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2000系気動車(2000けいきどうしゃ)は、四国旅客鉄道(JR四国)と土佐くろしお鉄道の特急形気動車。製作年度により以下の3種類がある。この3種類は相互に連結して運転することが可能で、柔軟に運用することができる。
四国島内の高速道路網整備に伴い、特に四国山地を横断し急勾配・急カーブが続く土讃線において、特急列車の速度向上を目的としてJR四国と鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が共同で開発し、1989年(平成元年)に富士重工業で2001・2201・2101の3両が製作された。3両の詳細は以下の通りである。ちなみに、試作車の愛称“TSE”は、“Trans Shikoku Experiment”(四国横断実験)の略である。
西暦2000年を目前に開発されたことから、『2000系』という、日本国有鉄道(国鉄)式の「キハ」等の文字を使用せず四桁数字だけで表記する私鉄車両のような形式称号が付与され[1]、以後、JR四国の新型車両は1000形気動車、7000系電車、8000系電車、6000系電車、5000系電車、1500形気動車と四桁数字だけの形式称号を名乗ることとなった。
エンジンから台車への動力伝達の反作用から困難とされてきた振り子式気動車を、2つのエンジンから生じる回転力を相殺させることにより実現[2]し、また遠心力による車体傾斜に先行して機械的に車体傾斜を生じさせ乗り心地の改善を図る制御付自然振り子が採用された。制御つき自然振り子はあらかじめ走行線区の線形データを記憶させ、これに応じて車体傾斜させるため、線形データが入っていない線区では振り子が使用できない。また、宇野線・本四備讃線では振り子を使用しない。振り子機構はコロ式。振り子作用時の車体最大傾斜角は5°で、曲線半径600mで本則+30km/hの120km/hの運転を可能とした。最高運転速度は120km/h。
エンジンはコマツ製の直噴式SA6D125H形で出力は330ps。JR四国での社内制式名称はないが、東日本旅客鉄道(JR東日本)ではこのエンジンにDMF11HZという社内制式名称を与えている。新潟コンバータの直結2段式液体変速機TACN22-1601との組み合わせで、25パーミル上り勾配での均衡速度は95km/hを達成している。
ブレーキシステムは電気指令式空気ブレーキで、制動距離の短縮のために機関ブレーキ、排気ブレーキを併用している。重心を下げるため車輪径を810mmに小径化し、客用扉部分のステップをなくす(TSEおよび量産車導入に際しホーム高さの低い駅は嵩上げが行われた)とともに、ステンレス製の車体外板に1.2mm厚(通常の軽量ステンレス車は1.5mm、他はJR東日本209系0番台車に例がある程度)の薄いものを使用して車体の軽量化を図っている。連結器は密着自動連結器が採用された。
客用扉にはプラグドアを採用。キハ185系に合わせて片側2箇所となっており、これは量産車や8000系電車も同じである。また、客用扉が開いたまま動き出しても、5km/hを超えると自動的に閉まるようになっている。
座席、冷房吹き出し口はキハ185系の流れをくんでいたが、AV装置を搭載して前面展望の映像を流したり、座席は少し窓側を向くように固定できるようになっているなど、団体専用列車としても使用できるような設備とされていた。また座席の前後間隔はキハ185系より40mm拡大した980mmとしている。また連結面の幌の内側には化粧板パネルが設けられていた。テープ式の自動放送装置やLED式車内案内表示装置、行先表示器(2201を除く)を備えている。
振り子式気動車としては世界初、制御付振り子式車両としては日本初で、鉄道友の会「ローレル賞」「日本機械学会賞」を受賞した。
2000系量産車「しまんと」
試作車両「TSE」での性能試験を経て1990年から富士重工業で量産された車両である。最高運転速度は120km/h。
非貫通のグリーン・普通合造車(2000形2002-2011)はこのときから登場している。またグリーン車非連結の運用に対応するため、2100形と同じスタイルで振子制御装置を搭載した2150形 (2151-2157) が追加された。
先頭車には字幕式の列車愛称表示器が設けられたほか、前面ブラックフェイス化による昼間時の遠方視認性低下を考慮して、前照灯・尾灯ユニット付近に警戒色(黄橙色)が入れられた。
TSEの座席は在来特急車両と同じく全面モケット張りであったが、量産車では背面をFRP製化粧板で覆ったバックシェルタイプとされた。座席の前後間隔はグリーン車はキハ185系より10mm拡大した1170mm、普通車はTSEと同じ980mmとしている。TSEにあった各席の荷物棚下の冷風吹き出し口はなくなった。またLED式の号車番号表示器が設置され、車内の仕切扉の機構はTSEの空気式から電気式に、連結器はTSEの密着自動連結器から密着連結器+電気連結器に、自動放送装置はテープ式から音声合成式にそれぞれ変更された。
土佐くろしお鉄道所有の4両(2030、2130、2230、2231)は車体中央に土佐くろしお鉄道のロゴマーク (TKT) が、2030と2130は車端に高知県のロゴマーク(国民休暇県高知)がそれぞれあること以外はJR車と同じ仕様で製造され高知運転所に配置された。車両番号は十位を3として区別している。
当初のねらい通り、従来キハ181系やキハ185系により運行されていた岡山発着の「しおかぜ」「南風」の大部分を置き換え[3]、運転開始当初は、宇多津駅 - 高松駅間には入線しなかった。
1989年、瀬戸大橋上での騒音対策のため、キハ181系およびキハ185系の特急列車に関して以下のような措置が取られた。
2000系も同様に、当初は神道山トンネル - 北備讃瀬戸大橋中央付近で65km/h運転を行ったが、曲線通過速度や最高運転速度の引き上げにより、従来より最大で40分近く短縮された。なお、2000系が使用される特急列車が電車と同じ95km/hで減速区間を通過し、全列車を児島駅に停車させた上で、JR西日本とJR四国の乗務員交代をすべて児島駅で行うようになったのは、「うずしお」以外は1993年の8000系電車投入のダイヤ改正から、「うずしお」は1998年(平成10年)のダイヤ改正で岡山直通列車がN2000系とされてからであった。
2007年(平成19年)現在、松山運転所・高知運転所・高松運転所に59両が在籍するが、グリーン・普通合造車の2000形および中間車の2200形は高松運転所には配置されていない。その内訳は以下の通り。
特急「しおかぜ」「いしづち」「宇和海」「南風」「しまんと」「あしずり」「うずしお」「ミッドナイトEXP高松」「ウィークエンドEXP高知」で使用されている。
JR西日本広島支社に貸し出され、芸備線で走行したことがある。
土佐くろしお鉄道所有の2000系は1990年11月の運用開始時は4両が同じ運用に入っており、後にバラバラで運用されるようになったが、ピンク色の「アンパンマン列車」となった後は、4両固定編成で運用されている。2007年ごろには、大半の車両の客用扉が窓ガラス面積の小さいものに交換され、2008年からは同年3月15日の完全禁煙化に先行して、すでに喫煙車として運用されない車両では肘掛けの灰皿の撤去も行われている。
なお、2005年3月2日に土佐くろしお鉄道宿毛駅構内で発生した列車衝突事故で、3両編成のうち先頭車 (2008) および中間車両 (2218) 計2両が大破した。宿毛駅復旧作業の開始により、当初は現地にて解体搬出の予定だったが、大型クレーンでつり上げて撤去された(2008と2218は同年3月31日付で廃車)。比較的被害の少ない最後尾の車両 (2116) は編成から切り離され、多度津工場へ回送・修理された後に営業運転に復帰した。
宿毛駅の営業が再開した2005年11月1日以降、解体された2両の代替新造は果たされていないが、その代替分として松山運転所の2006[4]が高知運転所配置とされ、続いて2006年3月18日付けで2206も同所に転入した。予備のすべての車両が高松運転所と松山運転所と高知運転所との共通運用となっている。
量産車の一部は「アンパンマン列車」として運転されている。数回のリニューアル後、車内を「アンパンマン」の内装にし、車内チャイムもオルゴールの「アンパンマンのマーチ」に変更する改造が実施された。特に2000形の普通車指定席部分は「アンパンマンシート」となっており、座席や内壁にアンパンマンのキャラクターが描かれている。また、2008年12月27日からは「アンパンマン列車」の始発駅と終着駅の車内放送がアンパンマン(声:戸田恵子)の声で流れるようになった。
2011年3月現在、「アンパンマン列車」として運転されている車両は以下の通り。
N2000系「うずしお」(2003年8月13日 徳島駅)
高徳線において最高速度130km/h運転を行うために、本系列を基本に1994年(平成6年)に製造された智頭急行HOT7000系の技術をフィードバックして製造した改良型である。そのため、このグループはN2000系と通称される。在籍する16両のうち、編成を固定のうえで限定運用されるのは12両のみで、その他の車両は予讃線・土讃線でも運用される。全車が富士重工業で製造された。
搭載エンジンの出力は330馬力から350馬力(コマツ製SA6D125H-1A)に増強され、基礎ブレーキ装置も量産車の踏面ブレーキからディスクブレーキに改められ、滑走防止装置が搭載された。また、環境問題を考慮して、冷房装置の冷媒には代替フロンが使用されている。客用扉のロック方式が量産車と異なり、5km/hを超えると「パスッ」の動作音とともにロックされる。
1995年(平成7年)に先行車2両(2400形2424号および2450形2458号)が落成、1997年(平成9年)に2500形が量産車として落成し、同年の年末年始繁忙期輸送で営業運転を開始した。1998年から量産車の先頭車が登場し、最終的に量産車は3形式合わせ14両が製造された。2424のみ当初は高知運転所に配置されていたが、後に高松運転所に転属し、現在は全車両が高松運転所に配置されている。先行車は従来車と外観や座席はほぼ同じだが、量産車は前面もリニューアルされ、貫通型高運転台構造のスタイリッシュなデザインとされ、車体外装も紺色と赤のツートンカラーとされた。座席は全面モケット張りとされている。座席の前後間隔はTSE、量産車と同じ980mmとしている。グリーン・普通合造車はなく、2400・2450・2500の各形式があり、車両番号は従来車の続番+300とされた。
特急「うずしお」「南風」「しまんと」「あしずり」「ミッドナイトEXP高松」「ウィークエンドEXP高知」、朝の伊予西条発高松行「いしづち4号」で使用される。ごくまれに「しおかぜ」としても運用される。
本系列に設置されているトイレは、2400形が洋式であるほかはすべて和式である。従来、JR四国は地域性を理由に車内トイレの洋式化を見送っており、6000系電車では和式トイレが設置された。しかし、交通バリアフリー法制定後、1000形気動車に追加設置されたトイレや1500形気動車では車椅子対応の洋式とされた。8000系電車のリニューアルでも5箇所中3箇所は洋式(1箇所は落成時から洋式)とされている。
なお、2010年度のJR四国の事業に盛り込まれたリニューアルによって2400形以外にも洋式のトイレが設置される予定である。
2000系量産車は登場から20年が経過し、行先表示機や室内設備の老朽化が目立っていた。そこで一部の車両について2010年から室内設備のリニューアルを図ることとなった。対象は2000系38両(うちグリーン席付き車9両)、N2000系12両の先頭車両 計50両[5]で、中間車は対象外となる。
コンセプトは8000系のリニューアル時に掲げていた「癒しの国四国」を踏襲し、床や壁、デッキを木目調とし、腰掛けモケットを変更した。また、2000形の一部のトイレを洋式化し、ベビーシート・ベビーキープを設置。2100・2150・2450の各形式は和式トイレのままだが壁面と便器をリニューアルする。なお、アンパンマンシートについては変更なし。
2010年9月24日、完成した普通車先頭車 (2121) が報道陣に公開された。同年以降年間で7、8両の改造を予定している[6][7]。
2011年1月現在以下の車両がリニューアル施工済である。
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