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『ジュラシック・パーク 』(Jurassic Park)は、1990年に出版されたマイケル・クライトンによる小説、またそれを原作とする映画シリーズ、ラジオドラマ。作品に登場する娯楽施設の名でもある。
テンプレート:ネタバレ
テンプレート:Portal1990年に出版されたSF小説(上下2分冊)。後に制作された映画版よりも設定が細かく、ストーリーはリアリティ溢れる。恐竜を現代に蘇らせるべくバイオテクノロジーを駆使してクローンを作り出し、これらを公開するための完全自動化されたテーマパーク「恐竜王国」を秘密裏に建造したインターナショナル・ジェネティック・テクノロジーズ社(通称InGen社、インジェン社)。しかし、そのシステムは破綻をきたし、囲いから逃れた肉食恐竜達がスタッフやゲストを襲うというパニックサスペンス。
映画版に比べサスペンス的な色彩が強く、ハモンド(作者によると、原作のハモンドは節操を欠く人物として描かれた)他、多くの登場人物が恐竜に襲われ死亡する。映画版ではティラノサウルスの活躍が目立ったのに対して、小説版では知恵が回るヴェロキラプトルを最大の脅威として描いている。これは続編『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』でも同様である。
ヴェロキラプトルは知能が高く獰猛であり、恐竜を管理しようとするスタッフから見てとても厄介な存在とされている。空腹でなくとも獲物を襲い、殺戮そのものを好むと設定される。巨大なティラノサウルスは、自動車を樹に放り投げたりゴムボートで川を下るグラント達を泳いで執拗に追跡したりと、大いに活躍し物語を盛り上げはするものの、実際にやったことはマルコムを咥え上げた程度であった。それに対してヴェロキラプトルは多くの登場人物を殺害し、単に暴力的であるだけではなく、チームを組んでの見事な攻撃まで披露する。ただしラプトル同士が共食いをするなどの設定は高度な社会性とは矛盾する設定であるテンプレート:要出典。
登場する恐竜も映画より多く、ケアラダクティルスなどの翼竜(恐竜ではない)も含まれている。映画版では映像化されなかった「翼竜ドーム」やジャングルリバーライドなどのエリアも登場する。翼竜ドームは、後の『ジュラシック・パークIII』で映像化される。ジャングルリバーライドはユニバーサルスタジオのアトラクションである「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」として再現されている。また、ジャングルリバーライドは映画版でも食事のシーンにおいて写真および一部解説が登場する。
ストーリーは単なるサスペンスではなく、生命倫理や生命の進化、歴史に対する哲学的テーマが全体を貫いている。
ジュラシック・パーク | |
---|---|
Jurassic Park | |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
脚本 | マイケル・クライトン デヴィッド・コープ |
製作 | キャスリーン・ケネディ ジェラルド・R・モーレン |
出演者 | リチャード・アッテンボロー |
音楽 | ジョン・ウィリアムズ |
編集 | マイケル・カーン スタン・ウィンストン デニス・ミュレン フィル・ティペット マイケル・ランティエリ |
配給 | アメリカ合衆国の旗ユニバーサル ユニバーサル/UIP |
公開 | アメリカ合衆国の旗 1993年6月11日 1993年7月17日 |
上映時間 | 127分 |
製作国 | Flag_of_the_United_States.svg アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $63,000,000[1] |
興行収入 | $914,691,118[1] Flag_of_the_United_States.svg $357,067,947[1] 83億円[2] (配給収入) |
次作 | ロスト・ワールド |
表・話・編・歴 |
マイケル・クライトンによる小説はスティーヴン・スピルバーグにより1993年に映画化された。米国をはじめ世界各国で大ヒットし、以降、恐竜を扱った映画の代名詞とも言える存在感を持つことになる。全世界興行収入9億1469万ドルという記録は世界歴代14位の記録であり、スピルバーグ映画史上最大のヒット作である(2011年現在)。
スピルバーグはもともとクライトンの『5人のカルテ』を監督するつもりで居たのだが、他に企画は無いかとクライトンに訊ねたところ本作の話が出て、スピルバーグも惚れ込んだ。スピルバーグが監督することを条件に映画化権を譲るということでクライトン自身は承諾していた。
このように監督は内定していたのだが、原作は各映画会社に配布され争奪戦が展開。各社が候補監督として提示したのは以下のような面々である。
『5人のカルテ』は『ER緊急救命室』としてシリーズ化され、スピルバーグとクライトンは製作にまわった。
恐竜の映像化には高い視覚効果技術が求められ、ストップ・モーション・アニメの第一人者であるフィル・ティペット、特殊メイクのトップ・アーティストであるスタン・ウィンストン、そしてILMのデニス・ミューレンが招聘された。ILMとスタン・ウィンストンは『ターミネーター2』製作期間から本作のための準備を始めていた。
デジタル音響システムの『dts』映画第1号でもある。
原作者マイクル・クライトンが脚本に加わっているので、おおまかなストーリーは原作に準拠したものとなっている。しかし原作での大きな魅力となっている数学者イアン・マルコムの自然に対するテーゼが分かりやすいように変えられている。原作で生き残る登場人物(ドナルド・ジェナーロ、ロバート・マルドゥーン)が死亡し、原作で死亡する登場人物(ジョン・ハモンド、イアン・マルコム、ヘンリー・ウー)が生き残る点も異なる。
また原作では兄であったティムが弟に変更されている。これはティム役のジョゼフ・マゼロの演技が素晴らしく、スピルバーグを感心させたからである。ジョセフは元々『フック』のジャック役のオーディションを受けたが、役の年齢からは幼く見えすぎると言う理由から外されてしまった(役はチャーリー・コースモに渡った)。しかしオーディションでスピルバーグは「君の演技には感心したよ。次回は君に演じてもらうよ」と言ったという。そしてティムの年齢を変更し、ジョセフを起用した。
原作で多くのページの割かれた翼竜の飼育ドームの場面が登場せず(後に3作目で登場)、さらに当初登場が予定されていた恐竜(メトリアカントサウルス、ステゴサウルス)も登場が見送られ、実際作中で登場する恐竜は原作よりずっと少なく7種に落ち着いた。だが、続編の『ロストワールド・ジュラシックパーク』と比較すれば本作は原作に忠実であると言え、脚本家デビット・コープによってうまく要約されている。
原作の小説版では、琥珀に閉じ込められた蚊の腹部の血液から恐竜のDNAを採取し、これを解析・復元した上で欠損部位を現生のカエルのDNAで補完し、さらにこれを現生爬虫類(ワニ)の未受精卵に注入することで恐竜を再生する手法が描かれる。これは原作当時に勃興しつつあったバイオテクノロジーを背景として、恐竜を現代によみがえらせるという一見非現実的なテーマに大きなリアリティを与えることに成功している。ただし、2009年現在では、琥珀化して地質年代を経た血液の核のDNAは損傷が激しいと考えられ、元の生物のワンセットの遺伝情報を復元するには複数の細胞を用いる必要があると考えられている。それ以前に、蚊はその時代にはまだ出現していなかった。もちろん、吸血昆虫一般がいなかったという証拠はない。
琥珀中ではなく、剥製や永久凍土中に保存されている絶滅生物のDNAから情報を復元することは2009年現在の技術でも可能であると考えられており、絶滅生物のクローニングを目指す研究が行われている。マンモスなどはこの対象として良く取り上げられる。
なお、DNAの欠損部位の補完に使われたカエルが周囲の個体の雌雄比率にしたがって性転換をする種であることが示される。これが発生時にメスのみを生み出すことで恐竜の個体数をコントロールしようとしたパークスタッフの意図に反して恐竜が自ら繁殖を始めてしまう理由となっており、続編のロスト・ワールドに繋がる伏線ともなっている。続編のロスト・ワールドの映画版では、小説版同様に恐竜が人間の管理を離れて自生するようになったことが描かれている。
なぜDNA欠損部位の補完に、原作当時もっとも恐竜と近縁と考えられていた爬虫類ではなく、両生類のカエルを用いたのかについては原作中に説明がない。おそらくは性転換する性質を小説のプロットに織り込むための原作上の都合と思われるが、爬虫類であるワニなどにも成長中の周囲の環境によって性転換する種のいることが知られている。また、2009年現在の学説に基づけば、恐竜の直系の子孫である鳥類をベースとして用いるのがより適切かもしれない。
映画化に際して、登場する恐竜の種類は、原作の15種から7種(ブラキオサウルス、トリケラトプス、ティラノサウルス、ディロフォサウルス、ガリミムス、ヴェロキラプトル、パラサウロロフス(遠景にわずかに登場))に減った。
以下のリストには映像として現れる恐竜だけでなく、台詞・表示などで存在のみが確認できる恐竜も含めた。また、劇中で種小名が出ているものは属名と中黒(・)で繋ぎそれも記した。原則として劇中での登場順に並べてある。
ヴェロキラプトル(ベロキラプトル) テンプレート:Snamei原作文中の記述によればヴェロキラプトル属のモンゴリエンシスである模様。ただし、劇場版での造形は顔がよりズングリとしており、デイノニクスに近いものになっている。これは当時ヴェロキラプトルとデイノニクスは同一種とする説があったためである(現在はこの説は否定されている)。呼称は「ラプトル」、もしくは「ラプター」(二作目)。この呼称はT-REXと共に以後メジャーになった。狩猟本能に長け空腹でなくとも殺戮をし、霊長類をも凌ぐ高い知能を持つ動物であると設定されている。主に後肢の大きく鋭い鉤爪を使って獲物を襲う。パークでのこの恐竜を表す標識のデザインは、鉤爪の骨格。作中の独特の鳴き声はイルカ、セイウチといった海生動物を混ぜ合わせたものである。ちなみに、実際のヴェロキラプトルは、長い尾を除けば中型犬程度のサイズであり、本作における「ラプター」はユタラプトル等の大型種と同等のサイズとなっている(映画のムック本[5]にて、スピルバーグ自ら確信犯的に大きなサイズにしたとの言及あり)。尚、デイノニクスやヴェロキラプトルは近年において羽毛恐竜であったと考えられているため、現在主流となっている想像図と本作での造形では異なる印象を与える。ブラキオサウルス テンプレート:Snamei作中では後ろ足で立ち上がり、また、顎を左右にスライドさせて咀嚼する描写があるが、双方共に実際は骨格の構造上不可能だと考えられている。標識は二頭の首の骨格。続編ではそのポジションをマメンチサウルス・シノカナドルムに譲るが、『III』で再登場する。本作のブラキオサウルスの正面顔は、にっこり微笑んでいるようであり可愛く「巨大なペット」というコンセプトに基き造形されている。パラサウロロフス テンプレート:Snamei遠景にのみの登場だが続編以降ではしっかり存在感をアピールする。トリケラトプス テンプレート:Snamei呼称は「トライク」(Trike)。標識は正面を向いた頭骨。病気で倒れている一頭だけが登場。作中の設定では群れを成して行動する恐竜とされていたが、そういった場面は以後のシリーズ作品でも一度もなく(一応『III』で少しながら確認できる)、群れで行動するシーンはステゴサウルスが主に引き受けている(小説では全く逆)。撮影ではトップバッターだった。プロケラトサウルス テンプレート:Snamei映像には現れない。マイナーな肉食恐竜。小説にも登場しない。胚保存室で登場。ステゴサウルス テンプレート:Snamei映像には現れない。また、劇中の表示では「Stegasaurus」と誤記されている。胚保存室で登場。メトリアカントサウルス Metriacanthosaurus映像には現れない。プロケラトサウルスと同じくマイナーな肉食恐竜。小説にも登場せず。胚保存室で登場。ティラノサウルス・レックス テンプレート:Snameiこの映画を象徴する動物的な鳴き声は 「ゾウの赤ん坊の鼻息」、「ワニの唸り声」、「虎の咆哮」といった強大な動物を混ぜ合わせたもの[6]。スピルバーグの音に関するこだわりは強く、『ジョーズ』においても同様の演出が見られる。標識のデザインは本作のロゴにもなっている有名な上半身の骨格。T-REXという呼び名は、学問上用いられる二名法に基づく略称である。この映画の影響でティラノサウルスのみ属名、種小名がメジャーなものになったが、勿論他の恐竜・動物に対しても用いる。パラサウロロフス・ワルケリ(テンプレート:Snamei)、未同定のプロケラトサウルス(テンプレート:Snamei sp.)など。作中では静止している獲物を視認できないとされている。この設定は、続編小説では読者の指摘もあってか変更されたが、映画版では『III』までしっかり継承されることとなる。また時速50キロ以上で疾走し、ジープに追いつきそうになる場面があるが、続編映画では走る速度がかなり抑えられて、人間になかなか追いつけなくなっている。動きが素早いという設定は、視覚の設定とは逆に小説版においてのみ継承された。ディロフォサウルス テンプレート:Snamei映画ではサイズが実物よりかなり小さいが、幼体かもしれない。呼称は「スピッター」(唾吐きの意)。吐く毒は、素早く蛇毒血清で処置しなければ失明の可能性がある強力なもの。映画の設定ではより強力で致死性。登場する恐竜の中では最もデザイン、習性などが脚色されている。鳴き声は白鳥。威嚇時はガラガラヘビとタカとサルを混ぜ合わせたもの。標識は作中にも登場しており、頭骨。ガリミムス テンプレート:Snamei鳴き声はウマが基となっている。この恐竜のみ標識が骨格でなく、しかも全身のシルエットである。ジュラシック・パークの舞台となったのはイスラ・ヌブラル島という架空の島であり、スペイン語で『雲の島』という意味を持つ。イスラ・ヌブラル島は中米にあるコスタリカの沖から約200km離れた所に位置している。
原作のイスラ・ヌブラル島は水滴を逆さにした形に似ていると記されている。島の長さは12kmで最も幅が広い部分は約5km。面積が35平方kmと、イメージされるよりも小さく、最も標高が高い位置は高度600mしかない。
映画が撮影されたハワイの島々同様、イスラ・ヌブラル島は海底火山によって興り、火山は尚も活発。そのため、部分的に地熱が非常に高いこの島は濃い霧に覆われ、ジュラシックパークの施設などはこの島から発生する地熱をエネルギーに変えて利用している。
イスラ・ヌブラル島は熱帯雨林に覆われており、2つの川が島の東と北に伸びている。原作では島の中心には広大な人造湖と大きな鳥小屋があるとされているものの作中では描写されなかった。
当初、遠景の恐竜の映像は主にフィル・ティペットによるゴー・モーションで製作し、CG恐竜はガリミムスの大群の場面などごく一部のみで使用される予定だったが、ILMの一部のメンバーが密かに開発していたフルCGのティラノサウルスを見たスピルバーグが、全面的にCGを使う事に方針変更した。その意気込みは、ライブアクションのシーンを削ってCG製作に予算を回すほどであった。
自身恐竜に関して独自に研究を重ねて来たティペットはこの方針転換に落胆し「ぼくらはこれで絶滅(失業)だ。」と漏らしたという(劇中グラントの台詞にそのまま転用された)。しかしテストフィルム(アニマティック)を古典的なストップモーション・アニメで製作し、恐竜の動作をデジタル入力するツールを開発、恐竜の動作の表現に苦心するCGスタッフたちに恐竜の動作をさせてみたり、動物園に足を運んで観察を重ねるといった努力もされ、こうした貢献はアカデミー視覚効果賞受賞という形で報われる事になった。
スピルバーグはハワイとユニヴァーサル・スタジオでの実写部分撮影終了後ポーランドに飛び次作『シンドラーのリスト』の撮影を開始したため、盟友ジョージ・ルーカスが視覚効果、音響効果、編集などのポストプロダクションを統括。パラサウロロフスの水場としてルーカスの制作拠点スカイウォーカー・ランチに実在する池が映る。なおルーカスは本作のCGを見て、映像技術的限界を理由に延期していたスター・ウォーズ新三部作の製作に取りかかる事となった。
スピルバーグはまたグラント、レックス、ティムがガリミムスの群れと並んで疾走する場面をステディカムで撮影する事に固執し、不規則で揺れの激しい手持ち撮影の場面にCGを合成するプロセス上にカメラトラッキング(ブルースクリーンではなく実写映像上でのマッチムーヴ)という概念を生んでいる。
大部分の恐竜のシーンはアニマトロニクスを使用して製作され、CG使用シーンの合計時間はわずか7分。ただし尺自体は一瞬であるがティラノサウルスに踏み潰されるツアーカーや蹴散らされる倒木といった恐竜以外の素材もCGで作られ、ラプトルに破られた天井からぶら下ったレックスが一瞬見上げるシーンでは、演じたスタント代役の顔だけアリアナ・リチャーズの顔と取り替えるといった処理も可能にしている。またジェナロ弁護士がティラノサウルスに喰われるシーンでは咥えた瞬間から役者をCGに置き換えており、これが史上初めて映画でデジタル・スタントマンが使用された例とされている。
この映画には、不自然に感じられるシーンがいくつか存在する。
などである。
1993年6月14日から7月2日まで、NHK-FMの『青春アドベンチャー』にて放送(全15回)。日本国内で映画版が公開される前に放送されたため、先取りする形となった。
原作に沿った登場人物の言動、ストーリー進行、演出となっているのが特徴である。
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