駆逐艦

駆逐艦とは……なんだろう

水雷艇駆逐艦が語源ですが、現代では複数の役割を担った主力艦艇として扱われます。

 

そもそもは、フランスが「ジューヌ・エコール」と呼ばれる、安価で多数の水雷艇を配備する戦略を取ったことに対するイギリスのカウンターとして生まれ、水雷艇よりも重武装かつ長射程、非装甲を速力で補いアウトレンジから水雷艇を駆逐することを想定されていました。

しかし、蒸気機関の発達などにより船舶の航続距離が向上すると、駆逐艦自体が遠方でも活動できる水雷艇としての役割も担うようになります。

 

ワシントン軍縮条約によって主力艦艇の建造が制限されるようになると、本格的に水上戦闘の役割を果たすように進化していきます。また、主力艦と比べて安価であることから、危険な機雷の敷設任務や輸送船の護衛、対空機関砲による対空、潜水艦の駆逐など、所謂便利屋としての地位を築き上げました。

特に、戦艦の保有数が米英に比べて少ない日本は、駆逐艦による漸減邀撃戦略を注視、より高い攻撃力を持った吹雪型駆逐艦を建造した事で、この傾向はヒートアップしていきましたが、続くロンドン軍縮条約によって駆逐艦のトン数にも規制が入れられたため、一旦の収束を迎えることになりました。

 

が、第二次世界大戦で生じた数々の戦訓から、世界中の海軍で航空主兵論、その反動で戦艦不要論が蔓延し始めます。また、長大な攻撃範囲を持つ航空魚雷やミサイルが台頭したあおりを受け、駆逐艦自身も水雷艇としての役割を見出されなくなりました。

その代わりにミサイルを装備することで、従来の対潜対空能力を維持したままに巡洋艦や戦艦と近しい攻撃力を得ることになります。戦艦の衰退した現代では事実上の主力艦として扱われており、各国海軍や海上自衛隊の要として扱われています。