「一も二もなく降参する」と書かれている。一方で、ストーリーや内容に関しては「若い人なら誰でも持っている」「センスが枯渇したときこそ評価すべきである」と語っている。
  • マンガの描き方―似顔絵から長編まで(手塚治虫、1996年、光文社)
    • 夏目房之介による巻末解説に、手塚治虫が大友克洋の実力を認めていたと記されている。

外部リンク[]

  • Apple Paradise大友克洋データベース - 過去の大友作品に関する情報が充実。
  • MASHed ROOM - ファンサイト。最近の大友作品に関する情報が充実。
  • A.D.2019 - 『AKIRA』ファンサイト。


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