エントロピー増大則を破壊する「マクスウェルの悪魔」。
それでは、説明しましょう。
まずは「エントロピー増大則」。ここでは「コーヒーにミルクを混ぜることは出来るけど、カフェオレからミルクを取り出すことは出来ない」と考えてください。
カフェオレを限界まで拡大してみましょう。すると、コーヒー成分の粒とミルク成分の粒が入り乱れて動いているのが見えるはずです。
このミクロな視点を持ってください。
コーヒーにミルクを入れることを考えます。
この瞬間ミルク成分は、コーヒー粒の中をてんでバラバラに広がっていきます。もはや回収することはかないません。
これが「エントロピー増大則」。
さて、ここで登場するのがマクスウェルの悪魔。カフェオレの中にチャプンと入れてみましょう。
この悪魔、ドアを開けたり閉めたりして、カフェオレをコーヒーとミルクに分けていきます。
コーヒー粒が左に行くタイミングと、ミルク粒が右に行くタイミングのみドアを開けます。
カフェオレがコーヒーとミルクに分かれました。
これって、やってること「ごま塩をごまと塩に分ける」のと同じでは? と思うかもしれません。頑張れば出来るじゃん。
しかしここで重要なのは、この悪魔がどうやら「エネルギーを消費せず」この動作を行うことが出来るらしい、ということです。つまりこの作業を、頑張らずに出来るのです。
(扉を無限に小さくすれば、扉を動かすエネルギーはゼロになります。また、カフェオレのなかでコーヒー粒とミルク粒は勝手に動いています)。
この無償労働の悪魔くん。実在すれば、コストゼロで50度のお湯を0度の冷水と100度の熱水に分けるなんてことも出来ます(0度の水と100度のお湯を混ぜたら50度になりますよね? それの逆が出来るのです)。
物理法則ガン無視です。夢の技術!
……
……
……世の中そんなに甘くなかった。
結局科学が発展するにつれ、この悪魔くんも実は隠れてエネルギーを使っていることが分かりました(具体的には、見た粒の情報を忘れる際にエネルギーを必要とするそうです)。
そんなわけで、今でもエントロピー増大則は正しいものと考えられています。
マクスウェルの悪魔は想像上の産物に過ぎず、結局物理法則は保たれたのでした。めでたしめでたし。
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