ボーイング757

ページ名:ボーイング757

登録日:2016/11/03 Thu 19:42:10
更新日:2024/01/29 Mon 13:21:45NEW!
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航空機 飛行機 旅客機 ボーイング ボーイング757 b757 ナローボディ機 日本では影が薄い トランプの自家用機



ボーイング757とは、米国ボーイング社が製造していたナローボディジェット旅客機である。
日本では影が薄いが海外、特にアメリカでは大西洋線でB767並の勢いで「迷ったらこれ」状態で使われている。


▽目次


概要

双発のナローボディジェット旅客機。
B727の後継を狙って開発された機体である。
B767とは高度に共通化されており、実質「ナローボディ版B767」とも言える機体。


最近ではアメリカ大統領のドナルド・トランプ氏の自家用機(トランプ・ワン)としても有名かも。


開発の経緯

概要でも述べた通りB727の後継機として開発された。


当初はB727の改良型である「B727-300」が計画されていたが、実際に航空会社に話を聞くと「727自体がもう基本設計からして古い」と言われてしまった。
この時点で727-300計画には既に5000万ドルPON☆と出したぜしていたが、
肝心の航空会社が否定的な回答をしてしまったので計画は破棄され、完全新規開発となった。


一方、並行して開発されていたのが7X7…つまり後のB767。
そこでボーイングの中の人はふと思いついた。
「なんならこいつの派生機として作っちゃえば手っ取り早くないか?」
そんな訳で本機の開発は「7N7」としてスタートした。ちなみにこの時点では尾翼はT字尾翼だったらしい。理由?727のパーツを流用するためだよ、言わせんな恥ずかしい。


7N7の胴体設計そのものは727のものを流用しているが、主翼は新規開発のものとなり、エンジンも高バイパス比ターボファンエンジンを主翼に取り付ける方式となった。


当初はB727の後継機という事もあり、727との共通性を持たせる方向だったが、
計画が進むにつれて「退役が進む727よりも"元ネタ"である767との共通性をもたせた方がいいんじゃね?」となり、
767との共通性を持たせる方向に変更された。
まあ元々767の兄弟機として設計された機体だし


ローンチカスタマーはイースタン航空となった。


特徴

767の兄弟機というだけあり、胴体がナローボディである以外は(特に内部的には)767と高度に共通化されている。
2人乗務体制でグラスコクピット方式の操縦室も含めて。
そのため757・767はどちらかの免許を取得していれば両方の操縦ができるためパイロット育成コストの削減や確保も容易になっている。


エンジンもまたB767と共通化が図られており、ロールス・ロイス RB211、プラット&ホイットニー PW2000、ゼネラル・エレクトリック CF6のいずれかを搭載している。
…が、このエンジンは180-200人乗りのナローボディ機としてはかなり強力な部類に入る(ぶっちゃけると767のエンジンを737やA320につけているようなもんである)。
このため、


空港にて…
後続機「お、あれがボーイングの新型か…随分ちっこいな、まあアレくらいなら後ろにピッタリくっついても大丈夫だろう」
管制塔「そこのB757、離陸を許可する」
B757「おーし行くぞー(エンジン全開!)」
推力20-25t×2が後続機を直撃!
後続機「ちょwwwwwなんだこいつwwwwwちっこいくせにパワーありすぎるだろってアッー!」


飛行中にて…
後続機「あれが噂のB757か、結構小さいな。アレくらいの小型機なら後ろに付いても大丈夫だろう」
B767と同クラスのエンジンでブオー
後続機「なん…だと!?」「おい何だあの機体!?ちっこいくせにB767並のパワーじゃねえかってアッー!」


てな感じで、「何も知らない後続機がウェイク・タービュランス(後方乱気流)をもろに食らって事故を起こす」…なんて例も何件か起こっていた。
このため、「B757は見た目で判断するな、アイツは実質大型機だと思え!」という通知が回っているそうで。


主な派生型

757-200

757の基本型
当初は近・中距離機材として設計されたが実際はETOPS緩和などもありその航続距離を活かして大西洋線で活躍。
民間型757の中では一番の航続距離を持っていた事から、累計1000機以上売り上げた757の内約9割はこの型であった。


C-32

VC-137(B707ペース)の後継機として米空軍に採用された軍用モデル。
大統領専用機のVC-25とは異なり副大統領のみならずや政府関係者も使用し、VC-25が運用できない空港には大統領機として使用される事もある。
757で一番の航続距離を誇り、民間型では最長約7,200kmなのに対しC-32は最大10,200kmの飛行が可能である。
大統領機として運行する事もあるため、冒頭に述べたトランプ大統領は公私で757を使うことが出来る世界でも稀な人物だったりする。


その他

民間型だと757-200以外の多くは貨物型で、中には貨物旅客混載型のタイプもある。
胴体延長型も存在するが、その型の常として航続距離が落ちた事もあり採用は少なかった。


派生型の中には757の機首にF-22開発データ収集のためにF-22の主翼や機首を取り付けた珍妙なものも存在している。



日本では

日本国内ではB757の導入は無い。
これに関しては素人の編集者による推測に過ぎないが、B757という機体そのものが「日本の環境や需要から見れば中途半端な機体」と見られているためと思われる。
そもそも日本は1フライトあたりの航空旅客需要がアメリカや欧州と比べて多く、飛行距離も比較的短めの路線が多いのである。
あまり需要の見込めない路線なら、信頼と実績のB737を使えばいい。
737では対応できない距離やそこそこ需要がある路線ならB767を入れればいいし、そうでなければ運びきれない。
更にエンジンに至っては出力過剰気味な事から燃費の面でも若干不満がある。
クルマで言えば、ヴィッツやフィットに2000ccのエンジンをぶち込んでいるようなもんだ。
こういった点で「どっち付かずの中途半端な機体」とみなされ、航空会社が興味を示さないためだと思われる。



他にも兄弟機である767は当初ボーイング側から機体製造の半分を日本に委託して「ボーイングジャパン」と命名する事を提案する程に深くかかわっており、
SST計画凍結によって予算・人員に余裕が生まれた事やロッキード事件により激怒したボーイング側から比率を下げられるも製造を担っていた767とは異なり、
757には日本が製造に全く携わっていなかった事も影響していると思われる。


一方、海外の航空会社の保有する機体が国内の空港に飛来することもある。
特にデルタ航空は成田-グアム方面の路線にB757を結構入れている。
グアムによく行く人はお世話になることもあるんじゃないかな?
貨物型を運用している会社も成田に乗り入れているため目にする機会はチャンスはある。


ちなみになんでデルタがB757をあんなに持っているのかといえば、「世界中から中古の757を買い漁った結果」である。
アメリカは大陸横断線や大西洋横断線、南北アメリカ大陸線などの「757を入れるのがちょうど良い中長距離ローカル線」がかなりの数あり、757の需要はかなり大きいのである。
中古とはいっても比較的新しい部類の機材であり、また機体そのものもしっかりと強化がなされているので信頼性は十分。
デルタは他にも多くの中古機種を世界中からかき集めており、同じアメリカでは老舗LCCサウスウエスト航空が他社との合併で持て余したMD製最後の旅客機である
MD-95ことB717をリースという形で譲り受け、日本でも日本エアシステムが導入し合併後日本航空で運用されたMD-90もデルタ航空が買い上げている。


757とA321

2020年時点でも数多くの757が運行されているが、生産自体は2004年で終了している。
しかしボーイング社は後継機となるナローボディ旅客機を開発しなかった。
その頃はまだ機齢が浅い機体も多く問題はなかったが…。


だが年数が経つにつれて757も老朽化が進む。後継機となる機材を各社がボーイング社に打診したが、ボーイングから757の代替もできるとした737-900や737MAXでは、米国内の路線はまだしも大西洋では航続距離が足りず、逆に787では過剰供給になると提言するも首を縦には降らなかった。


一方、当時737以外のナローボディ機としてエアバス社のA320系統があったが、中でも757とほぼ同等のA321は航続距離で大きく劣っていた事もありアメリカの航空会社は当初見向きもしなかった。
しかしA321は改良を重ね、757老朽化に伴いアメリカの航空会社でも徐々に導入、最新型のA321neo長距離仕様は757と同等の旅客数でありながら航続距離で勝ったことから本格的に757の後継機としてアメリカン航空なども採用を決定。
これに焦りを感じたボーイング社は757改修プランを出すも総スカンをくらい、2017年に757の後継機には797を開発すると公言した。
しかしボーイング社はその後737MAXの事故によって他の旅客機開発計画も遅延したことで797計画は白紙化、更にはコロナの影響で危機的状況に陥っている。
757後継機争いに勝利したエアバス社であったが同社もコロナの影響による航空需要激減によりリストラを敢行するなど苦境に立たされている。


ちなみに757を運用しなかった日本だが同規格のA321をANAが採用、更にはA321neoも導入し*1PeachやジェットスターなどのLCCでも長距離型A321neoを導入が決定。*2
Peachも当初国際線で使用する予定であったが、コロナの影響により国際線の運用ができなくなったたため国内で需要の高い路線に投入予定である。





日本では影の薄いあなたはぜひとも追記修正をお願いします。


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  • 次の記事は737か787だな -- 名無しさん (2016-11-03 21:28:28)
  • 次の旅客機項目楽しみにしてます! -- 名無しさん (2016-11-04 14:38:57)
  • 757-300の無いゴミ記事 -- トゥーンべりゴン(本人) (2022-11-25 18:19:41)

#comment

*1 ただしANAはバブル崩壊などの影響でA330・A340のオーダーをA321に切り替えただけであり一度導入から10年程度で引退させた、その後767引退でできる737と787の中間需要のために再度A321を導入した
*2 こちらは長距離需要もだがパイロットがA320と同じ免許乗務させることが出来るためコスト削減の意味合いも強い

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コメント

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