登録日:2011/08/08(月) 01:54:38
更新日:2023/10/05 Thu 10:41:17NEW!
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ぼくは、わたしは、
何にでもなれる!
『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン』は、ナムコが2000年11月10日に発売したGB用(GBカラー対応)ソフト。
作品的には『テイルズ オブ ファンタジア』の続編となる。ネタバレになるがファンタジアのストーリーの前日譚と後日談である。シナリオ、システム共々他のテイルズオブシリーズとはやや毛色が違う。
本作のシナリオを担当した新免G之進氏のコメントが攻略本のひとつ『テイルズオブファンタジアなりきりダンジョン超着こなし術』に掲載されており、「『自分の心との対峙』といった人間の内側をテーマに設定した」と語られている。あくまで主人公二人の生い立ちをめぐる物語で構成して、世界を救うような大きな物語にはしたくなかったという旨の発言もある。
■ストーリー
星のきれいなある夜、山に流れ星が落ちた。
「あなた」が流れ星が落ちた場所に行くと、そこには男女の双子の赤ん坊がいた。
「あなた」はその二人を保護して、男の子をディオ、女の子をメルと名付けて育てる事にした。
それから13年後。
すくすくと育った双子の前にノルンと名乗る女性が現れた。
ノルン曰く、二人は黒き運命と共に生まれ、そこから自身の運命を切り開く為に時空戦士と会い、12の精霊の試練を受けなければならないというのだ。
かくてメルとディオは、ディオが拾ってきた可愛い生き物「クルール」をお供に、自分の運命を切り開く旅に出るのだった。
という始まりではあるが、『テイルズ オブ デスティニー2』のように前作の子孫が新たな戦いに出るという繋がりではなく、別な切り口でファンタジアの設定やストーリーと体化している。怖いほど。
■システム
前述の通り、システムはやや特徴的。
ダンジョンは不思議のダンジョンシリーズの様なローグライク。
戦闘はGBという機種故か、プチLMB(リニアモーションバトル)というドラクエ方式に近いシステム。
その為若干テイルズらしくない。慣れてくると作業ゲーになるかも。
- コスチューム
なりダンシリーズお馴染みのシステム。
剣士系、格闘家系、魔法使い系、盗賊系、モンスター系、職業系、遊び人系、と実に様々。
またコスチュームマスターすると「人生経験」が上がり、人生経験が増える事でより上位のコスチュームを着る事が出来る。
逆に言うと強くなるにはまず基本コスチュームをマスターしなければならない。何事も基本が大切だね。
コスチュームには戦士系・僧侶系・魔術師系に加えて職業系のコスチュームもある。漫画家や料理人や釣り人が戦うというのはテイルズオブシリーズのみならずRPGでも異例中の異例だった(なりきりダンジョン2が継承)。
メルの“おひめさま”と“おどりこ”などはとてもかわいいのでファンイラストをどんどん描こう。
しかし、中には“こいつ……狂ってやがる”というようなものもある。ナムコゲームキャラクター系の一部やモンスター系のデザインはあまりにも暴れん坊すぎて笑っていいのかどうかすらわからないものだった。
完全に着ぐるみのパックマン・サンドラや、ふざけとんのかというツッコミ必至のグロブダー・バキュラなどである。バキュラふざけんな。戦闘攻略上意味があるところも含めてバキュラふざけんな。
- せいかく
同じコスチュームをずっと着ていると、双子の性格が変わる。
シナリオその物に変化はないが、特定のコスチュームと性格が合致する事で双子の性能が上がる。
ex)「クレス」→せいぎかん
「ミント」→あいのひと
また、たのまれごと(後述)の解決やクルールの性能にも関わるので、本作において非常に重要な要素。
- たのまれごと
ある意味このゲームの目玉。このたのまれごとの中で人々の様々な感情や人生に触れることが重要な伏線にもなっている。
それぞれの時空で困っている人達をコスチュームや性格調整を駆使して助ける。
特に戦闘では非常に使いにくい職業系、遊び人系のコスチュームはたのまれごとで本領発揮。
コミカルなものからダークなもの、哀しいものからおマニな物と実に様々。
無視しても本編は進められるが、ダンジョンに入るために要求される“たのまれごと解決数”がだんだん増えていくので、一定数クリアしなくてはならない。
たのまれごとの中でも「いちりんのはな」「マネークレイジー」「きえたフランシーヌ」は3大トラウマの鬱イベント。このゲームを知らない人でも“ティアの花”と“ボエボエ”は聞いたことがあるというほど。
ちなみに、あるたのまれごとをクリアすると、依頼人がディオのテーマソングを歌ってくれる。正直いらn……おや、こんな時間に誰かが来たな。
その名は「愛の戦士 バニーハンター・ディオ」。原曲の「FIGHTING OF THE SPIRIT」がかかる『テイルズ オブ シンフォニア』のプレイヤーまで「ディオだぜぇぇぇ!」と歌ってしまうという多大な迷惑影響を与えたすごい歌である。
■登場人物
- 「あなた」
プレイヤー。赤ん坊だった双子を拾って育てた。
基本的にプレイヤーは双子と一緒に行動すると言うより、双子とクルールの旅を見守るような存在。
- プレイヤー自身が物語に参加して、プレイヤーにディオメルが話しかけてくれる。
- 呼び方はプレイヤーが付けた名前で呼ばせたり「おにいちゃん」「おねえちゃん」と呼ばせる事が可能。「いだいなるしどうしゃさま」と呼ばせる事もできるが色々な意味でお勧めできない。
- ディオ
プレイヤーに拾われた双子の片割れ。どちらかと言えば弟タイプ。
攻略本に載っているバグベア姿は可愛らしい。
性格はすなお、ひょうきん、おもいやり、ねっけつ、ダーク、ものずきの6種を基本に上位2種類パラメータの組み合わせ10種。
ex)すなお×ひょうきん→にんきもの
- メル
プレイヤーに拾われ(ry
おしとやかでしっかり者のお姉ちゃんタイプ。
攻略本に載っている際どい踊り子姿はロリ的な意味で萌える。
性格はすなお、おちゃめ、いたわり、おいろけ、いじわる、ものずきの6種を基本に上位2種類のパラメータの組み合わせ10種。
ex)いたわり×おいろけ→おとめ
詳細はディオ&メルの項目を参照。
ディオが山から拾ってきた、丸っこいぬいぐるみの様な可愛らしい姿の生き物。
小説版では「うきゅ」が鳴き声。ゲーム本編では「ウキュ」もしくは「クルール!」という鳴き声。この「クルール!」の部分はプレイヤーが入力したクルールの名前に置き換わるのでとんでもない名前を付けると……あとはわかるな?
製品上は、この名前は「姿がクルクル変わるからクルール」という意味で付けられた(これは本当)。
Lvと双子の性格に応じてクルールの性格(性能)が変わる。
ちゅうじつ…バランス型
やせい…攻撃重視型
ともだち…サポート型
- ノルン
双子の前に現れた謎の女性。
行く先々で現れ、双子を導く。優しいお姉さん風だが、最後にプレイヤーは(ストーリー的な意味ではなく)「あんた鬼や」と言う羽目に。
- 時空戦士
前作「テイルズ オブ ファンタジア」のパーティメンバー。
本作では同行しないが、各々の時空で精霊の試練を受ける双子にダンジョンに入る為の鍵を渡してくれる。
尚、アーチェのみは双子と同じ時空に存在。精霊の試練終了後に「入力した好物(デフォルトでは『みそおでん』)」を作ってくれる。
200歳以上になって漸く“××料理人”の汚名返上が出来た模様(××料理人はPS版で追加されたサブイベントおよび称号)。
余談だがアーチェが生活してる塔の名前は「まじょっこの塔」。内部に入るには「キュートでプリティ♪ とってもラブリィ~♡」という呪文(?)をノリノリで言わなくてはならない。そこ「年考えろ」って言うな。
- 謎の二人
人間の本質は悪だ闇だと主張する謎の男と謎の女。男は個性的な形状の仮面(兜)を被っている。個性的すぎて洗面器にしか見えない。「おろかものめ! 金の鍋仮面だ!」
- リリス・エルロン
『テイルズ オブ デスティニー』からゲスト出演。
エプロンドレスがお似合いのお茶目なバトルガール。
ある条件を満たすとたのまれごとを依頼してくる。
「ちょっとバトらない?」
■ノベライズ版・ドラマCD
スーパーダッシュ文庫から本作をベースとした小説が上下巻で発行された。ノベライズは結城聖。
本作はゲームシナリオ本編のみならず、小説版も良作である。オリジナル要素(双子の両親、終盤のイベントやノルンの正体等)はあるものの、本作の世界観がさらに深く描かれており、ファンタジアが好きな人ならオススメである。
ドラマCD「テイルズオブファンタジア なりきりダンジョン」-月の章- および -太陽の章- では双子とノルンの声が聞けてファンは喜んだ。しかし、クレスがダメな感じになっていてそのクレスをディオが罵倒するなどの場面があってちょっと気分が……おや、メールが大量に届いたぞ?
■評価
ファンタジアのストーリーやキャラを知っているのが前提の本作だが、シナリオの評価は高く、すごい鬱ゲーとしても有名。
ふざ……明るく楽しい冒頭のナレーションから始まって、思わず呻き声が出るほど激鬱なヴァルハラ村を経て、暗黒時空でダンジョンボスが哲学問答を振ってくるという展開。プレイヤーにトラウマを植え付けるストーリーやセリフが連続するシナリオである。
なあ、こんな展開が「ふたりをたすけた とてもしんせつでやさしいステキなあなたは・・・」「ふしぎ ふしぎ・・・」の先の待ってるなんて誰も思わない。
花と水の町として豊かに栄える場所が、200年前には極貧の村でほぼ全員狂ってるなんて。そして100年後には鉱石を当てて金持ちになったら今度はほぼ全員欲望で狂ってるなんて。
プレイヤー「このゲームのシナリオライターは鬼や……」
双子の正体についてのイベントやファンタジアキャラのその後を描いた魔鏡イベントなど特筆に値する内容もあり、ファンタジアと本作を合わせて一つの物語は完成するという評価もあながち間違いではない。
反面、戦闘がハードの性能上LMBではないためこれは“テイルズオブシリーズ”ではないと評価する者もいる。さらに、戦闘バランス面では極めて評判が悪く「このボスで詰んだ」「途中であきらめた」「最後まで見られなかった」というプレイヤーが多発した。素早さが最優先となる変則ターン性のため、ボスが強烈な魔法を2連発してくる等はザラである。
敵のパラメータや思考ルーチン決めたスタッフは前に出ること。ボスキャラのHPが20000とか多いのもダラダラ長い戦闘につながっている。
とはいえ救済措置はある
それこそがバキュラ戦法。
元はゼビウスのキャラで、今作は最大HPが256にされてしまうが、受けるあらゆるダメージを1にしてしまう特殊なコスチュームとなっている。
これをボス戦で二人のどちらかに着せておき、ひたすら耐える。
バキュラを着たキャラ以外は戦闘不能にされるが、そのうち相手のTPが尽きて通常攻撃のみになるため、その後で他二人を生き返らせることで楽々倒す事が出来るのである。
なんと隠しボスのリリスにも有効。
ただし、ギルとカイのコスチューム以外では戦えないため裏ボスのドルアーガには使えないというバキュラの存在を見越したような仕様がある。
■テレビCMが結果的に詐欺の件
小学生2人が公園でゲームボーイで遊んでる。「あそこで女神になりきってるのお前ンところの姉ちゃんじゃね?」と一方が言うと頭から水出した姉が女神の格好で噴水の上に立ってる。
そして、ヨーデルのような男性の声で「ん~なりきりなりきりなりきりなりきり」ナレ「テイルズオブファンタジアなりきりダンジョン~」
ご存知の通りストーリーは全くそういう内容ではない。
しかも、対象年齢や製品的にはCMが正しい。
だが、あのどす黒い激鬱ストーリーと後半の対象年齢詐欺裏切りが数多のゲームの中の平凡な作品として埋もれさせなかった要因である。
■リメイク
上のような事情のため、やりごたえのある本来のLMBでのリメイクが待望されていた。
10年後の2010年にリメイク版『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』が発売された。……が、パラレルもしくは別作品と考えた方がよい。マジで。
原作は狂人が登場するイベントやネガティブな方向に振った哲学的メッセージが多く、リメイク時の2010年当時は尖りすぎていて(たぶん2000年当時でもすげぇ尖ってた)CEROレイテイングを意識して削らざるを得なかった。
オープニングアニメの追加や良質なゲームビジュアル(しかも懐かしのドット絵)や戦闘システムといった点では良いリメイクとなった。うんいいよね。ディオメルの声。特にサイガー氏の演技と技術がすごいぜ。奥華子氏の歌を聴くと自然と涙が出るほど。
しかし、何かを代償にしたのにも関わらず結局CEROレイテイングB(Aが全年齢)となった。
原作のシナリオではCEROレイテイングC(15歳以上)になるのではないかと噂されていたが実は年齢は無関係ではないかと思われる。
(Xスタッフ)「オリジナル版のシナリオは倫理的な問題で難しかった」
しかし、それならあらすじとキャラだけいただきました的なリメイクなどせず別なシナリオのゲームを作れと思ったファンも少なくない。
鬱イベントとして有名なたのまれごとの一部は残っているが、激鬱かつ深みがあったセリフなどがすっかり骨抜きにされている。「ヤバイ内容ですが前作ファンに人気なので形だけ入れました」感が漂う。こんなものなら入れない方が良かったという意見が圧倒的多数で可決された。
虹輪はリメイク版独自の設定なので忘れよう。
追記・修正はたのまれごとを5つ解決してからお願いします。
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▷ コメント欄
- この物語の真の主役はダオス、とスタッフが開発室で言っていた -- 名無しさん (2013-10-04 16:15:18)
- エクシリア2で重要な設定だった並行世界(分史世界)はファンタジアの時点で存在してたんだね -- 名無しさん (2013-10-04 23:40:29)
- ふしぎ、ふしぎ -- 名無しさん (2013-12-03 22:37:16)
- パーテイ構成を「モノリス」「かに」「ウキュクルール」にすると友人から「疲れてるの?」 -- 名無しさん (2014-02-07 09:39:50)
- クルールって役に立つ上に可愛い。 -- 名無しさん (2014-04-25 09:11:22)
- システム面ではまごうことなきクソゲーなのだが、その点にあまり触れられない辺り、やった事の無い層が神格化してるフシがある。いや、ストーリーは本当にいいんだけどね。 -- 名無しさん (2014-05-26 17:01:51)
- ↑一応補足だが、システム面ってのはコスチューム周りのシステム全般のことね。それ以外は(戦闘が劣化DQなことに目をつぶれば)そんなに酷くないよ。 -- 名無しさん (2014-05-26 17:05:08)
- ↑2タンスが出てくるアレのほうがクソゲーだと思う。 -- 名無しさん (2014-05-26 18:37:49)
- これ自体は番外編としての理想的な形、くらいの良作だけど、なりダンXがあまりにプレイヤーを苛立たせる仕様だったがために、そっちを批判するために持ち上げられてる感はあるな -- 名無しさん (2014-12-27 06:45:39)
- 小説版大好きだったなあ・・・ちょっとダークな所が特に好き -- 名無しさん (2015-05-10 17:18:00)
- ↑5 発売日に買ってプレイしたけど、特にクソさは感じなかったけどな -- 名無しさん (2016-03-15 21:05:20)
- 「お母さん」と呼ばれているうちに母性に目覚めたプレイヤーが続出したという。マジで親の気分になってくるんだよなこれ・・・ -- 名無しさん (2019-04-18 18:35:18)
- 敵がすごい強い割にはこっちのなかなかレベルが上がらないからテンポ悪いんよね。バキュラ戦法使えば楽々ボス倒せるけど、それすら見越したクリア後のドルアーガの塔。 -- 名無しさん (2022-10-07 20:45:13)
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