【名前】セン・ヴィベレ
【能力】ナチュラル(使える能力はなし)
【性別】男の子
【年齢】20
【身長】175cm
【一人称】俺
【二人称】名前呼び捨て、お前、たまにさんづけ、ごくまれにあだ名
【好きなもの】煙草、エナジードリンク
【苦手なもの】束縛、イズレンディアのパワハラ
「あー……クソだりぃな……」
「台パンはわかる……でもパチ台解体する奴がどこにいんだ……勘弁してくれ。」
「俺は、元からお前のものじゃねぇから。」
【詳細】
くすんだ金髪に白い毛並みの猫獣人の男性。
チャラ男ではなくあくまでもクズ。
積極的に女の子を引っかけようと思っているわけではないが、寄ってきた女の子は適当に受け入れ流れでそのままふしだらな関係になる。相手の名前も覚えようとしないこともある。
記憶力が悪いわけではなく興味が薄いことにはとことんどうでもよく覚えようという気がないだけ。
ちなみに相手がどう捉えていようが付き合っているとも思っていない。
そんな調子なのでたまに勘違いした女性を泣かせてしまうことが多いが、本人は「こんな俺(クズ)だってわかって寄ってきたはずなのに被害者なのかぁ……」と思っている。
でも泣かれるのはクソめんどくさくて嫌なので、その場しのぎで適当に慰めるためにハグしてその夜を共にすればいいんだろと対応する。今の所それでうまく収まっているようだがいつか刺されてもおかしくはない。
貢いでくれる女性もいるが、貢がせよう!と思っているわけではなくただ相手が買ってくれるので買ってもらっている。
「○○ほしいな~」とか言うと勝手に女の子が買ってくれるので受け入れているだけ。
特にほしくないものでもいらねえと言って揉めるのも面倒なので一応受け取る。
が、内心くだらねーと思っている。
記念日やイベントごとも職場のイベント日にあてられるのが面倒だなと思っている程度であまり積極的に参加するタイプではないが、女の子が望めばしかたねーからと言ってプレゼントを用意したりどこかへでかけたりもするためそういう微妙な優しさに絆されている女の子が多いようだ。
仕事に関してはやはりしっかり打ち込むわけではないが、バイトなりで職歴が途絶えたことはない。
自分がクズだという自覚はあるが、働いていないと更に歯止めが効かなくなると感じている模様。
イズレンディアのパチンコ店で働くようになったのは給与がそれなりに高かったからだが、人材不足で激務の上にイズにこき使われ無茶振りまでされるので給与をあげろと思っている。
イズのことは普段はさんづけでたまにてんちょーとかオーナーとか呼ぶが、焦った時やとっさの時は呼び捨てにしてしまう。(陰口のときは陰険エルフ、嫌味野郎と呼んでいるがバレたら殺されそうなのであまり言わない)
普段からパワハラまがいの無茶振りを要求されてその度に「やらねー」「いやっす」と断っているが、最終的には言い負かされるというよりは根負けして怒りながらも引き受けることになっている。
無口で無表情そうと思いきや意外と表情豊かで喋るのは嫌いではない。
ただ本人いわく「煙草を吸っているのは余計なことを喋らないように」のためなにか思うところがあって口を閉ざしがちのようだ。
口調は荒いがあまり「バカ」や「アホ」のような直接的な罵倒はしない。
大抵眉間にシワを寄せてぼーっと煙草を吸っているか、へらへらと冗談として嘘をついている。
嘘や冗談は能力について言及されたときや幼少時のことを尋ねられたときにかなり如実に出る。
僕はセン。
お父さんがセンって名前は「夢」って意味なんだよって教えてくれた。
僕の夢は隣に住んでいる幼なじみのーーーみたいにエル×ナチュラルになって回復魔法でみんなを癒してあげたい!なんだけど、僕は生まれつき「魔眼」を持っているヴァイスだからそれは難しいかもねってお母さんに言われた。
魔の力が宿っているって言われてもよく分からないし、全然使いこなせないんだ。
目を見て名前を呼びかければ相手に暗示をかけたり任意の行動をさせられるって説明されたんだけど、にんいってなんだろ?
1回お母さんに魔眼を使ってアップルパイたーくさん焼いてもらったらお父さんにそんなことに使うんじゃないってものすごく怒られてからはもう使っていない。
だからないのとおなじだしナチュラルみたいだなって思っているから、お揃いみたいだねってーーーと言っているんだ。
僕とーーーが14歳になる頃、ーーーは病気にかかった。
体が花になり散って消えていく狂花病という奇病らしい。
どうしてーーーが……
ーーーはエル×ナチュラルの力でたくさんの人を癒してきた。
なのに、どうしてその力で治せないんだ。
僕がエル×ナチュラルならーーーを治せたのか……こんなどうでもいい魔眼なんて能力じゃなく治癒能力や他の魔法が使えれば……
そんなことを考えながら病室の扉を開けると同時にーーーの叫び声が聞こえた。
ベッドに駆け寄ると布団を乱暴にめくり涙も流せずに目を見開いたーーーが自分の足だった場所を息を荒くして見つめていた。
セン、くん……わ、わたし、わたしの足が……
僕が開いたままだった扉から風が通り過ぎ病室に花びらが舞った。
白い花びらだった。
医師や看護師がバタバタと病室に入り僕は廊下に押し出された。
僕と一緒に数枚の花びらが扉から吐き出された。
中では何か処置がされているのだろうか。
一人の看護師が今日はもう面会できないと僕に言い、小走りにどこかへ行ってしまった。
家の前まで着くと父さんと母さんがーーーの両親の荷物を運ぶのを手伝っていた。
ーーーの両親は担当医に呼び出されたと言っていた。
頭にあの部屋にまるで雪のように舞っていた花びらが思い出され、僕は吐き気を覚え早く行ってあげてとだけ声を絞り出して家の中に入った。
父さんと母さんは僕を心配してくれたけれど、何も考えたくなくてその日は部屋から出なかった。
眠ろうとしてもあの光景が夢に現れその度に跳ね起きとても休めなかった。
次の日、僕は父さんにーーーといつ面会できるのか聞いた。
父さんは少し困ったような顔をしてーーーの両親に聞いてみるよと言ってくれた。
実際に会えたのは1カ月後だった。
あの時花びらになったのは右足だったのに久しぶりに会ったーーーは左足の膝下もなくなっていて車椅子に座っていた。
センくん、ちょっと久しぶりだね。
それなのに、ーーーはそう言って僕に笑いかけた。
僕はたくさん言いたいことがあったけれど、ーーーが笑うなら僕も笑わないとと思ってただ久しぶり、と言いーーーの手を握った。
細い指、華奢な腕、この手で回復魔法をかけているのを何度も見た。
僕が走って転んだ膝、二人で両親にご飯を作ろうって言って火傷した指先、その度にーーーは暖かな光で癒してくれた。
それなのに、それなのに……僕は……
センくん?
はっと顔をあげてごめん、ぼーっとしていたと謝った。
病に冒されているのはーーーなのに僕のほうが心配されてどうするんだ。
きっとーーーは完治してまた二人で学校に行って放課後は外出して門限に遅れてまとめて怒られて、二人で怒られちゃったねなんて言って笑うんだ。
帰り道、一人になると必死に散らした言葉たちがまた集まって固まって息が出来なくなる。
幼い頃からエル×ナチュラルとして優秀な治癒能力が使えるーーーは成長すれば更に力が付くはずだ。
なら、自分は?
未だに自分の能力を使いこなせず持て余している。
ーーーには及ばなくてもせめてこの能力でーーーを救えたらよかったのに。
僕のこの能力は人の意識も操れるらしいけれど、物騒なことに死に誘導することはできても生に向かわせることは出来ないらしい。
お前は病気じゃない、のような暗示はかけても効かず無駄打ちになる。
何の意味が無い。
こんな能力じゃーーーを助けることは出来ない。
僕はーーーに何もしてあげられない。
殺したい相手なんかいない。
生かしたい相手しかいない。
もし殺したいとすればそれは…………
ある日病室に行くとーーーは左手の人差し指を失っていた。
またある日は右手の小指、ある日は中指……
ある日は、ある日は、ある日は……
発症してから1年後の日の面会中、ーーーはふと真面目な顔で僕に話しかけた。
わたしたちも15歳になるね。
……センくん、あのね、大事な話があるの。
何故か僕はそれを聞くのが無性に怖くなった。
わたしね、あの……ずっとセンくんのこと……
やめてくれ!!!!!
ベッドに備え付けられているテーブルを叩いた。
しん、と音がした。
怒っているわけじゃないんだ、ごめん……急だからびっくりして……その話は明日改めてしてくれないかな……
ーーーは笑って、
そうだね、ごめんね。
いきなりだったよね。
と不自由な体で少し身じろぎした。
僕はそれを見てまた明日必ず来るからその時に話そう、と席を立った。
病室から出ていくときーーーは
またあしたね。
といつもの笑顔で首を横に傾げて言った。
僕は軽く手を振って扉を閉めた。
それが僕とーーーの最後の会話だった。
次の日病室に行くとベッドにーーーはいなかった。
不思議に思って「ーーー?」と呼びかけながら布団をめくると、紫の花びらが何枚も、何枚も落ちていた。
そこからの記憶はひどく曖昧だ。
ナースコールを押した気がする。
最初にーーーの足が花びらになった時のように医師たちが部屋に駆け込んできた気がする。
その勢いで紫の花びらはベッドから舞い上がり僕の目の前で見せつけるように床に落ちていった。
どうやって家に帰ったかも、ーーーの葬儀も、よく覚えていない。
父さんと母さんがとても心配してくれていたことだけは覚えている。
寂しい。
手を伸ばさなくても触れられた柔らかい髪の毛も、毛玉ができるとよく手入れしていた長毛の耳も、もうどこにもない。
寂しい。
寂しい。
寂しい。
寂しい。
気がつくと知らない女性に慰められていた。
ーーーには似ても似つかないタイプだった。
少し年上の香水の香りがする美人。
その日から俺は自分の寂しさを埋めるために自分に寄ってくる女の子は全員受け入れた。
今まではーーーがいるからと言って遠ざけていたけれど、彼女はもういない。
相手のことなんてどうでもいい。
自分の気を紛らわせればそれでいい。
弱音を吐く自分の口を噤むために、煙草を吸い始めた。
ため息と煙が混ざって空気に吐き出されていくと、誰かに泣きついてしまいそうな時でも思い出したくない記憶と聞かれたくない言葉が霧散したように感じて少しは気が楽になった。
それから、
それから、能力もナチュラルを自称するようにした。
使えない能力ならば持っていないのと変わらないし、ーーーと同じベース能力を自称するのは自分の贖罪を意識したかったからかもしれない。
悔恨、慚愧は消えない。
稀に能力がバレそうになったときに相手に忘れさせるため、魔眼を使うことがあったがその度に人を操り万能になったつもりか、ただ一人大切なーーーを救うことすらできなかったくせに、自分の能力をなかったように振る舞いたいなどというエゴのためだけに魔眼を使うことこそがこの使えない能力と同じように自分もまた無能だと自覚し嫌悪する一方だった。
未だに花びらを見るとゾクリとする。
これは本当に咲いていた花なのか。
それとも、あの時部屋に舞い、扉から逃げ出した花びらのようにこれもまた、どこかの誰かが花になった証なのか。
どんなに誰かを抱きしめても本当は寂しさは消えない。
偽りの愛を囁いてもあの日のぬくもりは戻らない。
埋まらない寂寥感。
それでも俺はこの後悔と哀情を抱いたまま、氷解しない水火の想いを煙に混ぜて吐き出して生きていくしかない。
あの日、ーーーが言いたかっただろう言葉は想像がつく。
怖かった。
失うことが分かっているのに、その言葉を聞いてしまったら……
そう思った。
けれど、結果は同じだった。
聞かなかったことの自責の念があるなら最初からーーーの話を聞くべきだった。
聞かなくても今も呪いのように残響する記憶になっているのに、そんなことすら甘えたで馬鹿だった過去の俺は選択できなかった。
そもそも
俺も、
ずっと、
ーーーのことが……
こんなことを思ったところで何もならない。
苦しみ抜いた先でーーーがまた笑ってくれる、そんなことはなんの慰めにもならない。
俺の罪は、許されない。
許されてはいけない。
【好き】サラサ・フォルテメナーエ
【嫌い】自分、詮索
【本当の能力】ヴァイス
【使用可能能力】魔眼
【魔眼について】
目を合わせて相手の名前(本人が自分のことだと認識している呼称で良い、つまり偽名でも可)を呼びかけて心の中で念じれば相手を操ることが出来る。
その際別のことを話ながらでも使用できる。
死へ誘う行動を誘導することも可能。
・弱点
必ず直接目を見なければいけない。
画面越し、鏡越しは不可。あまり離れていても効力なし(要検証)
24時間中に使用できる回数は3回。
また、1度魔眼を使用した相手には24時間中2度目は使えない(24時間経てば使える)
使用回数を超えて魔眼を使おうとしてもペナルティはない(目に激痛が走り血が出る程度)が単純に発動しない。つまりその間は無能力と同じ状態。
生へ誘う行動は引き起こせない。
病気が治る、死ななくなる、怪我をしなくなる、などは不可。
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