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『紅の豚』(くれないのぶた)は、宮崎駿監督によるスタジオジブリの長編アニメーション映画である。製作は徳間書店、日本航空、日本テレビ放送網、スタジオジブリ、配給は東宝、1992年7月18日公開。前作の『魔女の宅急便』に続いて劇場用アニメ映画の興行成績日本記録を更新した。
世界大恐慌時のイタリア・アドリア海を舞台に、飛行艇を乗り回す海賊ならぬ『空賊(空中海賊)』と、それを相手に賞金稼ぎで生きる『ブタ』の飛行艇乗りの物語。第一次世界大戦後の動乱の時代に生き、夢を追い求める男達の生き様を描く。
原案は月刊「モデルグラフィックス」誌の連載漫画記事「宮崎駿の雑想ノート」の「飛行艇時代」からで、本作はそれを膨らませたものである。生家が航空機産業に関係していたため、幼い頃から空を飛ぶことにあこがれていた宮崎監督が、珍しく自分の夢として描いた作品である。ハードボイルド的な男臭さ、三角関係の描写などが宮崎作品としては珍しい。実際、宮崎自身がその演出覚書において、「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のためのマンガ映画」にしたいと記している。以前から航空機の描写に定評のある宮崎監督なだけに、本作の空中戦の描写は秀逸であると高く評価されている。
本編制作中にプロデューサー鈴木敏夫の製作した宣伝用予告映像は、過激な空戦シーンを中心につないだ戦争映画さながらのものだった。まるで本編と方向性の異なるイメージで作られたそれに対し、宮崎は猛烈に怒ったという。
もともとは日本航空での機内上映用として製作が開始されたが、長編化したため劇場作品へと変更された。このため劇場公開より先に日本航空国際便で先行上映され、公開後も機内で上映された。
なお、2007年9月に日本航空国際線機内(一部機種をのぞく)で「紅の豚」の再上映が行われると発表された。※発表記事http://www.jal.com/ja/press/0001047/1047.html 及び http://www.jal.co.jp/jaltv/source/?s1=cm&s2=cm&s3=soraotobu&id=soraotobu-30
歌手の加藤登紀子が主題歌とエンディングを歌うと同時に声優としても出演している。
第一次世界大戦で戦勝国だったイタリアだが、扱いは敗戦国と大差は無く、国民から『栄光無き勝利』と呼ばれるまでに経済が不安定になっていた。この物語は世界大恐慌によって国民生活は破綻寸前となっている荒廃と混沌の時代が舞台となっている。
作中表記に拠ると1929年以降の物語[1]であり、1930年代の世界大恐慌ではなくそれ以前のヨーロッパ大恐慌時代であると考えられる。1922年にローマ進軍によって政権を掌握していたムッソリーニのファシスト党の独裁や女性のファッションなど1920年代前半の印象が強く、1929年当時とは多少異なる部分も見受けられるが当時の時代が比較的忠実に再現されている。また、この当時一世を風靡したアニメーション「ベティ・ブープ」が登場する。劇中歌「さくらんぼの実る頃」は、パリ・コミューン時に生まれた歌であり、ファシストの台頭に対する抵抗感の象徴とされている。
劇中、ポルコとカーチスの最終対決を前に騒ぎ立てる群衆を制するために、マンマユート団が機関銃と手榴弾による威嚇を行った際、それを見ていたポルコが10t爆弾でも使えばいいという内容のセリフを口にするが、実際に10t爆弾が開発されたのは第二次大戦後期である為、この当時には存在しない。実在の10t爆弾については、グランドスラム (爆弾)を参照のこと。
テンプレート:ネタバレ
賞金稼ぎポルコは空賊マンマユート団に襲われたバカンスツアーの女学校の生徒たちを助ける。ポルコに業をにやした空賊連合はポルコに対抗できるアメリカの飛行艇乗りカーチスを雇うことにした。幼なじみのジーナが経営するホテルアドリアーノへ出かけたポルコは、そこでカーチスと出会い彼の飛行技術の優秀さを知る。飛行艇の整備のためにミラノに向かって飛んだポルコは、飛行途中でカーチスに出会い撃墜されてしまう。
からくも一命を取りとめたポルコは大破した愛機とともにミラノへ向かい、馴染みのピッコロ社に修理を依頼する。人手不足のピッコロ社で修理を担当するのは17歳の少女フィオだった。当局の追及が厳しくなり、テスト飛行もしないままポルコはフィオを伴い愛機でミラノを飛び立つこととなる。
アジトに戻ったポルコはそこで空賊連合に襲われるが、フィオの強気な説得でカーチスとの再決闘に臨むことになる。カーチスは決闘に応じる条件として、賞品としてフィオを賭けることを要求し、フィオもそれを了承する。二人の決闘は、高度な飛行技術の競い合いとなるが、決着がつかず、ついに地上に降りたポルコとカーチスは殴り合いを始め、からくもポルコが勝利を得る。
そこへやってきたジーナが空軍の襲来を告げる。ポルコは、ジーナにフィオを託し、カーチスと共に空軍の前に立ちはだかり、皆を逃がした。
数十年後、成長したフィオは、いつものように、懐かしい仲間に会いにホテルアドリアーノを訪れる。そして、それを見守るように一機の紅い飛空挺が飛んでいくのであった。
物語に登場する飛行艇はいずれも実在した機体をモデルにしているが、機体の形状が実際とは異なっているものが多い。
サボイアS-21F後期型ポルコの愛機である飛行艇(ピッコロ社での改修後、設計主任フィオ・ピッコロのイニシャル「F」を冠する)改修前の「サボイアS-21試作戦闘飛行艇」は、たった一機だけが製作された試作機である。「過激なセッティング」の為、離着水性に難があり、軍用機としてイタリア空軍に制式採用される事無く「倉庫で埃をかぶっていた」ところをポルコがローンで購入した。ポルコ曰く、「一度飛んでしまえば、粘りのあるいい翼」。不調だったエンジン修理の為にミラノへ飛行中にカーチスと空戦になり、エンジントラブルが原因で被撃墜、半壊したことがF後期型へと改修された理由である。なおこの被撃墜は前述のローンを完済した直後である。ピッコロ社でポルコがピッコロ親父に見せられたエンジンには「GHIBLI」(ジブリ)の刻印がされている。また、このエンジンは劇中ではイタリア軍の戦闘機名であるフォルゴーレと呼ばれたが、原作ではポルコの愛機の名前であった。実際のフォルゴーレが搭載していたエンジンは、ダイムラーベンツ設計のアルファロメオ製V型エンジンである。実在した同名の飛行艇は複葉機である。これは宮崎が昔一度だけ見て印象に残ったものの、資料がないこともありそれが何だったか分からずにいた機体を再現したため。後の対談でモデルとなったのは「マッキ M.33」であると判明した。カーチスR3C-0非公然水上戦闘機ポルコの対抗馬であるカーチスの水上機。実在するR3C-2をカーチスが買い取り、改造したという設定。日本語版/フランス語版
テンプレート:スタジオジブリ
ar:بوركو روسوcs:Porco Rossode:Porco Rossoeo:Kurenai no buta (filmo)es:Porco Rossofi:Porco Rossofr:Porco Rossogl:Porco Rossohr:Porco Rossohu:Porco Rossoit:Porco Rossonl:Porco Rossopl:Szkarłatny pilotpt:Kurenai no butath:พอร์โค รอสโซ
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