ページ名:アラタ
とある平日の自分語り-

 

昨夜もまた同じ夢を見た。

私が魔法の世界で楽しく遊んでいる夢。

 

これで何回目だ。毎日見ている。

 

現実になんてなるわけがないのに。

 

今日もその夢とはかけ離れた1日が始まる。

 


いつものように学校へ行くと彼が待っていた。

「おはよう、アラタ。」

小学校からの幼馴染。

真っ赤な瞳をしたダルメシアンの獣人。

彼は容姿成績共に優秀で学校の人気者。

幼馴染の私は彼の事が好きな同級生の女の子らから、彼の好きなものは何かなんて聞かされるほどだ。

「今日も浮かない顔だね。」

「…毎日そうじゃん。」

幼馴染なのかあれだけ人気者なのにどうしても私につきまとってくる。

そんなにつきまとっていたら噂にされてメンドクサイ事になるだけなのに。


現代文の授業で見つけた言葉。

酔生夢死。

簡単に言えば、人生に何も価値を見出せずに死ぬこと。

これほど私に当てはまる言葉はない。16歳にして人生やるだけやったのではないかと感じてしまう。

キッカケはたくさんあったけど、ふとした時にはこんな生き方になっていた。好きなものにも全然手が出ないし、人付き合いも面倒。

成績上位とは言われている。けれどこれは私に残された生存本能みたいなもので、その成績は将来生きるための免罪符。卒業後の人生設計なんてのも全然考えてもいない。現実逃避そのものの行為である。私は人間社会に向いていない。

生きたくもないけど死にたくもない。私ってなんてめんどくさい生き物なんだ。


下校の時間、彼が待っていた。いつも以上に私を心配をしていた。

「このままだとアラタがどうにかなりそうで心配で…」

 

私のことを考えるより自分の損得を考えたらどうなの。私に関わる必要なんてないのに。

 

「俺にできることなら言って欲しい。」

 

どうして私に構うの。昔と違って私にはもう何もないのに。

 

「そう、それなら………」

 

彼の執着のしつこさに苛立ちしていたいた私はついに

 

「…………………」

 

「…わかった。アラタがそう言うのなら。」

 

表情何一つも変えなかった。私の中の何かが消え去った。彼はもう一度私を見てから後にしていく。

 

思ったよりも呆気なかったな。

ただでさえ長い夕影でさえ二人を離していった。


家に帰ると勉強、夕食を済まし、ぼーっとしてしばらくしたらお風呂に入り、上がったらすぐ寝る。乾かして手入れした私の髪も知らないままこんなに伸びてしまった。

今日もまた夢を見るのだろうかと小さくため息をつきながら横になる。

 

……………

 

…未だに下校中の出来事が脳裏から離れない。私は今更、彼に対しての振る舞いにひどく後悔をした。どうしてこうなったのだろう。

 

悲しくて、悲しくて、涙が止まらない。

 

今夜、なぜかいつも見ていた夢を見る事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私のポーラナイトはどこへ行ったの…?」

 

 

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