DCエクステンデッド・ユニバース

ページ名:DCエクステンデッド・ユニバース

DCエクステンデッド・ユニバース

正式名称

DCエクステンデッド・ユニバース

別名

DCEU

種別

映画の作品世界

作者

初登場

DCエクステンデッド・ユニバース(DC Extended Universe)、略称DCEUは、DCコミックス原作/ワーナー・ブラザース制作による実写化スーパーヒーロー映画作品群が共有している世界観の名称である。コミックの“DCユニバース”と同じく、DCエクステンデッド・ユニバースも共通のテーマ、設定、キャスト、キャラクターが複数の作品でクロスオーバーしている。制作は2011年に始まり、2016年時点で3本の作品が公開され、さらに10本以上の企画が進行している。本シリーズは世界で興行収入23億ドル超を記録している。

マーベル・コミックスのマーベル・シネマティック・ユニバースがTVシリーズやコミック作品も包括した世界観であるのに対し、DCエクステンデッド・ユニバースは現在映画のみによる作品群となっている。DCコミックス原作のTVドラマシリーズの世界であるアローバースとは世界観を共有しない。

DCエクステンデッド・ユニバースの制作には複数名の監督、脚本家が携わっており、大勢のキャストが群像劇のようにシリーズに出演している。特に、俳優のヘンリー・カヴィル、ベン・アフレック、ガル・ガドット、エズラ・ミラー、ジェイソン・モモア、レイ・フィッシャーらはシリーズの複数の作品に出演(予定)している。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』公開後、DCコミックのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるジェフ・ジョーンズとワーナーのジョン・バーグ副社長がDCEUを共同運営することになり、ベン・アフレックもシリーズ映画に製作総指揮として参加することが決まった。

DCEU映画の第1弾は、これまでに公開されたスーパーマン映画のリブート作である『マン・オブ・スティール』で、その後『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と『スーサイド・スクワッド』が2016年に公開された。2017年には『ワンダーウーマン』と『ジャスティス・リーグ』の公開を予定している。

目次

歴史[]

過去の試み[]

DCコミックス原作映画による“ユニバース”(複数の作品で共有される世界観)形成の最初の試みは、1998年に遡る。当時、ケヴィン・スミス脚本、ティム・バートン監督のもと、スーパーマン役にニコラス・ケイジを抜擢した映画『Superman Lives』の制作が予定されていた。ブレイニアックがスーパーマンを殺すためにドゥームズデイを送り出し、スーパーマンの力の源である太陽の光を遮断するというストーリーで、ブレイニアックはレックス・ルーサーとも手を結ぶが、スーパーマンはクリプトンのロボット、エラディケーターによって蘇生される。ブレイニアックはエラディケーターのテクノロジーを手に入れようと企むが、スーパーマンは力を取り戻すまでのあいだエラディケーターから作られたアーマーを身にまとって戦い、ブレイニアックを破る。本作には、映画『バットマン』に主演したマイケル・キートンが再びバットマン役で出演することが予定されており、共有のユニバースが形成される予定だった。しかし、この映画はのちに制作中止となる。

2007年2月、ワーナー・ブラザースがマイケルとキーラン・マルルーニー夫妻をジャスティス・リーグ映画の脚本家に起用したと発表された。同じ頃、ジョス・ウィードン監督によるワンダーウーマンの映画化や、デヴィッド・S・ゴイヤー監督・脚本によるフラッシュの映画化が中止されたことが明かされた。マルルーニー夫妻脚本の映画のタイトルは『Justice League: Mortal』で、脚本を受け取ったワーナーの好意的な反応を受け、2007年-2008年全米脚本家組合ストライキが始まる前に撮影を始めようと、早急な制作が行われた。『スーパーマン リターンズ』の興行収入に失望していたワーナーは新作をその続編にしようとは考えず、ブランドン・ラウスやクリスチャン・ベールは『Justice League: Mortal』におけるスーパーマン役候補から除外された。ワーナーは『Justice League: Mortal』を新シリーズの第1弾にして、そこからスピンオフを展開するつもりだったが、結局この映画化計画も頓挫してしまった。

2014年1月1日、ワーナー・ブラザースが既に公開済みの『グリーン・ランタン』(2011年)を第1作とするシネマティック・ユニバースを作ろうとしていることが明かされた。『グリーン・ランタン』の脚本家であるマイケル・グリーンやマーク・グッゲンハイムによる『The Flash』の草稿は2011年に作成されており、ハル・ジョーダン(ライアン・レイノルズ)がフラッシュと対面するシーンが予定されていた。最終的に、本プロジェクトは『グリーン・ランタン』の興行が振るわなかったことを理由にキャンセルされる。

DCEUの誕生[]

DCEU第1弾『マン・オブ・スティール

2011年の『グリーン・ランタン』が成果を出せずに終わった後、スーパーマン映画のリブートに焦点が当てられ、2013年に『マン・オブ・スティール』が公開されるに至った。この映画の劇中にはDCユニバースの他のキャラクターへの言及が含まれており、もし興行的に成功すれば、マーベル・シネマティック・ユニバースと同じ手法で共通世界の作品を制作するというプランになっていた。2013年6月、ザック・スナイダー監督とデヴィッド・S・ゴイヤーが引き続き『マン・オブ・スティール』の続編に携わることが発表され、ワーナーによる急ピッチな制作の末、2016年3月に『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が公開された。ゴイヤーはもともとスーパーマンの登場する映画3本(『マン・オブ・スティール』、『バットマン vs スーパーマン』、『ジャスティス・リーグ』)分の契約を結んでいた。

2014年10月、ワーナー・ブラザースは9本の映画タイトル、公開予定日、キャスト数名の情報を公開した。同月、DCコミックスのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのジェフ・ジョーンズはマーベル・スタジオとは異なるシネマティック・ユニバースへのアプローチ方法を説明し、「これはマルチバースなんだ。私たち(DC)にはTVのユニバースと映画のユニバースが存在するが、これらは共存している。そのおかげで、私たちは創造的なやり方で最高のプロダクトを生み出し、最高の物語を、最高の世界で繰り広げることが可能になるんだ。誰しもビジョンがあり、そのアイデアを輝かせたいと思うだろう…これは(マーベルとは)異なるプローチなんだ[1]」と語っている。2015年6月には、グレッグ・シルバーマンもDCの映画ユニバースへのアプローチを次のように説明した。「私たちにはDC映画に関する素晴らしい戦略があります。皆さんに愛されているキャラクターを熟練の映画製作者たちの手に委ね、各作品を確実に調和させるつもりです。『バットマン vs スーパーマン』や『スーサイド・スクワッド』、『ジャスティス・リーグ』など、私たちが取り組んでいる作品を見てくだされば、今までとの違いが分かっていただけるでしょう」。さらにシルバーマンは、今後のプロジェクトのために複数の脚本家を雇っていることに関し、「各プロジェクトはそれぞれに異なっています。脚本家がチームで取り組んでいるプロジェクトもあります。また、組んだことが無いもの同士でチームを作ることもあり、そうすると、チームの中の1人だけが的確な意見を口にするなんてこともあるんです[2]」。

DC Films logo

DCフィルムズのロゴ

2016年5月、ワーナー・ブラザースがDCエクステンデッド・ユニバースの制作現場で大規模なリストラを行っていると報じられた。『バットマン vs スーパーマン』への批判を受け、ワーナーは2016年5月に「DCフィルムズ」部門を設立し、ジェフ・ジョーンズとワーナー・ブラザースのジョン・バーグ副社長をトップに据えた。DCフィルムズのプロダクション・ユニットはDCエクステンデッド・ユニバースの制作を監督し、矛盾のないクリエイティブな展開を作っていくことになった。また、ジョン・バーグは今後の映画のプロデューサーも担当する。DCフィルムズは完全に独立した組織というわけではなく、ジョーンズはDCのダイアン・ネルソン社長に、ジョン・バーグはワーナーのクリエイティブ・デベロップメント部門のグレッグ・シルバーマン部長にそれぞれ属している。2016年5月下旬、DCフィルムズのリストラの一環として、チャールズ・ローヴェンが2005年の『バットマン・ビギンズ』以来の役職であるDC原作映画のプロデューサーを降り、エグゼクティブ・プロデューサーとなることが発表された。

名称について[]

シリーズの制作がアナウンスされた後、ファンやメディアは「マーベル・シネマティック・ユニバース」に倣い、この作品群を「DCシネマティック・ユニバース」と呼んでいた。2014年の11月、アメリカンコミックの大手情報サイトNewsaramaは本シリーズを「DCシネマティック・マルチバース」と呼び、同12月にはDCコミックスのウェブサイトが非公式に「DCシネマティック・ユニバース」という名称を使った。2015年7月、エンターテイメント・ウィークリー誌はサディエゴ・コミコン直前号の予告サイトで「DCエクステンデッド・ユニバース」という名称を初めて使用した。しかし、実際に発売された雑誌ではこの名称は使われず、2014年10月のワーナーの発表を「拡張されたユニバースの計画(a blueprint for an extended universe)」と描写するにとどめた。2015年7月末、エンパイア誌によってユニバースの名称が「DCエクステンデッド・ユニバース」であることが正式に認められた。

ラインナップ[]

タイトル公開日(米)公開日(日)監督脚本現状
マン・オブ・スティール2013年6月14日2013年8月30日ザック・スナイダーデヴィッド・S・ゴイヤー
クリストファー・ノーラン
公開済み
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生2016年3月25日クリス・テリオ
デヴィッド・S・ゴイヤー
スーサイド・スクワッド2016年8月5日2016年9月10日デヴィッド・エアーデヴィッド・エアー
ジャスティン・マークス
ワンダーウーマン2017年6月2日2017年8月25日パティ・ジェンキンスアラン・ハインバーグ
ジェフ・ジョーンズ
ポスプロ
ジャスティス・リーグ2017年11月17日2017年11月18日ザック・スナイダークリス・テリオ

脚注[]

  1. "The Man At The Center Of DC's TV Multiverse". BuzzFeed
  2. The Hollywood Reporter

外部リンク[]

  • DCコミックス 映画 - ワーナー・ブラザース
  • DCエクステンデッド・ユニバース ‐ フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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